昨日は歩数計&行動記録アプリ「Moves」に追加されたログデーター出力機能の使い方と出力ファイルの中身を解説しました。

歩数計&行動記録アプリ「Moves」に追加された待望のログデーター出力機能の使い方と内容概説

上記記事で説明したように、Moves アプリで記録したデーターは Moves ウェブサイト上にバックアップされ、データー出力機能も Moves サイト上から行い、zip ファイルがダウンロードされます。

Moves のデーター出力機能でダウンロードされた zip ファイルには、多様なファイル形式・分類で非常に数多くのファイルが収められており、慣れていない人は「どれをどう使ったら良いの?」となりがちです。

しかし上記記事の最後に書いたとおり、通常使うファイル形式・種類はだいたい決まっています。そのあたりも含めて今回は、

「Moves のデーター出力機能を使ってダウンロードしたファイルを Google Maps や Google Calendar に読み込ませて利用する方法」

を簡単に説明します。



まず、Moves のデーター出力機能でダウンロードしたファイルに含まれる中身のおさらいをしておきます。ダウンロードした zip ファイルを解凍すると、

Moves_ExportFunc13


といったように、位置記録データーのファイル形式毎の圧縮ファイルが 8個あらわれます。このファイル形式については、同じく解凍して出てきた PDF ファイルに概説がありますが、だいたい以下のとおりです。

CSVExcel を始め、ほぼ全部の表計算ソフトやデーターベースソフトが対応し、各種アプリやサービスでも対応の多い汎用的なデーターベース形式なので、どんなソフトにでも使えるが、Moves のデーターを自分で色々と加工する人向き。
GeoJSON位置情報をデーター交換するために共通化した JSON形式で、Google や Bing、Yahoo! の API や多くの地図地形処理ソフトが対応しているものの、どちらかと言えば専門向き。
GeoRSSニュースやブログ記事配信などに使われる RSS フォーマットで位置情報をサポートするのに使われる規格で Google Maps などが対応しているが、これも Moves を出力したデーターを地図で見たいという程度なら殆ど使われない。
GPX位置データーの記録形式としては最も一般的な標準ファイル形式。Google 系以外の殆ど大多数の地図・GPS系アプリが対応している。Google サービス以外で位置情報を読み込ませるなら、殆どコレで OK
iCal (ICS)カレンダーアプリにおける標準ファイル形式。アップルの iCal や Goole Calendar その他、カレンダーアプリ/サービスに読み込ませるのはこの形式。Moves の Place データーを読み込ませることでライフログ的なことが可能になる。
JSONウェブサービスでよく使われるデーター形式だが、ここでは Moves が保存するオリジナルデーター形式。
KML位置データーの一般的な記録形式の一つで、多数の GPS 系アプリが対応しており、Google Maps も対応している。行動記録を Google Maps で表示させたい時はコレを利用。
KML GEKML 形式であるが、Google Earth で表示するのに最適化したもの。行動記録を Google Earth で表示させたい時はこちら


このうち、一般に使うのは
  • GPX 形式:Google 系以外の地図・位置情報アプリ/サービスで利用
  • iCal (ICS) 形式:カレンダー系アプリ/サービスで利用
  • KML 形式:Google Maps で利用
  • KML GE 形式:Google Earth で利用

この4つと思って良いのではないかと思います(色々加工したり、プログラムをする人にとっては他の形式が美味しく使えるはずですが)。

また、これらファイル形式毎の zip ファイルを展開すると、日別、記録期間全体一括、月別、週別、年別に記録ファイルが分けられたフォルダが出てきて、さらに 3〜6種類の記録ファイルが収録されており、

Moves_ExportFunc17


こんな感じのフォルダ構成になっています。日別 (daily) のフォルダの中だと、例えば activities は

Moves_ExportFunc18


このように1日毎にファイルが分かれており、また monthly や weekly フォルダ内は各記録に対して、月毎、週毎にファイルが分かれています(週毎ファイルは月曜始まりで、月曜〜日曜の記録がまとまっています)。

