本日は今年初頭の CES / CP+ でイチバン話題になったコンパクトデジカメとも言える「PowerShot N」の予約開始日でした。もちろん、正月明けの CES 2013 のニュースで見た瞬間から「使ってみたい!」と思った私は速攻予約しました。

キヤノンオンラインショップ直販限定、今日予約開始で発売が1ヶ月半後(4月25日)、ブラック筐体は国内で売らない(ホワイトのみ)と、いささか納得できない売り方をされるのは何だかな〜気分ではあるのですが、一目惚れしたからには仕方ありません。

一応、500台限定モデルを購入しましたが、縞々ストライプのボディカバーは別に好きでもなんでもないというか、きっと限定のボディカバーもストラップも使わないと思うので、割高な限定モデルを買うこともなかったかなー、と思いつつ、つい行ってしまうのが悪い癖ですね(^_^;)

ちなみに、PowerShot N の本日予約分は完売したようですが、次回4月12日も再び予約受付となるようですし、4月12日予約分も 4月25日お届けになるようです(なんだ…)。

キヤノン「PowerShot N」の初回予約分がすべて終了

EOS M test shot (8)
(EOS M + EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STM)


さて、昨日は EOS M の操作性について自分でもちょっと持ち上げすぎたかな、というくらいに書きました。最後発でありながらスペックは平々凡々、傍からは取り立てて見るべきところのないミラーレス機ではありましたが、実際に使ってみると、使い勝手だけは予想以上に良好でした。

他メーカーで「この設定がないのは困る」と思っている点がしっかりあることで、つい嬉しくなってしまったこともあります。このあたりは、なんだかんだ言ってもキヤノンに対して信頼できる部分だったりします。

が、しかし、EOS M にはダメな部分、イマイチな部分も多いわけで、今回はそういった部分も含めて EOS M を6日間使ってきた良し悪しに触れてみたいと思います。



EOS M の ◯



  • タッチ操作でもボタン操作でも、操作レスポンスは良好、設定その他カメラを弄っていて待たされる感が少なく(JPEG で撮ってる限りは)ストレスが溜まらない。

  • 前回記事で散々書いたように、最小限のボタン/ダイアルだが、操作性はかなり良好。

  • 無駄、使い勝手の悪い、と思わせるボタンやダイアルがない。配置や大きさがボディサイズと比して理にかなっている

  • PowerShot / IXY と操作体系がかなり似ているので、自社コンパクトデジカメからのステップアップ時の学習コストが少ない。
    (コンパクトからのステップアップ層を狙うミラーレスが多い割には、このあたりを軽視しているメーカーが多すぎると思う)

  • 遅い遅いと言われる AF 速度だが、標準ズーム EF-M 18-55mm を使ってる限りは“並み”。位相差式AF なのに…と思うと遅すぎるが、現行のミラーレス機で一般的なコントラスト式AF と比較すると“遅くはない”。
    (EF-M 22mm は本気で遅いけど)

  • EF-M 22mm は鈍足 AF だけが難点だが、その薄さから考えると画質はかなり良い感じ。初期のマイクロフォーサーズで、パナ 20mm F1.7 と出会った時のような印象で、さらに寄れるし、マルチに使えるパンケーキ系レンズ。

  • ミラーレス機では撮像素子が大きめ APS-C サイズなのは、慣れた被写界深度の感覚が使えるので違和感がない。

  • 撮像素子のサイズが大きいことで、標準ズームが同じ 18-55mm F3.5-5.6 クラスであってもボケの感じが、1インチやマイクロフォーサーズとはかなり違う。
    (コンパクトからの移行組ならどれ使っても関係ないと思うけれど、デジタル一眼との併用では違和感がなく、絞り値の決定が楽)

  • 相変わらず安定の AWB も含めて、どんなシーンでもキヤノンらしい破綻のない、印象色に近い画像が出てくる。

  • シャッター速度は 1/4000秒まで対応している。露出補正も±3段と文句なし

  • 画質は今どきの APS-C としては大したことなく、等倍で見ると粗もあるが、本気で作品撮り機ではなくスナップ機として考えれば、低感度〜中感度では特に不満は感じない。

