ドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」が発表されて一日、この間ネットでも様々な意見が飛び交っています。

ネットユーザーの構成、嗜好からいって「家族で分け合って…」というユーザーが少ないでしょうから、批判的な、否定的な意見が目につくのは当然でしょう。それゆえにネットの意見をそのまま鵜呑みにはできませんが、その代表例とも言える私自身もドコモの新料金プランに納得できないところはあります。

また、マスメディアの報道でも

スマホ料金値下げ ドコモが新プラン発表 NHKニュース

などと言われると「は?値下げ?」と突っ込みたくもなります。

マスメディアの人など通話が多い人、未だコミュニケーションはメールやメッセージより通話だろ!という人にとっては、「おお、通話し放題か、安くなるなぁ」というのは判りますが、なんか個人的な印象とは一致しません。

各自使い方が違いますから「全ての人に好感をもたれる変更」というのは携帯料金のみならず有り得ないわけですが、昨日帰阪する車中とかで色々考えていて、やはりこの新料金プランには納得できない点が幾つかあります。



【1】データー通信を使う量に応じた料金体系にしながら、通話は使う人も使わない人も同額


今回の新料金体系における最大のポイントは

現在のプランは選べなくなる、カケホーダイ強制で基本料が 3.6倍になる


という点(2年縛りのスマートフォンの場合、月額743円→2,700円)。その反面、データー通信の料金体系(オプション)はかなり事細かに分かれました。

巷のニュース記事、解説記事の中では

「データー通信を使う量に応じた料金体系に改め、家族で分け合うことも可能にして、使い残しを減らして割高感を軽減する」


といった論調が散見されましたが、いやいやいや、

データー通信を使う量に応じた料金プランを提供するなら
音声通話も話す量に応じた料金プランを提供しろよ


と。

現在の Xi 向け基本プラン「タイプXi にねん」のような通話は完全従量制だけど基本料は安価、というプランと新しい「カケホーダイ」の両方があるなら納得ですが、通話を大してしてないのに何で基本料が 3倍以上も上がるわけよ?と、コレに尽きます。

今回の新料金体系の一番納得いかないところです。



【2】データー通信やパケットパックの料金体系が色々矛盾だらけ


基本プランは音声通話をする場合は前述のとおり、月額基本料 2,700円のカケホーダイプラン強制ですが、もう一つ音声通話のできないデータプランもあります。ところが、こちらは

通話もできない、パケット通信料も一切含まないデータプランの基本料が 1,700円!


「はあ?なんでこんなに高いの?一体どういうことよ?」というボッタクリ料金。もちろん、色々諸経費はあるでしょうから多少の基本料を取るのは当然でしょうが、何もできない状態の基本料が何故こんな金額に?

というか、

カケホーダイが 2,700円で、一切通話ができないデータプランが 1,700円


カケホーダイ料金は実質千円ということになってしまいます。さすがに、それはおかしいでしょう。

おまけに

通話も通信も無料分がない月額基本料なのに
スマートフォン/タブレットで 1,700円、ルーターは 1,200円の差の根拠は?


基本プランだけでは、スマホ/タブレットにしろ、ルーターにしろ、どちらも何もできない状態なのに、けれど基本料金が違う。意味がわかりません。根拠に乏しすぎる値付けです。


また、パケット料金(パケットパック)についても、今回の主力ターゲットである家族向けの「シェアパック」については、さほど違和感のある料金体系ではないのですが、一人向けのデータパックについては

5GB で 5,000円なのに、2GB で 3,500円


現行の「Xi パケ・ホーダイ ライト」もそうですが、相変わらず少ないデーター通信量に対しては無茶苦茶割高な料金体系になっています。らくらくスマートフォン向けの「らくらくパック」に至っては、200MB 2,000円!

