購入から2ヶ月近く経ってようやく使い機会に恵まれた、最小クラスのモバイル 有線→無線LAN ルーター「ちびファイ2」 。前編記事でも述べたように

「最強に小さい、軽い」
「USB 接続の LAN アダプターとしても使える」
「USB LAN アダプターとして使う場合、Mac はドライバ不要」
「Windows PC で USB LAN アダプターとして使う場合もドライバ・インストールプログラム内蔵」
「パソコン接続 or 給電用の USB ケーブルは本体裏面に収納できる」
「801.11n / WPA2 対応、WPS やマルチ SSID にも対応」

と、全く非の打ちどころのない製品であります。

ただ、パッケージを開けて本体をグルっと見てみると…

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ファッ?


本体側面に無線LAN の SSID やパスフレーズ、管理画面へログインするためのユーザー名とパスワードが貼ってありますが、

さすがに無線LAN のパスワードが一律 12345678 ってのは…(苦笑)


であります。

本体のどこかに初期設定の内容を書いてある製品は最近良く見かけますし、それが決して悪いとは思いませんが(この手の製品は自分の至近距離で使うことが前提ですし)、うーん、このパスフレーズの初期設定は…であります。



無線LAN の SSID は個体毎に違う設定になっているようですが、それならば無線LAN のパスフレーズも MAC アドレスに対応して個体毎に違うパスフレーズに設定して欲しかったと思います(もちろん、無線LAN の SSID から推測しきれないものを)。

ちなみにこの情報はメーカーサイトからダウンロードできる PDF マニュアルにも明記されているので公になっている設定情報であり、また SSID は個体毎に違っても初期設定では SSID を隠す設定にはなっていませんから

初期設定のままだと第三者に接続されてしまう可能性がある


ものになっています。

例えば、ホテルの隣の部屋が悪意ある人ならば、

「planex-2.4-何とか」という ESSID を見つける

繋いでみてパスワードに 12345678 と入れて繋げる

管理画面に公開情報でログインして、あとはやりたい放題


ということも可能になるわけです。

というわけで、

「ちびファイ2」を使う場合は必ず最初に無線LAN のパスワードを変えるべし


です。

また、管理画面にログインするためのユーザー名とパスワードも、よくある “酷いセキュリティの例” に出てくる組み合わせですから、これも変更しておくべきでしょうね。

それらの設定変更方法は

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やマニュアルにあるとおりで、ウェブブラウザから管理画面へアクセスしての設定ですので、そう難しいことはないでしょう。

ユーザーが機器を利用するための敷居を下げることは良いことではありますが、最低限のセキュリティレベルまで下げてはいけないと思いますので、プラネックスさんには次期製品以降ではもう少し考えて欲しいと思います。

「ちびファイ2」の場合は、本体側面に初期設定の内容がラベルで貼られているのが問題なのではなく、無線LAN のパスフレーズが全個体で同一であり、なおかつ公開情報であり、そしてあまりにも安易なパスフレーズであることです。

製品個体毎に異なる無線LAN パスフレーズが初期設定されている製品も存在していますし、「ちびファイ2」も ESSID が個体毎に違う設定になっているのですから、無線LAN パスフレーズも個体毎に違うようにすることは決して難しくなかったはず。

それだけに、この点だけが残念であり、気になりました。

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その他に気になった点といえば、

  • 小型化されているせいか、使用中は本体はかなり熱くなる
    (ただし、一晩中つけっぱなしにしていても、1時間くらいの連続転送負荷をかけても問題なし)

  • USB 接続 LAN アダプターとして使う場合も DHCP 機能を切らないと、ルーターとして機能する


の2点でしょうか。

後者について補足しておくと、通常の USB 接続 LAN アダプターを使う場合は有線で接続した先の LAN に従った IP アドレスを割り当てられますが、「ちびファイ2」では通常有線→無線LAN ルーターで利用するための DHCP 機能が有効になってるため、そのままでは有線接続先の LAN に直結されない、ということです。

例えば、192.168.1.xxx を割り振っている自宅 LAN に「ちびファイ2」を USB LANアダプターとして使って有線 LAN 接続してみます。

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この場合、パソコン内蔵の有線 LAN 端子や普通の USB 接続 LAN アダプターで自宅 LAN に接続した場合は 192.168.1.何とか という IP アドレスが割り当てられますが、「ちびファイ2」を USB LANアダプターとして使って接続した場合は

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となって、「ちびファイ2」を有線→無線LAN ルーターとして利用した時と同じ 192.168.111.何とか の IPアドレスが割り当てられます。

これは「ちびファイ2」の DHCP サーバーが有効になっていて、「ちびファイ2」の方で IPアドレスを割り当てているためです。

このままでもインターネットへの接続は殆ど問題ないのですが、有線 LAN で接続した自宅 LAN 内にあるパソコンや NAS などへはアクセスできないことがある等、状況によっては支障も出ます。

これを解決するには「ちびファイ2」の DHCP サーバー機能をオフにすればよいのですが、DHCP サーバーをオフにしていると、今度は「ちびファイ2」を有線→無線LAN ルーターとして利用した場合に不都合が出てしまいます。

「ちびファイ2」を主に USB LANアダプターとして使う!という人は別として、通常は DHCP サーバーが有効になっているはずですから、「ちびファイ2」を USB LANアダプターとして使う場合は、この点に注意しておく必要があると思います。



とまぁ、細かい点で色々と書きましたが、

モバイル用有線→無線LAN ルーターとしては、ほぼ完璧な製品


であることは間違いありませんし、特に MacBook Air のような有線LAN 端子のないパソコンではベストマッチな製品だと思います。

今まで USB 給電のモバイル有線→無線LAN ルーターの走りである WL-330gE を長らく使ってきて、MacBook Air を持って行く時にはそれとともに Apple 純正の USB LAN アダプターを持って行っていたわけですが(有線→無線LAN ルーターが使えない時があるので)、これからは「ちびファイ2」一つで済むのは助かります。

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もちろん、「ちびファイ2」のような単機能型でサイズだけを追い求める製品ではなく、最近幾つかの製品が出ている無線LAN 経由の USB メモリリーダー、デジカメの Wi-FI メモリーカードリーダー兼用製品を使うのも有りだと思います。

以前紹介した



は「ちびファイ2」よりは大きくなりますが、出先でのデジカメとの連携としては便利に使えますし、一石二鳥製品としてはコンパクトです。外部メディアが使えない iPhone などのデバイスとの相性はピッタリですしね。

モバイルWi-Fiルーター+ワイヤレスメモリカードリーダー「MeoBankSD」その1 〜買った理由は旅に便利な一石二鳥!…だけじゃない

「ちびファイ2」にしろ、「MeoBankSD」にしろ、使う人の環境やスタイル次第でベターな製品は変わるでしょうが、有線→無線LAN ルーターメインで使うならこの「ちびファイ2」はベストな選択に思います。

なにせ、出張用・旅用アイテムの場合はサイズ・重量が何よりも最重要ですし、仕様にも不足なし。上記のセキュリティ設定だけ最初に変更するようにすれば、便利に安心に使える一品と感じています。

この小ささはモバイル有線→無線LANルーターの決定打「ちびファイ2」 前編 〜MacBook Airユーザーはマストバイ