【追記】購入後に実際に使ってみて、本イベント時の感想との差異を記事にしましたので、そちらも合わせて参照下さい。
富士フイルム X-E2 ファーストインプレ【3】 〜発売前イベントで感じた印象と購入後の体感差


大阪は台風一過となった今日。梅田のハービスで、2つの発売前デジタルカメラの展示イベントがありました。

一つはソニーストア大阪で行われた、超話題のフルサイズ・ミラーレス機「α7」「α7R」の特別体験会。大注目の製品だけに、先週末の東京開催でも盛況だったようですが、大阪でも多くの人でごった返していました(こちらも行きましたので後ほど記事にするかも知れません)。

New α 始動。特別体験会開催 ソニー

そしてもう一つ、富士フイルムもハービスの地下にある小ホールでが発売前イベントを行っていました。

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X-Photographers × X-Lovers Festival 「Xシリーズ新製品デビューイベント」開催のご案内

先日の EOS 70D と比べると、え?というくらいの小さなホールだった上、実機の台数もそう多くなく、これでは触るのも一苦労…はしませんでした。来場者も少なくて、関係者の方が多いんじゃないの?な感じでありました…

キヤノンやニコン、ソニーと比べれば圧倒的にユーザー数は少ないのを実感するとともに、昼行った時も夕方も実機に触るよりステージセッション聴いてる人ばかりで、実機で色々確認したくなることはなかったのかなー、と。むしろ、触り倒して色々聞きまくった俺がレアみたいでした(^_^;)

けれど、実際に買い換えるかどうかは別にしても、使う可能性があるもの、買う可能性があるものに対してはできるだけ確認しておかないと後悔するかもですし(確認して気づかずに失敗したとしても自分の未熟さだからさほど後悔しない)、自分が使っているものに対する要望、文句は伝えないと何も始まりません(それを受け入れてくれるかどうかはあくまで相手側の都合)。

富士フイルム、ソニー両社のミラーレス機を所有している身として今日はそういう貴重な場ですから、両社のイベントにおいて確認すべきは確認し、伝えるべきは伝えることができました。有り難いイベントでした。

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特に富士フイルムの方は人が少なくなるのを見計らって改めて赴き(むしろ夕方は客が少なすぎて関係者オンリーイベント?なアウェイ感だった)、開発者の方を捕まえていただいて多くのことをお話しさせていただきました。お手間をとっていただき、心から感謝しています。

レトロデザインが好きじゃないことも合わせて「X-E1 は画質以外は糞」などと暴言を吐きつつ、操作性を中心に百も二百も文句を言い倒してきたのは過去記事のとおりですが、そうは言いつつ、画質だけで X-E1 は一番使用頻度の高いレンズ交換式カメラです(EOS は動体専用、Nikon 1はお手軽望遠セット限定、NEXはスナップ、マウントアダプター用)。

ですから、α7 の方は興味ありつつも当面様子見、しばらくは買う買わないを考えもしないのですが、X-E2 に対しては「俺の X-E1 はたった一年でお古かよ…」という複雑な気持ちはある反面、

画質以外は殆ど糞ったれな X-E1 がアレもコレも改良されてるなら
当然 X-E2 が気にならないわけがない


わけです。



というわけで、前置きが長くなりましたが、「機能だけ改善されたことより、使い勝手がどう良くなったのか?そちらの方が大切や!」と思ってる私なりに X-E2 実機で確認してきたこと、

主に操作性を中心に疑問点を確認


してきたことを以下に記しておきます。



X-E2 では像面位相差AF の採用やら点像復元処理などが目玉ですが、画質面の改善は実写してみないと判りませんし、AF についてもイベントやショールームでちょこちょこと触ってくらいでは判るものではありません。

(AF については開発担当者に直接色々聞いたので、それらについては最後の方で記しておきます)

それに前述のように私が確認したい点は操作性でしたので、以下の点について確かめに行きました。

  • メモリカードへの書き込み速度が2倍近くなったと謳ってるが、RAW で3枚ブラケット撮影すると延々書き込みのまま待たされるのは、どのくらい改善されたか?

  • おまけにブラケット撮影でメモリーカードにファイル書き込みしている間はフリーズして何も操作できないダメカメラのままか?

