このところ ICONIA W3 絡みの記事ばかりなので、またかという感じですが、お盆ウィークに入って特にネタもないし(幾つか紹介してないお買い物はありますが)、購入して一ヶ月経ったこともあるので、ICONIA W3-810 ファーストインプレの総括的な話を2〜3回に分けて、つらつらと書いてみます。

Acer ICONIA W3-810 (Atom Z2760/2G/64G eMMC/8.1/Win8(32)/OF2013H&B/シルバー) W3-810
Acer ICONIA W3-810

(値段も少しずつ下がりつつある)


今回は ICONIA W3-810 そのものについて一ヶ月使ってきた印象をまとめてみようと思いますが、とにかく

ダメ元のお試しで買ったつもりが、すっかり愛用の日常利用機


になっています。

過去記事で何度も書いていますが、

純粋にタブレットとして使うなら、現状の Windows 8 端末は糞


でしかありませんが、状況に応じて外部キーボードと組み合わせて使うことで

タブレットっぽくも使える Windows ミニノートPC としては意外と有りだった


というのが正直な感想です。タブレットともパソコンとも言えない中途半端さも、使いようによっては良い感じです(あくまで私の使い方での印象)。

そんな ICONIA W3-810 を自分が大いに気に入った点を改めて考えてみると、2点あると思います。



ICONIA W3-810 を思いの外、気に入った理由の1点目は、このサイズ感

Windows 8 タブレット初の 8.1インチ端末という、実用になるかどうか不安な、初物ネタ勝負的な思いで買ったのですが、大正解でした。

Windows パソコンとしては見ると液晶サイズ 8インチは実用限界ギリギリですが、やっぱりこのサイズというのは(重くて分厚くても)持ち出そうと思えるサイズで、それが私にとって愛用する理由になりました。

逆に言えば、これ以上小さいと Windows パソコンとしては実用にならないと思えるので、将来 7インチ Windows 8 端末が出てもスルーすると思います。少なくとも当面は従来型 Windows デスクトップアプリも使わないとソフトが足りないですし、それを 7インチ液晶で使うのは厳しいと感じます。


また、従来からある 10/11インチ以上の Windows 8 タブレット、ハイブリッド機を買ったとしても、きっと持ち出すのに躊躇していたでしょう。そんなに大きな端末を持ち出すなら、今まで通りの使い慣れたノートパソコンで良いじゃん!となります。

特に私の場合、パソコンは Mac ですから(再インストールが面倒な Windows はスナップショットが取れる仮想環境上で使う主義)、大きなノートパソコンもどきを持って行くなら MacBook Air で…となっていただろうことは、以前 9.7インチの iPad の時を考えれば想像がつきます。

自宅でもパソコンとして使うならデスクトップ機を使った方があらゆる点で快適ですし、タブレットとして使うなら iPad / Android を使う方が断然良いわけで、iPad も dtab もあるのに半端な Windows 8 タブレットが出る幕はありません。


そう思えば、これだけ ICONIA W3-810 を気に入ったのも

持ち出せるサイズの Win8 タブレット(+ミニノートPC代わり)


だったからでした。事実、購入後 ICONIA W3 を使っているのは9割方、出先です。

RBK-3000BT18


とはいえ、そうはいってもキーボードケースの類いがなくて、ノートパソコンのように車内などでラップトップ(膝の上)な使い方ができませんから、状況に応じてノートパソコンや iPad mini + Logicool TM710 の組み合わせを持ち出す時と使い分けています。

ICONIA W3-810 をマトモに立て掛けて使えるキーボードは純正キーボードだけですが、以前の記事でも書いたように純正キーボードは馬鹿でかいだけではなく、国内販売時にキー配列が最低に改悪されているので使い物になりません。

純正キーボードだけは役立たずの金ドブでした。ホントに「エイサージャパンも人の記事をファボってる暇があったら、アフィリエイト踏んで買い物しまくってキーボード代を弁償しろや!」と言いたくなるくらいです(冗談じゃなくて ;-)。

そういったことがあるので、持ち出し用タブレットであった iPad mini を完全に置き換えるようなことはありませんし、タブレットとしての出来はハードにしてもソフトにしても月とスッポン、比べては iPad mini に失礼なくらいですが、やはり同じようなサイズで有りながら「パソコン」である便利さには抗しがたく、iPad mini を持ち出す出番は確実に減りました。



サイズ感とは別にもう一つ、ICONIA W3-810 を気に入って常用できている大きな理由があります。それは

現行 Atom (通称 Clover Trail)って結構使えるじゃん!


ということ。これは実際に使ってみて一番驚いたことでしょうか。

ICONIA W3-810 は小型・低消費電力のために、ノートパソコンで主流の Core i プロセッサではなく、非力な Atom プロセッサ(Z2760)を使っています。

Atom といえば、登場した頃にネットブックで採用されて一大ブームになったわけですが、私も EeePC 901-X を始め何台かのネットブック、そして初代 VAIO P も使ってきて、その非力さは十二分に実感してきました(恩恵もあったけれど)。

当時の Atom プロセッサは、実用にならないわけではないが、それなりにストレスを感じつつ割り切って使うモノ。それが Atom 搭載機の宿命だと思っていましたから、ICONIA W3-810 を買う時にもそれを覚悟していました。

メモリも現行 Atom 機は 2GB しか搭載できないですし、Windows も 7 以降は随分とメモリ食いが解消されたとはいえ、メモリ 2GB で使うのはかなりギリギリです。


