前回記事で現在につながる国内の電子書籍ストアがオープンして3年を迎えるところが今月来月と多いことに絡めて、電子書籍を使ってる上での雑感を書きましたが、いま自分が利用している電子書籍ストアについての感想を少し記しておきたいと思います。

電子書籍ストア(書籍を有料 PDF で配布しているところを含む)でアカウント登録してところを数えてみると 11社もあり、数社を除いて全て何らかの形で有料で書籍購入していますが、10冊以上購入して常時使ってると言えるのは

の4ストア。eBookjapan や BookLive! のほうにそれぞれの使い良さを判っていても何故か使っていないストアもありますし、honto のように初期の頃数冊買ったけれど今は完全スルーのストアもあります。

前回記事で触れたように、電子書籍ストアはストアが店じまいすれば、そこで買った本は(すぐではなくても)読めなくなってしまいますから、リスク分散という観点からは複数の電子書籍ストアで買うのは有りだと思っています。

また、書籍によっては

「○○出版社は××ストアで先行販売する」

ということもありますし(角川系書籍の BOOK☆WALKER 先行が代表例)、先行販売だけではなく

「□□社は電子書籍ストアのうち、△△と◆◆でしか販売しない」

ということもあるので、一つのストアに絞っていると電子書籍としてリリースされていても買えない場合が出てきます。

反面、あまり多くの電子書籍ストアで買っていると、○○はどこで買ったっけ?ということが増えるので、常用するのは3〜4ストアくらいが限界かなぁ、と思っています。

もっとも、それなりの冊数を買っている電子書籍ストアが先の4店舗に絞られたのは決して、電子書籍ストアとして素晴らしいからでも、読書用閲覧アプリの出来が良いからでもありません(^_^;)

常用する電子書籍ストアが決まっていったのは、割となし崩し的


なものでした(BOOK☆WALKER を除いては電子インクの専用書籍端末が使える、という大きな理由はありましたが)。

ただ、それだけに電子書籍を大量購入する前にもう少し考えておくべきだったかなぁ、なんてこともあります。後悔はしていませんが、最適な4ストアだったかどうかは判りません。

例えば最後発の Kindle ストアは圧倒的シェアを獲得しているようでありますし、私自身も購入書籍数がトップになりそうな勢いで買ってますが、決して使い勝手は良くありません(購入は一番便利だが、買った後の書籍管理は最低レベル)。

ということもあるので、今後利用する人の参考になるかどうかは判りませんが、私はいま常用している4つの電子書籍ストアについて、使っていての忌憚ない感想を述べて行きたいと思います。今回はまず、紀伊國屋書店ウェブストア



紀伊國屋書店ウェブストア / Kinoppy(旧BookWebPlus)

リアル書店では押し押されぬ存在の紀伊國屋書店が運営する電子書籍ストア。紙書籍販売とシームレスになっているのは Amazon 同様の強みだし、紙書籍販売では紀伊國屋書店店舗の在庫が見られるのは便利(ヨドバシカメラと同じで重宝する)。

また、随一のマルチデバイス対応で、iOS、Android、Windows、Mac の各環境と、ソニーの電子書籍専用端末 Sony Reader でも読むことができる(ただし Windows 版は Windows タブレットに最適化はされていない)。

そして貴重な

iTunes 決済可能な電子書籍ストア


でもあり、iPhone / iPad 上ではアプリ内課金と同じ仕組みで書籍購入ができるので、クレジットカード決済の必要もないし、iOS ユーザーなら気楽に購入できる。ボーナスキャンペーンの iTunes カードを買ってきて決済すれば、割安に電子書籍が買えるのもメリット。

しかしながら iTunes 決済の制約により、iOS アプリから購入する際はウェブや Android アプリから購入するより若干割高な値段設定になっていたり、二重価格を許さない出版社の書籍は iOS アプリからは買えない(現在買えない書籍はかなり多数にわたる)。