Moves_ExportFunc19


そして、activities や places などの記録ファイルの種類は、以下のようになっています。

Activities動いている時の記録。動いている時だけなので、例えば1日じっと家に引きこもった日は記録されていない。Google Maps や地図アプリに行動記録の奇跡をプロットしたい時はコレを使うのが一般的
Places歩く、走る、交通機関といった移動は記録されておらず、行った場所の記録がされている。カレンダーアプリ/サービスに行った場所を読み込ませるような場合には、この形式を利用する
Runnningその名の通り、走っている時だけを抽出した記録ファイル。日々のランニング記録だけを地図にプロットしたい、統計したい場合に利用する。
Storyline動いていない時も含めた全記録データー。Activities は自宅から動かない日はファイル出力されないが、この Storyline は全部の日付が出力される。
Summary当日の移動距離や時間、歩行やランニング時間・距離・消費カロリーなど、1日分の概要が記録されたもの。
Transport車、電車、バス、飛行機などの交通機関で移動したと見なされる記録だけを抽出したもの。カレンダー読み込み用に iCal (ICS) 形式で用意されている。
Walking歩いて移動していると見なされた記録を抽出したもの。


これらの中でも主に使うのは

Activities
行動記録を Google Maps や Google Earth、GPX ファイル表示ソフトなどで地図にプロットする場合に利用

Places
行った場所を Google Calendar のようなカレンダーアプリ/サービスに記録する場合に利用

Running
ジョギングをしている人が走ったところだけを距離/経路を地図にプロットする場合に利用

Summary
毎日歩いたり走ったりした距離や時間の概要をカレンダーアプリ/サービスに記録する場合に利用


といったところで、実際に使うファイル、使う組み合わせはある程度限られると思われます。

例えば、

  • 2014年4月2日の行動を Google Maps に表示したい
     → kml.zip ファイルを解凍して、daily フォルダの中の activities フォルダの中にある「activities_20140402.kml」ファイルを使う

  • Moves で記録した全行動を Google Earth で表示したい
     → kml_ge.zip ファイルを解凍して、full フォルダの中にある「activities.kml」ファイルを使う

  • 2014年1月第3週に走った記録を GPX 形式対応の GPS ログ表示ソフトで表示したい
     → gpx.zip ファイルを解凍して、weekly フォルダの中の runnning フォルダの中にある「running_20140117.gpx」ファイルを使う
  • 2014年2月の行った場所を Google Calendar や iCal に読み込ませたい
     → ical.zip ファイルを解凍して、month フォルダの中の places フォルダの中にある「places_2014-02.ics」ファイルを使う

  • Moves で記録した全期間の各日毎の行動概要を Google Calendar や iCal で表示させたい
     → ical.zip ファイルを解凍して、full フォルダの中にある「summary.ics」ファイルを使う


というような具合です。

とまぁ、ここまでは昨日の記事後半にも書いたことですので、この先は具体的な手順を示しておきます。



まずは「2014年4月2日の行動記録を Google Maps に表示したい」という場合の手順です。

前述のとおり、
  • Google Maps を利用する場合は KML 形式のファイルを利用する (kml.zip)
  • 2014年4月2日という 1日だけの記録を表示させたいのだから daily フォルダの中のファイルを使う
  • 行動記録だから activities フォルダの中のファイルを使う

となりますので、Moves からデーター出力したファイルの中から、kml.zip ファイルを解凍して、daily フォルダの中の activities フォルダの中にある「activities_20140402.kml」ファイルを使うことになります。

Moves_ExportFunc37GoogleMaps


さて、Google Maps の方ですが、Google Maps で Google アカウントにログインしてマイマップ機能を利用して KML ファイルを読み込むことになります。Google Maps でアカウントにログインすると検索履歴などが Google 側に残ることになりますが、マイマップを利用するためには必要です。

