購入済み、購入を検討中の人には周知でしょうが、富士フイルムは X-E2 / X-A1 発表直後に、Xマウントのカメラボディ購入に対してキャッシュバック・キャンペーンを行っています(来年2014年1月14日購入分が対象、1月末日申込期限)。

Xシリーズお年玉キャンペーン | 富士フイルム

私も X-E2 購入直後に申し込んだのですが、3週間弱でキャッシュバック分の郵便為替が届きました。

X-E2_54


外箱のバーコード部分を切り取る、という行為に抵抗のある人もいるようですが、他メーカーのキャッシュバックキャンペーンでも同じようなものですから、私としては割り切ってサクッと応募しました(購入したものは殆どの場合、外箱も付属品もキチンとそのまま取っておく派です)。

購入してまだ応募していない人、キャンペーンを機に購入を検討している方は、あと 3週間ですので、お早めに :-)



さて、X-E2 の AF。

AF の評価といっても、精度を軸にするのか、速度を軸にするのかで評価は変わってきますし、
  • シングルショット AF (AF-S / ONE SHOT / 静止体相手)
  • コンティニュアス AF (AF-C / AI SERVO / 動体相手)

この両者で全く違うわけです。特にミラーレス機の場合はコントラストAF が主体ということもあって、シングルショット AF(以下 AF-S)は優秀でもコンティニュアス AF(以下 AF-C)はサッパリ or イマイチ、というのは珍しくありません。

今回はまず、X-E2 の AF-S について思うところを少々(AF-S については言いたいことが大してないので長くないです ;-)。



まず大前提として、AF 精度を追い込みやすいのはミラーレス機の殆どが採用するコントラストAF であるのは周知の通りですし、速度も AF-S に関してはコントラスト AF で十分速くなっているのは、既にパナソニックやオリンパスを見ていれば判るかと思います。

富士フイルムの従来機においても、他社現行機と比べて速いとはお世辞にも言えませんでしたが、

ファームウェア・アップデートされた X-E1 なら
静止体相手の AF-S なら大きな不満はなかった


というのが個人的な印象でした。

もちろん、若干の癖とか撮影状態によって迷うことが皆無ではありませんが、それはどこでも同じ。従来の Xマウント機が特筆して言うようなことはなかったと感じています。

従来機では、なんちゃって実装の AF-C や AF速度以外のレスポンスの悪さは別問題としてありましたし、X-E1 購入当初の AF速度は画質を言い訳にしても酷かったですが、ことファームウェア更新後の X-E1 の AF-S 速度は大きなストレスはありませんでした。

イラチで、とかく AF のことを言いたくなる私でも、「従来機でも静止体相手なら十分実用的な AF 速度」。率直にそう感じていました。

(だいたいからして、静止体相手の AF-S で 0.0何秒を競う必要も、そんな爆速AF がいるシーンが思い当たらず、ホント数字競争でしかないなぁ、と思うわけですが…)

X-E2 Test Shot (51)
(歩きつつ、ふと気づいてサッと撮る、そんなシーンでも十分問題ない AF速度)


そして、X-E2 では像面位相差AF が追加され、コントラストAF と使い分ける「インテリジェント・ハイブリッドAF」という、昨今のミラーレス機ではトレンドの AF 方式を採用して、
  • 精度のコントラストAF
  • 速度の位相差AF

を両立させた、というのがお題目になっていますし、一定の成果は X-E2 に感じます。

ただ、(像面)位相差AF だから即 AF が爆速になるわけではなく、富士フイルムも盛んにインタビュー記事で強調しているとおり、レンズが画質優先で AF高速化の優先順位は低い設計ですから、その点の不利はあります。

(一眼レフで最近のレンズを色々使っているなら、「AF速度は結構な割合でレンズ次第」というのは実感できているはず)

さらに AF-S においては、位相差AF だからといって絶対コントラストAF より速いわけではなく、コントラスト AF を採用していても AF-S なら合焦速度が並みの一眼レフと変わらない、というのはパナソニックやオリンパスがとっくに実現しています。

とはいえ、富士フイルムの場合はニコン(Nikon 1)やオリンパス(E-M1)と異なり、位相差AF を採用(併用)する理由として一眼レフのレンズをマウントアダプター経由で使う場合のことを考える必要はありませんから、純粋に AF速度向上を求めての採用だったと思われますし、それは納得できるものになっています。

X-E2 が(像面)位相差AF 採用したことで画期的な何かを実感しているわけではありませんが、

X-E2 の AF-S は順当進化していて、速度・精度ととも満足


できるもので、少なくとも動きモノを追いながら撮るようなことがない限り、日常的に全く不便は感じません。

この一ヶ月、様々なシーンを撮ってきたつもりですが、AF-S において不満を感じることは皆無だったと言っても良いくらいです。AF-S に関しては X-E2 で何の不満があるのだろう?というレベル。

