個人的に待望していた MapFan の Android版アプリが今週リリースされました。

電波に左右されない、オフラインでも地図が見られる/ナビ可能な「MapFan for Android 2013」登場! 〜時間とともに値段の変わるセール中、急げ!【色々追記有り】

iOS でも初代 MapFan アプリから現行 MapFan+ アプリまで愛用していて、オプションの月額課金もしています(iOS版は基本無料、オフライン地図のダウンロードや渋滞情報のみ月額課金が必要)。

Android OS では iOS 以上に Google Maps アプリの出来が良い、Google ナビの出来が良いことは誰の目にも明らかですが、MapFan は「Google Maps のサブアプリ」としてベストな特徴を備えていると言っても良いと思います。

MapFan の特徴のうち、最大の特長は地図データーをダウンロードしておくオフライン地図アプリであること。

大量の地図データーをダウンロードするので端末内のストレージ容量は馬鹿食いしますが(約 4.9GB、ダウンロード時は約 6.2GB以上の空きが必要)、基本的に地図閲覧で通信が発生しませんから

通信状況が悪くても、通信不可でも、Wi-Fi限定端末でも
安定して地図を閲覧できる


わけです。たとえ圏外であっても(or Wi-Fi版タブレットであっても)GPS 測位さえ確保できれば、現在位置を地図上でキチンと把握できるわけです。

Google Maps も地図ダウンロード&オフライン閲覧機能を備えていますが、それはユーザー指定する一定地域に限られるテンポラリなものであり、日本全国一括ダウンロードというわけにはいきません(裏技的なアプリを使えば不可能ではありませんでしたが…)

特に、自分だけでは通信ができない Wi-Fi タブレットや通信速度が低速な廉価データー通信サービスの SIM を挿している端末には最適な地図アプリです。一応、ナビも可能ですしね(Android版は渋滞情報などが得られないので、ナビはあまり高く評価できないけれど)。

さらに

Google Maps って意外と情報更新が遅い


ので、数ヶ月に一度はデーター更新される iOS版の MapFan+ は重宝しています。Android版は定期更新がないようですが、色々な高速道路が開通する来春には更新する予告がなされています。

また、Google Maps は河川名がやけに省略されているので、河川や橋の名前を把握する場合には Google 以外の地図の方が便利なことも多いので、MapFan も併用には良いアプリです。

そのような利点もあって、iOS版 MapFan+ は愛用していますし、Android版にもあれば良いなぁ…と思っていましたので、登場は大歓迎でした。

とはいえ、MapFan が Google Maps より良いわけでもなく(あくまで補完的存在)、また

Android版が出てきたのは嬉しいけど、この出来、内容は…


というところもあります。

特に MapFan for Android は定価では高額なアプリですから、激安セール価格が終わり、記事執筆現在では定価の半額とはいえ 1,700円もしますし、今後は定価ないし定価に近い価格になるようですので、マイナス点もしっかり把握して買うべきアプリです。

ということで、“iOS版から愛用し続けてる私でも指摘したくなるマイナス点” を、以下に列挙しておきます。


まずは MapFan+ (iOS版)、MapFan for Android 共通の欠点。

  1. オフライン地図でデーター量が限られているせいか、ビル名やランドマーク名は Google Maps などオンライン地図より少ない。

    以下のように Google Maps と比較した場合、同一範囲の地図を見た時に MapFan の方が多くのランドマークや店舗が出てくるのは◎。

    MapFanAndroid12
    (MapFan for Android)

    MapFanAndroid13
    (Google Maps)


    以下のように拡大しても、一見 MapFan+ の方が情報量が多いように見える。

    MapFanAndroid14
    (MapFan for Android)

    MapFanAndroid16
    (Google Maps)


    ところが MapFan は拡大率がここまでで終わりなのだが、Google Maps は更に拡大できて

    MapFanAndroid17


    このように多くのビル名まで確認することができる。一見で見える地図の情報量が多いのは長所でもあるが、実際の情報量という点では劣っていると感じることが多い。

    また、地図がゴチャゴチャして Google Maps の方が見やすく感じる人もいるだろうと思う(その点は好み。MapFan の方が昔からの日本の紙の地図っぽいデザイン)

  2. 情報量の少なさは検索して出てくる店舗、ランドマークにおける Google Maps との差で痛感できる。MapFan で検索して出てこなくて、Google Maps で検索し直して…ということは、長く使っている iOS版で何度も経験済み。
    MapFanAndroid21
    (オンライン検索とオフライン検索で分かれているのもどうかと思うが)

