先週書いた XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS のファースト・インプレッションの前編中編から10日間も開いてしまいましたが、後編であります。

前2回の記事では

「高い!デカい!重い!」
「手ブレ補正はよく効くし、AFも速くなったが、AF-C は相変わらず飾りだね!」

と文句多め(ばかり?)に書いてきましたので、このまま後編を書かずに終わると結構批判的に感じてると思われてしまいますが、実際には

ミラーレス機の望遠レンズとしては数少ない満足画質だし
手ブレ補正はよく効くし、AF-S なら高速かつ精度も良い


わけでですから、満足してんのか?してないのか?と聞かれれば、「まぁ(やむを得ず)満足してますよ…」という感じです。

また、「高い!デカい!重い!」とはいえ、それは事前に判っていたことでもありますし(それでもデカく重いけど)、そのことで期待のハードルも上がっていたわけですが、

事前の高い期待に違わぬ写り


でありますから、重いだのデカいだのと文句はあるけど、文句を言い切れないレンズでもあります(^_^;)

Oumijima Island and Fukagawa Bay, Nagato City (10)


それに、ミラーレス機の望遠レンズとしては「高い!デカい!重い!」といっても、元々 X-Pro1 / X-E1 なんてのを買う輩は(妙に)こだわったユーザーしかいないわけですから、

数奇者しかいないであろう Xマウントユーザーの嗜好にあったレンズ


と言えるように思います。サイズなんかよりも画質最重視だったのは適切な判断だったと、文句言いつつも思います。

それに X マウントのボディはファインダー付きばかりでしたから(過去形)、ちょっとやそっと重いレンズでも問題ないですしね…

ただ、X-M1 登場でどうなるんでしょうかね。来年 XC50-200mm F4-5.6 OIS なんてのが出るんでしょうか。

XF55-200_12
(元々どれ一つとして、コンパクトなレンズなんて無い Xマウントですしね…)


ぶっちゃけ、サイズ的に XF55-200mm を付けた X-E1 の取り回しはミラーレス機の感じではなくて、「なんのためにミラーレス機を使っているのかなぁ…?」と疑問に思うこともあるのですが、実際撮ってみると

「軽さのためのミラーレス機ではなく、出てくる写真の質のためのミラーレス機」

という Xマウント本来の魅力にも気づくわけです。この絵を望遠レンズで撮るためには、しゃーねぇなぁ…と。

スペック的にはミラーレス機によくある 55-200mm ですが、

梅雨のさなかの湿気が多い空気だからこそ、ヌケの良さが光る


レンズって感じです。下手糞が言っても説得力がないですが、下手糞でも判るレベルということで :-D



とにかく、この時期はどうしても湿度が多く、特に梅雨らしい曇天の日は遠景はボンヤリしがちです。遠景だけじゃなくて、ちょっとした先でも靄って微妙な写りになることが多々あり、こういう条件でこそ、レンズの差が如実に出ます。

cloudy Tsunoshima Bridge (3)

the ship of JMSDF at Maizuru Port (3)


私自身、ミラーレス機向けの同じような焦点距離域のダブルズームキット的な望遠レンズ、オリンパスのマイクロフォーサーズ向け 40-150mm、NEX用の 55-210mm、パナソニックの 45-200mm(これは望遠側がもっと長くて XF55-200mm に近い重さのレンズですが)といったレンズを使った経験がありますが、それだけに

ああ、他社のミラーレス用 55-200 クラスとは違うなぁ…


というのは、ド素人でも一目瞭然。

それでも「このデカさ、重さ、そして値段の高さなら、相応の写りで当然!」ではあるのですが、

悔しいけど、糞重くてデカいだけあるわ〜っ


と半分逆ギレしながら、納得するのであります(^_^;)。手ブレ補正もよく効くしね!

Oumijima Island and Fukagawa Bay, Nagato City (6)


ただ、画質面ではレンズに不満がなくてもボディ側に対して、

「こういったレンズを用意するならボディ側ももうちょい頑張れよ…」

的な思いもあります。

X-E1 を使っていての一番の不満は、遠景を撮影していると条件によっては「なんですかこれは…」と愕然とするほど解像感のない写真が出てくること。

細かい木々がある場合に顕著ですが、細かいところの潰され感が凄くて、何このコンパクトデジカメみたいな写真は…とガックリすることがあります。これは以前もそうでしたが、XF55-200mm である程度寄った場合でも同じです。

XF55-200mm_LowQuality1_JPEG

XF55-200mm_LowQuality1_JPEG_trim
(等倍切り出し)

XF55-200mm_LowQuality2_JPEG

XF55-200mm_LowQuality2_JPEG_trim
(等倍切り出し)


X-E1(や X-Trans CMOS 撮像素子採用のカメラ)で撮った写真は普段、素晴らしい解像感ある画像を見せてくれるのですが、たまにこういったシーンで「あー細かいところ描くの面倒くせー」的な絵になって、その落差に愕然とすることもあります。

Adobe CameraRAW で処理すれば多少マシに見えることもあるわけですが、

富士フィルムのカメラを何のために使ってるかといえば
撮って出し JPEG のためでしょ!


