今週はピーチの千円セールに誘われて北海道へ行っていたため、アメリカで開催中の CES 2013 絡みの新製品・新サービス発表もあまりきちんと把握できず、週末になってようやく今週のニュース記事を後追いでチェックしています。

というわけで、CES 2013 のニュースを追いつつ、自分用の“あとで読む”記事メモと雑感を織り交ぜたチラシの裏を。



CES 2003 では、TV関連でソニーとパナソニックが組んだ 4K有機ELパネル関連の発表やら、インチ1万円を切る東芝の 4Kテレビの発表やらがありましたが、基本的に個人的な興味の方向は、スマートフォン/タブレット方面とデジタルカメラ方面。

スマートフォン/タブレット方面は2月末にバルセロナで行われる MWC 2013 に注力する企業が多いこともありましたが、チップ関係では Snapdragon 800/600 シリーズと Tegra4 という、現在 Android / Windows Phone で使われているチップの後継チップが発表されたのが一番の注目でしょうか。

多くのスマートフォンで採用されている Snapdragon S4 Pro など Snapdragon シリーズの最新チップ 800/600 採用機種が今年後半には出まわるということで、本来の 4G であったはずの LTE Advanced Ready な機種もとうとう出てくるのか、って感じです。

クアルコム、「Snapdragon 800シリーズ」を基調講演で発表
Snapdragon 800シリーズの実力をアピールするクアルコム
LTEは下り最大150Mbpsに―Qualcomm、「Snapdragon 800」の新技術を披露

もっとも、LTE で 10Mbps くらい出ていれば実用上不便はないですし、料金が実質的に従量制になってしまっている現在、無尽蔵に使えない状況では、更なる高速化でモバイル通信でもフルHD やそれ以上の映像の視聴が可能になると言われても「は?関係ないわ」ですね。

同じように Snapdragon 800シリーズのデモで 4K映像やら 7.1ch DTS 対応やら言ってますが、それを見るための環境がない、整えるのに空間も費用もかかるとなれば全く無関係ですね。高解像度化が進むタブレットをサクサク使えるようになるのは有難いですけれど。

また GPU 利用のグラフィック処理のデモを見ているとタブレットがパソコンから置き換わっていくのに必要かもしれないとは思いますし、私自身既に iPad でレタッチすることは多いので、速く 2千万画素クラスの RAW 現像が快適にできる環境が出来れば良いなぁと思います。

でもまぁそれはハードの問題だけでなく OS やアプリの問題も絡んできますし、7インチタブレットはもちろん、10インチクラスのタブレットでもきちんとしたレタッチは難しいので、大画面ディスプレイに(できれば無線で)ミラーリングしながらレタッチしたいものです。

…と冷静に考えていたら、タブレットのさらなる高速化はあってもいいかも…ですね。そろそろ、タブレット単体よりはタブレット+周辺機器の時代になるのかもしれませんが。


同じくタブレット用の CPU/GPU として著名な NVIDIA Tegra 3 の後継 Tegra 4 も発表。こちらも GPU 処理による高速グラフィック処理のデモをしていたようですが、なんといっても「Project SHIELD」と呼ばれるポータブルゲーム機プラットフォームの提唱は驚きました。

ニンテンドー3DS と PSP / PS Vita に本気で割っていこうというのか、Tegra シリーズ拡販のためにぶちあげてみたのか…よく判りませんね。エンドユーザー的にはモノが出てからでしょうし、昔も似たような話はどこかで見たような気がしますが(-_-;)

NVIDIA、処理能力向上の「Tegra 4」―Androidゲーム機も
Androidゲーム機「Project SHIELD」を展示するNVIDIAブース
NVIDIAブースで、Tegra 4の4K再生とSHIELDの姿をチェックする
「Tegra 4」と「SHIELD」で舵を切るNVIDIAの狙い



CES 2013 で発表された新端末としては Xperia Z / ZL がメインになるのでしょうね。スペック的には HTC J Butterfly と同等レベルの「5インチ、フルHD、クアッドコア (Snapdragon S4 Pro)、メモリ2GB」というトレンドに追いついた感じですので、特に驚きはありませんが、「Exmor RS for mobile」搭載でカメラが一段進化しそうなのは興味あるところ。

ソニー、ハイエンドモデルのXperia Z/ZLを発表
写真で見る「Xperia Z」
日本でも発売予定:Sony Mobile、5インチフルHD液晶+クアッドコアCPU搭載の「Xperia Z」を発表
ソニーの技術が結集した「Xperia Z」登場、NFCの“ワンタッチ機能”も拡充
ソニーブースで「Xperia Z」をじっくり触ってきた―写真と動画でチェック

