昨日一昨日と、色々なミラーレス機を買ってきて(キヤノンユーザーなのに)Nikon 1 に手を出してしまった理由を書きました。

キャノンユーザー禁断?の Nikon 1 を買ってしまった、4つの理由【前編】
キャノンユーザー禁断?の Nikon 1 を買ってしまった、4つの理由【後編】

その中で概ね満足していることも少し書きましたが、

画質は不満だし、改善して欲しい部分もあるが
なるべく軽量な望遠撮影システムとしては、まずまず満足


であります(Nikon 1 V1 特有の操作性の悪さは別)。

画質を追い求めるのではなく、“手軽に望遠域の撮影を、それなりの画質で収めたい” という趣旨にはかなり合っているカメラだと思います。動きモノ相手も一眼レフ並みとは言いませんが(所詮 EVF だしね)、やはり他のミラーレス機に比べれば、ずっと良い感じです。

(標準域のスナップカメラとしても悪くはないのでしょうが、そのあたりになるとマイクロフォーサーズや APS-C ミラーレス機で、同等サイズでより画質の良いカメラは幾つもありますからね)

個人的には、自分のカメラシステムの中の欠けているところに上手くフィットした感じがあって、

「こりゃ買ってよかったなぁ」

と思っています。中古でお値段3万円でしたから(操作性の極悪さを除けば)まことコストパフォマンスの良い買い物でした。

購入して3週間以上になるのですが、使ってきて Nikon 1 の良さを実感した点を以下に挙げておきます。



▼ 間違いなくミラーレス機の中では動体に強い(昼間限定)


私の主被写体は、飛行機であったりスポーツ(主にサッカー)であったりするわけですが、大病をしてからすっかり体力が落ちて、旅先まで毎度重い機材を担いでいくのも辛くなってきました。

それでも「本気で撮りに行くぜ!」という時には、旅先へ一眼レフ+望遠レンズなどで 10kg 近いカメラバッグを担いでいくのも吝かではないですし、今年3回、冬の北海道へ行ったうちの1回はそうしたのですが、毎回はさすがに厳しくなってきました。

そういうこともあって、ミラーレス機で動きモノが撮れたらなぁ…と思いつつ、取っ替え引っ替えしてきた歴史があるわけですが、とりあえず諦めました。EVF では、やっぱり無理。AF 云々の問題だけではありません。

が、少なくとも Nikon 1 の AF-C はサッカー撮りであっても、多少は使えるかな、と感じています。過去2回の記事でも練習試合での例を載せていましたが、たとえばコレ。

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (10) photo mixed


右サイドを駆け上がるヤット(遠藤)へパスが出てくるだろうと判断して、ずっと追っていて、案の定パスがきて、それをダイレクトでクロス(センタリング)を上げるシーンですが、Nikon 1 V1 + 30-110mm の AF-C で全コマ、ほぼジャスピンで追従しています。

現在のミラーレス機で主流の位相差AF のように AF-C で変なグニュグニュした動きもなく、スムースにピントを追従させています。精度や背景のボケ具合は一眼レフとは差がありますが、少なくとも何回か撮影していて(この例だけでなく)

昼間限定ながら Nikon 1 の AF-C は使い物になる


と判断できるものでした。

もっとも、単純に Nikon 1 の位相差AF、特に AF-C が良いというだけではなく、ミラーレス機では最も小さな1インチセンサーを採用していることによる被写界深度の深さが功を奏している面もあります(逆に背景が全くボケずにうるさくなるのは困りものですが)。

そしてまた、明るいところ限定でもあります。暗くなるとコントラスト式 AF に自動的に切り替わるだけではなく、その前でも照度が落ちると精度速度とも落ちます(一眼レフでも同じですけどね)。

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (2)
(日没までは位相差AF で何とかなる感じ)