  • RAW 撮影時はフィルムシミュレーションブラケットは使えないままか?

  • AF-C のフォーカスエリアは中央一点固定のままか?

  • フォーカスエリア移動時に「決定」に相当する中央ボタンを押すとフォーカスエリアが中央に戻ってしまう頭の悪いボタン割り当てはそのままか?
    (エリアの中央一発戻りは必須だが、決定ボタンへ割り当てるところが富士フイルムは UI をきちんと考えてない証左だった)

  • 連写モードにするとファイル名が変わる糞仕様のままか?
    (そのままならどうしてもそうする理由を開発者に問いただしたい)

  • 同じく連写モードで撮った写真は再生時に勝手にグループ化されて再生までに一手間多く必要なアホ仕様のままか?
    (同上)

  • カスタム設定はブラケットモードやAEモードを覚えない中途半端な物覚えの悪い設定記憶のままなのか?

  • カスタム設定は相変わらずカスタム1〜7という数字だけでユーザーが名称設定できないままなのか?
    (カスタム1〜7という数字だけで、どれにどういう設定を覚えさせたかを開発者は覚えていられるのか?)

  • とりあえず 4列×4行=16個並べただけでカスタマイズできないクイックメニューはそのままか?内容に変更はあるか?

  • ボタン操作に対するレスポンスが 2012年のカメラ、それも十万を超えるカメラにしては酷かったが、そのあたりは改善されたか?

  • メニューや各種設定画面が表示されている時に、別の設定ボタンを押しても無反応でいちいち決定して通常画面に戻ってから次の設定ボタンを押さなければならない馬鹿馬鹿しさは改善されているか?
    (例えば、フォーカスエリア移動やホワイトバランス変更画面で AEボタンを押しても無反応だが、普通は別のボタンが押されたら変更が決定されて即押されたボタンの設定になるのが自然なことと考える。操作手順は僅かでも減らすべき)

  • デジタルスプリットイメージのオンオフはボタンに割り当てられてるか?

  • ピーキングの色、強さを調整できるようになったか?

  • EVF はフレームレートが上がっているとのことだが、視認性に変化はあるか?

  • アイピースが小さくて出っ張らないのはいいけど、眼鏡ユーザーとしては光が入り込みやすいので、大柄なアイピースをオプションで出す予定はあるか?

  • X-E1 ではファームウェア・アップデートで Fnボタンに加えて下ボタンをカスタマイズできるようになったが、追加のカスタマイズ機能はあるか?

  • X-E1 で微妙だったグリップ感はそっくりそのままなのか?

  • 鞄の中ですぐに動いてくれた電源スイッチが固くなったというが、どんなものか?

  • サムグリップの上に AF-L / AE-L ボタンがあったり、Qボタンが移動したが、使いやすさ(というより使いづらさ)に変わりはあるか?

  • AF-L ボタンの仕様に変更はあるか?親指AF は可能になったか?

  • 酷かった X-E1 の背面液晶がどのくらいマトモになったか?
    (合格点はソニー RX100 あたり)

  • 再生画面の拡大率の制限が緩和され、背面液晶で等倍チェックが可能になったか?


これらについて、一つ一つ確かめてみましたので(全部は確認できなかったけれど)記しておきます。


メモリカードへの書き込み速度が2倍近くなったと謳ってるが、RAW で3枚ブラケット撮影すると延々書き込みのまま待たされるのは、どのくらい改善されたか?

全く変わってない印象。デジカメ Watch の発表会の記事ではメモリーカードへの書き込みは 1.8倍とあったが、RAW+L の露出ブラケット後の待たされ時間が激減した印象は全くなかった。何回やってもなかった。
あまりに変わらないので、係員に「これ、メモリーカードは遅いのを使ってるんですか?」と聞いてみたら、メモリーカードは富士フイルム純正(初めて見た!)の Class 10 カードだった。つまり基準カードなのだろう。
どこがメモリーカード書き込み 1.8倍なんだ…。X-E1 が 2012年のデジカメにしては遅すぎたので、さすがにマシになってると思うのだが、大きく改善されてる印象は皆無だった。


ブラケット撮影でメモリーカードにファイル書き込みしている間はフリーズして何も操作できないダメカメラのままか?

