首都圏は先週以上の大変な雪に見舞われて CP+ も本日は中止になったとのことですが、大阪も昨日は珍しく少し積もりました。と言っても、首都圏、甲信その他地方の人から見れば、積もったうちに入らんわ!程度ですが。

とはいえ、大阪では年イチあるかないかの貴重な?積雪でしたので、とりあえずある程度積もったのを見計らって伊丹空港へ出かけたのですが、思ったより雪がなかったうえに、午後から雪が止んだら見る間に溶けていってなくなったので、雪景色+ヒコーキは肩すかしに終わりました。

X-T1 vs Airplane AF-C Test (8)


などと書いていると、お気楽すぎて怒られそうな昨日今日の大雪ですが、X-T1 でヒコーキ撮りに行くのはもう少し手に馴染んでから、と思いつつも、購入翌日に早速持ち出すことになりました。

まだ使い慣れていない点もあるのですが、実戦でアレコレ試して慣れていくしかありませんし、癖や仕様を体験して判った部分もあるので、X-T1 vs 動体(民間機)における、ひとまずの第一印象を述べてみたいと思います。

過去の X-E1、X-E2 と同じく、「おい、X-T1 はそんなカメラじゃないだろ」的な撮影ですので、アレコレ欠点も書き連ねることに対して疑問もあるでしょうが、普通の被写体に対するレビューなり感想はそこらへんに山ほど転がってるので、そちらへどうぞ。

というか、画質や基本機能は X-E2 と変わりませんし、画質に関しては X-Pro1 / X-E1 の時から基本的に変化がないので、実写で差異を確認するのはこういったところしかないのです ;-)



(1)AF-C は X-E2 よりハッキリ進化した


元々 AF に関して X-E2 から X-T1 での進化は期待していなかったのですが、イベント時に富士フイルム社員の方に聞いた時もえらく自信ありげに語っていましたし、一昨日購入した夜に軽く撮ってみた時も好印象でしたので、ちょっと期待して撮ってみました。

まだ1回だけのテスト撮影ですが、

とりあえず X-E2 よりは確実に進歩した AF-C


というのは実感できました。

  • 飛行機相手の AF-C でもヒット率が改善された
    (側面撮りから後追いに関しては高いヒット率)

  • 秒8コマで被写体追従して撮れる

  • 上2つからピントの当たり枚数は大幅に増えた
    (あくまでピントだけを見た場合の話)

  • 従来、遠距離で小さな被写体時はフォーカスフレームを工夫しても全くピントを掴まなかったが、多少は掴むようになった

という感じで、ごく限られた条件では AF-C はそこそこヒコーキでも対応できるようになりました(まだまだな点は後述)。

X-T1 vs Airplane AF-C Test (1)
(このくらいの距離で小さいと以前は合焦しない、ピンぼけ連発だったが、マシになった)


ただ、被写体追従時の AF-C が秒3コマから8コマになった!という数字的な印象ほどの差はなく、実際に試してみると

「X-E2 がファームウェア・アップデートで X-T1 並みになるとしても納得できる範囲」

ではありますし、アルゴリズムを一新したとはいえ、

  • 向かってくる被写体への AF精度の悪さは改善されたが、まだまだ甘いのが多い
    (ピンぼけ連発はなくなったが、横撮りや後追いと比べるとピントが甘すぎて没カットレベル量産)

  • 前照灯など点光源が入った場合に AF-C だと合焦しづらくなるのは全く変わらず
    (点光源に弱いのは一眼レフでも同じだけれども、状況によって大デフォーカス状態から戻らず、が多発するのは従来と同じ)

  • 照度が少し落ちると、食いつきの速度精度が悪くなるのは変わらず
    (ある程度暗くなりきると逆にまだマシなんですが……AF-S は大丈夫だけど)

という傾向は従来と大きく変わってないなぁ、という感じです(他の言葉で説明にしづらい点も含め)。

X-T1 vs Airplane AF-C Test (3) loose focused
(向かってくる飛行機は相変わらず。背面液晶で確認すると合焦してそうだが実際は甘々)

X-T1 vs Airplane AF-C Test (4) miss focused
(点光源が目立つ条件では合焦しないのも相変わらず)


完全にデフォーカスしていると従来機でも判りましたが、動きモノでピントが甘いレベルを X-E2 で確認するのは困難でした。しかし、素晴らしい EVF を持つ X-T1 では……やっぱり厳しい(詳しくは後述)。

X-T1 でも AF-C で動きモノを追っていると正確なピントチェックは厳しいですから(シャッター半押しすると拡大状態もキャンセルされるし)、余計に正確な AF-C が欲しくなります。というか、背面液晶の拡大率は相変わらず等倍まで拡大できませんからねぇ(;´д`)