で、ここで注意したいのは、

Google Maps での KML ファイルの読み込みは
マイマップの新規作成を使わず
「以前のマイマップを使用して作成」を利用する


ということ。ここで引っかかる人は多いようです。

Moves_ExportFunc22GoogleMaps
(ブラウザ・環境にもよるが、Google Maps をブラウザで開いて
右下の Google Maps メニューにあるマイプレイスをクリックする)


Moves_ExportFunc23GoogleMaps
(マイプレイスでは地図やルート検索履歴が表示されるが
上のタブからマイマップを選択する)


Moves_ExportFunc24GoogleMaps
(KMLファイルを読み込む場合には 「地図を作成」ボタンではなく、
その下の「以前のマイマップを使用して作成」をクリックする)


Moves_ExportFunc25GoogleMaps
(作成するマイマップのタイトルや公開設定を行いつつ、インポートをクリック)


Moves_ExportFunc26GoogleMaps
(KML インポート用ダイアログが出てくるので、先ほどの2014年4月2日の
activities KML ファイルを指定して「ファイルからアップロード」をクリック)


Moves_ExportFunc27GoogleMaps
(交通機関での移動が灰色のために判りにくいが、Google Maps に1日分の
行動軌跡が表示された)


Moves_ExportFunc28GoogleMaps
(一部分を拡大してみると、交通機関が灰色で、徒歩が緑で軌跡表示されている)


以上の手順で Google Maps に Moves で記録した GPS ログ、行動軌跡を表示させることができます。マイマップで KML ファイルを読み込む画面へ行くのが少々判りづらいですが、やることはそう難しくありません。

もちろん、Weekly や Monthly の activities ファイルだと1週間分、1ヶ月分のデーターを読み込むことができますが、Google Maps は読み込める KML ファイルのサイズが最大 3MB までという制限がありますので、その点に気をつける必要はあります。

(KML ファイルは GPX に比べてかなりファイルが小さいですし、元々 Moves の GPS データーはさほど詳細ではないので、1ヶ月分くらいなら読み込めることが多いと思います)



Moves で記録した行動軌跡のデーターは Google Maps だけではなく、GPX ファイルを表示するソフトを使えば、そちらでも表示させることはできます。

例えば、GPS ログデーターを地図上で表示させたり、細かく編集することが可能な myTracks というアプリ(Mac用)を利用すれば、

Moves_ExportFunc20myTracks

Moves_ExportFunc21myTracks


このような感じで表示させることができ、Google Maps より判りやすく、また測位ミスした位置データーを手修正したり削除したり、といったこともできます。

Mac App Store - myTracks
(単体 GPS ロガーや GPS ロガーアプリを使っていた時から愛用しています :-)

myTracks の場合は KML だけでなく GPX など様々なファイル形式の読み書きに対応していますが、GPX 形式のファイルを使うのが一般的でしょう。1週間分、1ヶ月分などをまとめた activities ファイルを読み込ませても、ソフト内部で日別に track を分けて表示してくれます。

Moves_ExportFunc43myTracks
(2ヶ月分のログデーターの軌跡をまとめて表示した状態)


それなりの価格の有料アプリなので、ある程度 GPS ログデーターを楽しむ人、弄る人以外にはお薦めしにくいですが、記録した位置データーを振り返って楽しむ人、記録ミスを修正して保存したい人には良いソフトです。



さて、もう一つは Google Calendar などカレンダーアプリ/サービスへの読み込みです。カレンダーアプリ/サービスへ読み込ませる場合は iCal (ICS) 形式のファイル(ical.zip に含まれるデーター)を利用します。

また、読み込ませるのは通常、行った先の場所データーである Places か、1日毎の行動時間をまとめた Summary の、どちらかでしょう。

1日だけのデーターを読み込ませるのも、1週間、1ヶ月、1年まとめて読み込ませるのも、このあたりはお好きなようにどうぞ。

Google Calendar に読み込ませる場合、ブラウザで Google Calendar を開いて、
  • 右上にある設定ボタンをクリックし、出てきたプルダウンメニューから「設定」を選ぶ
  • 左側の「マイカレンダー」という文字の右にある小さな▼ボタンをクリックして、出てきたメニューから「設定」を選ぶ