ダメカメラのままでした。酷い。お前はこのご時世、MS-DOS か、シングルタスク OS 使ってんのか!?と罵倒したくなるレベルは変わらず。
(本来、X-E1 でもメモリーカード書き込みながら他の操作ができるカメラなんだけど、こういうハァ?と言いたくなる場面の多いカメラでもある。直ってない…まぁシステムの根本的なところが直せてないんだろうね)


RAW 撮影時はフィルムシミュレーションブラケットは使えないままか?

使えないまま。展示担当の若い係員には必要性を説明しつつ伝えたけど、ホント制限される意味が分からん。ってか、RAW 録りで制限されることが多すぎる。
(いま思えば、AF開発担当者だけでなく、画像担当開発者もいたのだから直接伝えたら良かったな…。夕方は客なんて殆どいなかったんだし)


AF-C のフォーカスエリアは中央一点固定のままか?

さすがに直ってた。あれは AF-C の挙動とともに(後述)今時こんなミラーレス機が!?と唖然とする仕様だったからなー。


フォーカスエリア移動時に「決定」に相当する中央ボタンを押すとフォーカスエリアが中央に戻ってしまう頭の悪いボタン割り当てはそのままか?

これもさすがに直ってた。中央ボタンは決定で、DISP BACKボタンはフォーカスエリアの中央戻りに割り当てられてた。
「この点については X-E1 や X-Pro1 でもファームウェア・アップデートで直すべきじゃないか?」と言ったら、優先順位があるので…と言われたので、X-E2 などの発売後に期待したい。


連写モードにするとファイル名が変わる糞仕様のままか?

これも直ってた\(^O^)/ 撮影画像の入ったメモリーカードを Nexus 7 に挿してファイル名を自分で確認した(立ち会いの下で行い、撮影画像は読み込んで持ち帰ったりはしていないので念のため)。
さすがにこれは頭おかしいんじゃねーの?レベルだったから助かった。従来機も何とかして欲しいね(できれば F900EXR も)


同じく連写モードで撮った写真は再生時に勝手にグループ化されて再生までに一手間多く必要なアホ仕様のままか?

前項ファイル名の件と同じく改善。いやホント、ストレス要因だったので助かった。ってか、富士フイルムの人が「普通になったんですよ」って、どういうことやねん(笑)


カスタム設定はブラケットモードやAEモードを覚えない中途半端な物覚えの悪い設定記憶のままなのか?

これは変わらず。露出モードや AF/MF 切り替えはハードウェアスイッチだから無理だろうけど、カスタム設定というなら記憶できるべきものは記憶して、切り替え一発ですぐに全設定が変わって撮れるようになものにして欲しいのだが……


カスタム設定は相変わらずカスタム1〜7という数字だけでユーザーが名称設定できないままなのか?

これもそのまま。いやホント、富士フイルムの社員の人たちはみんな頭が良いから覚えられるの?と思っていて、思わず聞いたら担当してくれた係員の人は「あぁ」って納得したような、いま気づいたような…
あとで開発者の人に聞いても、そういうリクエストが多く寄せられていたっぽい雰囲気はないのだが、もしかしてみんな使ってないのか?本気で7個使うなら、あの仕様は有り得んと思うんだけど…
とりあえず、開発者の方には GR のマイセッティングを見せて、前項ともども改善をお願いしておきました(どうなるかは知らないけど)


とりあえず 4列×4行=16個並べただけでカスタマイズできないクイックメニューはそのままか?内容に変更はあるか?

基本的には同じ、今回も4列×4行=16個並べただけでユーザーカスタマイズは不可。項目は変わっていたかどうかはしっかり確認してこなかった。たぶん上3行は同じはず。


ボタン操作に対するレスポンスが 2012年のカメラ、それも十万を超えるカメラにしては酷かったが、そのあたりは改善されたか?

全部が全部ではないが改善された。キビキビサクサクと言いきっていいかどうか判らないが(実戦で使ってみないとねぇ)、ボタン押してから反応までの微妙な間はなくなった。


メニューや各種設定画面が表示されている時に、別の設定ボタンを押しても無反応でいちいち決定して通常画面に戻ってから次の設定ボタンを押さなければならない馬鹿馬鹿しさは改善されているか?