  3. MapFan では、ある程度広い範囲の地図を表示した時に一部の駅名だけを表示するようになっているが、その駅の抽出のアルゴリズムが変。主要な駅を優先にすべきだろうに…

    MapFanAndroid09MapFanAndroid10
    荻窪や豊島園を表示するなら中野や練馬が先だろうし(左)
    牧野駅を表示するよりまず枚方市駅だろう…(右)

    MapFanAndroid11
    (納得できる表示の時もあるのだが、郊外へ行くと変な印象である)

  4. MapFan のナビはそれなりに使えるが、見やすさ、操作のしやすさという点で無料の Google ナビに劣る。
    (ナビ専門アプリのようにレーン表示とかはないし、おまけに Android版では渋滞表示もないので、使えなくはない程度)

    MapFanAndroid19
    (地図・ナビの設定項目)


と言った具合である。

さらに、iOS版と Android版を比較すると

基本無料+有料機能だけ月額450円の iOS版に比べて
定価 3,780円なのに渋滞情報もなければ様々な機能が削られてる Android版


であり、正直言って現行 MapFan+ iOS版ユーザーからすると「これはちょっとβ版レベルじゃね?」という印象です。

MapFanAndroid08
(実際すぐに地図データーにミスがあって 2.5GB ダウンロードし直しに…)


もっとも「MapFan+」ではなく「MapFan」for Android であることから判るように、今回の Androidアプリは iOS における昔のアプリに沿った物と言えます。

昔の「MapFan for iPhone」も高い定価で売られていましたし、渋滞情報の機能も定期的な地図更新(たまに更新はあった)もありませんでしたので、それを思えば納得でき…るわけもなく、iOS 版で「MapFan+」が提供されているのに、今さら Android版では何故こんなことに…という印象の方が強いわけです。

それに iPhone の旧MapFan アプリと比べてもオンライン地図が使えないなどの劣る点はあっても優れている点はありませんし、

iPhone の旧MapFan アプリも 900円くらいで売ってることが多かった


わけですしね(震災時は無料配布もされていました)。

そういう意味では何度も書いていますが、

現状の Android版もせいぜい千円弱くらいが適価じゃないのかなぁ


と思います。あくまで Google Maps の補完的アプリとして考えれば、出せる金額にも適切なラインはあるように思います。

そして、

  • オフライン地図だが、起動して地図を表示するまでの時間が Google Maps などのオンライン地図と大差ないか遅い
    (アプリ切り替えで戻ってきた時にもタイムラグが大きい)

  • iOS版を使っている端末より遙かに高性能な Android 端末で使っても iOS版より地図のスクロールなどがモッサリ。どう見てもアプリの作りの差。

  • オフライン地図専用で、iOS版のようにオンライン地図と切り替え併用ができない

  • iOS版と違って、地図のダウンロードを地域別に選択、必要な地域だけダウンロードしてオフラインでも使えるようにして、残りの地域はオンライン地図にすることができない。Android版は全国一括ダウンロードしかできない。

    MapFanAndroid20
    (地域選択のない地図管理画面。ストレージ容量馬鹿食いの原因)

  • 地図のダウンロード先に SDカードを選べない端末が多すぎる
    (自動判別できないなら、Book☆Walker のように SDカードのディレクトリ選択をユーザーにさせなさい)

  • dtab など明確な理由なく利用できない端末がある

  • 定価が高い割には、地図の更新は半年後の1回のみ

  • 何度も書くけど、定価 3,780円と高い割には無料の iOS版と違って有料オプションでも渋滞情報などを取得することができない


といった問題もあり、ぶっちゃけ

安いセール価格で買うならオススメだが、定価で買うのは論外


というレベルです。千円以上だと私はちょっと薦めにくいですね。買うという人を止めはしませんが。

そのうち Android版も「MapFan+」が出てくれるのではないかと期待していますし、iOS版を知っている身としては「+版が出てきてからが本番」じゃないかと思っているので…

コスト的に難しいところもあるのかも知れませんが、なるだけ iOS版に近い機能とGoogle Maps を補完する地図アプリとしての適正価格を考慮してもらえたらなぁ、と思います。

iOS では往々にして Google Maps より MapFan+ を起動することが少なくない私でも、現状の MapFan for Android では「Google Maps で観た方が早いわ」ということが多いですからねぇ…

むかし、Mac で唯一のオフライン地図ソフトだった「プロアトラス」を愛用していたのに、ある年からリリース中止になって哀しかった思い出があるので、MacFan+ においても(実はあまり渋滞情報は使わないにせよ)応援の意味を込めて月額課金しているわけですが、Android版はなかなか大推薦とまではいかないのは残念なところです。

せめて、地図の地域別ダウンロードとオンライン地図の併用くらいはできるようになってもらいたいと思いますね。

MapFan for Android 2013 - オフラインで地図やナビが使えるAndroidアプリ