今週は少し前に購入した Nikon 1 V1 を買った理由だの、しばらく使ってみた感想だのを書いていますが、昨日は「Nikon 1 を買ってよかった理由」について触れました。

Nikon 1 を買って良かった5つの個人的利点

元々 X-E1 の望遠レンズがなかなか出ない代替策をどうするか考えての Nikon 1 という選択だったわけですが、多少なりの不満はあっても(画質面での将来の期待込みで)Nikon 1 を選んだことは概ね正解だったなぁ…と思っています。軽量優先の旅望遠セットとしては納得です。

Nikon1V1_03


反面、EVF 付きボディと望遠ズーム込みで中古なら3万円で買えるし、画質的には現行機とそう大きな差はない、というところに惹かれて Nikon 1 V1 を手にしたわけですが、

こいつぁ(Nikon 1 V1)なかなか人に勧められる代物じゃねぇなぁ


と感じています。決して Nikon 1 が勧められないでのはなく Nikon 1 V1 が、です。誤解なきよう。

Nikon 1 そのものについては、昨日の良かったと感じた点の記事でも書いたように満足すべき点は多いですし、その不満点も購入理由の後編記事で書いたように将来的に改善できるのではないかな…と期待込みで買えるシステム、と思っています。特に望遠系のお手軽サブシステムとしては。かなり便利。

そして望遠レンズを多用するなら、特に動く被写体を撮ることが多いなら(たとえ EVF であっても)ファインダー付きの Vシリーズが第一候補になりますから、型落ちで安い V1 か、現行製品の V2 か。

もちろん、V2 の方があらゆる点で良いのは判っていますが、価格差はボディだけで見れば3〜4倍。中古の V1 と望遠ズーム 30-110mm で3万円でしたが、



ですから価格差4倍。操作性は百倍違うけれど、画質は4倍の価格差もあるとは思えないし…

と悩んで悩んで、事前にニコンプラザなどに入り浸って散々その操作性の悪さを確認し、これなら何とか我慢できると思って購入したのですが、なかなか考えが甘かったというか、想像以上だったというか(笑)

もちろん、操作性の悪さは納得して買ったので(ちょっと泣きたくなることはあっても)我慢できているというか自業自得というか、Nikon 1 V2 との価格差を考えれば仕方ないと思っているのですが、自分がこういう記事を書いて

「Nikon 1 V1 って安いんだな、ちょっと手を出してみようかな」

と考える人がいるとしたら、十分考えて確かめてからにしたほうが良い、いや V2 買えるなら V2 にした方が良いよ、という思いは強いので、以下に「V1 より V2 にしたほうが良い理由」を3点書いておきます。


【1】発売当初から(悪い意味で)評判の操作性


(V2 ではかなり改善されている)

昨今のハイエンド系のコンパクトデジカメでもクイックメニューやカスタマイズ可能なサブメニューがあって、ホワイトバランスやピクチャースタイル、画質モード、ISO 設定など、よく使う機能をすぐに呼び出して変更可能になっています。

しかし Nikon 1 V1 には、それがない。ばかりか、P/S/A/M のようなモードダイアルまでメニューで変更する形になっています(個人的にはモードダイアルはなくても良いのですが、世間的にはそうでもなく最重要の一つでしょう)。

まさかニコンが…というような割り切り様でしたし、発売当初からの批判に対して「コンセプトが違う」だの何だのと強弁していた割りには、以降の機種では真っ当な操作体系に戻したのを見れば、あまり深く考えずに “やってみた” 的な操作系の採用だったのでしょう。

この操作性の酷さについては、前述のように事前に十分試してみて

「各メーカーごとに色々と存在する不条理な操作性に触れてきた今の俺なら我慢できる」

と踏んで V1 を買ったわけですし、まぁなんとか一応は我慢できています。

一部の設定以外は全てメニュー階層を辿って変更するのは面倒臭い


のは当然ではありますが、我慢できています。

我慢できている理由としては

  • メニュー周りの操作レスポンスが良い

  • 背面ロータリーマルチセレクターのダイアルがサクサクと回って、変更したい項目へ辿り着くまでの時間はそうかからない

  • さすがに露出補正くらいはメニューを触らずにできる


といったところでしょうか。

このあたりは、独立ボタンは多くてもイマイチ使い勝手が良いとはいえない(操作レスポンスも悪い)X-E1 とは対照的です。両方使っていると、一見圧倒的に操作性が良いように見える X-E1 がそうでもないように感じるのは、自身の仕事でも気をつけなければ…と自戒させてくれます。