とにかく

データー通信料金に関しては恣意的な値付けばかり


であり、とても「データー通信を使う量に応じた料金体系」などと言える料金体系とは思えません。従量制っぽい料金体系にするなら、もっと公平にしてもらいたいものです。



【3】現時点で長期利用者が安くなるとは決まったわけではない


「ずっとドコモ割」の導入でドコモは長期利用者が安くなるという報道がされていますが、それについては毎月の料金から割り引かれる「月々サポート」金額という視点が抜け落ちています。

夏以降の月々サポートの MNP 優遇が果たしてなくなるのかどうか?


この部分が変わって、「月々サポート金額は機種変でも新規でも MNP でも一緒」とならなければ、長期利用者が安くなるとはとても言えません。

4月に入ってキャッシュバックのばらまきは終わったものの、月々サポートの金額における MNP 優遇は変わっていません。従来のように新規・機種変と MNP の月々サポート金額に千円程度の差があれば、「ずっとドコモ割」なんて吹っ飛んでしまいます。

かといって、MNP 優遇措置がなくなれば、てきめんに契約者数の増減に影響してくるでしょう。果たして、月々サポートの改革が行えるかどうか。

長期利用者が有利になるかどうかは、今後の月々サポート次第


ですから、現時点でドコモは長期利用者が安くなる的な報道はミスリードと感じます。

それに、「ずっとドコモ割」の割引対象はパケットパックで基本料ではないので、少なくともガラケーで音声通話だけ使っているなら長期利用者は全く割引されないし、月2GBまでの「データSパック」なら 16年以上使っていないと割引対象になりません。

家族向け「シェアパック」でも相応の割引が受けられるにはそれなりの年数が必要ですし、ガラケー時代の基本料から割り引かれていて、契約台数分の割引があったことを思えば、今回の「ずっとドコモ割」がそれほど持ち上げられるものかな?と思います。

(16年以上のユーザーが3割以上もいるところは、さすがドコモという感じですが)



というわけで、今回のドコモの新料金プランに関する納得できない点、疑問に思う点などを挙げてみました。ネットの場末で何を言ってもドコモの姿勢は変わらないでしょうが、

【山田祥平のRe:config.sys】ワリにあえるかドコモのパケあえる - PC Watch
ドコモ「カケホーダイ」の狙い──値上げになるケースも? - ITmedia ニュース

こういう感じで、ドコモのアピールの裏にある点も報道されていけば良いかな、と思いますね。

先日の、ソフトバンクの罠を仕掛けまくりの新料金プランに比べればドコモは真っ当だと思いますが(ソフトバンクが酷すぎるだけだが)、

「カケホーダイをあの料金で出せる/出すのは、あれで儲けが増える見込みがあるから」
「カケホーダイをアピールしているけれど、元々家族間の通話は無料だしなぁ」
「シェアオプションとか(ソフトバンクほどではないにせよ)付帯オプションがあって、判りやすくなった、はないよなぁ」

という気はしますね。

もちろん、私自身も否定する点ばかりではなく、家族の一人のガラケーはカケホーダイに変えさせようと思っています。「FOMAプラン39」ならともかく、「FOMAプラン49」以上の人は新料金体系が安くなることが多いと思いますからね。

でもまぁ、ぶっちゃけ個人的には

今年3月までにケータイの体制を変えておいて良かった


と思いますし、3月にドコモ iPhone 5s を買っておいて良かったと思っています。

音声通話少なめ、データー通信はそれなりに使う(1GB しか使わない月が多いけど 4〜5GB 使うこともある)身としては、新料金プランにメリットはありませんから。

そして

この先 2年我慢していれば、また状況は変わるかも…


という期待はもっておきたいですしね。データー通信の時代に、音声通話ばかり優遇する料金プランは時代錯誤すぎます。

そして今後希望することと言えば、

au が追随しなかったら、どうなるか面白いのに


ということですね。

結局 au も追随するのでしょうけれど、従来プランが良いか?新しい基本料は高いけど音声定額メインのプランが良いか?それを MNP という形で利用者が選べるようなら面白いのに、と思うのですが、無理でしょうねぇ……


新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」 | 料金・割引 | NTTドコモ