時期的にイルミネーションをスナップすることを何度かありましたが、AF が苦手にすることの多い点光源に対しても X-E2 の AF-S は安定しています。殆ど/あまり迷うことなく、狙ったところに合焦してくれます。

(リコー GR の AF が点光源相手はどうしようもなくお手上げなので、スナップでも X-E2 の出番はホント多い昨今です ;-)

X-E2 Test Shot (7)


ただ、X-E2 の AF を語る場合(AF-S に限らず)、一つ注意しなければならないのは

ハイパフォーマンス・モードが有効か否かで AF 速度にそれなりの差がある


ということがあります。AF-S では単純に合焦速度差だけですが、AF-C ではヒット率に差が出てきます。

この X-E2 のハイパフォーマンス・モードについては

  1. AF 速度に実感できる差がある
    (その差が大きいと感じるかどうか、必要かどうかは個々の感じ方次第)

  2. スリープ状態からの再起動も実感できる差がある

  3. ハイパフォーマンス・モードは初期設定では無効にされていて、メニューの奥にある
    (公式サイトでもマニュアルでも最後の方にちょこっと書かれているだけなので、知らない人も少なくないのでは…)

  4. 宣伝文句にある AF 速度などの数字は、ハイパフォーマンス・モードでの測定になっている

  5. バッテリーの保ちは確実に落ちる。仕様表の撮影可能枚数は特記がないのでハイパフォーマンスモードでの測定ではないと思われる


という特徴があります。

これをどう見るかは人それぞれなので断定的なことは言えませんが、個人的な印象を言えば、

ハイパフォーマンス・モードを有効にしない通常モードでも
静止体相手の AF-S 撮影なら AF速度に不満はない


と感じています(AF-C では話が別ですが別途記事で)。むしろ、スリープモードからの再起動時間の短縮効果の方が気になるくらいです。

X-E2 の通常モードの場合、レンズや焦点距離によっては従来機 (X-E1) と劇的な差は感じない場合もあるのですが、元々ファームウェア・アップデートした従来機(X-E1)でも AF-S では大きな不満は感じないレベルでしたので、通常モードでも満足できるレベルです。

実際、現在併用しているカメラ/過去使ってきたミラーレス機と比較しても(通常モードでは特に速いわけではないけれど)ハイパフォーマンスモードの AF-S 速度は勝るとも劣らないですし、通常モードでも併用時にストレスを感じることは皆無です。

それに、実際に計測してみると

通常モードでも従来機からの AF 速度向上は実感以上の差がある


ことが判っていて、いささか反省しているところでもあります。

適当動画すぎて参考になるかどうか判りませんが、一例として以下に合焦動作例の動画を置いておきます。


(X-E1 + XF55-200mm / 55mm)


(X-E2 通常モード + XF55-200mm / 55mm)


(X-E1 + XF55-200mm / 200mm)


(X-E2 通常モード + XF55-200mm / 200mm)


上記の例では 200mm の方は割と確実に実感できますが、55mm の方がちょっと速いかな?程度なのですが、実際には倍くらい速くなっています。

まぁ同じ 2倍と言っても、1秒かかっていたのが 0.5秒になれば大きな差を感じますが、0.4秒が 0.2秒となれば、静止体相手のような場合には実感としての差が気づきにくいところはあるかと思います。そしてレンズによっても速度アップの差は違いますしね。



いずれにしても、ハイパフォーマンス・モードが有効ならば

「おお、X-E2 は速くなったな〜」

という印象はありますし、通常モードでも静止体相手の AF-S なら不満の出るレベルではありません。快適に撮影できています。満足です。

また、AF-C のことやスリープ解除のタイムラグを考えれば

「あって良かった、ハイパフォーマンス・モード」

でもあります。普段は通常モードでも十分と言いながらも、私は(予備バッテリーを1個追加してでも)ハイパフォーマンス・モードを常用しています。

ただ、その上で言わせてもらうならば、

2つのモードで出した数字を使い分けて宣伝する富士フイルム毎度の手法


は、ホント嫌らしいなぁ、と思わざるを得ません。富士フイルムのカメラは好きになりつつあるのに、メーカーの言うことを信用しきれないのは、こういった部分です。

X-E2 Test Shot (53)
(三脚が使えない、人の波に押されるだけの夜イベントにAPS-C高感度最強カメラは心強い)


X-E1 の時に散々文句言いつつも使ってきたのは富士フイルムの色や画質が好きだからであり、開発者のインタビューその他においても「画質最重視」を強調していることに不信を抱くようなことは全くありません。

従来機では「画質最重視だからって何でも許されると思うなよ」的な思いがありましたが、X-E2 では画質面以外での進歩を感じることができ、画質最重視で押し切っても他の部分が見劣りすることはなくなったと感じています(本来想定していないであろう動体撮影を除く)。