ともあれ、操作レスポンスの良さから我慢の限界は超えないものの、やはり

「ホワイトバランスや ISO くらいはメニューを触らずに変えたいよねぇ」

というストレスはあります。

特に静止画撮影モードにおいて

唯一の機能系独立ボタン「フィーチャーキー」(Fキー)が
なんでメカニカル/エレクトロニックシャッターの切り替えで固定やねん…


というのは、きっと1年半前の発売時から多くの人が嘆いていただろうなぁ…と思います。

せめてFキーが自分のよく使う機能変更に割り当てカスタマイズできればどれだけ使い良くなったか…

と思いますが、今に至るまで改善のアップデートがないというのは、あくまでFキーにシャッター切り替えを割り当てるのがニコン開発陣の曲げられない維持だったのでしょう。意味わからんけど。

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (13)


このあたりは、どのカメラメーカーにもあることですが、

道具のくせに、てめえの好みや推薦を強制するんじゃねぇ


と感じます。道具は道具らしく、使う人間が一番心地よく使えるよう設定できるべきであって、開発側の意図だの推したい機能だのは正直どうでもいい話。

カメラの特長を押し出す前に、道具として使いやすくあれ


と、つくづく思います。

開発者が自分で日々使いながら作っているのか疑問なカメラもありますが、自分たちが使いながら開発しすぎて、慣れすぎて視野が狭くなりすぎてんじゃないかと思うカメラも多いと感じる昨今です。変なところで画期的なのはマジ要らない。

後継機 Nikon 1 V2 では V1 での意味不明なこだわりが殆ど消えているので、かなり普通のカメラになっていますが、それだけに使いやすくなっています。グリップ一つとってみても随分と実用的になりました(デザイン的には賛否あると思いますが)。

V2 のクイック変更的な機能も変更対象が即座に判りづらかったり、画面のあちこちに移動するので決して良い UI とは感じませんが(もっと明確にサブメニューを出した方が良いと感じる)、V1 とは比較にならないマトモな操作性です。

モードダイアルも復活していますし、後述するように設定変更はレバーではなく一般的なダイアルですし、V1 は何だったんだ?というくらいの普通さです。

さきほど Nikon 1 V1 の中古と V2 ダブルズームキットの価格差は大きいですが、この操作性の差だけでも価格差は随分と埋まると思います。少なくとも長く使っていこうと思うなら、絶対に V1 より V2 にすべきと思います。




【2】サムネイル/拡大レバーが軽く触れただけで動きすぎて、勝手に設定変わりすぎ!


(V2 では一般的なダイアル方式になりました)

これには、泣いた。
短期間のうちに何度も泣かされた。
気をつけようと思っていたのに、ついつい設定が勝手に変わってることに気づかずミスショット連発で泣きました。

前項で説明した操作性の悪さは十分承知のうえで買ったし、望遠レンズ専用機として買ったこともあって、そう頻繁にメニュー内の設定を変えることもないから(WB が簡単に変更できないのはストレスだけど)、

  • フォーカスエリアは OK ボタンからの移動で簡単にできる(これはイイ)

  • 露出補正もロータリーマルチセレクターの右ボタンからコンパクトデジカメ的に可能

  • Sモードでのシャッター速度、Aモードでの絞りは(一般的なダイアルじゃないけど)背面右上のレバーで簡単に変更可能


となれば、十分対処できると見込んでいました。実際に、その部分は我慢できています。

普通は設定変更ダイアルなのをレバーにしたセンスは頭おかしい
と思うけれども、我慢できる範疇


だと思っていましたし、実際自ら設定する分にはそう問題にはしません。

しかし、この

絞りや SS を変更する上下レバーが軽くて若干ボディから出ているため
とにかく設定が勝手に変わりまくる


のには閉口するし、購入して1ヶ月も経っていませんが、何度も痛い目に遭っています。

Nikon1V1_15
(この右上のレバーが通常のカメラだとダイアルに相当する部分)


そりゃね、撮る時にいちいち確認しない私が悪いのは判っていますけど、それにしても、こんなに設定が勝手に変わってしまうカメラは今までなかったと言えます(少なくとも私の使ってきたカメラの中では圧倒的)。