されていない。これも使っていれば判ると思うんだけどなぁ。一度ニュートラルな状態に戻らないと次の操作ができないというのは、MS-DOS時代の発想なんだけどねぇ。とにかく操作性を設計している人の考え方から昭和の匂いがしてならない。


デジタルスプリットイメージのオンオフはボタンに割り当てられてるか?

従来のピーキングのオンオフと同じく、背面ダイアルの長押し。X-E2 は背面ダイアルの長押しで、ノーマル→ピーキング→デジタルスプリットイメージの順に切り替わる。
(これがリコーや今のソニーならピーキングまたはデジタルスプリットだけのオンオフに限定したりもできるんだろうけどなぁ)


ピーキングの色、強さを調整できるようになったか?

確認し忘れた。


EVF はフレームレートが上がっているとのことだが、視認性に変化はあるか?

基本的な視認性の差はなく、フレームレートについては暗い会場だと少し良くなってるかな?程度にしか感じず。開発者の方ともお話ししていたのだが、富士の EVF は感度を上げるよりフレームレートを落とす傾向にあるので、特に望遠レンズのテレ端のような暗いレンズだと劇的に改善された感はないかも。
EVF の見え味についてはモデルを追って改善していくしかありません、ということなので頑張っていただきたいが、こういうのを見るとハイブリッドファインダーな X-Pro2 が気になりますね。
ちなみに、同じハービスで行われていたα7イベントで、α7 の EVF を見た後だと、X-E1 も X-E2 も井戸の底を覗くようなもんでした…orz レベルが違いますな。


アイピースが小さくて出っ張らないのはいいけど、眼鏡ユーザーとしては光が入り込みやすいので、大柄なアイピースをオプションで出す予定はあるか?

今のところなしだけど、開発者の方に伝えたところでは検討の余地ありっぽいので、交換できるようにお願いしたいですね。


X-E1 ではファームウェア・アップデートで Fnボタンに加えて下ボタンをカスタマイズできるようになったが、追加のカスタマイズ機能はあるか?

ある。左側の4ボタンのうち下側2つ(X-E1 の AFボタン、AEボタン)がカスタマイズ可能になった。これで合計4つ。この点は X-E1 / X-Pro1 のファームウェア・アップデートでもお願いしたいところ。
ちなみに、これに「おおっー」と思っていたら、α7 の鬼のようなカスタマイズ性で圧倒されて富士フイルムもまだまだやなぁ、と思ってしまったのは内緒。ソニーも NEX-6 ではカスタマイズ性を減らすようなメーカーだったんだけど変わったなぁ。


X-E1 で微妙だったグリップ感はそっくりそのままなのか?

変わらず。微妙だ。この点はソニーの方が伝統的に良いし、片手撮りでの安心感はないグリップすぎる。まぁ手ぶれ補正内蔵じゃないのに手ぶれ補正のないレンズばかりだから、片手撮りするな!ということかもだが。
オプションの追加グリップも変わらず、X-E1 のものがそのまま使えるとのこと。あれもアレな出来だが……


鞄の中ですぐに動いてくれた電源スイッチが固くなったというが、どんなものか?

確かに固くなったが、大きく変わったというより、ほんの少し固くなった感じ。それでもだいぶ違うと思うが、なんで電源スイッチがあんなに軽かったのか、それを設計した人間を小一時間(以下略


サムグリップの上に AF-L / AE-L ボタンがあったり、Qボタンが移動したが、使いやすさ(というより使いづらさ)に変わりはあるか?

Qボタンが小さくあの場所に行ったのは個人的には微妙。それからサムグリップの上に AF-L / AE-L ボタンを押くのはホールドがずれるので個人的には納得していない。むしろ、サムグリップの上にボタンを押くなと言いたい。


AF-L ボタンの仕様に変更はあるか?親指AF は可能になったか?

基本的に変わりない。親指AF は開発者の方の頭の中に全くなかったレベルなので仕方ない。まぁ富士フイルム機を使う人で、親指AF〜とか言い出す馬鹿は俺くらいなものなのだろう。まぁ諦めているし、富士フイルムは AF でその前にやることがある(後述)


酷かった X-E1 の背面液晶がどのくらいマトモになったか?