また、大きな罠?として

秒8コマの高速連写で被写体追従するのは
25点のフォーカスポイントのうち中央の9点のみ


です。買ってみてマニュアル見て初めて知りました(高速連写モードにすると EVF 内のフォーカスエリア表示がなんか変だと思ったら…)。

X-T1 公式ページの「こだわりの機能」の内容にも、X-T1 の仕様表にも全く注釈すらありません。こういう買ってみたら「実は……」というセコいことは止めてもらいたいですな。

(これが動体撮影のために買うカメラだったらブチ切れものですし、買う買わないの話にもなりますが、X-T1 は元々そんなレベルにないのですから、ちゃんと書いてもらいたいものです)

あとやはり、追従時はコントラストAF ということもあって

AF-C で止まっている被写体を狙っていると
ピントを常に動かす動作がそれなりに入っていて EVF が安定しない


のは気になりますね。AF-C では素晴らしい EVF でもピントがきっちり確認しづらい要因の一つです。また、レリーズ押してから合焦動作→シャッターを切るので若干タイムラグがあります(AF 設定でレリーズ優先になっていても)。

X-T1 vs Airplane AF-C Test (2)
(向かってくる場合はこんなシーンでも時々外していたが、それはなくなった)


とはいえ、今回は雪〜曇り空の飛行機 AF-C 撮影というのは条件的に若干厳しめだったので、晴天下ではまた違うかもしれないことは断っておきたいと思います(一眼レフだと、この程度で厳しくも何ともないだろうが…というレベルですけど、そこはそれ)。

少なくとも私の印象では

他社ミラーレス機に AF-C で目立って見劣りすることはなくなった


と言っても良いのではないかと思います(α6000 がどこまで AF-C でやれるのか知りませんが)。

細かい優劣はあるにせよ、X-E1 までのような「あー富士フイルムの AF は遅いよねぇ…」とか、X-E2 までの「ミラーレスの中では富士フイルムの AF-C だけが遅れてる」と言うほどでもなくなったと思います。

それに、AF-C の挙動的に従来機は一眼レフとは全く違って違和感もありましたが、X-T1 では近づいたかな、という印象もあります。まあ逆に

「食いつきで外す(甘い)と延々外しっぱなし(甘いまま)」

というのも同じになりましたけどね(^_^;)。これがファインダーで確認できればまだ良いのですが……

ともあれ、同じような条件下の X-E2 で飛行機(民間機)を撮った時と比べると

向かってくる飛行機

X-E2:1割(撮れればラッキー)
X-T1:2〜3割(条件次第で大きく変動)

飛行機の側面撮り

X-E2:4〜5割
X-T1:8〜9割

正面通過後の後追い

X-E2:5〜6割
X-T1:8〜9割


という感じで、向かってくる飛行機以外は随分と安定して追従するようになりました(あくまで AF-C の問題だけで、後述するようにちゃんと撮れるかどうかは別の話)。

向かってくる飛行機は前照灯を外すようにフォーカスフレームを小さくして追っていてもまだ不満ですが、それ以外は何とかですね。まあ向かってくる飛行機を撮れなきゃ意味はありませんけど、このあたりはもう少し工夫してみたいと思っています。




(2)最高の EVF は、動体を追いつつの連写では役立たず


こう書くと過激ですが、これが真実であり

ミラーレス機で動体撮りをするための最大のネックは EVF


というのを改めて実感する思いでありました。

X-T1 に限らないことですが、こればっかりはお手上げ ┐( ̄ヘ ̄)┌

少なくとも X-T1 の EVF は動きモノを連写しない限り素晴らしいモノです。解像度的にはもっと進化していく必要があっても、見やすさとしては今後これが基準になるといっても良いくらい。私も X-T1 購入の理由の一つは EVF でした。

それに

動体でも狙い澄ました一発 AF-S 撮りなら素晴らしい EVF


を実感できます。AF-C で追いかけながらでもシングルショット一発なら(ピントは判りづらいですが)妥協範囲内です。

ただ、動きを追いつつ連写はどうにもなりません。高速連写は被写体がマトモに見えません。被写体を追うのは無理です。

X-T1 vs Airplane AF-C Test (6)
(ライブビューが殆ど見えないと、斜め上にカメラを動かす時の水平も取りづらい)


このことは他社の高速連写&被写体追従できるミラーレス機でも同じことですが、富士フイルムの EVF が色々良くなった、世界最短・表示タイムラグ0.005秒とか言っても、

