先日の IFA で海外発表されていた、ソニーの電子書籍端末 SONY Reader の新モデルが国内向けにも今朝発表されました。

PRS-T3S | ソニーの電子書籍 | ソニー



型番が海外の「PRS-T3」とは少し違う「PRS-T3S」となっていてブックカバーが別売り扱いになっている点が異なるようですが、その他はほぼ同じで、特徴は以下の通り。

  • 本体は薄さ 8.8mm、重さ 160g と相変わらず薄型軽量
    (これは前モデルまでも SONY Reader の良い点。SONY Reader と比べると Kindle Paperwhite は重すぎる!)

  • 新しいブックカバー(別売り 2,980円)は本体の背面パネルを外して装着することで、ブックカバーを付けても薄さ 10.8mm、重さ 200g と分厚くなりすぎない
    (これは良いね!電子書籍端末でもタブレットでも、カバー付けて分厚く重くなったら意味ない。それにカバー付けてもまだ Kindle Paperwhite より軽い!

  • ライト付きカバーは相変わらず高い(4,780円)が、今度はライトの電源を本体から供給できるようになったし、かなりスマートになった
    (今までは別途電池を入れての利用だったので重いし、面倒だった)

  • ただし、相変わらず本体にフロントライトは内蔵せず
    (これは SONY Reader のポリシーだと海外インタビュー記事で見た気がする。が、明るくないと読みにくいのも事実)

  • Kindle や kobo から1年遅れでようやく画面が高解像度化(758×1,024pixel)された

  • E-Ink 社の電子ペーパーは Kindle Paperwhite で採用された新技術「Carta」より一世代古い「Pearl」のままだが、ソニー独自改良で4時間リフレッシュなしになったらしい
    (こればっかりは使ってみないと…リフレッシュしないことで写りが残りすぎて見づらくなる場合もあるし)

  • 3分で書籍1冊分が読める充電が可能なパワーチャージ機能が搭載された
    (これはソニーらしい特徴)

  • ハードウェアボタンでのページめくり、各種操作が可能
    (これがなくなったら SONY Reader も終わりレベルの最大の良さ)

  • 内蔵ストレージ 2GB、microSDスロット搭載など、その他は現行モデル、前モデルと大差なし

  • お値段も従来通り 9,980円
    (相変わらず強気値段。カバー付きならともかく別売りだし…)


といった感じで

SONY Reader ならではの特長は残しつつ、改良してきたモデル


になっています。PRS-T1 → PRS-T2 みたいに「何が変わったの?」レベルではなく、パネルの高解像度化など「買い換えようかなぁ」と検討に値するモデルにはなっています。

ただ、ソニーのポリシーらしいとはいえ、

フロントライトなしのままでは訴求力に欠ける気が…


という気はしますね。プレミアムな部分はないのに、値段も他より高いし。

フロントライトがないのが良いんや!というソニー信者も見かけますが、店頭で見た時に、Kindle Paperwhite や Kobo glo と比べて、ぱっと見で全然インパクトが違いますからねぇ。普通の人が見かけて比較して買ってもらえるかどうか(軽くて薄いのは魅力ですが値段は高いし)

私自身、PRS-T1 → T2 と使ってきて(T1 が壊れたから T2 買ったのだけど)、フロントライトが搭載されていたら間違いなく買い換えていたと思いますが、高解像度化してるとはいえ、フロントライトなしのモデルを今さら買うのは悩ましいです。

バックライトよりは随分目への負担が軽いとはいえ、フロントライトがあると本を読む感覚とは違う、といような、ソニーやフロントライト否定派の人たちの言い分も判らなくはないのですが、やっぱり読みやすいですからね。必ずしもいつも明るいところで読めるわけでもなく、むしろ

電子書籍端末を使うのだから、少し暗めでもしっかり読める良さは欲しい


と私は思います。液晶だと目にキツすぎますが、フロントライトなら光量を適切に調整すれば、暗がりでフロントライトなしの読みにくい本を読むよりマシ、と PRS-T2 と Kindle Paperwhite 両方を使っていて感じます。

