前編の記事ではファースト・インプレッション=第一印象として本当に率直に感じた、ミラーレス機の 55-200mm 望遠レンズとして

高い、デカい、重い、の3拍子


が揃ってると、散々強調しました。自分でもしつこいほどに書いた気もしますが、個人的にはこのレンズを評価するスタート地点は、そこにあると思っています。

サンニッパが画質は極上、AFも最速レベルであったとしても、ある意味当たり前の世界であり、それと同じです。高価な、重く大きなレンズが描写が良いのは当たり前。

そういう意味でこの XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS、私の中では発売前から期待せざるをえない、並のレンズじゃ許されない基準でしたので、厳しく当たりつつ半月少々使ってきましたが、

価格なり、デカさ重さなりのモノは見せてくれるレンズ


なのは間違いないようです(欠点3拍子があるから手放しで褒められないけど ^^;)。

Giravanz KITAKYUSHU Supperters (HOME) at Honjo Stadium
(浜風でかなり霞がかかった状況でもテレ端でそれなりに抜けてくれる)


このところ X-E1 や XF レンズをミラーレス機のメインマウントとして使っていますが、決して“愛着持って”とは言い難い、文句を言い出したら切りがないカメラシステムであり(それは近々また書くつもり)、しかしその反面、他にない魅力で文句を言いつつ使ってしまうカメラであります。

そして XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS も、そんな Xシステムの一員らしいレンズ。

不満点にブーブーと文句を言いつつも
まぁしゃーないかぁ…写りは良いしなぁ…と使ってしまう


そんな感じでボディと同じようなレンズです。今のところ、X-E1/X-Pro1 の望遠レンズは他に選択肢もないですしね…



さて、画質は良くも悪くも安定であり、価格なり、デカさ重さなりのこともあるわけですが、

強力な手ぶれ補正と AF 高速化も本レンズの特長の一つ


であり、それは実感できています。


XF55-200mm の発表プレスリリースの時から

  • シャッタースピード4.5段分の手ブレ補正機構を搭載。

  • 2基のリニアモーター駆動により最速0.28秒の高速AFを実現


と謳われていて、XF55-200mm 発売時には X-Pro1 / X-E1 に AF高速化対応のファームウェア・アップデートもありました。

XF55-200_07
(レンズ付属の注意書きにファームウェアを更新してから使えと書かれている)


実際手ぶれ補正については

かなりよく効くと断言できる、手ぶれ補正性能


だと思います。これはブログ上でどうこう示せませんが、手に持ってファインダーを覗けば、すぐに判ると思います。かなりピタッ!と止まります。

この季節、私にしては珍しく花を撮っていると XF55-200mm は手持ちでも手ブレが殆ど起きないのに反して、手ぶれ補正のない XF 60mm R Macro は手持ちしかできない状況でのヒット率が落ちていて、大きな差を感じます。

the hydrangea garden in '70 Expo Memorial Park (10)
(XF60mm マクロほど寄れないが、手ぶれ補正があるのは大きい)


ただ、望遠レンズを使うとなると動きモノを撮りたくなるのも当然な話ですし、そういう状況ではレンズを左右に流しながら撮るのも当然なのですが、そういうシーンで使っていると

このレンズ、手ぶれ補正は強力だけど、流し撮りは考慮されてないのでは?


と感じています。

流し撮り非対応のレンズによくある、レンズを振ってる時のカクカクな感じがよく発生していますし、画質にも影響を与えているように感じています(流し撮り非対応レンズで発生することのあるブレ方)。

XF55-200mm test shot at Itami Airport (1)
(AF-S でサッと AF して撮れる被写体なら、あまり問題ないのだけれども…)


というか、

AF は速くなったね!と言えるが
AF-C は相変わらず使い物にならんわ!!


という状況ですから、望遠レンズが出たからといって動きモノが撮れるかというと全くそんなことはありません(と断言できるレベル)。

X-Pro1 発売時から比べると従来の XF レンズも随分と AF 速度・精度の向上がなされたようですが、X-E1 + XF レンズを使っていて、AF が遅すぎるとは言わないが AF が速いと思ったことは一度もありませんでした。

が、XF55-200mm は

AF-S で使っている限りは不足ない速さ、満足できる速さ


になっています。他社ミラーレス機を凌駕する速さではなく、他社現行機の AF に負けないレベルになった、という感じですが、それでも満足できるものです。

ただ、

AF-C については、ホント富士フィルムはやる気ないんだね


という感じであります。とにかく合焦精度が酷すぎる。ジャスピン来たら儲けものレベルのピンボケばかり…orz

XF55-200mm Testshot at Fukuoka Airport (2: JAL's B777-200 Disney Happiness Jet)
(AF-S で止まってるものを撮るには問題ない at 福岡空港展望デッキ/窓越し)

XF55-200mm Testshot at Fukuoka Airport (1: AirAsia's A320-200)
(動いていても低速な動体なら高速化した AF-S で撮れば、問題ないレベル)

XF55-200mm_AFC_Sample1ss
(しかし高速動体を AF-C で狙って合焦させて追いかけても、全然ダメダメ…)

XF55-200mm_AFC_Sample1trim
(前の写真の中央点付近の等倍切り出し。どピンぼけ)

XF55-200mm_AFC_Sample2ss
(同じく AF-C で追いかける。前のよりは少しマシだが…論外レベル)

XF55-200mm_AFC_Sample2trim
(この位置から横向き高速シャッターでジャスピン来ない AF-C では何も撮れん ~_~)


とまぁ、こういった具合です。相変わらず、AF-C にすると中央一点しかフォーカスポイントはないですし、富士マジやる気なさすぎ。

元々ボディ側を見ても、

  • フォーカスポイント移動のための AF ボタンは EVF を覗いたまま操作できない頭のおかしい位置にあるし
    →6/25 追記:右側の Fnボタンまたは▼ボタンでフォーカスエリア移動が可能になりました!

