本日は iPhone 5s/5c の発売日で、祭りの本番でした。初参戦のドコモは社長の差し入れやら渡辺謙、堀北真希を揃えてのオープニングやら宣伝にも力を入れていたようですが、孫社長はどこへ消えられたのでしょうか。

例年のような iPhone 持ち上げのツイートもしなければ、アップル発表会や発売日セレモニーにも顔を出さず、けれど月末の Android 秋冬モデル発表会には出席予定になっていますから、ドコモ参入でアップル憎しに転じて「iPhone はもう終わり、これからは Android」とかぶち上げるんでしょうか。まぁどうでもいいですけど。

いずれにせよ、これで毎年恒例の iPhone 祭りも終了。ドコモ参入という最大のネタも尽きたことですし、今後は話題性も低くなって、しばらくすれば「あの頃は盛り上がってたよなぁ」と振り返ることになるのでしょう。ちょうど、今のオヤジ、ジジイがドラクエ行列を振り返るように…

Nexus7_2013LTE48


そんなこんなで Twitter の timeline 上に並ぶ「iPhone 5s 予約完了」の文字を見て若干の負け組意識を感じつつも、私は新型 Nexus 7 LTE版を楽しく毎日使っております。負け惜しみじゃなくて、良い買い物をしたと思っています。

持ち出しタブレットを iPad mini から変更してスリム(薄さではなく幅)になった分、車内など出先でサッと出して使う頻度は確実に増えました。iPad mini は出先の、特に人目のあるところで使うには若干大きく感じていましたが、Nexus 7 のサイズはギリギリ許容範囲です(個人的な感性にすぎません)。

まぁ、iPhone もバリエーションが増えてきましたので、ここはなし崩し的に 画面比率 4:3 の 6.xインチ液晶の iPad nano とか、3.5インチ液晶の iPhone mini とかを出していただきたく(笑)



さて、前回の新型 Nexus 7 インプレ記事では初代の欠点の一つだった、やや厚め・重めだったのが見事に解決されて満足度が高まる一方、縦長になったことでやや重量バランスが悪くなったことを指摘しました。

それでもそれが些細なことであり、最初のインプレ記事でも書いたように「基本的に初代より改善された点ばかり」と感じるのは、

高精細化して断然見やすくなった新型 Nexus 7 の液晶画面の素晴らしさ


であり、尚且つ

薄く軽くなって、それでいて液晶が高精細化


されたことです。

Nexus7_2013LTE44
(ようやく “Retina” 画面に戻ってきたなぁ…という文字の綺麗さ)


初代 Nexus 7 が多少厚め重めだったとはいえ、軽量薄型化と “Retina Display” 化を両立したのは素晴らしいことですし、何かと文句言いの私もこれなら全く文句なしです!(笑)

それに

昔からの iPhone / iPad ユーザーだからこそ
液晶が高精細化される良さを実感してきた過去がある


わけで、そういう意味では「ようやく 7インチでも Retina になったか」という思いと、また iPad mini が後追いになってしまったことに少々の寂しさも感じています。

今回の初代→新型への買い換え理由の一つは、当然この高精細化された液晶画面でした。とはいえ、いくら液晶が高精細化されても、初代 Nexus 7 で一番不満だった重さ/厚さが改善されていなければ購入することはなかったでしょう。

ワークメモリの倍増 2GB 化と併せ、軽量薄型化と液晶の高精細化。初代 Nexus 7 で不満に思っていた点が見事に解消されたのですから、細かいところに指摘する点があっても

基本的には褒めるしかない二代目


であります。指摘すべき点は指摘したいと思いますし、敢えて欠点というなら値段、でしょうか…。内容に比すると決して高くないのですが、やはり初代のようなインパクトは薄れましたからね。

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(電子書籍を読むのも断然見やすくなって楽に。歳をとればとるほど判る違い :-)


いずれにせよ、重さ・薄さの改善は初代モデルを持っていて使っていてこそ判る大きな差であるのに対して。液晶画面は誰の目にもすぐ、ハッキリと判る新型 Nexus 7 の良さです。

