EOS M が無料で1週間レンタルできる「EOS M Let's Tryキャンペーン」で借りて使ってきた EOS M も、本日が最終日。夕方キヤノンデジタルハウス梅田へ返却しました。

正直に言いますと

思ったより使い心地が良くて、もう少し使っていたかったな…


というのが本音。AF速度の糞遅い EF-M 22mm F2 STM も、画角が自分の標準画角である 35mm 相当なので、かなり使いやすかった。

不満や欠点を挙げればキリがないカメラだけど、実際に使ってみると意外と悪くなかった、というのが本音。サイズ感も画質も機能も決して秀でてるところはないのだけど、楽に使えるカメラでした。

EOS M test shot (46)
(EOS M + EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM / iAuto)


もうちょっと色々撮りたかったなぁ…とは思うものの、この1週間、週末の九州行きのお供も含めて、それなりに使い倒しました。殆どは適当スナップ写真ばかり撮ってましたが、そんな気軽に使うためのミラーレス機としては悪くありません。

お気楽カメラとしては

どこまでもコンパクトデジカメ感覚


なのが、良い方向に出るのだと思いますし、

背面液晶で撮るカメラにタッチパネルは必需品だよねぇ


というのも改めて実感しました。

と同時に、以前の記事で書いたようにタッチパネル操作も快適だが、従来のボタン&ダイアル操作も十分快適である点は高く評価されて良いと思います。

最近 X-E1、Nikon 1 V1 といった操作性に難のあるカメラを買って使っていますし、DP1 Merrill や NEX-C3 といったカメラも購入していますが、それらもレスポンスに難のあるカメラであります。こういったカメラを使っているからこそ、真っ当に、普通に心地よくテンポよく使えるカメラの良さというものを再認識しました。

X-E1 にしろ、Nikon 1 V1 にしろ、DP1 Merrill にしろ、操作性を我慢しても使いたくなる良さはあるのですが、それはそれ、これはこれ、です。

EOS M test shot (9)
(EOS M + EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM)


いずれにせよ、

思っていたより、スペックで判断するより良いカメラだった


と思っています。何も秀でた部分はないけれど、使い心地という点でよく考えられてる、と実感しました。

少なくとも、私も含めて実際に使い込んでいなかった人間がネットで糞味噌に言うほどではなかった、と思っています。その点は反省していますし、それに気づかせてくれただけでもレンタルした甲斐があったと思っています。

ただ、「もう少し使っていたかった」「気軽に使うミラーレスとしては悪くない」からといって

自分が買いたくなるか?人に勧められるか?という話となると、別問題


です。


これはもうハッキリ言いますが、実際に使ってみて

思ってたより悪くないカメラだったけれど
だからといって取り立てて欲しくなるカメラではない


です。とにかく、これがあるから買おう!という訴求力に欠ける。

前回記事でも書いたように「EOS M って何が良いの?」と聞かれて答えられる点がない。今の私は「操作性がなかなか良いよ」と言えるけれど、店頭でちょっと触ったくらいで、他機種と比べてその差を感じるかどうかは疑問。

EOS M test shot (10)
(EOS M + EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM)


結局のところ、

  • 使っているコンパクトデジカメがキヤノンだから

  • 一眼レフが EOS でレンズを付けられるから

  • 店頭で触って手に馴染んだから


これ以外の理由が見当たらない。なんという、このスーパーコンサバティブなカメラ、という思いは、1週間実機を使い倒しても変わらない。

少なくとも

「おめーはコンパクトでも一眼でもキヤノン使ってるから、EOS M に好意的になれるんだろ!?」

と言われても反論しようはない部分はあります。全て中立に評価できる人間なんていないし、好みや慣れがどうしてもありますからね。

結局そういう人向けのカメラでしかないなぁ…と、私自身つくづく思います。

これで価格的な訴求力があればまだしも、例えば Amazon での価格を見ると



ですが、同じ APS-C ミラーレス機である



であり、記事執筆時点で価格差7千円程度、NEX-5R の方が高くなっています。

が、「ミラーレス機を買いたいんだけど…」と思っている人間に、どちらを勧めるかといったら、先に挙げたような3項目に該当しない限り、100% NEX-5R です。というか、3項目に該当していても EOS M を勧めるのは躊躇われる。

  • NEX-5R の方が薄くてグリップも握りやすい

  • NEX-5R にはバリアングルモニター、Wi-Fi 対応があるけど、EOS M にはない

  • 画質は低感度〜中感度では大差なくても、高感度は NEX-5R が断然良い

  • 同じ像面位相差 AF 採用機だけど、AF速度は圧倒的に NEX-5R の方が速い

  • NEX-5R には外付け EVF を付けられるが、EOS M には用意されていない

  • エフェクト系機能など、各種付加機能も NEX-5R の方が豊富

  • NEX-5R のズームレンズキットは小型化された新ズームレンズなので、EOS M 用に比べると全長が半分程度

  • Eマウントレンズも(望遠レンズは1本だけだが)広角側も含めて色々と出揃ってきた


と考えていくと、7千円の差があっても EOS M をあえて選ぶ理由は、なかなかないと思います。

(今はキヤノンがキャッシュバックキャンペーンをやっているので、その差はさらに広がりますけど)