  • マウントアダプターは他社製 EF/EF-S マウント用レンズも(手元のレンズで試した限りは)使える

  • スペック上は小さくもないし、実際小さくもないのだが、逆に大きく感じることもない手に馴染む大きさ。角丸で鞄に素直に収まるボディデザインも含めて、気軽に持ち歩く気になる。

  • 小さ過ぎないサイズが、逆に操作感の良さに繋がっているかもしれない。

  • AF は決して速くないが、操作レスポンスは悪くないので、軽快にスナップとして使える。



EOS M test shot (13)
(駅前の花壇をパッと撮っただけでも良い感じの EF-M 22mm F2 STM)

EOS M test shot (3)

EOS M test shot (17)
(標準ズームの F5.6 でも APS-C らしい感じの被写界深度)




EOS M の ×



  • 正直なところ「EOS M って何が良いの?」と言われて「何が言いのだろう…」とは思う特徴の無さ。一つくらい切り札が欲しい。

  • 言い換えればバランス機であるが、決して高バランス機ではなく、機能性能的には、せいぜい中の下である。使い勝手を含めて10段階の6、何とか単位がもらえるレベル。

  • 最後発なのにバリアングルモニターもない、外付 EVF もない、内蔵フラッシュもない、最近あるのが常識みたいなパノラマ機能もない、交換レンズもない、半年経っても将来計画、レンズロードマップ音沙汰なし、の、ないない尽くし。
    (現状が今ひとつパッとせず、なおかつ先々の担保もない状態で買えるか勧められるかというと…)

  • ピクチャースタイルは一眼レフと同じ物が使えるが、エフェクト系機能はごく普通の機能だけで最小限
    (数で勝負しても仕方ないけど、割とありきたりな感じ)

  • 幾らなんでも RAW で2コマというバッファは少なくすぎて萎える。3枚オート露出ブラケットで撮影するのにも途中で止まるのは酷い!

  • 最小限のボタン/ダイアルで良い操作性にしているのは認めるが、やはり右肩に絞り/シャッター速度変更用ダイアルは欲しい。

  • メニューの記録画質やマイメニュー登録などの設定画面で、左右移動に背面ダイアルが効かないが、これは左右ボタンにダイアルでの設定値変更を行えても良いと思う。

  • 再生画面で画面の拡大がピンチアウトでしかできないのは×。タッチパネル操作ならダブルタップでタップしたところを中心に拡大するという基本操作を早急に実装すべき。
    (もっといえば、2本指でのダブルタップでは縮小も。デジタルカメラはタッチ操作の後発なのだから、できるだけスマートフォンの基本操作に沿うべき。独自の解釈とかポリシーは不要というか迷惑)

  • EF-M 22mm F2 STM の AF 速度は本気で遅い。現行機では X-E1 + XF 60mm F2.8 R と同レベル、ないしは NEX-5D / NEX-C3 といった旧世代の NEX や以前のオリンパス機と同じ感覚。遅い。超遅い。
    (最短撮影距離が影響しているのだろうが、ならばフォーカスリミッターがあっても良かったのに、と思う。コンパクトと同じようにボディ側にマクロ設定のオンオフで切り替えみたいな)

  • 低〜中感度の画質はそれなりで可もなく不可もなくだが、高感度画質は APS-C 機として考えると物足りない。NEX の 1600万画素機と比べると周回遅れ。

  • ボディサイズは特に小さくもないものの、むしろ手に馴染む大きさで良い感じだが、厚みはもう少し薄くして欲しい。

  • グリップはデザイン的にも、グリップ感的にも、どちらも中途半端。PowerShot S100/110 と似た形だが、コンパクトデジカメとは重量も違うし、ボディの厚みもあるのだから、今回は微妙。