防水仕様の Xperia Z は国内販売が明言されていますし、現在 AQUOS Phone ZETA が救世主になっているドコモが春モデルでイチオシしまくって、薄さも含めたスーパーバランス機として売れそうです。Android を一度メインにしてみようかと思う私は、今年 docomo から他社への MNP する玉しかないので様子見するだけになると思いますが…

いずれにせよ、GALAXY / XPERIA / AQUOS と3本柱がブランドとして確立されれば、iPhone の売れ行きもピークは過ぎてますから春以降立ち直ったりしてくるのかもしれません。まぁ iPhone の売れ行きはどうでもいいのですが、ドコモが息つく展開になるとしたら面白くありませんけど。



サムソンやLGは2月下旬の MWC が主戦場になるようで、今回は割とスルーだったようです。

Galaxy Note/S IIIをアピールするサムスンブース
Samsung、GALAXY Note II/Note 10.1 LTEや“スマート家電”をアピール
「Optimus G」や「Nexus 4」を展示するLG
「Optimus G」「Optimus Vu II」の独自機能、「Nexus 4」を紹介―LGブース

が、むしろ精力的だったのは中国勢。ZTE とファーウェイはハイエンド機の世界展開への力の入れようが凄そうで、サムソンやLGはどうでもいいのですが、ソニーも正念場になりそうで頑張ってもらいたいものです。もうスペックでは全く引けをとらない中国メーカーですからね。

ZTE の「Grand 5」は Xperia Z と同じ、5インチ、フルHD、クアッドコア Snapdragon S4 Pro 1.5GHz、メモリ2GB、内蔵ストレージ16GB、LTE 対応、Android 4.1 というハイエンド機の鉄板仕様。防水ではないものの薄さ 6.9mm(Xperia Z は防水で薄さ 7.9mm)。そして、多色展開。

ZTE、フルHDディスプレイ搭載で6.9mmの「Grand S」を発表
多色展開でデザインにも注力―ZTE、5インチフルHD+クアッドコアの「Grand S」発表

こちらは記事で

日本での発売については「決まったことはなく、キャリアとも協議はするが非常に難しい」(中略)「日本は特殊なマーケットで、防水機能がどうしても必要になる。そうなるとGrand Sの特徴である薄さをキープできない」


という取材結果があるので、国内展開はないかもしれないけれど、Xperia のようなグローバルモデルの主戦場である北米では今まで以上に厳しい競争になりそう。ソニーには頑張って欲しいと言いつつ他人事だけど(^_^;)


また、ファーウェイの方も「5インチ、フルHD、クアッドコア 1.5GHz」と、これまた現在ハイエンド定番スペックの「Ascend D2」を発表していて、こちらは 9.2mm と薄くはない(HTC J Butterfly と同じ)けれど、防水ありで春モデルとして国内に投入されるっぽい。

ファーウェイ、フルHDスマホを日本に投入、6.1インチモデルも
高精細+大画面でもバッテリー長持ち―Huaweiが「Ascend D2」「Ascend Mate」を発表

中華メーカーの「Ascend D2」がいきなり国内で爆発的に売れるとは思わないし、他メーカーのハイエンド機と同じスペックゆえにキャリアが Ascend D2 を驚くほど安価に出すとは思えないけれど、スペックだけは他と変わらないので値段によっては売れる可能性はあるかもねぇ。

個人的には「Ascend D2」はどうでもいいけれど、6インチ端末の「Ascend Mate」は少し気になる。以前の記事にも書いたけれど、6インチというサイズは一度使ってみたい気はしている。1280×720 とフルHD にこだわってないけれど、その分安ければインターナショナルモデルを買いたいと思ってる。国内販売はないようだし。

ま、ファーウェイの方は MWC 2013 にまだ大きな発表があるようで色々出てきそうだけれども。



あと一部で話題になってる「enchantMOON」。デモ動画も見て、これは一度使ってみたい!とは思うが、値段は安くないそうなので金欠の私に買えるかどうか…

UE、独自のタブレット型デバイス「enchantMOON」

きっと初期ロットは少量でお値段10万弱くらいになって、それでもすぐ好きモノが飛びついて完売みたいな感じになるのかな…なんて思っていたり。そういう状況なら無理して買おうとは思わないけれど、iPad くらいの値段なら買いたい、使ってみたいと思わせる。

「enchantMOON」については西田宗千佳氏のメルマガ最新号に色々と詳しく載っていた(最近 MAGon は Kindle ストアでも単号発売しているので、誰でも買いやすくなった)。



あとは「Ubuntu Phone」。デスクトップ Linux と同じで普及するとは全く思ってないけれど、手持ちの端末に入れられるようになったら入れて是非使ってみたい。

現地のデモ機は Galaxy Nexus だったらしいので、Nexus 系で動くものが公開されたら端末の中古を買ってでも使ってみたいとは思う。お遊びとして使うなら Android よりずっと惹かれる。

