ウェブベースのサービスが浸透して Mac と Windows のソフト比較が昔ほど重きを持たなくなってきたり、Mac OS X 上のメールソフトの少なさが以前より言われなくなりましたが、Mac OS X 上のメールソフトが寂しい状況なのは今も昔も変わりません。

Windows ベースのメールソフトは老舗&定番ソフトがずっと、Windows の世代交代を経ても着実にサポートし続けているモノが多いのに比べ、Mac では少し前に「Sparrow」なる Gmail に適した使いやすいメールアプリが登場して話題を集めたものの、速攻で Google に買収されてしまいました。

ベンチャー企業としては Google に買収されて“ゴーーーール!”でしょうが、将来にも期待してアプリを購入した身としては「今後はメインテナンスリリースだけになりまーす」と言われて素直に納得できるはずもなく、何とも言えぬ気分になりました。

そういったことがあった中で、少し前に Mac 向けの新たな、期待できそうなメールアプリが登場しました 。それが「Airmail」。

AirMail01


大まかな特徴としては

  • Gmail, GoogleApps, Yahoo!, iCloud, AOL は最低限の設定入力で、あとは自動設定してくれる

  • 上記5つのサービス以外のメールサービスは、IMAP 設定を自分で入力すれば利用可能
    POP しか提供していない化石みたいなメールサービスは利用不可

  • Gmail のラベル利用は非常にやりやすい(Sparrow より良い)

  • Dropbox との連携が可能で、添付ファイルをメールに添付して送るのではなく、Dropbox にアップロードして共有リンクをメールに貼って送ることができる

  • 作成できるのは HTML メールのみ(エンコードは UTF-8)

  • Cc/Bcc に特定のメールアドレスを自動付加するなど、従来のメールソフトでよくある細かい機能は(まだ?)あまりない


といったところでしょうか。

Gmail を中心に、今どきの大手ウェブメールサービスを使うのに特化していますが、一般的な IMAP 対応のメールサービスにも対応していますので、Gmail, Yahoo!, AOL, iCloud 以外でも利用可能だと思います。

この「Airmail」、既に幾つかの Mac 系のニュースサイト、アプリ紹介サイトでも取り上げられていますが、現在はまだβ版であり、

現状のβ版利用には Facebook アカウントかメアドの登録が必要


となっています(Airmail そのものへの登録ではなく、Airmail が使っている開発者向けサービスからソフトをダウンロードするための登録)。それゆえ、

「良さそうなメールソフトだけど、なんかよく判らんところへ登録したくないわ」
「使ってみたいけど、Facebook アカウントをよく判らんサービスと連携とるのは嫌」

という人も多いと思います。

私も多少抵抗がなくもなかったのですが、私が見たサイトの軽い紹介程度では何も判らず、「結局自分で使わんと判らんよねー」ということで、サブアカウント中心ですが1週間ほど利用してみました。

で、気になっている人への参考になるかどうか判りませんが、ひと通りの利用画面と簡単な感想だけでなく、全メニュー項目と設定ダイアログ内の内容が判るスクリーンショットを以下に載せておきます。

Facebook やメアドの登録までして使いたくないけど興味はある、正式版になったら考えてみよう、と思っている人には、現在の「Airmail」の機能がある程度つかめて、参考になるのではないかと思います(スクリーンショットの多くはクリックで拡大表示されます)。

AirMail04NewAccount
(最初に出てくる新規アカウント作成画面。主対応5サービスならメアドとパスワードを入れるだけ)

AirMail05
(前述のとおり、主要な5サービスはプルダウンで選択でき、設定が最小限で済む)

AirMail06
(Gmail だけでなく iCloud メールもメアドとパスワードを入れるだけ)

AirMail07
(iCloud メールの設定を行った直後。若干読み込みその他でモタツキも見られるが、まず快適。
左からフォルダ/ラベル一覧、フォルダ内メール一覧、メール内容の横3ペイン構成)

AirMail02
(画面一番左端にある●ボタンでアカウントを切り替えられる。
2ペイン目のメール一覧の左に付いている色はラベル毎の分類カラー。見やすくて良い!)

