前回紹介した旅・出張に便利な一石二鳥アイテム「MeoBankSD」。ホテルなどの有線LAN を無線化できるモバイル Wi-Fi ルーターとワイヤレスメモリカードリーダーがコンパクトに一体化した製品。



前回記事では、モバイル Wi-Fi ルーターとワイヤレスメモリカードリーダーが一体化したことだけでなく、USB ポートがあることで色々可能性があるんじゃないかということで購入したことを書きました。

モバイルWi-Fiルーター+ワイヤレスメモリカードリーダー「MeoBankSD」その1 〜買った理由は旅に便利な一石二鳥!…だけじゃない

しかし、本製品の本質はやはり、

  • Wi-Fi 経由で SD カードや USB メモリを読み書きできる機能

  • ホテルなどの有線LAN を無線化して複数のデバイスで繋ぐことができる機能(※)


この2つがコンパクトに一体化したことにあると思います。

(※)ホテルによっては有線LAN からルーターを通して無線LAN 化して複数のデバイスを接続しても上手く行かない場合があります。ビジネスホテルでもこういったことができないホテルチェーンがあります。

最近は出張でも出先でガシガシとプログラミングをすることがなさそうなら「iPad でいいか」ということがあります。本当は iPad / iPad mini でプログラミングがいつでもできれば一番良いのですが、それは当分望めなさそうなので、ある程度制限付きですが、パソコンレスで出かけることが増えてきています。

そんなパソコンレスの出張で有線LAN の無線化だけでなく、USB メモリにアクセスできるというのは、ちょっとした安心もあります。

最近はネット経由が普通で USB メモリでデーターをもらう機会も減りましたが、こういった「パソコンでできることがスマートフォン/タブレットでもできるようになる」ことが増えていくのは助かります。

というわけで、今回は「MeoBankSD」の本質である「モバイルWi-Fiルーター」「ワイヤレスメモリカードリーダー」この2つについて、使い勝手その他、実際に使ってみた感想を述べておこうと思います。

まず、「MeoBankSD」のザッとした紹介から。

MeoBankSD01
(MeoBankSD 商品パッケージ)

MeoBankSD02
(内容物一覧。右端の iPhone 5 は MeoBankSD サイズ比較用)


商品パッケージは簡素なもので、MeoBankSD 本体と充電用の USB ケーブル、簡素なマニュアルの3点。上記写真を見ても判るように MeoBankSD のサイズは機能の割にかなりコンパクトです。

ここに、これだけの機能をよく詰めたなぁ〜と思いますし、逆に言うと

このサイズだからバッテリー持続時間があまり期待できないのも道理


と言えます。バッテリー利用時間は連続最大3時間。

出先でちょっと写真を転送するくらいなら全く問題ないですが、Nexus 7 × AirStash の記事で書いたような「メモリーカードスロット代わりに出先で常用、アクセスする」という用途には向かないと思います。そういった用途、ワイヤレスSDカードリーダーとしてだけなら AirStash の方がスマートに使えます(サイズ的にも)。

(AirStash とのきちんとした比較は、また別途行おうと思います)

MeoBankSD03
(充電中は一番左のランプが赤く点灯する)


バッテリー利用は連続最大3時間ですが、充電時間は2時間。ただ、公称値ではそうなっていますが、公称値と同じか+αかかる印象です。30分くらい使っただけで充電に1時間くらいかかったこともあるので。

また、

充電は昨今主流の microUSB ではなく mini USB


となっています。なんか mini USB 端子で充電の商品ってのは久しぶりに買った気がすると同時に、ちょっと面倒臭いなぁ…と思ったり。今どきの商品なら microUSB で良かったのに、と思いますね。



使い勝手に関しては、有線LAN の無線化とワイヤレスメモリカードリーダーといった

主要な機能を使うなら、何もしなくても線をつなぐだけ


で簡単です。

ところが、後述するように

初期設定ではセキュリティ関係が一切設定されていない


ので、それだけは最初に行うべきでしょう。おまけに、マニュアルにきちんと説明/方法が書いてあるものの、設定画面は日本語化されておらず英語メニューなので、この手の設定が苦手な方には少し敷居が高いのも事実です。