ブックリスタ系なので品揃えは他のストアに比べても不満ないレベルだし、一部他のストアで扱っていない書籍が買える。毎週メールでの新刊リリース告知や推し本の紹介もあって、きちんと “熱心な本屋さん” をしている。

紙書籍と共通で購入金額に応じたポイント制度があるが、はっきり言って割引セールやポイントバックにはあまり期待しない方が良いストアでもある。ポイント20倍セールをよくやっているが、元々の還元率が低いこともあるし、

割安さを目当てに使う電子書籍ストアではない


のですが、それを補う良さもあります。

特に、閲覧アプリ「Kinoppy」の出来はトップレベルで、アプリ内標準フォントの「游明朝 Pr6N M」の読みやすさは電子書籍アプリ随一じゃないかと思うくらい。

行間調整機能はないものの、余白は好みの3段階に調整でき、概ね電子書籍を読むのにあって欲しい機能、調整は可能。小説など文字ものの電子書籍は液晶端末のアプリであまり読みたくないのだが、Kinoppy アプリは結構快適。

またコミックの画質の高さも有名であり、昨今の超高解像度タブレットの性能を活かしてコミックが読めるのは Kinoppy が一番というのも定評あるところ(その分、1冊あたりのファイルサイズも大きいので端末への大量冊数保管には苦労する)。

文字書籍もコミックも品質の良い Kinoppy


で、読む快適さは他のアプリの手本だと感じる。ストアで売っている書籍以外の epub ファイルを読み込んで、品質の良い epub リーダーアプリとしても使えるのも◎

また、アプリ内の書籍管理は「本棚」という整理機能があり、Sony Reader を除く複数端末間で本棚の同期機能もあるのは便利。ただ、Kinoppy の本棚は縦横にスクロールする形なので実用性はあってもリアル「本棚」とは少し違うので、見栄えという点では若干落ちるかも。

EBookStore1_Kinoppy


また、紀伊國屋ウェブストアのパーソナルデーターの管理画面にも本棚機能があるが、アプリ内とは別物。こちらの本棚は、買った本だけでなく欲しい物リストも含めて本棚を作ることができ、どちらかといえば他人に見せるための本棚っぽい。しかしアプリとは機能が全く違う物なのでややこしい。

ちなみに、アプリの方ではシリーズ続刊通知、欲しい物リストの電子化通知も設定可能なので、シリーズを揃えている本の買い逃しが起きにくいのも素晴らしい。

登録デバイス数は5台に制限されているが、台数制限にかかった時点で登録したいデバイスやウェブから他の端末の登録解除ができるので、神経質にならずに済む。購入書籍のダウンロード速度もまずまずで、使っていてストレスはない。

書籍の推し方やセール内容も、若年層向けやコミック多めの他の電子書籍ストアと異なって、基本的に年齢層高めを意識していると思わせる売り方で、電子書籍ストアでも紀伊國屋書店らしいとも言えるし、

大人向けの質実剛健な電子書籍ストア


という感じですね。様々な点で、Kindle は Kinoppy の爪の垢を煎じて飲めよ!と言いたくなる :-P

iTunes カード以外の一般的なプリペイドカードが使えず(紀伊國屋ギフトカード利用可能)、クレジットカード決済メインなのも合わせて対象とする層が他のストアと違うことを感じさせます。


個人的には iTunes 決済をキッカケに使い始めた「紀伊國屋ウェブストア」と「Kinoppy」。ただ、SONY Reader という電子書籍専用端末で読めることで SONY Reader も買う羽目になった電子書籍ストアでもあります。

紀伊國屋ウェブストアはセールに惹かれてつい買ってしまう、ということが殆どないので、購入冊数はあまり伸びていませんが、一番信頼の置ける電子書籍ストアと思っていたりします。

ただ、あまりに質実剛健すぎて、派手にキャンペーン合戦が行われることの多い昨今、この先、利用者数を確保してちゃんとやっていけるのかなぁ、なんて心配になったりもします…

電子書籍ストアが本格的に立ち上がって3年