AirMail03
(All Acounts を選ぶと全アカウントのメール一覧が2ペイン目に表示される。これも便利。
メール一覧では左にラベルカラーに加え、右下にアカウント毎の●マークが付いて判りやすい)

AirMail08MessageLabel
(メールに対する各種処理は、メニューまたはメッセージ画面右端のサブメニューから行う。
このように Gmail のラベル機能も自由自在で便利)

AirMail09MessageCopy
(フォルダ/ラベルへの移動、コピー機能なども Gmail ウェブと大差ない使いやすさ。
アーカイブやゴミ箱など主要機能は別途ボタンが用意されている)

AirMail28NewMail
(新規メール作成画面。そう変わったところはなく、完全にHTMLメールなくらい)

AirMail29
(もちろん、アドレス補完などは当然の機能として備わっている)


以上、基本的な画面例と雑感でした。

細かな機能的な部分については、以下にメニューの各項目と、Preferences の各設定画面のスクリーンキャプチャを載せておきますので、参考にしてください。おおよそ、把握できるかと思います。

AirMail10Menus
(Airmail メニュー項目)

AirMail11
(File メニュー項目)

AirMail12
(Edit メニュー項目)

AirMail13
(View メニュー項目)

AirMail14
(Message メニュー項目)

AirMail15
(Organize メニュー項目)

AirMail16
(Window メニュー項目)

AirMail17
(Help メニュー項目)

AirMail18PreferencesAccount
(設定画面/アカウント設定その1・基本情報)

AirMail19
(設定画面/アカウント設定その2・IMAPフォルダマッピング)

AirMail20
(設定画面/アカウント設定その3・メールエイリアス登録)

AirMail21
(設定画面/アカウント設定その4・署名。アカウント毎に1つ)

AirMail22
(設定画面/アカウント設定その5・アカウント毎の通知設定)

AirMail23
(設定画面/一般設定)

AirMail24
(設定画面/表示設定)

AirMail25
(設定画面/通知設定)

AirMail26
(設定画面/Dropbox 連携設定)

AirMail27
(設定画面/拡張設定。アドレス帳からのインポート機能もある)


設定(Preferences)画面の Suppert / UserVoice / Share の3つのメニューボタンは、クリックするとブラウザが開かれてサポートその他のページヘ行くだけなので省略します。

見て分かる通り、機能的には必要最小限は盛り込まれているけれど、メーラーとして痒いところに手が届くほどの細やかな設定はできません。

それでも Gmail のラベルの扱いに関しては、過去 Mac OS X でリリースされたメールソフトの中でも最上位の部類ではないかと思いますし、

Gmail で使うのがもの凄く便利なだけではなく
Gmail だけに特化しているわけではない汎用性


も魅力です。

動作速度的に俊敏とは言いがたい点もありますし、個人的には plain text なメールを作れないのはちょっと嫌なので、もう少しサブアカウント群の利用で様子見すると思いますが、

正式版が出たらメインで使うメールソフトに成り得るかもなぁ


という期待はあります。

少なくとも

Gmail メインなんだけど、Mac のメールソフトはどれもピンと来ないんだよなぁ…
という人は試す価値あり


だと思いますし、Sparrow の成り行きにガックリした人も一度試されるのも良いように思います(β版ゆえ、まだまだ Sparrow の完成度には至っていませんが)。

iOS では「Mailbox」、MacOS X では「Airmail」。ちょっと期待したいメールアプリが現れた 2013年。

願わくば Sparrow のように、風のように来たりて風のように去りぬ、というようなことにはならずに完成度を上げていただいて、正式版リリースを待ちたいと思います。

Airmail