  • 親指 AF 利用のためのロックボタンも使いものにならない位置ですし

  • 元々ロクなグリップがないゆえに、望遠レンズを付けたらグリップ感は不安ばっかりになるし

  • ロクなグリップがないのに、ボディが軽い割にはレンズが重すぎてバランス悪いし

  • 後付の追加グリップは安物すぎて嫌になるくらいなのに高いし


という感じで、望遠レンズがあっても動きモノを撮るのには 120% 不向きなカメラであり、望遠レンズを振り回すようなボディではありません。

「富士フィルムの Xマウントは、そういうカメラじゃねーんだよ!」ということなのかもしれませんが、

だったら、こんなやる気のない AF-C なら止めてしまえ!


と思うんですよね。わざわざ独立スイッチで AF-C があるから、思わず期待?してしまうだけに質が悪い。

オリンパス E-P1 の時も同じことを思ったけれど、オリンパスはそこから数年で飛躍的に良くなりましたからねぇ。まぁ富士フィルムにはそんな技術力がないのかもしれないけど、いずれにしても AF-C は相変わらず酷い。

XF55-200mm Test at Osaka Monorail (1)
(置きピンできるものなら動きモノ相手でも何ら問題ないわけですが…)


まぁでも、これだけ糞味噌に言うのも

これで AF-C がそれなりになってくれたら、もっと愛着持てる
名実ともにメインマウントとして使えるのになぁ


と思うわけですよ。だから言ってしまう。

ボタンの配置など操作性が頓珍漢だったり、操作レスポンスが3年くらい前のカメラレベルだったりと、デザインだけでなくて操作面でも(悪い意味で)クラシックなところや、遠景の風景撮りで時に崩壊レベルの画質になったりすることも直して欲しいけれど、私自身の使い方では AF-C を今どきのミラーレス機レベルにして欲しい。

キヤノン、ニコンの位相差式AF と同じレベルとは言わない、せめてオリンパスのコントラスト式AF に迫るレベルになってくれたら、私自身の被写体では随分と活躍の場を広げられるし、望遠レンズももっと生きてくる。

判りやすいピーキングもなく、レンズを振ると残像の残りやすい X-E1 の EVF では MF で飛行機を追いかけるのも辛いですしね…

XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS は確かに良いレンズで、手ぶれ補正もよく効くし、AF-S に限っては AF も速くなったし、精度も満足できる。もちろん、画質も。だからこそ、

望遠レンズを更に活かすためにも AF-C をもっとマトモに


してくれよ、と思います。

まぁ、AF-C に関しては像面位相差 AF 可能な撮像素子を積んだからといって済む問題じゃないし(AF アルゴリズムの差は大きい)、ハードルは低くないだろうけれど、心の底からお願いしたいと思う。

多少モヤがあっても突き抜けるヌケの良さ、ボディ側の性能と相まって等倍でキリッと撮れる良さ。高感度に強いし、ナイターの試合でスナップするのにはちょうど良い(本気でサッカー撮るのはあらゆる点で無理だけど)。

それだけに、これでもうちょっとでも動きモノが撮れる性能があったらなぁ…という思いばかりです。

test shot for comparing Nikon1 V1 & X-E1 (Nikon1 V1 + 30-110mm)
(Nikon1 と比べるのもアレですが、Nikon1 V1 ではISO1400でも等倍鑑賞は厳しい…)

test shot for comparing Nikon1 V1 & X-E1 (X-E1 + XF55-200mm)
(ISO2000でもスナップには十分。ただ、同じ画角の同程度F値でも
何故かX-E1のISO感度がいつも半段から1段高くなる傾向…)


とまぁ、

毎度無いものねだり、富士の方向性と真逆のことを言ってばかり


であることは百も承知でございますが、私個人の率直な思いを書く場ですから、遠慮なく書いております。もちろん、こんな戯言に対してどう思われようと人の好き好きでありますしね。

富士フィルム X 系列のカメラは、クラシックカメラっぽいデザインや(ある意味デジタルではあまり意味のない)アナログ的操作感に好感を持つカメ爺やカメヲタ向けでありましょうし、しっかり落ち着いて撮るためのカメラだというのは重々承知で買っております。

それを判っていて買って、惚れる点もあるから使い続けているわけですが、やはり私自身が望遠レンズを使うとなると、花とか風景とかよりヒコーキだの何だのとなるので、本記事半ば以降の不満を抱えることになるわけですね(^_^;)

XF55-200mm test shot at Itami Airport (5)
(低速移動の被写体でも AF-C で狙うと微妙にジャスピンじゃないが多いのはねぇ…)


無茶ぶりかもしれないし、カメラの方向性からしてピント外れかもしれませんが、こういうことを言う人間が一人くらい居てもいいのではないかと勝手に思って書いております。

富士フィルムさんにとってはマイナーすぎる意見であり、自社の方向性とも異なるでしょうし、私としても動きモノを捉える技術の蓄積に全く期待をしてないので、AF-C については今までも、今も、これからも(願望はあるけど)期待はしていません。

と、なんかAF-C の愚痴ばかりになりましたが、手ブレ補正は強力ですし、AF-S に限っては十分速く(現行他社機並み)、精度にも満足しています。

最後の後編では、画質について改めて触れておきたいと思います。

富士フィルム Xマウント初の望遠レンズ「XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS」ファースト・インプレ【前編】〜高い!デカい!重い!