ところが、実際に ICONIA W3-810 を使ってみると、確かに速くはないですし、決してキビキビ動くこともないのですが、

意外なほど普通に使えるレスポンス


でした。正直、驚きました

もちろん、負荷のかかる作業をやらせれば処理速度的に厳しいですし、コストダウンのせいか内蔵ストレージのアクセス速度はかなり遅いので、ファイルアクセスの多い作業はかなり待たされます。

それでも往時のネットブック、初代 VAIO P を Windows XP / Vista で使っていた時のモッサリ動作に比べると、雲泥の差。かなり普通に Windows パソコンとして使えるようになっています。オフィスソフトも重量級ファイルでなければ、普通に開いて使える。

WedgeTouchMouse10


また、それと同時に、Windows 機でこの小型サイズであるのに、

バッテリーが良く保つ


のも印象的。ICONIA W3-810 を使うのは、ほぼ出先で、6〜7時間使った時もまだ残量は 20% ほどありました。そんなに省電力設定をしているつもりはないのですけれど、バッテリー的に不満を感じることはありません。

(USB 充電不可で専用 AC 充電器が必要なのはちょっと厳しいですけどね…)

ま、ICONIA W3-810 における一番の不満点、欠点である分厚さ、重さが、このバッテリー駆動時間を実現しているのでしょうから、そういう意味ではそう簡単に文句も言えないわけですが…


いずれにせよ、Atom プロセッサ搭載なのに “普通に使える具合” が、ICONIA W3-810 常用していることに繋がっているのは間違いありませんし、

このサイズで普通に使える Windows 機でありながらバッテリーも良く保つ


というのを実感すると「今の Atom プロセッサーは結構良いチップなんだなぁ…」と思わざるを得ません。

今回の ICONIA W3-810 で

過去の経験から持っていた Atom へのネガティブイメージは消えた


ですし、現行 Atom(Clover Trail)がこれだけやれれば、上限 2GB のメモリ制約も外れ、同消費電力で CPU も GPU も大幅に強化される次世代 Atom(Bay Trail)を積んだ端末には、否が応でも期待せざるを得ません。



という感じで、気に入って常用している ICONIA W3-810 ですが、色々と好意的なことを書いてはいるものの、今のところは

所詮キワモノ製品


なのは事実であり、おいそれと他人に勧めたりできませんし、自分自身がこれほど気に入っていてもこの一ヶ月誰にも ICONIA W3-810 を勧めたことはありません

まぁ、思った以上に興味を示す人もいないのですが(笑)

8インチという画面サイズはタブレットとして使うには程良いサイズですし、Windows パソコンとしてもギリギリ使えるサイズだと思いますが、やはりかなり小さく、決して使い良いとは言えません。昔のミニノートPC がニッチな存在であったのと同じです。好き者だけの世界です。

また、ICONIA W3-810 というハードウェアは

7〜8インチの小型タブレットとして見た場合、論外の重さ分厚さ


であり、その点でも人に勧められるものではありません。エイサーというメーカー/ブランドを置いといても、この重さ、分厚さではタブレットとしては話になりません。

またソフトウェア面でも、メトロ UI を採用して大きくタッチパネル志向になったとはいえ

実際に使ってみると Windows 8 のタブレット最適化は中途半端もいいところ


であります。Windows 8.1 での改良項目を見ていても、タブレット向け OS としての Windows 8 は公開β版だったんだな、と感じます。

そして過去記事でも書いたように、タッチパネル操作に向いたメトロ UI を使った Windows ストアアプリの少なさは言うに及ばない状態です。日本語に対応したアプリの数は想像以上に悲惨でした。


そういったことを使って実感するにつれ、ハードウェア以外の点についてはエイサーが悪いわけではありませんが、

ハードもソフトも環境も、あらゆる未成熟


なのが Windows 8 タブレットだなぁ、と感じます。やっぱり現状はキワモノ製品、好き者だけに向けた製品、安易に人に勧められることのできない製品です。

ICONIA-W3_25withKindle1


ただ、私個人としては、話が別です。そういったネガティブな点はあるにせよ、

ミニノートPC 好きだった私にとって、久しぶりに楽しい製品


であり、実用面と趣味面の両方満足させるデバイスで、今年のお買い物の中でもトップクラスの「買って良かったわー」と言える一品でした。

そして、この一ヶ月間使ってきて、Windows 8 もアプリ環境も ICONIA W3-810 自体も未成熟だけど

この先の Windows 8.1 +次世代 Atom 搭載タブレット機は期待できるかも!?


と思っています。正確に言えば、期待したい。期待を実現して欲しい。

先にも書いたように今の処理速度も(多少割り切れば)大きな不満はありませんが、次世代 Atom では同等の消費電力で大幅な処理速度向上を図ると言われています。

また、Windows も 8 では 1,366pixels 以下の解像度も小型画面もマイクロソフトの想定外でしたが、8.1 では ICONIA W3-810 程度の画面でも快適に使えるように改善が加えられるのも朗報です。

この秋〜冬には Windows 8 小型タブレットというものに対して従来よりずっと良い環境が整います。となれば、他社の参入も期待したいですし、もっと使い良い、薄くて軽くてバッテリーも保つ 8インチ Windows 8 端末が出てくれるのではないかなぁ…なんて妄想しています。


無論 Windows 8 タブレットが今から iPad (mini) や Android タブレットに対抗できるほどシェアが取れるとは思っていませんが、

個人的には今後 Windows 8 タブレット端末を使い続けていきたい


そう思わせるものはありました。ICONIA W3-810 も次期プラットフォームの新機種が出るまでは愛用し続けるのではないかと思っています。

現状ガジェットヲタ向けという感じは否めませんが、それでも

パソコンとして使える Windows 8 タブレットも意外と良いね


というのを日々実感しつつ使っている ICONIA W3-810 だったりします。