なわけですから、カメラ内 JPEG でキッチリ仕上げてもらわないと…と思うわけです。

近景や中景、人工物だとこういうことはなくて素晴らしい色とともに解像も見せてくれるんですけどねぇ。何にでも万能なカメラはありませんし、カメラ毎に得手不得手はあるわけですが、

Xマウント機は色々な点で得手不得手が激しいなぁ


と感じます(それも魅力なのかもしれませんが)。

X-M1 発表に関する記事で「人に薦めるのは難しい」と書いたのも、被写体を選ぶ傾向にあるし、何かとじゃじゃ馬カメラゆえなんですよねぇ…。

もちろん、気に入ってるところがあるからこそ使っているわけですが、満足からは遠いし不満も多いですから…(不満以上の魅力があったとしても)

the terrace paddy fields at Higashi-Ushirobata, Nagato City (5)


いずれにせよ、Xマウントも少しずつレンズが充実してきて、こうやって望遠レンズも出てきたからには、もう少し苦手な分野を減らして欲しいと感じます。

というか、AF に関しては富士に大して期待していないので、AF改善のファームウェア・アップデートが一段落したら画質面も再度練りなおしてもらいたいものです(AF-C がマトモに使えるものになるなら嬉しいけど、まぁ無理でしょ)。

XF14mm F2.8 の時もそうだし、今は ZEISS Touit 2.8/12 を買いたくて迷っていますが、Xマウントボディでは遠景で苦手な描写があるので、そこでちょっと躊躇うんですよねぇ…

the ship of JMSDF at Maizuru Port (1)
(こういった距離、被写体だとホントに良い感じなのですが)


というわけで、最後の不満はレンズに対してよりボディに対してでありますが、XF55-200mm については「なんだかなぁ、この重さ、サイズは…」と持ち出すたびに思いつつ納得しております。

ミラーレス機の 55-200mm クラスの望遠レンズにあるまじき?デカさ、重さで、カメラバッグにこのレンズを入れていくとズッシリ、一眼レフを持っていくのと変わらんのじゃないか?と錯覚させるほどであるものの

総合的に満足とは言えない(言いたくない ^^;)けれど
値段、サイズ、重さに恥じない写りで納得のレンズ


であることは、前編中編で文句を多く書いてきた分、改めて強調しておきたいと思います。

Xマウントの場合、X-Pro1 / X-E1 のボディ側の描写ポテンシャルが高いだけに、レンズに求められるものも高いのも事実であり、これが例えば、安くて軽くてコンパクトだけど他社並みの描写のレンズと2本用意されていたとして、じゃあお前はどっちを選ぶかというと結局重くてデカくて高いけど、こっちを選ぶでしょう。

文句言いつつも描写には勝てない


わけで、でなきゃ EF レンズでも赤輪っかのあるレンズや白いレンズを買ってませんからね…

XF55-200_14


ただ、以前も書きましたが、デカく重い分、F55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS は巷のミラーレス機向け 55-200mm より半段明るいわけですが、F4通しならともかく、この程度が凄く効果的かというとあまりメリットを感じられないので、だったら

半段明るくした分、エクステンダーでも出してくれよ


という思いはあります。

テレ端が F6.7 になるでしょうが、F6.x という暗い望遠レンズを純正レンズで平気で作ってるメーカーもありますから、エクステンダーで暗くなるくらいは良いんじゃないでしょうかね。どうせ 55-200mm 以上の超望遠レンズなんて作るつもりは無いのでしょうから、エクステンダーくらい出してくれても良いのではないかと。

あとは、

マトモなグリップのボディと縦グリップ出せや!


であります。こんなデカく重いレンズを出しといて、X-Pro1 / X-E1 のような糞グリップボディで安心安定して持てるわけもなく



こんな無駄に値段が高い割にはグリップ感はイマイチで、おまけにバッテリーボックスを塞いで電池交換もメモリーカード交換も手間になるふさげた純正アクセサリーを売ってんじゃねぇよ!と言いたい。

ってか、このハンドグリップ、どう考えても適当に設計した製品でしょ。真面目に考えて作った製品とも思えない(富士にまともなグリップを設計できる人間がいないのかもしれないが)。

といって、Really Right Stuff のグリップは装着した写真を見て、ちょっと有り得ない感じだったし、



これに至ってはヨドバシで装着されているのを見て、「コレに金だして買う人間、買って満足する奴がいるんか?」レベルだったし、本当にグリップ問題は困ったちゃんです。

メーカーがこういった望遠レンズを手持ちで撮ることについて経験が少ないか、しっかり考えてないから仕方ないんでしょうけど、とにかく

レンズの重さデカさは我慢するから真っ当なグリップをくれ!


ですわ。グリップさえ真っ当なら、レンズの重さは軽減されますしねぇ…

ネックストラップで常に首にかけておかなきゃ心配なボディ+望遠レンズなんて疲れます。片手で握ったまま移動できるくらいしっかり安心したグリップを下さい…


富士フィルム Xマウント初の望遠レンズ「XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS」ファースト・インプレ【前編】〜高い!デカい!重い!
富士フィルム「XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS」ファースト・インプレ【中編】〜手ぶれ補正◎、改良AFもまずまず速いが、AF-Cは相変わらず使いものにならず