前編記事では、せっかくタブレットとしても持ち歩いて使おうという気になる ICONIA W3 なのに、とにかくタッチ操作に適したメトロアプリが少なくて、タブレットとして微妙すぎること、そして従来からの Windows アプリの存在がメトロアプリの増加を防ぐ一因になっているであろうことを書きました。

アプリがなくて使いづらい→使いづらいから(タブレットとして使う)ユーザーも増えない→アプリが増えない…

の悪循環が起こっているわけですが、鶏が先か卵が先かにしても、そこが判っていながら打破する努力を欠いたマイクロソフトの自業自得とも言えるわけです。

そして、もう一つの要因として感じるのが

タブレットとして使いたくなるハードウェアがなかった


というのもあるでしょう。ICONIA W3-810 を使ってみて、やっぱりタブレットとして持ち出して使うサイズはここらが限界。

もちろん、10インチクラスのタブレットを否定するわけではなく、私自身、初代 iPad から使ってきて今の dtab を毎日使っているわけですが、10インチ以上しかない、Windows 8 タブレットをその方向へ持っていったことは、今のタブレット市場を見ればマイクロソフトの明らかなミスです。

Windows 8 端末を純粋にタブレットとして使いたくなるサイズ感をもった製品を出させなかったこと、メーカーがノートパソコンとのバイブリッド機やノートパソコンとしても使えることを前提にした機種しか出さなかった(出せなかった)ことが、今なお Windows 8 がタブレットとして使いづらい状況にある一因であると感じています。



Windows 8 が発売された昨年は、日本のみならず多くの市場でタブレットの時流が 10インチクラスから 7インチクラスへ移動していこうとする時でありました。その時期に Windows 8 では解像度を縛り、10〜11インチ以上を基本にしてしまいました。

確かに Windows 8 をパソコンとして使おうとすると 10〜11インチの画面は最低限必要でしょう。私自身、この半月以上 ICONIA W3-810 を毎日のようにキーボードと組み合わせて使っていますが、正直 8インチ画面は外部キーボードと組み合わせても Windows 8 デスクトップアプリを使うのは必ずしも使い心地は良くありません。

ですから、マイクロソフトが Windows 8 リリース時にある程度縛りを設けたことも理解はできますし、各メーカーから出てくる端末が 10インチ以上(多くは11インチ以上)の画面を持つ製品ばかりというのも判ります。

しかし、それでは永遠に Windows 8 がタブレットとして成功しないのも、また事実。

ICONIA-W3_22KeyMouseDVD1
(これだけ広げてパソコンとして使うならノートPCの方が良いけれども…)


前回記事ではタッチ操作に適したメトロ UI のストアアプリが増えない要因として、メトロアプリがなくても/足りなくても、従来の Windows デスクトップアプリに“逃げられる”こともあると書きましたが、ハードウェアでも同じことが言えます。

Windows 8 のタブレット端末を見ると、ノートパソコンだけれども液晶部分が外れたり回転してタブレットとして使える製品(ハイブリッド機)や、マイクロソフト謹製 Surface のようにキーボードとの組み合わせを売りにするものが殆どです。

国内メーカー製品で「俺は Windows 8 タブレット!」と割り切ってるのは、ARROWS Tab くらいでしょうか。ARROWS は従来も Windows タブレットを作り続けてきていますし、タブレットのみならず ARROWS は富士通らしさの象徴で(買ってないけど)頑張ってもらいたいところです。

富士通 ARROWS Tab Wi-Fi WQ1/J Windows8搭載タブレット(10.1型ワイド/Atom/2GBメモリ)Officeなし(FARWJQ1N_Z172)富士通直販WEBMART専用モデル
富士通 ARROWS Tab Wi-Fi WQ1/J Windows8搭載タブレット 富士通直販WEBMART専用モデル

(ARROWS Tab も直販廉価モデルは随分と安くなった)


いずれにせよ、ハイブリッド機なんていうのは結局のところノートパソコンであり、タッチ操作に適したアプリが殆どない状況では

「やっぱり Windows 8 はノートパソコンとして使った方が便利だよね」

となるのは目に見えているわけです。

そして、メトロ UI アプリを探して使う人は少なく、手持ちの Windows デスクトップアプリを従来通り使っていれば、ハイブリッド機なんて言っても、タブレットはオマケでしかありません。

だいたい、マイクロソフト自身が

「Windows 8 はキーボードと使ってね、それが Windows 8 の優位点だから」

と Surface をキーボードカバーとのセットで売り出している時点で、本気でタブレットとして使い良い環境を整えようと考えていたのか疑問なところもあります。

また、Windows 8 はちょっと設定をしようと思ったらすぐに Windows デスクトップ上のコントロールパネル内に飛ばされるという中途半端な状況で、Windows 8 自身がメトロ UI で使うことに最適化されていない状況です。

ICONIA W3-810 を購入して、パソコンではなくタブレットとして Windows 8 を使ってきて

タブレット用OS としての Windows 8 はプレビュー版みたいなもの


だったように感じます(設定でデスクトップのコントロールパネルに飛ばされまくるのは Windows 8.1 で随分と改善されているようです)。

ICONIA-W3_25withKindle1


まぁ本家本元が OS にしろ、自社ハードにしろ、そんな姿勢ですから、サードパーティ・メーカーが

Windows 8 がタブレットとして成功する見込みなんて微妙だし
安全にノートパソコンとして売って、タブレット機能をオマケとして付けとくか


となったとしても当然です。

当然ですが、そうなると何度も書いているように、

ノートパソコン的なスタイルで使うなら必ずしもメトロアプリは必要ない
→ タッチ操作に適したメトロ UI のアプリは使われない、増えない
→ タブレットしては使いづらいまま
→ Windows 8 タブレットはニッチ、オマケのまま