動きモノに対する EVF の使い勝手は過去の EVF と変わらず


です。

X-T1 の EVF は素晴らしいですが、この部分で動きモノに対する過大な期待をかけるのは間違っています。被写体追従の連写速度が上がった分だけ高速連写では見えない時間が増えて、動体相手では厳しいと言わざるを得ません(光学ファインダーと比べると話にならないのは従来と変わらず)。

EVF については X-T1 だけ槍玉に挙げる気はありませんが、動体相手という点で X-T1 の EVF には次の問題点があります。

  1. 連写モードにも関わらず、レリーズを離した瞬間に「保存中の画面」が出る。一瞬シャッターボタンを離して AF やり直す時に一瞬再生画面になるのはかなり厳しい。
    (これはファームウェア・アップデートで対処して欲しい点。撮影後の再生オフでも出てくるので困る)

  2. シャッター切った後のブラックアウト、映像固定時間が長く、高速連写時にはたまにしかライブビューが見えない状態(コマ送りにすらならない)で被写体を追うことになって、飛行機の接近戦ではほとんど無理。

  3. 世界最短・表示タイムラグ0.005秒と称しているが、確かにシングルショットなら暗所でもスムースな見え方で素晴らしいが、高速連写時は遅延して時差ショットになる。

  4. AF-C では常にコントラストAF による追従動作をおこなっているせいか、AF-C では静止体相手でもシャッターボタンを半押しすると EVF 中の被写体に滲みっぽいものが出て、正確なピント把握が厳しくなる。
    (AF-S の時や、AF-C でもシャッターボタン半押しするまでは、ピントがよく判る EVF なんですけどね……残念)


とにかく、連写時は被写体が見えないし、連写してなくても AF-C の挙動と合わせて正確なピントが見づらくなるので、いかに現在最高の EVF といえども、AF-C や連写との相性は悪いです。

逆に言えば

動体でも置きピンが使えたり、一発撮りなら問題ない


ので、そういう用途なら素晴らしい EVF で快適な撮影はできます。

ただ、連写時における EVF の問題は単に EVF デバイスだけの話ではありませんし、この点でのブレイクスルーがないと、ミラーレス機が本格的な動体撮影にも使える、と言える日は来ないだろうなぁ、と改めて思いました。

一応、イベント時に話した富士フイルムの人は、EVF の改善策はある、考えている、と言っていたので、一応期待しておきますけど(諦め)。

(そういえば、とあるシャッター速度でプロペラ機を遠くから手前まで追いながら撮っていると、ちょっと面白い現象が見られて、あの挙動は今回の EVF のアルゴリズムの影響なのかなぁ、なんてこともありました。別に良い影響も悪い影響もないのですが)

ちなみに、X-E2 で低速連写時にシャッターボタンを離してからも合焦したら1コマ切れる問題は X-T1 でも直ってませんでした。シャッターボタンが押下されなくなったら実行中の動作は全てキャンセルすべきでしょう。改善を望みたいですね。



さて、この後は3点目として「操作性」について色々書いていたのですが、

十字キーの押しにくさでフォーカスポイント変更が超ストレス!


ということと、

縦グリップを多用するなら他社へ行くべし!!


と言い切れるレベルの間抜け仕様なバッテリーグリップのおかげで記事が長くなってしまったので、操作性については分割して別記事にします。

まあ、怒り心頭の縦グリップの件は別としても

X-T1 の性能と EVF に X-E2 の操作性ならまだ良かったのになぁ


というのが、昨日一日使った本音でしたね。

X-E2 も必ずしも操作性に優れてるいうほどじゃないんだけど、X-T1 はフィルムライクな操作系を重視するあまり柔軟性に欠けているというか、デジタルカメラとして大切なモノが抜け落ちた印象です。私はフィルムカメラに何の郷愁もないので、そう思います。

X-T1 vs Airplane AF-C Test (5)


ちなみに、以前某所で「MF のワンタッチ AF を AF-C モードにすれば、親指AF と同じことができるだろ」という指摘を見たことがありますが、あの位置で親指AF を常時するのは無理すぎますし、富士フイルム機の MF 時フォーカスフレーム(MF アシストフレーム)はサイズ固定で大きすぎるので実用になりません。

X-T1 から採用されたこの設定には私も「おぉ!?」と思いましたが、一瞬試せば実用では論外なのは判るかと思います(親指AF を使ってない人には理論上できるように見えるのでしょうけれど)。


ともあれ、結論としては今回も

動きモノはやっぱり一眼レフだよね


という当たり前の話で終わりました。残念……

富士フイルム、X-T1 ファーストちょっとインプレッション 〜ミラーレス最強のナイトシューターかも
公式発売日前ですが……富士フイルム X-T1 購入 〜とりあえず一つだけ!