MeoBankSD04
(ワイヤレスメモリリーダーとして使うのは、カードや USB メモリを挿して電源を入れるだけ)

MeoBankSD05
(ホテルなどの有線LAN 端子を入れて電源を入れれば、有線LAN→無線化も初期設定でOK)


予め知っておくべき事項としては

  • MeoBankSD のデフォルト無線LAN 名は「MeoBankSD_なんたら」なので、そこへ接続する

  • MeoBankSD の IPアドレスの初期設定が 10.10.1.1

  • ブラウザで http://10.10.1.1/ にアクセスすればメモリーカードの中身も見られるし、設定も可能

  • iOS は専用アプリを使った方が楽

  • ワイヤレスメモリカードリーダーとして使いながら無線LAN ルーターとして併用できる
    (メモリカードからデーターを読み込ませながら、インターネットへ接続できる)

  • 初期状態で WebDAV や FTP が利用可能なので、ファイラーアプリ(iPhone/iPad の GoodReader や Android の ESファイルマネージャーなど)やパソコンの Finder / Explorer から SDカードや USB メモリの中身にアクセス可能
    (設定を変更すれば Samba - Windows ファイル共有でのアクセスも可能だが、いささか不安定なので WebDAV か FTP が無難)


ということです。

MeoBankSD_App01
(iOS環境にのみ提供されている専用アプリ。iPhone / iPad 両対応ユニバーサルアプリ)

MeoBankSD_App02
(AirStash アプリと同じく動画・画像・音楽などの種類別にファイル表示することが可能
ただし、この画像ファイルに分類されるのは JPEG のみ)

MeoBankSD_App03
(フォルダ表示にすると、普通にフォルダごとへのアクセスができる)

MeoBankSD_App04
(DCIM の下に 1xx で始まるメーカー名フォルダがあるのはデジカメのお約束)

MeoBankSD_App05
(iOS アプリでは JPEG はサムネイル表示あり。タップするとファイルが読み込まれて右に表示される)

MeoBankSD_App06
(RAW はサムネイル表示されないが、iOS が対応していればタップして読みこめば表示される)

MeoBankSD_App07
(編集ボタンをタップすれば、複数ファイルを選択して各種ファイル操作が可能。
アルバムに保存はカメラロール保存、ダウンロードはアプリ内に保存される)

MeoBankSD_App08
(右側に一覧表示も可能。Wi-Fi 経由なのでサムネイルやアイコン表示には多少時間がかかる)

MeoBankSD_App09
(全画面表示も可能だが、スライドショー機能はない。1枚1枚手動で読み込み表示となる)

MeoBankSD_App10
(カメラロールや写真ライブラリから SDカードや USB メモリへのアップロードも可能
マイボックスタブからアップロードを選んで、ライブラリ内の写真を選択して完了をタップ)

MeoBankSD_App11
(アップロード時にはメモリカード・USB メモリ内のアップロード先フォルダを選択する)

MeoBankSD_App12
(アプリの設定画面から MeoBankSD の設定画面へ行ける)

MeoBankSD_App13
(iOS の GoodReader アプリから FTP 経由で MeoBankSD にアクセスしているところ)

MeoBankSD_Browser1
(Android や PC は専用アプリがないが、ブラウザで簡単にアクセス可能)

MeoBankSD_Browser2
(ただし、/var/tmp/usb/sda1 などという UNIX ファイルシステム丸出しなのが何とも…)

MeoBankSD_Browser3
(ブラウザアクセスではファイル一覧でサムネイル表示はされないのが難点)

MeoBankSD_Browser4
(複数ファイル選択での一括削除・ダウンロードは可能、アップロードは1ファイル毎となる)

MeoBankSD_FTP1
(Android ではファイラーアプリを使ったほうが便利。FTP でのアクセス設定を行ってるところ)

MeoBankSD_FTP2
(Android の ESファイルマネージャーで MeoBankSD にアクセス。sda1 がメモリカード)