ちょっと酷い。いや、ちょっとどころではなく、酷い。

鞄の出し入れで、どこかに触れれば変わる。
首から下げているだけでも、ちょっと身体かどこかに当たればコロコロ変わる。
そして、気づかずに撮ってしまう。

サッカーの練習試合を撮りに行った時にも勝手にシャッター速度が 1/2000秒まで上がっていて、昼間なのに ISO 1600 になっていたり(シャッター速度が勝手に下がるよりマシだったけど)、それから気をつけていたにも関わらず、旭山動物園のペンギンの散歩では

Nikon1 V1 勝手に設定変更前


この時はそれなりのシャッター速度を稼いでいたのに、少し場所を変えて撮ろうとしたら

Nikon1 V1 勝手に設定変更後(被写体ブレブレ)


この時は絞りが勝手に F16 まで絞られていて、シャッター速度の低下に全く気づいていなかったり…(絞り優先AE にしていたのは、レンズ的に半絞り欲しかったから)。Nikon1 V1 を首から下げて十数歩、移動しただけなのにね(ToT)


まぁ、サッカーの時は Nikon 1 のテストで撮っていただけですし(本気で撮りに行くなら EOS を持っていった)、旭山動物園のペンギン散歩はもう十回は見ていて、写真ももっと良いカメラやレンズで収めているので致命傷ではないのですが、今後使っていく上で、また同じようなミスはするだろうなぁ…と危惧しています。

とにかく勝手に設定変更しちゃうのが油断ならないカメラ


であります。

このあたりも新型機 V2 では一般的なダイアルに戻していますし、この糞レバーも適当なアイデアで “やってみた” 的な発想だったのでしょう。私が V1 を買ってから最もキツいなぁ〜と感じているのは、この点ですね…




【3】AF-C だとフォーカスエリアがレリーズ半押し後に消える


(V2 ではそんな不思議仕様は解消されている)

これも前項の一般的なダイアル操作をレバー操作にしてしまったのと同じで、

意図が全く判らない意味不明の仕様


です。

AF-C を使わない人には関係ない話ですが、私のように「AF-C を使わないなら Nikon 1 なんか選んでないわ」という人間にとっては、かなり厳しい仕様です。

具体的にどういうことかというと

  • AF-S ではレリーズを半押ししても、フォーカスエリアが表示されたまま(普通)

  • AF-C ではレリーズを半押しすると、1秒後にフォーカスエリアが消える(ふぁ?)


というもの。たぶん、実際に出くわすまでは理解不能だと思うので、ちょっと動画を。


(AF-S の場合。レリーズを半押ししてもフォーカスエリアは表示されたまま)


(AF-C ではレリーズを押してすぐにフォーカスエリアが消える…)


こんな感じです。AF-S だと何ら問題なく普通ですが、AF-C だとフォーカスエリアがすぐに消えてしまうので、動く被写体にフォーカスエリアを合わせるのに不便を感じることが判ると思います。

せっかく動きモノが撮りやすいカメラなのに、なんでこの意味不明仕様なの!?


という感じです。もちろん、V2 では改善済みです。

(撮影後のポストビューが切れない点も動きモノ撮影には困りものですけどね)

後継機が出るまで直さなかった、ということは、これが V1 開発者の意図した仕様なのでしょう。というわりには V2 では、あっさりノーマル仕様になっているわけですが、V1 ユーザーは買い換えないとこの糞仕様が治らないままなのかと思うと、なかなか Nikon 1 も罠がいっぱいだったのだなぁ…と。

(コントラストAF のくせに AF-C にするとフォーカスエリアが中央一点固定になるという唖然仕様の X-E1 ですら、レリーズ半押しでフォーカスエリアが消えるなんて馬鹿なことはしない)

というか、どこのメーカーもそうですが、こういうのを良いと思っていたのか、そしてゴリ押ししておいて直さず平気なんですかねぇ。

前項のようなハードウェア的な糞仕様はどうしようもないとしても、Fキーやこの点などは改善アップデートされても良いと思うし、これが本当に良い仕様だと自信があって押し通してきたなら後継機であっさり撤回なんて恥ずかしい話です。


Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (16)


というわけで、例によって言いたい放題書きましたが、Nikon 1 全体としては好ましいことは多いけど、こと V1 については結構キツいなぁ…と思うことが(覚悟して買っても)ありました。そういう意味で