液晶が高精細化されたところで情報量が増えるわけでもなく、反面、プロセッサの処理能力が向上しても画面が高精細化している分だけ処理量も多くなって、実使用においては速度が速くなったという印象がなくなるというマイナス面があります。

しかしながら

液晶の高精細化は確実に見やすく、目への負担も軽減


されます。これは過去の iPhone / iPad の Retina Display 化で実感してきたことです。

だからこそ、

この画面こそ、iPad mini に欲しかったのになぁ


という本音もあり、先に述べたように新型 Nexus 7 の画面を見ながら

「Retina 化の先鞭をつけた Apple には、昨年発売時から iPad mini はこうあって欲しかったなぁ…」

と今さらながらに、また思ってしまいます。もうすぐ iPad mini も二代目が出るのでしょうが、初代は所詮1年半前の iPad を小さくしただけでしたからね…。あの薄さは今でも賞賛モノですが。



ともあれ、実際に自分が高精細化された 7インチ端末を使ってみて何が一番違うか?というと

今まで 10インチクラスのタブレットでしか読めなかった/読む気が起きなかった
電子書籍の雑誌や、専門書の PDF を 7インチで読む気になる


ということがあります。

従来、雑誌や大きめ判型の専門書は元々大きなサイズの書籍をスキャンしたり、PDF に落とし込んでおり、小説のように読み手の端末サイズ応じたリフローができませんから、大きな画面で閲覧しなければどうしても拡大縮小を頻繁に行いながらでないと読めません。

ですので、10インチかそれ以上のタブレット端末でないと拡大縮小操作が多くなってスムースに読めず、とても読む気になりませんでしたが、高精細化した 7インチ液晶ならば(快適とは言わないが)拡大縮小を頻繁にしなくても読める場合も多いと感じました。

例えば、雑誌。

以下は電子書籍ストアで買った週刊アスキーですが、元々十数インチサイズの雑誌ですから 7インチの液晶画面で見ると、とても文字が小さく読みにくいです。

Nexus7_2013LTE46


ところが、iPad mini や初代 Nexus 7 のような従来の “Retina” ではない液晶画面では小さな文字が全部潰れてしまっていたのですが、高精細化された新型 Nexus 7 では全体表示のままでも文字が潰れていません。

Nexus7_2013LTE47


もちろん、拡大しないままで快適に読めるわけではありませんが、初代 Nexus 7 や iPad mini と違って読めなくはありません(若ければ割と問題なく読めると思う。オッサン以上はキツいかと)。

また、初代 Nexus 7 や iPad mini では(一段階)拡大しても写真のキャプションなど細かい文字は潰れていたのですが、新型 Nexus 7 ではそういったことはなく、少し拡大すれば快適に読めます。

このあたりは

iPad 2 → 第三世代 iPad で雑誌を読む快適さが全然違ったよなぁ…


というのを思い出してしまいました。もちろん、ウェブブラウザから何から全ての文字の見やすさが全然違うわけですが、“Retina” 液晶ならば7インチ端末で読める範囲は広がるなぁ、と感じています。

また、より判りやすい例として専門書の PDF、ここではオライリーから販売されている書籍 PDF を取り上げて、初代 Nexus 7 と新型 Nexus 7 の差を見てみます(ezPDF Reader アプリ利用)。

Nexus7_2013LTE32_DispCompareA2012
(初代 Nexus 7 [2012] の場合)

Nexus7_2013LTE33_DispCompareA2013
(新型 Nexus 7 [2013] の場合)


全体表示ではかわりにくいですが、アップにしてみると…

Nexus7_2013LTE34_DispCompareB2012
(初代 Nexus 7 [2012] の場合)

Nexus7_2013LTE35_DispCompareB2013
(新型 Nexus 7 [2013] の場合)


と、差は歴然です(ピントが甘いとか明るさが違うのは、適当に撮影したゆえですのでご容赦を)。

これだけを見ても高精細化、“Retina” 化された新型 Nexus 7 の液晶での読みやすさ、特に細かい字の見やすさが判るかと思います(ちなみに iPad mini は初代 Nexus 7 より粗いです)。