MeoBankSD_FTP3
(ファイラーアプリの設定によっては隠しファイルも見えちゃうが、特に問題なく)

MeoBankSD_FTP4
(ファイラーアプリならファイルの移動や複数ファイルのアップロードなども自由自在)

MeoBankSD_FTP5
(ファイラーアプリでサムネイル表示を許可していれば、Android でもサムネイル表示可能)


とりあえず、どこからでもブラウザーでアクセスできるのは他の同種製品と同じで、安心感があります。ただ、ブラウザーアクセスでは必ずしも便利とはいえませんから、iOS では専用アプリ、Android ではファイラーアプリの利用を推奨ですね。

加えて重要なこととして、先ほども言ったように「初期設定ではセキュリティ設定が一切なし」ですから、それだけは行なっておくべきです。

無線LAN に一切パスワードを設定されていませんし、MeoBankSD の設定画面に入るのもパスワード設定されていませんので

初期設定では誰でも無線LAN につなぎ放題
挿した SDカードや USB メモリも閲覧削除され放題
さらに MeoBankSD の設定も変更され放題


という自由奔放やりたい放題な状況になっています。

こういった点では国内大手メーカーの無線LAN 製品とはかなり考え方の違いがありますし(初期設定で安全面に振られていない)、

簡易マニュアルは日本語でも、実際の設定画面は日本語化されてない


ので、国内メーカーの無線LAN ルーターの簡単設定でもよく判らなかった…という人には少々厳しい製品かと思います。

まぁ付属マニュアル通りにやれば良いだけですし、周りに少しでも判っている人がいれば、簡単にやってもらえるレベルのことだと思いますが、そういうことが難しい人たちが多いのも事実です。セキュリティ設定なしで使うのは薦められないので、そこだけはネックですね。

最初から無線LAN のパスワード(WPA2-PSK のパスフレーズ)くらい設定しておけよ、と思いますが、なにせ元が中華製品であるのを代理店がパッケージと簡易マニュアルだけ日本語化して売ってるだけですからね(AirStash も変わらないけれど)。それだけに安く多機能な製品ではあるわけですが。



一般的な利用で他に気づいた点、主に欠点を以下に並べておきます(良い点は安くて色々機能あってコンパクト、で十分でしょうから)。

  • SDカードと USB ポートの同時利用は不可

  • 無線LAN の電波が弱いだけに、他に無線LAN が飛び交ってると、すぐ近くでアクセスしようとしても不安定な時がある

  • 何度も書いているが、サイズはコンパクトだが、直方体で厚みがあるので、持ち歩いて使うのにはあまり向かないと感じている

  • 設定を変更すれば samba(Windows ファイル共有)機能が使えるが、主に書き込みで不安定さが見られる

  • iOS アプリで、写真を選択して読み込み表示したのがキャッシュされないので、以前表示した写真も毎回読み込み直しで鬱陶しい。
    (Wi-Fi 経由だけに読み込みに少し時間がかかるだから待ち時間が多くなってストレスになる)

  • iOS アプリではファイル編集機能で、ファイルの全選択、ファイル選択の全解除がない。
    (全ファイルの読み込み、アップロードをするのに全部のファイルをタップしなきゃならないというのはあり得ない…)


正直なところ、簡単お手軽に使う部分ではさほど問題なく使い勝手もそう悪くないのですが、そこを超えると微妙なところがあります。というか、

パソコン的にアレコレやろうと思うと iOS の制限が鬱陶しいなぁ


というのがあって、AirStash よりできることが多い分、Android の何でもありな状況の方が使いやすいデバイスですね。もちろん、iPhone / iPad で使っても便利なのですが、デバイス側のファイルアクセスに制限があるのが時に不便に感じることもあります。

そういった点も含めて、MeoBankSD の USB ポートにメモリカードリーダーや SSD / HDD を挿してアレコレやった点については次回記事にて。

次回記事→「「MeoBankSD」の USBポートにカードリーダーや SSD/HDD を試す 〜 CF一眼レフ使いには便利な一品