日々の行動を逐次記録していくアプリ「Moves」。歩数計やランニング記録などのヘルスログや単なる GPS ログを採るだけではなく、Foursquare と連携して行った場所を記録できるなどライフログ的なアプリとして、この手では定番サービス/アプリの一つとなっています。

Moves_ExportFunc34


私も以前から GPS ログアプリの一つとして時々使っていて、なかなか愉しいアプリと思っていたものの、GPS ログアプリ同様にバッテリーの消費量が気になっていました(この手のアプリではまだマシな方らしいですが)。

今年になって Moves を常用するようになったものの、心置きなく使えるようになったのはメイン端末を iPhone 5s に切り替えてから。iPhone 5s に備わるコプロセッサ M7 のおかげか、Android 端末で使っているよりはバッテリー消費がかなり削減されたので、ようやく常時オンにして使うようになりました。

(Android 端末で使っている時は GPS ログアプリと同じく、使う時以外は記録をオフってバッテリーが無駄に減らないようにしていました)

さて、そんな「Moves」ですが、GPS ログアプリ的に使いたい場合には、一つ大きな欠点がありました。

GPS ログのデーターを容易に出力できなかった


という点。

従来、iPhone版にせよ、Android版にせよ、Moves のアプリ単体では記録したデーターの出力は行えず、アカウント登録して Moves のウェブサービス側へバックアップしたログデーターを、Moves Export という外部サービスと連携して出力し、さらにそれを加工してようやく一般的な GPS ログデーターとして使えるようになる面倒臭さでした。

はっきり言って、Moves で記録した GPS ログデーターを Google Maps / Earth で表示させたい、と思っても、それらのデーターの処理に詳しくない人には到底無理な状況でした。

しかし、ようやく先週になって

Moves 本体にログデーター出力機能が追加され、
出力データー形式も豊富で各種アプリ/サービスで簡単に利用可能に!


なりました。

Moves_ExportFunc35
Moves_ExportFunc36


この待望の機能、昨日になって私もようやく試したところ、最初は

「アプリの更新情報にデーター出力機能が追加されました、って書いてあるけど、そんな機能どこにもないやん!」

と思ったのですが、Moves アプリそのものにデーター出力機能が追加されたのではなく、Moves のウェブサービス側にデーター出力機能が追加されていました

(そのため、Moves アプリ利用開始後にアカウント登録して、Moves のウェブサービスへ日々のデーターバックアップを行っていることが必要)

そんなことを Twitter 他で呟いたら、何人かの友人から「気がつかなかった」と言われましたので、以下 Moves のデーター出力方法と、出力されるデーターの中身について簡単に説明しておきます。


前述のように、Moves のログデーター出力機能はアプリではなく、Moves のウェブサイトで行います。

Moves - Activity Diary for iPhone and Android

Moves_ExportFunc01
(パソコンやスマートフォンのブラウザで moves-app.com に行くと
右上に Sign In ボタンがあるので、そこからログインする)


Moves_ExportFunc02
(Moves アプリでアカウント登録した時のメアドとパスでログイン)


Moves_ExportFunc03
(ログインするとアカウント設定画面になり、左の Export Data を選ぶ)


Moves_ExportFunc04
(Export Data を選ぶと Download ボタンがあるので、それをクリックすれば
Moves にバックアップされた全ログデーターがダウンロードできる)


Moves_ExportFunc12
(ログデーターは zip 圧縮されてダウンロードされる)


Moves_ExportFunc13
(ダウンロードした zip ファイルを解凍すると、さらに多くの zip が。
この内容については後述)


以上のように、Moves で記録したログデーターのダウンロードそのものは非常に簡単です。従来のような連携サービスである「Moves Export」を利用するよりずっと簡単ですし、多様なファイル形式が収録されていますので、どのサービスを利用するにしてもすぐ利用可能です。

(ダウンロードされたファイルの中身については後ほど説明)

ただ、一つ注意点を挙げるとすると

Download ボタンをクリックしてからダウンロード開始まで時間がかかる


ということ。Download ボタンを押してすぐにファイルのダウンロードが始まらなくても慌てず、ジッと待ちましょう。

Moves で記録をとり続けてきた期間が長ければ長いほどダウンロードが始まるまでの時間もかかりますし、ダウンロードが始まってから終わるまでの時間も長くなります(ファイルサイズも大きくなります)。



