X-E1 の望遠レンズがなかなか出ないので、つなぎの意味で購入した Nikon 1 V1 + 1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6。

300mm 域までカバーする EVF 付きの望遠レンズセットなのに小型軽量で、当初買った理由と関係なく、軽量望遠セットとして愛用しています。過去記事でも何度も取り上げました。

XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS を買ってからしばらくは出番がなくなっていましたが(というか、存在を忘れていた時期も…)、酷暑が続く今年の夏は出歩く時の荷物も少しでも軽減したいので、

「望遠レンズも持って行きたいな」
→「高感度は糞だけど昼間専用で Nikon 1 セットで行くか」

ということの多い昨今です。いやホント、マジでこのサイズ感、軽さは助かります。そして何より

ミラーレス機で唯一動きものを狙える AF


というのは有り難い存在です。

そういうこともあって、繋ぎのつもりで「ちょっと試してみたい」程度で買った Nikon 1 ですが、ずっと気に入っています。特に 30-110mm はこのサイズで 300mm 域の望遠レンズというのは素晴らしく、XF55-200mm 単体よりもずっと軽いので、画質面には目をつぶってでも出番は多くなっています。

もっとも、その目をつぶる画質の方はコンパクトデジカメとは比較しては失礼なレベルとはいえ、

ISO 800 でダメダメになる高感度の酷さ


だけは使っていて一番ストレスの感じる点です。

同じ1インチセンサーの CyberShot RX100 を使っていて、そちらはある程度の高感度でも使えなくはないもので(ISO 1600、時には 3200 でも我慢できる画質)、Nikon 1 の高感度画質とは2段くらい差があると感じていました。

これについては手持ちの V1 だけでなく、次世代の V2 / J3 / S1 あたりでも大差ない状況ですので、やはりセンサーの差、同じ1インチセンサーでも Nikon 1 は Aptina 製と言われていて、一眼レフのように SONY 製のセンサーを使っていないからだろうなぁ…と、素人ながらにも感じざるを得ないところです。

そういうこともあって、Nikon 1 が好きなユーザーであれば

「Nikon 1 次世代機では RX100M2 のセンサー、せめて RX100 のを使ってくれ〜」


と思っている人は私だけではないでしょう。

今秋〜今冬くらいにまたモデルチェンジするだろうから、その時は頑張ってソニーと折り合って、是非 RX100M2 のセンサーを使って欲しい。そうしたら高感度画質も劇的改善、Nikon 1 の動体撮影能力もキッチリ生かせるようになるはず…

などということを、お盆前に改めてツイートしたら、その日にこんな発表が。

ニコン、14年3月期の純利益500億円 予想比150億円下方修正:日本経済新聞
‎2014年3月期 第1四半期 決算説明会 (PDF)

このニコンの決算説明会の資料には以下のようなことが書かれており、Nikon 1 についてはかなり衝撃的な言葉があります。



レンス交換式カメラと交換レンズの市場(出荷台数ベース)は前年比 二桁%縮小したが、当社の販売台数は一桁%の減少にとどまった。 コンパクトタイプの市場は約半減、当社も 3割減を余儀なくされた

◆事業環境の変化(前回予想比)

・米州・欧州・アジア(中国除く)のカメラ市況は、通年に渡り想定を下回る見通し
・中国は、下期に想定していた景気回復が遅れる見通し
・コンパクトの市場縮小は想定以上
・ノンレフレックスは、市場拡大かが急減速
・市中在庫の正常化は想定より遅れているが、下期には在庫調整が進み、価格下落が緩和する見通し

◆ 環境変化に対するニコンの施策

・販売台数・シェアは追わず、下期にかけて営業利益率を改善する
・一眼レフは、エントリークラスで新製品へのシフトを加速
・Nikon 1(ノンレフレックス)は、商品計画を見直す。今期のレンズ交換式カメラを55万台下方修正するが、その大半はNikon 1
・コンパクトは、新製品の開発計画を見直す。過去数年はシェアを拡大してきたが、今期の販売計画は市場以上の減少幅とする。利益水準は今後も確保していく計画


Nikon 1(ノンレフレックス)は、商品計画を見直す。今期のレンズ交換式カメラを55万台下方修正するが、その大半はNikon 1

株主に対するこの説明を見る限り、ニコンはとても軌道にのってるとは言いがたい、はっきり言えば利益のあがらない Nikon 1 を大きく軌道修正するつもりであり、下手するとフェードアウトさせる可能性すらある。

販売台数 55万台の下方修正の大半が Nikon 1 シリーズと言うことは今年度はもう Nikon 1 の新機種を出すつもりがない、もしくは J1→J2 のようなマイナーチェンジだけのつもりだろうか。

いずれにしても、全く先行きが不透明に(暗く)なってしまった Nikon 1。

Nikon 1 が好きな私もハッキリ言って

そりゃ(ニコンが満足するほど)売れないのも道理だよなぁ


と思っています。ミラーレス機を買う主たる層がマイクロフォーサーズや NEX あたりと比べて Nikon 1 に魅力を感じる点がどれほどあるか?というと、殆どない、と思います。

ファイナルファンタジー
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(ボディだけでなくレンズ鏡胴部までカラバリを揃える実直さは素晴らしいけど…)


私自身が Nikon 1 に魅力を感じている点、Nikon 1 が他のミラーレス機より優れている点と考えている、動体撮影能力や望遠レンズのサイズ感というのは、多くの人が優先的に魅力を感じる点ではないでしょう。

多くの場合、望遠は二の次。主に広角〜中望遠域がメインですし、AF-C の動体撮影能力より AF-S での迅速な撮影能力があれば十分。それよりもデザインであったり、魅力ある宣伝であったり、(買わないとしても)レンズの種類であったり、そして何よりも価格。

画質面はマイクロフォーサーズと比べても高感度はからっきしだし、高感度以外の画質でも負けている。ボケる安価な単焦点レンズも殆どない。そして、最近のマイクロフォーサーズのレンズはさらに軽くて小さくなってきている。

となれば、Nikon 1 の在庫が積み上がっていても不思議ではありません。旧来のニコンユーザーに訴求できても(できていないけれど。少なくとも欧米市場では)、そんなニッチなレベルでは話にならないでしょう。

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(売れない初代ボディと売れない馬鹿デカレンズのセット)


Nikon 1 をスタートして2年近く、初代モデルの在庫が未だあちこちにあり、かといって魅力あるように思えるものでもないのが現在の Nikon 1 の現状でしょう。

現行モデルは他のミラーレス機に比して、画質的に不利な点があっても値段的に優位点があればともかく、全くそんなこともありませんからね…

ニコンの決算説明会での Nikon 1 の大幅見直し表明は、かなり Nikon 1 を気に入ってる私としてはちょっとショッキングですが、冷静に考えれば当たり前のことでもあります。

とはいえ、ちょっと色々と言いたいこともあるので、もう一言(一回)続きます…


Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 (ニコンワン) V2
Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 (ニコンワン) V2

(良いカメラではあるが、レンズ込み10万で乗り換えるには画質改善がない…)