ただ、メーカーの方向性がそうであるにも関わらず、宣伝のための数字をモードで使い分けて出してくるのは、X-E2 に限らず FinePix シリーズでもやっていて、ホントなんだかなぁ〜と思うわけです。

たとえば、富士フイルムが宣伝キャッチコピーで出している数字

X-E2_55


という数字を並べ立てていますが、よくある小さな※印に

AF最速 0.08秒 (※1) APS-C型サイズ以上のセンサーを搭載したデジタルカメラにおいて。CIPAガイドライン準拠、内部測定方法、ハイパフォーマンスモード時。XF14mmF2.8 R装着時。2013年9月当社調べ。

起動時間 0.5秒 (*3) ハイパフォーマンスモード時。XF27mmF2.8装着時。


とあります。

こういう小さな注意書きはどこのメーカーでも有るわけですが、先にも書いたように

速くなった〜!と数字を出しているのは、概ねハイパフォーマンスモード時


です。それは良いとしても、ハイパフォーマンスモードは初期設定でオフ。設定メニューの奥で有効にしない限りは、キャッチコピーのような速さは得られないわけです。

X-E2 発売前イベントのトークショー用スライドでも

X-E2_29


こういった数字でレンズの AF 速度向上を訴えていたわけですが、この場でモードの言及はありませんでした。

先にも書いたように、X-E2 は良いカメラです。ハイパフォーマンス・モードも付けて悪くないどころか、個人的には有り難い。

でも、実際に X-E2 使ってハイパフォーマンス・モードが実感として差があるのを感じてから、こういう宣伝文句を改めて見ると、

キャッチコピーその他で散々速さを訴えるなら
ハイパフォーマンスモードを標準にすべきだったのでは?


と思います。そして今の標準モードを「節電モード」として、そちらをオプションにすべきだったでしょう(FinePix ではハイパフォーマンス・モードと節電モードになってます)。

ハイパフォーマンス・モード有効時にバッテリーの保ちが悪くなると言っても、シグマのカメラのような 100枚も撮ればバッテリー切れなんてことはないのだし、ケチることはなかったのになぁ、と思います。

X-E2_22withXF1855


ともあれ、業界の広告用測定基準には抵触しないのでしょうが、コンパクトデジカメでも同じことをやってきて、まだ同じことを繰り返しているのを見ると、なんだかなーと思います。似たようなことは他のメーカーも…というなら、もうちょっと業界全体でどうにかすべきでしょう。

ハイパフォーマンス・モードに対して「そこまでの速さを必要とする人は少ない」ということでオプションにすることも理解できますが、だったらあの宣伝の書きようはどうかと思いますしね。

仕様表の起動時間の項目では通常モードとハイパフォーマンス・モード両方の数字が掲載してありますが(そしてハイパフォーマンス・モード有効時が先にある)、バッテリー寿命にはハイパフォーマンス・モード有効時の記述がないわけで、そういった意図的なセコさが見え隠れすることに富士フイルムという会社への小さな落胆はあります。

開発とは直接関係なく宣伝部門がやっていること、宣伝のために数字を出せと言われてることだと思いますが、たとえそうであっても

画質画質と言ってる割には、競争のための数字ばかりやなぁ


そういう印象は拭えないし、X-E1 の時から「宣伝内容と向いている方向が全然違うカメラ」だと思っていたので、私にとっては今なお宣伝文句に関しては胡散臭さを感じるメーカーのままです。

開発者インタビューで語られるようなポリシーを持っているのならば、

本当の強みを推していくアピールをしないと、いつまで経っても富士フイルムのカメラの良さはマスに伝わらないのではないかなぁ

と思わざるを得ません。

非難批判と言うよりは、富士フイルムに感じている残念な思いであります。

X-E2 Test Shot (49)


とまぁ、話は大きく逸れましたが、決して X-E2 が悪いわけでも、今回記事の本題である X-E2 の AF-S が悪いわけでもありません。それらについてはむしろ満足しており、愛着が出てきた分、分相応ながら売り方に疑問を呈しただけです。

いずれにしても、AF-S でも改善はされていますし、ハイパフォーマンス・モードを使うならば高速化を実感できます。

こと AF-S については X-E2 に何の不満もない


そう言えます。

静止体を写すかぎりはファームウェア・アップデートした X-E1 でも不満ではなかったものの、こういった AF-S の改善が AF-C に繋がっているとも言えますし、AF-C は従来の Xマウント機がふざけすぎだったので、こちらは X-E2 では大きな進展があります。

他社最新鋭機、現行機に追いついたとは言えなくても、X-E2 の AF-C は従来機とは別物です。次回は AF-C について。


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(キャッシュバック期間中のせいか、なかなか値下がりしないですね…)