また、Moves アプリの設定メニューにログデーター出力の項目ができているものの、ブラウザで Moves ウェブサイトにログインしてデーター出力を行うだけですので、やり方としてはブラウザと変わりません。

以下、iPhone版の例ですが、Android版アプリでもほとんど同じです。

Moves_ExportFunc05iOS
(Moves アプリのメニューから「設定」をタップ)


Moves_ExportFunc06iOS
(設定メニューのアカウント欄をタップしてアカウント設定へ)


Moves_ExportFunc07iOS
(アカウント設定の中にできた「データをエクスポート」をタップすると
ブラウザアプリが起動する)


Moves_ExportFunc08iOS
(ブラウザアプリは直接ログイン画面を開くので、登録済みのメアドと
パスワードを入れてログインする)


Moves_ExportFunc09iOS
(ログインするとログデーターのダウンロード画面になるので、
Download ボタンをタップするとダウンロードが開始される)


Moves_ExportFunc10iOS
(Android ではパソコンと同じく zip ファイルがダウンロードされるが
iOS では zip ファイルに対応したアプリで開いて保存しなければならない)


Moves_ExportFunc11iOS
(安定ド定番の GoodReader アプリで Zip ファイルを開いて保存すると
そのまま解凍 (unzip) するか?と聞かれる)


Moves_ExportFunc14iOS
(解凍するとパソコン同様に、さらに zip ファイルが大量に出てくる)



さて、今回の Moves で追加されたデーター出力機能は散々待たせた挙げ句の機能のせいか、出力ファイルの中身は

これだけデーターを用意(出力)できれば文句ないだろ!


と言わんばかりのデーターが入っています。

データー出力されたファイルの中には

  • Moves が記録しているオリジナルデーターである JSON 形式だけでなく、GPS ロガーで一般的に採用される GPX 形式、Google が利用している KML 形式、カレンダーアプリの共通形式である ICS 形式、一般的に知られた CSV 形式など、合計 8種類のファイル形式が同梱されている。
    (正直やりすぎなくらいに幅広くサポートされている)

  • 各ファイル形式とも、一日毎、週毎、月毎、年毎、全記録期間一括の、5種類の期間別データーファイルを用意している。

  • 各ファイル形式の各期間別データーに対して、ストーリーライン(記録全部)、アクティビティ(動いている時の記録)、プレイス(行った場所)、トランスポート(交通機関で移動した記録)、ランニング(走った記録)、ウォーキング(歩いた記録)が、それぞれ別途ファイルで収録されている。


となっていて、いささか狂気じみているほどのファイルが収録されています。

そのため、1年分の記録をダウンロードすると含まれるファイル数は数万になります。利用するのは一部ファイルだけ、解凍するのは一部だけになりますが、それだけのファイルが含まれるので、長期 Moves 利用者のデーター出力ではダウンロードに時間がかかります。

前述のように色々なファイルが含まれる中身ですが、まずダウンロードした zip ファイルを解凍すると、

Moves_ExportFunc13


というように 1つの PDF ファイルと 8つの zip ファイルができあがります。

8つのzip ファイルがそれぞれ対応するファイル形式で、利用するアプリやサービスによってどのファイル形式を使うかが変わってきます。その 8つのファイル形式がどのようなものかと説明しているのが 1つある PDF ファイルです。

Moves_ExportFunc15Format
(PDF ファイルに書かれたファイル形式説明表)


概ね以下のようになります。

CSVExcel を始め、ほぼ全部の表計算ソフトやデーターベースソフトが対応し、各種アプリやサービスでも対応の多い汎用的なデーターベース形式なので、どんなソフトにでも使えるが、Moves のデーターを自分で色々と加工する人向き。
GeoJSON位置情報をデーター交換するために共通化した JSON形式で、Google や Bing、Yahoo! の API や多くの地図地形処理ソフトが対応しているものの、どちらかと言えば専門向き。
GeoRSSニュースやブログ記事配信などに使われる RSS フォーマットで位置情報をサポートするのに使われる規格で Google Maps などが対応しているが、これも Moves を出力したデーターを地図で見たいという程度なら殆ど使われない。
GPX位置データーの記録形式としては最も一般的な標準ファイル形式。Google 系以外の殆ど大多数の地図・GPS系アプリが対応している。Google サービス以外で位置情報を読み込ませるなら、殆どコレで OK
iCal (ICS)カレンダーアプリにおける標準ファイル形式。アップルの iCal や Goole Calendar その他、カレンダーアプリ/サービスに読み込ませるのはこの形式。Moves の Place データーを読み込ませることでライフログ的なことが可能になる。
JSONウェブサービスでよく使われるデーター形式だが、ここでは Moves が保存するオリジナルデーター形式。
KML位置データーの一般的な記録形式の一つで、多数の GPS 系アプリが対応しており、Google Maps も対応している。行動記録を Google Maps で表示させたい時はコレを利用。
KML GEKML 形式であるが、Google Earth で表示するのに最適化したもの。行動記録を Google Earth で表示させたい時はこちら