(ライト付きカバーについては、今までの冗談みたいな代物だったが、今回はまだマシになったかも知れないが…重くなるしねぇ)

とまぁ、私のことは別にしても、ソニーべったりな人には良いモデルチェンジになったのではないかと思います。友人もソニー製品で固めていて、結果 Reader Store メインで電子書籍を買っている人が二人いますが、そういう人には SONY Reader しかありませんからね。



また、Reader Store といえば、電子書籍ストアの中でも非常に買い物がしづらい、本一冊買うのに何度認証させられるんや!という糞ストアだったのですが、少しずつ改良されてきて、Reader Store も本日全面的にリニューアルしています。

ただし、試してみると判るのですが、

変わったのは見た目だけで、ソニーが一番糞な決済・認証関連はそのまま


ですね。ダメじゃん。いやホント、Reader Store ほど買いにくい電子書籍ストアはないですからね。

私自身、Kindle ストアや Book☆Walker の電子書籍購入数からすると遙かに少ないのですが、Reader Store も数十冊買っています(気がつけば紀伊國屋 BookWeb Plus での購入数を抜いてた)。ですので、新しい機能も期待してはいますが、ホント見た目より最初に決済・認証関係どうにかしろや!って感じです。

(Reader Store だけでなくソニーのオンラインショップ、αCafe なども認証関係は本当に使いづらい)

おまけに、最近リニューアルした Book☆Walker もそうですけど、トップページにガチャガチャと動く宣伝が激しいのは、本屋としてどうなんですかね。最初のぱっと見だけはよくても、何度も訪問して買うものとしては失格な気がしますが。特に Reader Store は宣伝部分がデカすぎでしょ。

電子書籍ストアは一見さん引き込むより、何度も本を買ってもらえる、思いついた時に素早く買える、多くの本を買っても使いやすい、そういったことが重要なのに、その部分を軽視しているストアがあるのは残念ですね(自分が使ってるストアにおいて)。

PRS-T3S_Release


加えて、従来は購入した書籍は SONY Reader と Android 端末、そして PlayStation Vita でのみ閲覧できていたのですが、

ようやく iOS アプリも提供予定を発表


しました。

が、Reader Store で配信される電子書籍のフォーマットは(歴史がある分) XMDF とか ドットブックとかが少なくないのですが、iOS 版アプリは EPUB3 のみ対応で、

提供予定の iOS アプリは漫画、雑誌のみ対応で、全体の数分の1しか読めない


中途半端仕様のようです(一般書籍も将来対応予定らしいですが)。

まぁ、さすがソニー、今まで海外ではきちんと iPhone / iPad アプリを提供していたのに国内ではスルー、そしてようやく対応すると思えば、これですから、

iPhone / iPad ユーザーは今後も他のストアを使うべき


というべきでしょうね。私も Android 端末が増えてからようやく Reader Store を使うようになったわけで、iPhone / iPad だけだったら絶対に使ってません。

(元々 SONY Reader を使い始めたのも、紀伊國屋 BookWeb Plus で購入した電子書籍が読めるからで、Reader Store は眼中になかった)

逆に言えば、iBook Store なんかも将来 iOS デバイス以外で読めるようになるとは思えないし、ましてや Apple のやることは SONY 以上に不透明ですから、どちらにしても

電子書籍はデバイスメーカーから中立なところで買うのが一番!


でありますね。


とまぁ、適当に書いているうちによく判らなくなってしまいましたが、新型 SONY Reader 「PRS-T3S」、悪くはないもの、速攻買い換え決定というほどのインパクトはないけど魅力はあるので、しばらく悩みそうです。

Kindle Paperwhite より早く発売されるというのも、ちょっと惹かれるところはあるのですが、新型 Kindle Paperwhite も予約しているし、ハードを無闇に買うよりソフト(電子書籍)を買った方が幸せになれそうですしねぇ…悩ましい。

ソニー、高解像度化と小型軽量化を両立させた電子書籍端末 〜iOS用リーダーアプリを提供。ストアも全面刷新 - PC Watch
話題の新製品連発に隠れて、ひっそりと新型 SONY Reader「PRS-T3」海外発表