マシにはなった。しかし晴天日中下で見ないと判らないこともあるので断言するには足りない。少なくともソニーの背面液晶(昨年今年モデル)とは見え味が全然違うレベル。十万超えるカメラなんだから頑張ってくれよー


再生画面の拡大率の制限が緩和され、背面液晶で等倍チェックが可能になったか?

従来と同じく等倍まで拡大できず。背面ダイアル一発押しで拡大されるレベルが最大のまま。
X-E1 のクソすぎる背面液晶では正確なピントチェックができずに困ったけど、X-E2 は背面液晶がマシになった分、改善されたが、この再生拡大率をケチるのもよく分からない。


とまぁ、以上長くなりましたが、自分なりのチェック項目を確認してきた次第です。

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さて、もう一つイベント会場では確認しきれないことですが、AF の挙動について幾つか確認したいことがあり、幸い富士フイルムの開発者トークイベントで AF開発担当の方が来られておりましたので、お願いしてしばしお話を伺いました。

AF についての疑問点は幾つもあったのですが、今回確認しつつお聞きしたポイントは3点。

  • フォーカスが他メーカーより後ろの被写体に抜けやすいと感じているが、その点は X-E2 で変わっているか?
    像面位相差AF 採用に伴う、フォーカスエリア内のピント位置決定アルゴリズムなどは変わっているか?

  • X-Pro1 / X-E1 の AF-C はレリーズ半押ししたらピント位置が決まってしまって動体に追従しない “なんちゃってコンティニュアス” だったが、それは変わったのだろうか?

  • 像面位相差 AF 採用ということは、当然 AF-C 時にも像面位相差 AF で動くよね?


というところ。

1点目については、X-E1 と X-E2 のフォーカスアルゴリズムは像面位相差 AF 採用に伴う変更はあれど、エリア内のどこに重きを置くかという認識アルゴリズムは特に変わっていないというお答えでした。

実際に X-E2 で撮影していても、フォーカスエリア内のごく一部(4分の1以下)しかないコントラスト強めの背景に引っ張られることが度々あって、このあたりは X-E1 同様に慎重に対処しないといけないと感じました(だからこそ、背面液晶でフォーカスチェックをしっかりやりたいのだが)。

2点目については

富士フイルムもようやく “なんちゃってじゃない AF-C ” 搭載


となりました。公式サイトにはそれっぽいことを書いていましたが(他メーカーならそんなことをわざわざ書くようなことじゃないよ)、なにせ像面位相差撮像素子搭載機の F900EXR でも AF-C は中央一点のみのなんちゃってでしたからねぇ。

(他社機の人は判らないと思うので補足しておくと、従来の富士フィルム機のコンティニュアスAF はフォーカスエリアが中央一点のみで、レリーズ半押しするまで中央の被写体に対してピントを合わし続けようとするが、半押しするとピント固定になってその後被写体の動きに AF が追従しないという代物。本来の AF-C / C-AF とは全く異なり、NEX なんかが行う常時フォーカスみたいなもの)

従来は動体を撮影しようと思うと、中央一点で被写体を追いかけて、よっしゃ!というところでレリーズ全押ししかなかったわけで、全押し一発撮りだから連写しても AF 追従はしないわ、全押しだからブレやすいわ、といった具合で、動体撮影能力ゼロ、昔のコンパクトデジカメレベルでありました。

ところが今回の X-E2 では、

レリーズ半押しでもフォーカス追従する
連写時も低速連写モードならフォーカス追従しながら連写する

という、他メーカーなら当たり前のことがようやくできるようになりました。フォーカスエリアも自由選択できるようになったのと合わせて、

動体撮影能力はようやく最低限のレベルに達した


と言っても良いでしょう。ただし、使い物になるかどうかは実写してみないと判らないわけで、昔の NEX 程度くらいにはなって欲しいものですけれど、さて…

ところが3点目。開発者に確認して判った事実ですが、

像面位相差 AF が使われるのは半押しまで一度ピントを固定するまでだけ
その後 AF 追従する間はコントラスト式 AF が使われる


とのこと。ええええーーー!?せっかく位相差 AF が使えるようになったのに、それではダメじゃん…と、思わず開発者の前で漏らしてしまったんですが、いやー、うーん、それでは追従能力が…