また、これらそれぞれのファイル形式の zip ファイルを解凍すると

Moves_ExportFunc16


というように、日別、記録期間全体一括、月別、週別、年別に記録ファイルが分けられたフォルダが出てきます。

そして、これらのフォルダの中には

Moves_ExportFunc17


といったように、日別、記録期間全体一括、月別、週別、年別それぞれに応じて、以下の行動種別毎で分類された3〜6種類の記録ファイルが収録されています。

(記録期間種別によって収録されるファイルは異なります。KML では Activies、Places、Storyline の3種類だけですし、Places には Summary という項目があります)

これについては、以下のとおりです。

Activities動いている時の記録。動いている時だけなので、例えば1日じっと家に引きこもった日は記録されていない。Google Maps や地図アプリに行動記録の奇跡をプロットしたい時はコレを使うのが一般的
Places歩く、走る、交通機関といった移動は記録されておらず、行った場所の記録がされている。カレンダーアプリ/サービスに行った場所を読み込ませるような場合には、この形式を利用する
Runnningその名の通り、走っている時だけを抽出した記録ファイル。日々のランニング記録だけを地図にプロットしたい、統計したい場合に利用する。
Storyline動いていない時も含めた全記録データー。Activities は自宅から動かない日はファイル出力されないが、この Storyline は全部の日付が出力される。
Summary当日の移動距離や時間、歩行やランニング時間・距離・消費カロリーなど、1日分の概要が記録されたもの。
Transport車、電車、バス、飛行機などの交通機関で移動したと見なされる記録だけを抽出したもの。カレンダー読み込み用に iCal (ICS) 形式で用意されている。
Walking歩いて移動していると見なされた記録を抽出したもの。


一般的な「地図アプリ/サービスに行動軌跡を表示させたい」ということで使われるのは Activities フォルダの中のデーターだと思います。

他には、カレンダーアプリに行った場所を読みませるなら Places ですし、日々のジョギング記録だけを書き出したい人なら Runnning となるでしょう。

ここまで色々あると非常にややこしいですが、通常使うファイル形式・種類はだいたい決まっていて、

  • 2014年4月2日の行動を Google Maps に表示したい
     → kml.zip ファイルを解凍して、daily フォルダの中の activities フォルダの中にある「activities_20140402.kml」ファイルを使う

  • Moves で記録した全行動を Google Earth で表示したい
     → kml_ge.zip ファイルを解凍して、full フォルダの中にある「activities.kml」ファイルを使う

  • 2014年1月第3週に走った記録を GPX 形式対応の GPS ログ表示ソフトで表示したい
     → gpx.zip ファイルを解凍して、weekly フォルダの中の runnning フォルダの中にある「running_20140117.gpx」ファイルを使う

  • 2014年2月の行った場所を Google Calendar や iCal に読み込ませたい
     → ical.zip ファイルを解凍して、month フォルダの中の places フォルダの中にある「places_2014-02.ics」ファイルを使う

  • Moves で記録した全期間の各日毎の行動概要を Google Calendar や iCal で表示させたい
     → ical.zip ファイルを解凍して、full フォルダの中にある「summary.ics」ファイルを使う


こんな感じでしょう。あまりに多種多様なファイルが収録されていますが、使うのは割と決まっています。

これらのファイルを GPX 表示ソフトや Google Maps やカレンダーで利用する方法については、次の記事あたりで補足したいと思います。

【追記】書きました。
行動記録アプリ「Moves」から出力した位置記録データーを Google Maps やカレンダーで表示する方法

Moves - Activity Diary for iPhone and Android
iTunes の App Store で配信中の iPhone、iPod touch、iPad 用 Moves
Moves - Google Play の Android アプリ

 
(GPS ログ記録だけなら単体ロガーの方がバッテリー気にせずに済みます)