昔から1月より12月が大好き、年の瀬の雰囲気が好きで年が明けるとテンションが落ちる私ですが、皆様におかれましては師走の中をいかがお過ごしのことでしょうか。

強烈な寒波で全国的に冷え冷えですが、この冬の空気も嫌いじゃありません。雪国じゃないから吐ける言葉ではありますが、意外と大阪は首都圏のような雲一つない冬晴れが続くわけでもないので、冬になると東京が恋しいです。富士山も見えないし。

Expo '70 Park in late autumn or early winter (23)


さて、「ニコン Df」が結構売れていて品薄とは聞いていましたが、先週メーカーからも供給不足のアナウンスがありました。

ニコン、「Df」の供給不足を告知 - デジカメ Watch

もちろん売れているのは間違いないにしても、たぶん馬鹿売れまくりというより、メインストリームのカメラではない分だけ生産量も多くなく、時期的にメインストリーム製品の生産量を調整して Df 増産もできなかったのだろうな、と勝手に推測したりしていますが、そんな中、予約購入した知人が自慢げに見せてくれて、改めて良いカメラだなぁ、と感じました。

非Ai レンズにも配慮した構造といい、「ああ、ニコンにしか作れないカメラだなぁ」と、つくづく感じ入った次第。



国内メーカーのレンズ交換式カメラとしては N/C ハイエンドの D一桁系 / EOS 1D 系を除くと、D800 / D800E / EOS Mark III あたりに近い、最上位の価格帯のカメラですが、それだけに質感のある造りで、十万円クラスの “クラシックデザインで質感を高めてプレミアム感を出してみました” 的なミラーレス機とは根本から違いますね。

X-E1 では迷ってシルバーにしてみたものの今ひとつシルバー部のチャチさが気に入らず、X-E2 でブラックにしたのですが、さすが Df は違いますね。値段も違うので当然ですが。

Nikon デジタル一眼レフカメラ Df
Nikon デジタル一眼レフカメラ Df

(品不足で Amazon は割高で売るマケプレ業者が跋扈する状況に…)


個人的に Df で「おおっ」と思ったのは、値段的に当然である質感の良さだけでなく、操作性。賛否両論はあるみたいですが、シャッター速度はオールドスタイルのシャッター速度ダイアルだけでなく、現代のデジタル一眼レフのように背面側のメインダイアルでも変更設定できるのは、おっ良いねぇ、と。

同じクラシックデザインの富士フイルム X シリーズでもシャッター速度ダイアルを使い、Df 同様にダイアルでは1段ずつしか変更できないので、1/3段刻みの変更は同じようにデジタル側の操作によって行うのですが、使い勝手は意外と違います。

富士 X では Df のような汎用ダイアルがないために 1/3段刻みの設定は左右ボタンや背面ダイアルで行いますが、背面ボタンゆえに触れてしまって誤操作しやすいことが一点(これは X-E1 の時からの悩みどころ)。

また、Df ではシャッター速度ダイアルを「1/3 STEP」の位置に設定すれば背面ダイアルで 1/3段刻みで自由にシャッター速度を変更できますが、富士 X の場合、左右ボタンや背面ダイアルを使って 1/3段刻みで変更できるのはシャッター速度ダイアルで設定した値の±2/3段まで。

何故か富士機では 1/250、1/500、1/640、1/800、1/1000、1/1250、1/1600…と、リニアに変更できないわけです。シャッター速度優先AE で決め打ちなら±2/3段でも仕方ないと思うのですが、日射しがコロコロ変わる時のマニュアル露出時にはもうちょっと柔軟性があればなぁ…と思ったりするわけです。

(X-Pro1/E1/E2 の背面ダイアルについては、基本的に左右ボタンと同じシャッター速度変更がアサインされているのに、絞り環のないレンズでは絞り操作になるという時点で破綻気味ですが…)



もちろん、富士 X シリーズの操作性全体がダメダメだといってるわけではなく、少なくとも X-E2 に関しては一定の満足を感じていますし、ご機嫌に使っています。

Df の操作性も全部が好みというわけではなく、露出補正ダイアルが左肩にあるのはフィルム時代のカメラがそうだったからといっても、私が Fマウントユーザーならかなり厳しいと感じたでしょう。