の悪循環となるわけです。

その循環をどこかで打破しなきゃならないわけで、それが Windows 8.1 での推奨環境緩和であったり、その先兵たる ICONIA W3-810 なのかな、と思います。今さら、というのはあるにしても、やらないよりはマシ。

少なくとも私は ICONIA W3-810 を使っていて、Windows 8 のタブレット利用での使い勝手の悪さ、メトロアプリの少なさを実感するに従って、

1年前に ICONIA W3 みたいな端末が出ていたら
ほんの、ほんの、ほんの少しでも変わったかもしれないなぁ…


と思うのです。他のメーカーも追随したかもしれないし、もっと良い 10インチ未満の端末が出ていたかもしれない。

もちろん、マイクロソフトが Windows 8 端末の用件に強い縛りを与えてしまったことが根本的な問題としてはあるでしょうから、Windows 8.1 で緩和される条件を最初から与えておけば良かったのに、と思います。



私自身も今さら 8インチクラスの端末が出たところで、Windows 8 がタブレット市場で大きなシェアを獲得できるとは考えていませんが、この半月少々 ICONIA W3-810 を使ってきて

タブレットとしても使える Windows 8 端末も悪くない


と本気で思っています。

ちょっと重く分厚いけれど持ち歩けるタブレットとしても許容範囲内だし、従来の Windows デスクトップアプリが利用できるパソコンとしても使える、一石二鳥な端末なのか?

タブレットとしては重く分厚く使い勝手も悪く、パソコンとしても画面が小さく速度も遅くて使いにくい、どっちつかずの中途半端な端末なのか?


という命題に対して、私は将来の希望込みではあるものの、前者「一石二鳥な端末」「一石二鳥になれる端末」だと思っています。

少なくとも現状は後者と判定されても仕方のないところが大いにあるにせよ、来年には前者になれる、と思っています。ハードウェア的には実現できるだろうし、そうすれば少しはメトロアプリも増えて、ソフトウェア的な環境もマシになる…と期待したい。

iPad mini 16GB Wi-Fiモデル ホワイト&シルバー MD531J/A
iPad mini 16GB Wi-Fiモデル ホワイト&シルバー MD531J/A

(タブレットとしての使い勝手は iPad mini の足元にも及ばないが…)


現状はタブレット端末として見た場合、iPad や Android より Windows 8 端末が良い点なんて全くありません。全く、です。ICONIA W3-810 自身もタブレット端末としては iPad mini / Android タブレットと比べれば良い点は皆無

Windows 8 タブレット端末にしろ、ICONIA W3-810 にしろ、利点は Windows デスクトップアプリの使える純粋なパソコンであること。そして、それがタブレットとして使えること。でもタブレットとして見た場合は、何も利点はない。

だからこそ、Windows 8.1 でハードウェア要件も緩和されたなら、金太郎飴のような 10〜11インチのハイブリッド型ノートパソコンだけでなく、もっと個性的な端末も、ICONIA W3-810 のような小型端末も出てくるだろうと期待しています。

それに Windows 8.1 から時を待たずして、Windows を搭載しつつ小型化&廉価にするための Atom プロセッサ&プラットフォームも刷新されます。今までは消費電力削減が主でしたが、今年後半予定の次期プラットフォームでは消費電力は同等以下で大幅に処理能力が改善されます。

何よりも現行プラットフォームでは搭載メモリ 2GB 固定という大きな制約がありましたが、それも外れるようですから、使い勝手も相当良くなるはずです。

今の ICONIA W3-810 は決して完成度の高い端末でもないし、不備不満は山のようにあります。けれど、今でも実用に使えていることを思えば、今年末から来年にかけての

Windows 8.1 + 次期 Atom の組み合わせによるタブレットは楽しみで仕方ない


ですね。少なくとも、この先の変化に全く興味が持てない iPad や Android よりもずっと興味が持てます

妄想としては、できればソニーあたりが次期 Atom で本気出して小型 Window 8.1 端末を作ってくれれば、8インチでフルHD だけど薄く(8mm 前後)軽くて(400g以下)、バッテリー駆動も実働10時間、なんて端末が作れると思うのですが…今のソニーはそこまで手を広げるのは無理か(´ω`)

パナソニック CF-AX3WEABR Lets note CF-AX3シリーズ
パナソニック CF-AX3WEABR Lets note CF-AX3シリーズ

(Let's Note AX はハイブリッド機として非の打ち所がない良いマシンだけどね)


いずれにせよ、Windows 8 リリース時におけるマイクロソフトのタブレットへのアプローチは失敗だったと思います。一年近く経ってこのアプリの少なさ、それに伴う使い勝手の悪さは、言い訳のできるものではないと思います。

しかし、良くなる可能性は十分にあるし、他にないパソコンとして使えるタブレットとして成り立つ可能性もあると思います。

今の御時世、パソコン無しでできることが多くなってきたので、そういった“ハイブリッド”な使い方のできる端末がどれだけ必要とされているのか、広く普及するのかは微妙ですが、未熟だからこそ将来に期待できる楽しみはあります(ヲタ的発想だけど ^^;)。

ICONIA W3-810 を使い始めて、現状の Windows 8 タブレット環境に文句言いつつも、これからこそ面白くなりそうなジャンルだな、と思っている私だったりします。iOS や Android はもう完成されちゃったからね…


とまぁ、ICONIA W3 用にモバイルキーボードを新調しましたので、それの評価も込みで取り留めもなく糞文章をタイプしてきたわけですが、そういうことですので特にオチも結論もなく、チラシの裏が如く、こんなところで。