X-T1 の発表会や X-T1 発売前イベントの際にも語られていましたが、富士フイルム X シリーズ最大の特長である、フィルムシミュレーションモードに対応した RAW 現像ソフトとして Adobe Camera Raw(以下 ACR)新バージョン 8.4 の RC版が出ました。

ACR 8.4 RC では発売されたばかりの X-T1 も対応されています。

Camera Raw 8.4 RC and DNG Converter 8.4 RC Now Available

今回の ACR 8.4 からは上記リリースブログに記されているとおり、富士フイルム機にはフィルムシミュレーション用プロファイルが提供されることになりました。

Added Camera Matching color profiles (PROVIA/STANDARD, Velvia/VIVID, ASTIA/SOFT, MONOCHROME, etc.) for the following Fujifilm cameras:
  • Fujifilm X-A1
  • Fujifilm X-E1
  • Fujifilm X-E2
  • Fujifilm X-M1
  • Fujifilm X-S1
  • Fujifilm X-T1
  • Fujifilm X-Pro1
  • Fujifilm X10
  • Fujifilm X20
  • Fujifilm XF1
  • Fujifilm XQ1
  • Fujifilm X100
  • Fujifilm X100S


ACR 8.4 RC をインストールした Photoshop で、富士フイルムの RAW ファイル (RAF) を開いてみると

ACR84RC_FUJI1
(ACR 画面のカメラキャリブレーション項目に…)

ACR84RC_FUJI2
(フィルムシミュレーションモードと同じ名前のプロファイルが!)


あくまで Adobe の現像エンジンですからカメラ内現像と全く同じというわけではないでしょうが、富士フイルムが協力して仕上げたものらしいですので、期待したいと思います。

試しに一つ、X-E1 で撮って放置してあった写真の RAW を ACR 8.4 で現像したものと、カメラ内 JPEG で撮ったモノを以下に並べて置いておきます(リンク先 Flickr で拡大表示可)。


ACR 8.4 RC Test 1-A (Velvia from Camera)
(X-E1 カメラ内現像)

ACR 8.4 RC Test 1-B (Velvia from ACR)
(ACR 8.4 RC で現像)


どちらもベルビアですが、結構良い感じではないでしょうか。若干バランスに差はありますが、これを自分で ACR を弄って似せさせることを思えば、ワンタッチで出せるのは素晴らしいです。これをベースに弄れますからね。

富士フイルムには純正の RAW 現像ソフトがなく、サードパーティ製 RAW 現像ソフトの機能制限版を本体に添付していましたが、当然ながらカメラ内のフィルムシミュレーションで撮影したモノとは全く別物の絵になります。

また、今まで ACR や Lightroom のみならず各社 RAW 現像ソフトで富士フイルム X シリーズの RAW ファイル (RAF) 現像に対応したものはありましたが、それらはあくまで各社独自の現像であり、やはりカメラ内のフィルムシミュレーションで撮影したモノとは全く別物でした。

富士フイルム機を買う最大の理由は、やはり富士フイルムが作り上げる絵作りにありますから、それを享受するには従来 JPEG 撮って出し or カメラ内 RAW 現像に限定するしかありませんでしたが、これで Adobe 系ソフトを持っていれば何とかなりそうですね。

(Apple ともやっているという話なので、そのうち Apeture でもフィルムシミュレーション用プロファイルが対応になるのかも知れません)

なお、今回の ACR 8.4 RC は Photoshop CC / CS6 両方に提供されていますが、Lightroom の RC版はまだのようですが、従来同じモノが提供されていますので Lightroom でも使えるようになるのではないかと思います。

Photoshop CC 用
Download Adobe Photoshop Camera Raw 8.4 for CC Beta - Adobe Labs

Photoshop CS6 用
Download Adobe Photoshop Camera Raw 8.4 Beta - Adobe Labs

今回のバージョンは RC版であり正式版ではありませんので、Photoshop のアップデート項目には出てきませんし、上記サイトから自分でダウンロードしてインストールしてやる必要があります。

また、当然ながらテスト版でもありますから正式版と違ってそれ相応のリスクがあることにご注意下さい。使用期限は 5月末までです(それまで ACR 8.4 正式版が出るでしょうから、そちらを使うことになります)。


デジタルカメラであるならば純正現像ソフトを作るのが筋でしょうけれども、リソースがないならこういった代替手段を執るのは悪くないですね。お金はかかりますけれども、下手に使いにくい適当な RAW 現像ソフトを出されるよりはマシかも知れません。

それに元々高め路線を突き進む富士フイルムですから、Lightroom くらい買えや、CC くらい契約しろや、ということかも……なんてのは言い過ぎですが(^_^;)、ちょうど Photoshop CC & Lightroom も「月額千円で永遠に最新版使わせるよ」キャンペーンを復活しましたので、富士フイルムユーザーには良いかもしれません。

アドビ、誰でも月額千円で Photoshop CC/Lightroom を利用できる「写真家向けプログラム」を復活!今回は3月31日まで申込限定だよ

まあ、こだわり屋さんの多い富士フイルムユーザーなら

「男は黙って JPEG オンリー」
「マウントアダプター使いなら Capture One だろ、ふつー」

なんていう人も多そうですけど、私は大歓迎でございます :-)

 
(写真管理&RAW現像だけなら1万円で買い切りの Lightroom で十分)