実際には、この書籍 PDF もこのままでは高精細液晶の新型 Nexus 7 でもまだ読みづらい、長時間読むには耐えられませんが、PDF の左右上下余白をカットしてやると(ezPDF Reader アプリにはそういった機能があります)、

Nexus7_2013LTE36_DispCompareC2013

Nexus7_2013LTE37_DispCompareD2013


このような感じになって

高精細な液晶なら、オライリーの専門書籍 PDF でも 7インチ端末で読める


ので、かなり便利になりました。きっと、次世代 iPad mini でもそうなることでしょう(画面比率 4:3 で少し大きいだけに、より読みやすいはず)。



というわけで、フル HD な高精細液晶の 7インチ端末はかなり良いっ!と言いたい昨今です。

今や 5インチ前後のスマートフォンでもフルHD 液晶は当たり前の時代ですから、7インチでフルHD 液晶といっても何の驚きもありませんし、新型 Nexus 7 が初めてでもありません。むしろ今年発売のタブレットなら当然でもありますが、いやはや実際に使ってみると

サイズが小さい分だけ、7インチ端末は高精細液晶が生きる


と実感しました。むしろ、これからの7インチタブレットに高精細液晶は必須と言い切ってしまいたくなるくらいです。

また、解像度だけではなく

初代 Nexus 7 とは視野角も随分改善されている


のは、少し斜めから見れば判りますし、写真を表示させても(一年間使ってきた差があるとはいえ)iPad mini や初代 Nexus 7 より新型の方がよく見えます。Retina 化されたことと合わせて、印象的には第三世代 iPad に近い感じです。

Nexus7_2013LTE24


高精細化された液晶画面を持つ新型 Nexus 7 を使い始めて1週間が経ちますが、やはり思い出すのは、iPhone 3GS → 4 に機種変した時、そして iPad 2 → 第三世代 iPad へ買い増した時。

買い換えた新機種に少しに慣れてから旧機種を見ると、あまりの液晶の差、文字の汚さに「これはもう戻れん!」と強く実感したことを今でも思い出します(特に前者。後者の iPad 2 → 第三世代 iPad は良いことだけではありませんでしたので)。

Nexus 7 の初代→二代目の差はそれらほどではありませんが(解像度も 1280x720 → 1920x1200 pixels で倍増ではない)、やはり明らかに色々と違いますし、慣れると元に戻れません。というか、初代 Nexus 7 だけでなく、

いくらフォントが綺麗/レンダリングが巧くても、もう iPad mini の画面は…


です。iPad mini の画面を見ると、文字がやたら汚く見えるようになってしまいました(それ以上に見る気がしなくなったのは Acer ICONIA W3-810 の糞液晶 X-)。

だからこそ、そういった思いとともに

“Retina”化は Apple が先鞭つけていったのに
7インチクラスでは完全に後追いになってしまったなぁ


と少々哀しくなってしまうわけです。まぁ現状を反映しているとも言えるわけですが…

昨今は Apple 製品はスペックで買うものじゃないよ的な論調も見かけるものの、iPhone / iPad 登場でなく、パソコンでも MacBook Air のような時代をリードしてきた製品が次々生み出してきた '00年代の Apple は、そんな言い訳をする必要のない先進さがありました。

そういった時代をリアルタイムに見て、買ってきただけに、仕方ないとはいえ、いささか複雑な気分になるわけです。

ま、私は(多少の)ファンであっても信者ではないので、自分で使う道具に関しては冷静に判断して Apple 製品にこだわらずに自分に見合ったものを買っちゃいますけど。


いずれにしても、iPad mini も来月か再来月には Retina Display 化した二代目が出ることでしょう。高精細液晶な新型 Nexus 7 を使ってみて改めて、iPad mini も Retina Display モデルが本命であると感じます。

と同時に、

Retina iPad mini では、くれぐれも第三世代 iPad の轍を踏まないように


してもらいたいと思います。Retina Display 化したからといって重く厚くなるのは勘弁です。


新型 Nexus 7 (2013) LTE版 ファーストインプレ【1】値上がりしたけれど、ほぼ全てが良くなった一品
薄く、軽く、掴みやすく、洗練された…けれど重量バランスは微妙 〜新型 Nexus 7 (2013) LTE版 ファーストインプレ【2】