この秋、新型 Atom (Bay Trail) と Windows 8.1 のリリースによって、従来 10インチ以上の大型ばかりだった Windows タブレット市場に次々と 8インチ液晶の小型端末が発表されています。

海外で先行発表された 8インチクラス小型 Windows 8.1 タブレットのうち、日本国内でも発売されそうなのは ICONIA W3 で実績のある Acer の他、Lenovo、DELL、東芝の3社と見ていましたが、まず先々週に Acer が、そして先週は DELL が国内投入を発表しました。

DELL、8インチ小型 Windows 8.1 タブレット「Venue 8 Pro」国内発表。お値段は 39,800円から!
今度は最初から実売4万円!新型 Atom 搭載 8インチ Windows 8.1 タブレット「Iconia W4」国内発表

そして本日、唯一の国内メーカーである東芝からも Windows8.1 搭載 8型タブレット「dynabook Tab VT484」が国内向け発表となりました。

東芝:プレスリリース (2013-11-18):Windows8.1搭載8型タブレット「dynabook Tab VT484」の発売について

海外では「Encore」という名称でしたが、国内向けはいつもの dynabook の冠を戴いた製品名になっています。“dynabook 何とか+型番”みたいなダサい製品名はいい加減止めれば良いのに…と思いますが、保守的なメーカーですからねぇ(昔ほど dynabook にブランド力もないと思うのですが)

そしてこの「dynabook Tab VT484」は、ストレージ容量やプリインストールされるソフトウェアによって以下の3モデル、価格で発売されます。

 ストレージ容量プリインアプリ価格
VT484/22K32GBOffice Personal 20135万円台前半
VT484/23K32GBOffice Home and Business 20136万円前後
VT484/26K64GBOffice Home and Business 2013
Corel Video Studio
PaintShop Proなど
6万円台半ば


エイサーやデルが日本国内向けは 64GB モデルに絞って販売するのに比べて、東芝は 32GB モデルが2種類(ともに12月下旬発売)、64GB モデルが1種類(こちらは11月下旬発売)。そして、最安モデルが5万円台前半から。

ストレージ容量が半分なのに高え!


海外では 32GB モデルで $329 なのに国内では5万円台前半。東芝はこういったことをやってくるんじゃないかと思ってましたが、案の定です。このご時世なのに、国内メーカーだから信頼できると思うはず、高くても買ってくれるとか思ってるんですかねぇ。

もちろん、Atom (Bay Trail-T) ベースの Windows 8.1 タブレットですからスペック的にはほぼ横並び、価格が高いから特別性能が良いというわけでもありません。というか、高いのは国内での価格だけですからね。

それに、スペックを並べてみれば判るように、価格は高いのに

スペック横並びで、Venue 8 Pro と比べるとデカい重い


わけですから「dynabook Tab VT484」を選ぶ理由と言えば、それこそ国内メーカーじゃないと嫌だ!という人か、REGZA 連動機能が欲しい人に限られるように思います。

とりあえず、デル「Venue 8 Pro」、エイサー「ICONIA W4」との比較表を以下に置いておきます。



 VT484Venue 8 ProICONIA W4
サイズ (mm)213×135.9×10.7216×130×8.9219×134.9×9.75-10.75
重さ445g395g415g
ボディカラーライトゴールドのみブラック/レッドグレーのみ
SoC (CPU)Z3740Z3740DZ3740
メモリ2GB
ストレージ32GB/64GB64GB
液晶8インチ (※)
1,280×800pixels
8インチIPS
1,280×800pixels
無線LAN802.11a/b/g/n
Bluetooth4.0
3G通信機能不可オプションで可不可
カメラ前面200万画素
背面800万画素
前面120万画素
背面500万画素
前面200万画素
背面500万画素
外部端子microUSB 2.0
Micro HDMI
microUSB 2.0
(Miracast)
microUSB 2.0
Micro HDMI
メモリーカードmicroSD
セキュリティチップなしTPMなし
バッテリー駆動時間11時間8時間
microUSB 充電不可可能
OSWindows 8.1 (32bit)
価格5万円台〜39,980円〜38,520円〜