まぁ、富士フイルムにニコンやキヤノンのようなことは求めていませんし、ソニーレベルも求めていませんが、せっかくの像面位相差 AF なのですからそのあたりも頑張って欲しいものだと節に願います。

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それから、肝心要の AF 速度ですが、これはあまり明るくないイベント会場でしたので何とも確たることは言えませんが、自分が試し限りは

像面位相差 AF が使える明るさで、重くないレンズなら速くなったことを実感できる


という感じです。

7月のファームウェア・アップデートで一部のレンズを除けば、通常条件ではそれなりの AF 速度になったので、像面位相差 AF になったからといってビックリするほど速くなったかというと、そういった印象はありませんでした。ただし、フォーカス決定までの動きがスムースになるシーンはありましたので、色々使っていけば差が判るかと思います。

XF55-200mm のような重いレンズでは、像面位相差AF 採用でもやはり速くありません。このあたりはレンズの問題がありますから、ボディ側で高速化できても難しいところです(このことは他メーカーでも同じ)。

それよりも

ちょっと照度が落ちると、すぐコントラスト AF になる


のは気になりましたね。結構すぐに像面位相差 AF を諦めてくれます。そうなると、照度が低いだけにコントラストAF でもかなり遅い動作になるので、像面位相差 AF の場合との落差が大きくて気になりました。

ぶっちゃけ、明るい条件ならコントラストAF でも十分速い他社機はいくらでもあるので、このあたりは頑張っていただきたいというか、今日試した限りだと日陰でもアウトなレベルでは…という疑いが消えなかったので、発売後もチューニングを頑張っていただきたいと感じました。

このあたり AF には厳しい XF55-200mm を中心に確認していますので、18-55mm とか 14mm、35mm といったレンズなら違う印象を受けるかも知れません。さらに、あくまでもイベント会場という極めて限定された空間でのみ試した印象ですので、あしからずご了承下さい。

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(イベント会場でいただいたカタログセット。クロスも入っていたのは好感度↑↑)


というわけで、富士フイルム「Xシリーズ新製品デビューイベント in 大阪」に行ってきて X-E2 を色々確かめてきたレポートでした。

正直言って、買い換えたいなぁ、という気持ちは行く前より高くなりました。特に、期待はできないけど AF-C が機能的には真っ当になっただけでも、どんなカメラでもすぐ動いてるものを撮りたくなる私としては魅力的ですし、点像復元機能は欲しい機能です。

ただ、ボディを買い換えるくらいならレンズを… Touit 12mm F2.8 か 14mm F2.8 R を…という気持ちもあるので悩ましいところです。元々 35mm が自分の画角である私としては 23mm F1.4 R も魅力的ですし…

購入するかどうかは、まだこれから検討ということですが、少なくとも「今回はスルー」というような X-E2 ではありませんでした。

全部良くなってるとは言えないが、それなりに改善は進んだ


と言える X-E2 だと思います。機能的な進化だけでなく、操作性も(満足とまでは言わないが)確実に良くなっていると言えるものでした。個人的に許せなかった部分が随分解消されましたしね(笑)

今日はホント、このイベントに行って確認できて良かったと思います。富士フイルム関係者の方々には色々とお聞きしたことにお答えいただき、ありがとうございました。

P.S. あまり時間的余裕のない中、大した見直しもせずに書いて載せているので、ミスや誤解を招く記述があるかも知れませんが、ご勘弁を(時間がある時に見直して表現修正するかも…)。

P.S. 2 いま初めて知りましたが、イベント案内ページに「混雑が予想されますので、事前の予約受付をお勧めいたします」と書いてあったんですね。道理で当日受付云々とあったわけで…まぁ混雑も何もなかったように思いますが。

【追記】購入後に実際に使ってみて、本イベント時の感想との差異を記事にしましたので、そちらも合わせて参照下さい。
富士フイルム X-E2 ファーストインプレ【3】 〜発売前イベントで感じた印象と購入後の体感差

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