ケチらないなら安い V1 より V2 に行っておく方が絶対良い


と、中古の V1 を買って実感しています。

私の場合は、お試し気分で買ったのでひとまずは安く、V2 でも納得出来ない点はあるので当分 V1 で我慢して V3 を見てから…と思っていますので納得はしていますが、V1 は他人様に勧めるのは厳しい

発売直後の声を今ごろ自分でも実感する不条理カメラ


であるのは間違いありません(大きな不満も言わずに使い続けてる友人もいますけど…贅沢でスイマセン ^^;)。

そして V1 が斜め上に突き抜けている分だけ

Nikon 1 V2 は真っ当なカメラ


であると思います。

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (15)


Nikon 1 V2 はデザイン的に色々と言われることもありますが、やはり V1 のグリップはそのままでは心もとなく(これについてはまた後日の記事で書きます)、どうせ EVF もあるのだから V2 のようなグリップでこそ、と思います。

また、バッテリー1つとっても Nikon 1 V1 はミラーレス機とは思えぬ馬鹿でかいバッテリーであり、調べたらニコン一眼レフ最上位クラスの D800 / D800E と同じバッテリーを採用しているという(V2 は小さなバッテリになっています=買い換えたら予備バッテリーも買い替え)。

バッテリーを入れると V1 のボディが相当重くなるのはもちろん、充電器もやたらでかいですし、おまけにその充電器はデカい割にはコンセント内蔵じゃなくてメガネケーブル差し込み式。旅には最高に持って行きたくないタイプの充電器です。

Nikon1V1_14
(X-E1 以上にデカくコンセント非内蔵の Nikon 1 V1 充電器。ウンザリ >_<)


他にも、ホワイトバランスは(自分の好みを別にしても)どう考えても微妙すぎて撮って出し JPEG では使いにくいことが多いですし、背面液晶と実写画像の色味の違いが大きいとか、デジタル水準器がないとか、再生時にワンタッチ拡大できない、拡大したまま前後写真に移動できないなど、様々に不満はあります。

それらが全て Nikon 1 V2 で改善されているわけではありませんが、少なくとも

値段最優先で茨の道を覚悟するのでなければ V2 推奨


というのは、今さら Nikon 1 V1 を買った身として強調しておきたいと思います。

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (18)


と、ここからは Nikon 1 とは関係ないのですが、ついでに書いておきたいことが。

背面ダイアルの上下左右ボタンに様々な機能を割り当てるという操作体系は、ボディサイズの小さなコンパクトデジカメやミラーレス機では理にかなってるやり方だと思うのですが(むしろ X-E1 のような中途半端な位置での独立ボタンは使いづらい)、

上下左右ボタンへの機能割り当て方向が各メーカーによってバラバラ


なのは、本気で何とかしてほしいものです。

多くのメーカーでは、背面ダイアルの上下左右ボタン4方向に

「露出補正」
「セルフタイマーないしドライブモード」
「フォーカスモードまたはマクロモード」
「ディスプレイ表示モード」
「フラッシュモード」

あたりから選択して割り当てています。特に露出補正が背面ダイアルの上下左右ボタンのいずれかに割り当てられてるのは共通仕様といってもいいくらいなのですが、

メーカーによって露出補正が上だったり下だったり右だったり…


もうね、それくらいは共通化してもいいんじゃないかと思うんです。上にする、右にする、下にする、その理由やこだわりなんて特にないでしょうに。

ま、こんなのはメーカーに忠誠心の欠片もなくて、おまけに何台もあちこちのカメラを使っている特異な例の人間が言っていることですし、Nikon 1 とは全く関係のないことではありますが、いつも思っておりますので、この機に改めて買いてみました。

別に Nikon 1 の露出補正ボタンが右に割り当てられてるから駄目だ、なんてことは思っていませんので、念のため(DISP ボタンを独立させるよりは 上ボタンに割り当ててる AE Lock ボタンを独立させるべきだったと思うし、それが一般的だと思うけど)。

キャノンユーザー禁断?の Nikon 1 を買ってしまった、4つの理由【前編】
キャノンユーザー禁断?の Nikon 1 を買ってしまった、4つの理由【後編】
Nikon 1 を買って良かった5つの個人的利点


Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 (ニコンワン) V2
Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 V2 小型10倍ズームキット

(画質を考えると価格は微妙だけど、高倍率ズーム&EVF付ボディでこのサイズは魅力)