操作性という点においては、NEX の相変わらずなメニュー構成や NEX-5R/6 世代のカスタマイズ性の減少はどうかと思っていますので EOS M に軍配を上げたいのですが、だからと言って NEX-5R が使いにくいわけでもありません(タッチパネル対応機だしね)。

さらに値段攻勢といえばオリンパスであり、「OM-D画質」を謳っている現行世代 Pen シリーズでも



なわけで、こちらもタッチパネル機であり、EOS M より更にコンパクト。手ブレ補正はボディー内ですから全てのレンズで効くし、マイクロフォーサーズのレンズラインナップは充実の一途です。

センサーサイズの差による被写界深度の差も、明るく良質なレンズがリーズナブルな価格で各社から色々と出ていますから致命的な問題にはなりません(マイクロフォーサーズで撮影された実例を見れば明らか)。

…となると、EOS M を選択する理由が本当にない。確かに使っていて悪いカメラではなく、気持ちよく使えるけれど(キヤノンユーザーなら尚更)、でもそれだけ。可もなく不可もなし、なカメラにすぎないとも言えます。

EOS M test shot (34)
(EOS M + EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM / ISO 6400)


というわけで、正直なところ、他人に EOS M はなかなか薦めづらいし、自分で買うにしても EOS M を買うくらいなら NEX-5R、EVF 内蔵機第一主義の私なら NEX-6 ないし次期 NEX-7 かと思います。

とにかくレンズラインナップも見えない、EVF内蔵機を作ってくれるのかも全く判らない。というかキヤノンがやる気があるのかわからない。という状態では同じ APS-C ミラーレス機の NEX と比べて、理性ではなかなか EOS M を選択できない。

EOSM20


とはいえ、この1週間 EOS M を使ってきて妙な愛着が湧いてきたのも事実であり、操作していると

キヤノンユーザーなら気に入る部分が EOS M にはある


わけです。

というか、ソニー機も結構長く使っていると思うのだけど、NEX の UI はどうも馴染まないし、コロコロと変えすぎだし、それが良い方向に行ってないことが多すぎでストレスが溜まるんですよね。

と思うと、いよいよ本気で NEX & Eマウントレンズを全部手放して(この前中古の NEX-C3 買ったばかりだけど)、EOS M に移行…というのは、さすがにちょっとね。無謀な気もするわけで :-)

EOSM21


同じ APS-C ミラーレス機であっても

富士フィルム X-E1 と NEX / EOS M はかぶらないけど
NEX と EOS M は使うシーン・方向性がもろカブり


なので、NEX と EOS M の両方を手元に置いておくのは無駄すぎる気がするので、EOS M はそれなりに気に入った点もあるけれど、将来性も含めてどうしたもんかな、と思っています。

EOS M test shot (36)


将来大きく改善された EVF 付きの EOS M の新型が出ることを信じて、現行機のダブルレンズキットを「2本のレンズと外付けフラッシュ、マウントアダプターのために買う」という手もあるのだけれども、それにしても6万円前後では(1万円キャッシュバックキャンペーンがあるとしても)EOS M そのものの魅力を思うと、イマイチ買う気は起きない。

せめて、キャッシュバック込みで実際購入価格4万円くらいになってくれないと買えないなぁ、などと贅沢なことを思っていますが、ぶっちゃけ EOS M の内容を考えれば、そのくらいが妥当な気がしますね。

使ってみて悪くないカメラだったけど、特徴も訴求力もゼロなのだから、価格で頑張らないとどうするの?と思いますし、まだ将来の見えないカメラと思うと、なかなか手が出ませんね。

個人的には手元にあるハイエンドコンパクト〜ミラーレス機が

EOSM22


こんな状況になってそろそろ手に余る状態ですし、カメラを集める趣味はないので(使わないカメラ・レンズは手元に置いておきたくない主義)、現状では EOS M を買うのは確率が低いというか、理由に乏しいなぁ、と思います。

それでも1週間 EOS M を使ってきて、見なおした部分、それなりに良かった部分も多く、また操作性という点では改めて他メーカーに不満を感じる点も再認識できました。

購入するところまではいかなくてキヤノンさんには申し訳ないけれど、今回の「EOS M Let's Tryキャンペーン」に申し込んで良かったと思います。このキャンペーンはまだ行われていて、明日ともう1回申し込み日がありますから、興味ある方は是非申し込みに Try してみて下さい。

キヤノン:ミラーレスカメラ EOS M SPECIAL SITE|EOS Mが無料でレンタルできる EOS M Let's Tryキャンペーン

とりあえず私の場合、今までは論外だった EOS M が、ダブルレンズキットは安くなれば買うかもなー、程度にはなったのは大いなる前進?かも知れません ;-)

キヤノン EOS M と一週間/初日 〜 EOS M Let's Try キャンペーン紹介
EOS M と一週間【三日目】 〜今さら EOS M ファーストインプレ、もしくは「楽なカメラは良いね」的雑感
EOS M と一週間【五日目】 〜ボタンもダイアルも最小限だが、操作性は極めて良好
EOS M の ◯ と × 〜 EOS M と一週間【六日目】