また、高感度画質がからっきしなところもありますので、高速シャッターを切る被写体には辛い部分もあります(高感度画質に関しては現行機でも大差無いように思える)。

このあたりは将来の改善に期待、昨日の記事で書いたように、せめて RX100 レベルになって欲しいというところです。

とはいえ、コンパクトデジカメっぽい画質だったとしても、照度が十分にある状態なら動きモノがそれなりに撮れる良さは、個人的には何物にも代えがたいですね :-)

(間違ってもサッカー撮りや動きモノを撮るのが主体の人に Nikon 1 を薦められるとか、そういうレベルではありません。現状は EVF の反応速度やシャッター消失時間という点で論外です)




▼ 望遠レンズが超コンパクトで軽い


何度も繰り返していますが、

望遠レンズでこのコンパクトさは異常


であります。

Nikon1V1_08


現状は 300mm までの望遠域しかカバーできませんが、標準・望遠のダブルズームをできるだけ軽く小さく持ち歩きたい!という人にはピッタリのカメラと言えます。

また、最近発売の新しい小型10倍ズームレンズも非常にコンパクトですから(ちと重いけど)、高倍率ズーム1本勝負の人でも、できるだけ小さくという人には Nikon 1 はピッタリかと思います。



私は「ミラーレス機でもできるだけ EVF 付きが良い」派ですので、Vシリーズにしましたが、EVF なしでも良くて S1/J3 で良ければ、本当に「ちょっと大きめコンパクトデジカメ」サイズで、レンズ交換式カメラを使えてしまいます。




▼ レンズ交換式カメラではイマイチ画質でも高倍率コンパクトデジカメと比べると、ずっと上


これも当たり前ですが、巷の 300mm クラスもしくは最近流行りの超高倍率のコンパクトデジカメはセンサーサイズも極小ですから、ちょっとでも高感度になると画質は崩壊してくるわけです。

ドピーカンならともかく、少し曇り空の下でシャッター速度を稼ぎたい時にはそれなりの ISO感度になりますから、それで何とか撮れたとしても顔やエッジがノイズ処理で崩れていたり、ベタな部分の背景にノイズ乗りまくりだと、やっぱりちょっと残念。

そういう意味では 300mm までという制約付きながら、この Nikon 1 のサイズ感と画質というのは(現状の画質には決して満足はしないものの)バランスとしては悪くないかな、と思っています。

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (4)


Nikon 1 の画質、特に高感度画質は、レンズ交換式カメラとしては全く褒められたものではないですが、NEX もマイクロフォーサーズ機も望遠レンズを付けるとなると一気にデカくなりますから、“高倍率コンパクトデジカメ”的と言えなくもない Nikon 1 + 30-110mm or 10-100mm の画質はサイズからしてみると悪くないかなぁ、と思います。

まぁ、最近はちょっと高倍率ズームのコンパクトデジカメも使ってみたいんですけど、自分で買うほどでもなく、ソニー DSC-HX300 のモニターには落選しちゃったし、当分は興味があるままかなぁ…という感じではあります。

Panasonic デジタルカメラ ルミックス ブラック DMC-FZ200-K
Panasonic デジタルカメラ LUMIX ブラック DMC-FZ200-K

(FZ200 は一度使ってみたいとは思うんですが…)





▼ 別のデジカメと併用して、望遠専用機として持ち出すのに最適


当初から書いているように Nikon 1 を買ったのは(現在の主力ミラーレス機の)X-E1 用の望遠レンズを富士フィルムが出すのがあまりに遅くて困っているからでした。

Nikon 1 をメインで使うわけでもなく、広角〜標準域で Nikon 1 を使いたいとは買う前も買った後も思っていません(広角〜標準域なら他のミラーレス機を使った方がずっと満足感が高い)。

そういう望遠専用機という贅沢な使い方をしているために、どうやっても他との併用になりますが、そのサイズ感も含めて、意外と良い感じで私のシステムの中にハマってくれています。


例えば、ハイエンドコンパクトデジカメの CyberShot RX100 と Nikon 1 + 30-110mm。コンパクトデジカメとミラーレス機という違いはあっても、同じ1インチセンサー同士の良いコンビ。