そしてニコン Df 開発陣も、富士フイルム X シリーズ、最初の X100 に関しては受け入れられるかどうかも含めて注目していたようですし、間違いなく今のクラシックデザイン流行り的な先鞭を付けたのは富士フイルムです。

インタビュー:ニコンDf誕生に迫る - デジカメ Watch

ただ、ニコン Df を触らせてもらうと、クラシックな操作性と現代的なデジタルカメラの操作性を巧く両立してるなぁ、という気がします。後発だからと言うわけではなく、歴史・過去の財産と現代を上手に継承してきたニコンらしい工夫や妥協があるな、と思うところです。

もちろん、それに対して「2つの操作方法もあるのはどうか」「中途半端だ、割り切った方が良かった」という意見もあるようですが、ニコンの場合はどうせ絞り環のない G レンズを使うことを前提にしなきゃならないのですから、アナログ操作とデジタル操作の mix は有りだったと思いますし、個人的には好感の持てる操作性でした。

FUJIFILM デジタルカメラ FinePix X100 1230万画素 F FX-X100
FUJIFILM デジタルカメラ FinePix X100

(今でも後継機 X100S より好きだという人もいる富士フイルム X シリーズの原点)


オリンパス OM-D やパナソニック GX7、リコー/旧ペンタックス MX-1 のように、デザイン上それっぽくしただけのファッション的なクラシックデザインの場合、操作性はデジタルそのものですから、デジタルカメラとして判断すれば良いことです。

(別に OM-D や GX7 が見た目だけクラシックデザインだから良い悪いではなく、むしろ E-M1 も GX7 も良いカメラで全部買えるものなら欲しいくらいだ ;-)

しかし、富士フイルム X シリーズや Df のような昔ながらのアナログダイアル操作をハードウェア的に実装したデジタルカメラについては、逆に歴史が浅いとも言えます。操作性はいくらクラシックでも、中身はデジタルカメラ。

昔そのままがデジタルカメラにおいてベストな方法とは限らない、判断もしかねる状況であると思うのですが、にも関わらず、

「クラシックなアナログ操作=直感的=操作性が良い」

という記事/意見を多々見るたびに、なんか短絡的な思考しすぎるのではないかなぁ、と私個人は感じます。

クラシックなアナログダイアルによる操作が直感的である、という意見は同意でき、決して否定することはないのですが、それだけで操作性の良さを結論づけるのは早計と思うのですが、どうも3点セットで語られることが多いようです。

クラシックデザインのカメラがフィルム時代の郷愁によってのみ買われるカメラならばともかく、デジタルカメラから入った世代にも使われていくカメラであるなら、より良い融合を求めていくべきではないかと思ったりするのです。

ど素人の戯言に過ぎませんが、今後もこういったデザインのカメラを出すメーカーがあるならば、後発の分だけそのあたりを煮詰めて欲しいな、という気がします。



ちなみに富士フイルム X マウント機の場合、レンズには全て絞り環があることを前提にしてボディデザインされたものの、XF ズームレンズでは絞り環に指標がなくなり、廉価な XC レンズに至っては絞り環自体がなくなって、X-M1 / X-A1 では完全なデジタルカメラ操作になってしまいました。

個人的にも、X-E1 を XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS とのキットで購入したので当初は絞り環に指標がないことに違和感を感じていませんでしたが、単焦点レンズを頻用するようになってからは、ズームレンズに絞り環に指標がないこと、絞りオートへの切り替えの方法が異なることに、違和感を感じまくりです。

ボディ側にシャッター速度設定ダイアルや露出補正専用ダイアルがあるなら、そして直感性のある操作を標榜するなら、やはりレンズには絞り環があってきっちり指標もあるべきだなぁ、という思いを強くする今年一年でした。

ホントあちこち統一がとれていない富士フイルム X マウントは今後どうなっていくのでしょうか…。また一眼レフスタイルの新ボディではボタン配置や操作性が大幅に変わって…とかになるんでしょうか…