のいずれかを行って、カレンダー設定画面を出します。

Moves_ExportFunc29GoogleCal
(カレンダー設定の「カレンダー」タブを開いたところにある
「カレンダーをインポート」のリンクをクリックします)


Moves_ExportFunc30GoogleCal
(インポート用ダイアログで読み込みたい places ファイルを指定します。
カレンダーを複数利用している場合は登録するカレンダーを選びます)


Moves_ExportFunc31GoogleCal
(正常に読み込まれると、読み込まれた予定件数が表示されます)


Moves_ExportFunc32GoogleCal
(こんな感じで行った場所データーがカレンダーに登録されます)


Places に含まれる場所データーは Moves アプリで記録された名称が使われますので、Moves アプリ上で立ち寄った場所(一定時間いた場所)を Foursquare 連動の場所選択で指定しておけば、カレンダーに記録される場所名も正確なものになります。

(Place in 日本、とか、Place in 北区、というのは Moves が場所を特定できなかった時に使われるもので、Moves アプリで自分が場所指定しておけば、それが使われる)

Places データーではなく、Summary データーを読み込むと、タイトルに当日の歩行時間、ランニング時間、交通機関での移動時間が記録され、説明(メモ)欄にはそれぞれの時間と移動距離、消費カロリーが記載された終日イベントが作成されます。

Moves_ExportFunc38GoogleCal

Moves_ExportFunc39GoogleCal


行動軌跡を地図ソフトで表示するために使う Activities データーや Walking / Runnning データーをカレンダーソフトに読み込ませることも可能ですが、細かく移動に関するイベントが大量に作成されるだけで有用とは思えませんので、特に使うことはないと思います。

Moves_ExportFunc33GoogleCal
(1日の walking.ics データーを読み込ませてみた例)


また、Google Calendar 以外のカレンダー/予定表アプリでも ics (iCal) 形式のデーター読み込みをサポートしていることは多いので、使っているアプリで読み込めば同じように利用できます。

Moves_ExportFunc40iCal
(Mac 標準のカレンダーアプリ iCal で Place データーを読み込ませる)

Moves_ExportFunc41iCal
(Google Calendar と同じく場所毎に、そこにいた時間分のイベントが作られる)

Moves_ExportFunc42iCal
(こちらは Summary データーを読み込ませた例)


Mac 標準のカレンダーソフトではファイルメニューの「読み込む」から簡単に ics (ical) データーを読み込ませることができますから、カレンダーソフトを Google Calendar と連携させていれば Google Calendar で読み込ませるより、こちらで読み込ませた方が速いでしょう。

私はカレンダーアプリ/サービスに行った場所や行動サマリーを保存しておこうとは思いませんが、過去の記録を予定表とともに残しておきたいと思う人には良いですね。

もっとも、Moves Export(今回追加された Data Export 機能ではなく、以前からある Moves 連携ウェブサービス)と Foursquare を連携させ、その結果を自動的に Google Calendar へ食わせる仕組みが可能ですから、それを設定できれば手動読み込みを行うことなく、毎日自動的に行った場所やサマリーが Google Calendar に追加できます(興味ある人はググって調べて下さい)。



というわけで、簡単ではありましたが、Moves から出力したデーターを Google Maps や Google Calendar を始めとするアプリやサービスに読み込ませる、表示させる方法を記しておきました。

今さらの話ではありますが、Moves にデーター出力機能がサポートされたことを機会に紹介しておきました :-)

【追記】Moves 出力データーを Android スマートフォン/タブレットだけで利用する方法を追記しました。
Moves からエクスポートした GPX, KML, iCal (ICS) データーをスマートフォン/タブレットで利用・閲覧する方法【Android 編】

歩数計&行動記録アプリ「Moves」に追加された待望のログデーター出力機能の使い方と内容概説
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