Nikon1V1_13


気軽な広角〜標準〜中望遠域までのスナップは RX100 に任せておいて、望遠域だけは Nikon 1 + 30-110mm を取り出して撮影。画質は RX100 の方が良いとはいえ、そう大きな開きがないからバランスは悪くない。

RX100 は最強のお気軽旅カメラ、とは何度も言っているけれど、やっぱり望遠域が欲しくなる時がある。そんな時に Nikon 1 + 30-110mmm があると良い感じ。

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (17)


普段は RX100 の小ささと画質のバランスは非常に良いけれど、どうしても届かない被写体もある。そこへ届いてくれる望遠レンズでありながら、高倍率コンパクトデジカメとは違う画質で、RX100 と大差ないのは、ちょうど良い相棒という感じ。

ただ、V1 / V2 だとお気軽旅カメラの相棒には少し大きすぎるから、Jシリーズか S1 あたりが最適。そう思うだけに私も、ちょっと J3/S1 が欲しくなるのだけど…激安で売ってる J1 でも買ってみようかな(^_^;)

Nikon1V1_11


本来意図していた X-E1 の補完として使うと画質差が顕著ではありますが、X-E1 が全くダメな動きもの相手の補完としての Nikon 1 という点では、良い補完関係になることを実感しています。

X-E1 の望遠レンズが発売になるまでの繋ぎとして買ったわけだけど、Nikon 1 は Nikon 1 として今後も使っていくかなぁ、と思っています。

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (11)


特に旅先で飛行機を軽く撮ってみたくなることは多いので、そういう時は X-E1 +望遠レンズより(画質面で目をつぶっても)Nikon 1 の方が安定安心でしょうしね。きっと、使い分けていくと思います。





▼ 画素数抑え目で、後処理する時のパソコンにも優しいし、お財布にも優しい


最近は APS-C 機でも2千万画素超が当たり前になりつつありますし、同じ1インチセンサーの RX100 は Nikon 1 V1/S1 の倍、V2/J3 の 1.5倍の2千万画素もあります。

が、今回初代機の Nikon 1 V1 中古を買ったので(今となっては)たったの一千万画素。昨今のカメラの高画素機と比べればトリミング耐性はありませんが、その分 RAW 現像処理をするにしてもパソコンに負荷は少ないので楽々。

今回ブログに掲載している写真はすべて撮って出し JPEG ですが、Nikon 1 V1 の実写画像を見ていると RAW から自分で処理して現像した方が良いように思っています(特に Nikon 1 V1 の WB には手を焼いてる状態なので…)。

そんなわけで、画素数が少ない分だけ RAW 現像時の負荷が少なく、サクサクと処理できて「あー、一千万画素だとこんなに楽に処理できるんだったなぁ」と実感しています。DP1 Merrill の RAW 現像と比較すると、まさに雲泥の差…

Nikon 1 V1 + 30-110mm Test (19)


加えて、画素数が少ないということはメモリーカードの消費量も少ない利点があります。JPEG も 1枚 5〜7MB ならば、RAW でも 10MB 程度。いやー、軽い。

手元のメモリーカードは 32GB×3、16GB×5、8GB×2 という体制で、今年になってカメラボディがやたら増えたので 32GB をもう1枚…と思いましたが、少々連写しまくっても容量を食わない Nikon 1 は 16GB で十分ということで、メモリーカード代は助かりました。

いやホント、私も超望遠域を使いたい人間で、ミラーレス機では焦点距離が足らずにトリミングすることも多いのですが、さすがにもうそろそろ要らないかなぁ…と思ったりしています。NEX-7 で APS-C 2,400万画素はちょっとなぁ…とも感じましたし、この画素数の少なさがむしろ気持ちいいくらいです :-D




というわけで、Nikon 1 を買って良かった理由を挙げてみましたが、次回はネガティブな点を少し。


Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 (ニコンワン) S1 N1S1
Nikon デジタル一眼カメラ Nikon 1 S1 標準ズームレンズキット

(新型だけど一千万画素のままの Nikon 1 S1 はちょっと欲しいんですけどねー)