(※) dynabook Tab VT484 の液晶方式は非公開(広視野角タイプとだけ書かれている)。ただし、過去のイベント出品展示の際は IPS ではなく HFFS 方式の液晶だった。

【追記】初出時、Venue 8 Pro の USB 充電が不可としておりましたが、USB 充電可能でした。訂正の上、お詫びします(ご指摘有り難うございました)

こうしてみると判りますが、dynabook Tab VT484 は ICONIA W4 とよく似たサイズ/スペックでありますが、薄い Venue 8 Pro はもちろん、ICONIA W4 と比べても少々重め。

値段的にも Office Home and Business 2013 付属モデルを比較すると

デル Venue 8 pro (ストレージ64GB)41,980円
(※ 38,980円)
エイサー ICONIA W4 (ストレージ64GB)43,020円
東芝 dynabook Tab VT484/23K (ストレージ32GB)6万円前後
(※) Venue 8 Pro は年末までの特別価格で3千円引き

と、dynabook Tab VT484 が高い上にストレージも半分というのは、いくら国内メーカーと言えどもちょっと高すぎです(エイサーはともかくデルの信頼性が東芝に比べて大きく劣るわけでもありませんし)。

dynabookTab_VT484release


もちろん、dynabook Tab VT484 にも良いところはあって、

  • バッテリー持続時間が他の2機種より長い

  • 内蔵カメラの性能が一番良さそう

  • REGZA 連動ソフトがプリインストールされている

  • 国内メーカーらしく色々なソフトが入っている(特に最上位モデル)


といった点が挙げられます。サイズ的にバッテリーは2セル、チップ周りも変わらないので、バッテリー持続時間が長いのは液晶が絡んでいるのかも知れません。

ただ、私自身の経験からも

ストレージ 32GB ではかなりキツいのに
プリインストールアプリを色々入っているのは、むしろ邪魔では?


と思います。

東芝らしく REGZA 対応の「RZスイート expreee」が入っているのは判るけれども、「楽しもう Office アプリ for タブレット」とか「TruCapture」とか「思い出フォトビューア」とか、まぁ今も昔も変わらぬ国内メーカーらしい色々入れとけばええやろ展開がここにも、ですね。

どちらにしても、Windows 8/8.1 タブレットの良さは Windows パソコン的にも使えるところにあるわけで、それを思うと

ストレージ 32GB モデルはお薦めできない


と断言できます(過去、何度も書いていますが、Windows タブレットのタブレットそのものの出来としては iPad や Android の足下にも及ばない)。



ちなみに発売記念キャンペーンとして

  • 上位2モデル(VT484/26K、VT484/23K)を12月31日までに購入した人に Bluetooth キーボード(マイクロソフト Wedge Mobile Keyboard)をプレゼント

  • 全モデル購入者対象に Skypeの「世界中どこでもプラン1,100/円」がもれなく1カ月無料


というのが行われます。

東芝:dynabook.com | dynabook Tabを買ってキーボードをもらおう!キャンペーン

まぁ、ぶっちゃけ

キャンペーンやるより無駄に高いのを何とかすれば?


と思いますが、個人相手に売るより法人向けとして考えているのかも知れません。

この価格と内容では、どう考えてもエイサーやデルの敵ではないでしょうしね。ほぼ同性能で薄くて軽くて安い Venue 8 pro と比較になるような売り方ではありません。予想はしていましたが、残念。

Windowsタブレット dynabook Tab VT484 トップページ


Acer ICONIA W4-820/FP (Atom Z3740/2G/64G eMMC/8.0/Win8.1(32)/OFL2013) W4-820/FP
Acer ICONIA W4-820 W4-820/FP

(Venue 8 Pro の安さに対抗値下げした ICONIA W4)