  • 秘密主義のキヤノンとはいえ、レンズロードマップも提示せず、追加レンズは半年経っても何も音沙汰なしというのは…とてもじゃないが今は人に勧められない。

  • マウントアダプター経由での EFレンズ利用は現状オマケな感じ。コンティニュアスAF を ON にしていると壊れるんじゃないか?と思うような音を出すレンズも…

  • それに EF マウントのレンズは重いのが多いので、付けるとなるとやっぱり EVF がないとね…

  • 【追記】ピクチャースタイルを Auto で使うと、風景モードないし同等の、こってりというよりは過剰色塗りベタ塗り気味のスタイルになることが多くて微妙。


といったところでしょうか。なんか一つ二つ、重要な×を書き忘れてる気がするので、あとで追記するかもしれませんが…

EOS M test shot (33)
(スナップ用途には ISO 3200 まで使えなくはないが、APS-C の現行世代機ならもう一声と思う)

EOS M test shot (19)
(エフェクト機能のクリエイティブフィルターのうち、ラフモノクロ)

EOS M test shot (20)
(同じくクリエイティブフィルターのトイカメラ風)

EOS M test shot (21)
(クリエイティブフィルター油絵風。かかり方の調整は可能)

EOS M test shot (23)
(昨今のカメラでは定番のジオラマ風。他にソフトフォーカス、魚眼風、絵画風。数は最小限レベル)


本音を言うと、実際に使う前は × ばっかり並び直して「キヤノンは顔洗って出直して来い!」と言いたくなるかもと思っていたのですが、意外とそうでもないというか…

スペックを見ると糞だし、最後発なのに別に良い所はない
のだけど、なんか使っていて手に馴染む感じはある


わけで、これは勿論私が EOS Digital / PowerShot ユーザーである点も大いにあると思うのですが、なんかそれだけじゃないようにも思うんですよね。

マイクロフォーサーズはここ1年ご無沙汰気味ですが、NEX は初代からずっと使ってきていて、機能性能の向上はあっても細かな使い勝手や不満はずっと変わらぬまま。操作性に関しては NEX より CyberShot 系の方がずっと使い良いと感じていますが、EOS M も手に馴染む。

この先の EOS M がどうなるか判りませんが、今回使ってみて、今後 NEX を使い続けるより EOS M の方が心地よく使えるかもなぁ…なんて思っています。

Canon デジタル一眼カメラ EOS M
Canon デジタル一眼カメラ EOS M ダブルレンズキット ホワイト

(買うなら絶対にダブルレンズキット一択。キャッシュバックキャンペーンもあるしね)


もちろん、EOS M が意外と手に馴染んだ、操作性が良かったからといっても、現行の EOS M を買いたくなるかどうか、というのは話が別です。

後出しの割りにはスペック的に訴求力ゼロなものでありますし、発売から半年経ってるのに交換レンズもない、レンズロードマップも出さない、という有様で

キヤノンが EOS M にどこまで本気になれるのかねぇ


という危惧は拭えません。

今の時代、もうミラーレス機に本気にならないわけにはいかないでしょうが、なにせ、キヤノンの場合は Kiss という存在があるだけに、ヒエラルキーにうるさいキヤノンがどこまで EOS M に注力するやら…

少なくとも後出しで(スペック的には)ショボいモノを出してきているのに

現状のないない尽くし+将来計画なしでは買わせる気があるのか?


とは思います。売り方もコンパクトデジカメと一緒で、売りっぱなしな感は否めません。

ただ、今後 EOS M が(フラッシュは内蔵しなくてもいいから)このサイズか若干大きいくらいで EVF 内蔵してくれたら欲しくなるだろうなぁ…と思います。値段次第ですけどね。

見るべきところは特にないカメラだけど、EOS M を連れだして撮っていて(JPEG 撮影である限りは)心地よく撮れていたし、意外と不満なく使えていたわけで、あとは買わせるだけの訴求力がどこまであるか?という感じですね。

少なくとも、後出しの割りにはナイナイ尽くしですから、価格しかないと思うんですけどねぇ。この手のクラスのミラーレス機は価格次第だと思いますしね…


OLYMPUS マイクロ一眼 PEN Lite E-PL3
OLYMPUS マイクロ一眼 PEN Lite E-PL3

(一世代前だが似たような位置づけの E-PL3 はダブルズームキットで3万円強…)