噂の「Ubuntu Phone」がCESに登場 創業者自らが軽快動作のOSをデモ

スマートフォン/タブレット関係で興味を惹いたのは、以上くらいかな。まだ細かいところまで追いきれてないので、ここに URL メモしておいて後から見直す記事も多いし、勘違いもあるかもしれない。



デジタルカメラ関係も国内メーカーが大半で、この後1月末から国内で CP+ 2013 が控えているので新機種発表は控えめ。

レンズ交換式カメラでは、ニコンのミラーレス機 Nikon 1 の下位モデル2機種(Nikon 1 J3/S1)くらいで、コンパクトデジカメが中心だし、コンパクトデジカメも主力機は CP+ に向けて発表する国内メーカーも多かったようだ。

コンパクトデジカメで注目したのは、富士フィルムのハイエンド・コンパクトデジカメ2機種(X100S / X20)とシグマの 中望遠コンパクト DP3 Merrill と

CES 2013 で一番使ってみたくなったデバイス「PowerShot N」


くらいですかね。まぁ本番は CP+ ということでしょう。


個人的には今年になって X-E1 を使い始めたので(それについては近々書いていきます)、新撮像素子が搭載された X100S については(複雑な思いとともに)かなり気になっているのですが、それについてはまた X-E1 絡みの別記事で触れることにしたいと思います。

ちなみに X-E1 は予想通り、自分の性格的に&使い方的に糞ったれ!と思うこともあるのですが(それを改善するべく X-E1 を買ったのだけど)、画質は期待に違わないもので感心しています。撮った時より撮った後に良いと思えるカメラはそう多くないですしね…

そんな X-Pro1 / X-E1 と同じ画質を生み出す X-Trans CMOS センサーの改善版が搭載される X100S には、かなり興味あります。自分の画角である 35mm 相当の単焦点コンパクト機でも CyberShot RX1 は到底買えませんが X100S なら…なんて。まぁ X-E1 があるので買わないと思いますけど(X100 はデカいですし)。

X-Trans CMOS IIセンサー採用の「FUJIFILM X100S」
像面位相差AF、X-Trans CMOS II搭載の「FUJIFILM X20」
Xシリーズ第2章へ ローパスレスの「FUJIFILM X100S」「FUJIFILM X20」発表
ローパスレス&「点像復元」 X-DNAを引き継ぎ高画質化した「FUJIFILM X100S」
進化した光学ファインダー、ローパスフィルターレスの「FUJIFILM X20」
【CES】説明会で聞いた「FUJIFILM X100S」「FUJIFILM X20」詳報
2013 Internationa CES:富士フイルム「X100S」「X20」が目指す高画質の秘密、回折現象を低減する「点像復元」とは


「DP3 Merrill」は本当に出したんだなぁ〜シグマは凄いなぁ〜と、感心するばかり。DP2 Merrill を買おうと思いつつ「このサイズなら X-E1 でも変わんないよなー」などと思って X-E1 を買った今となっては、もう当分 Foveon 復帰はできませんが…

DP シリーズは次世代で(光学性能を維持しつつ)もう少しダウンサイジングできないのかなぁ…というか、こうなってくるとボディが同サイズでミラーレス機を、なんて思ってしまいますね。正直買いたいと思いつつも、なかなか買えないのですが、シグマは応援してます。レンズも頑張ってるので、そちらは別枠で買いたいと思っています。

【CES】シグマ、中望遠レンズ搭載の「DP3 Merrill」を展示
シグマ、中望遠75mm相当F2.8レンズ搭載の「DP3 Merrill」
シグマ、第3のDP 「SIGMA DP3 Merrill」
「SIGMA Photo Pro」にモノクロ特化した処理モードの追加を予告


Nikon 1 J3 / S1 は V2 の廉価機という感じですし、EVF なしのミラーレス機は買わない方針は買わないので、以下リンクだけ。それより超マイナーチェンジで短命に終わった J2 を出した意味とか、J3 と S1 の差別化は?とか思いますけど、まぁ売れてるから良いのか。

ニコン、AF追従15コマ/秒の「Nikon 1 J3」
ニコン、ミラーレス入門者向けの「Nikon 1 S1」
【CES】「Nikon 1 J3」「Nikon 1 S1」をアピールしたニコンブース
「世界最小」実現、60コマ/秒連写も可能な「Nikon 1 J3」
初めてユーザーにも優しい「1」 ニコンから「Nikon 1 S1」
ニコン、小形軽量の「1 NIKKOR VR 10-100mm F4-5.6」を正式発表
ニコン、18-35mm相当のコンパクトな超広角ズームレンズ「1 NIKKOR VR 6.7-13mm F3.5-5.6」


あとはペンタックスリコーが今さらクラシックデザインでハイエンド・コンパクト機、という後追い極まりない感じで出してきた「MX-1」くらいですかね。興味ないけど、パナソニック LX7 やオリンパス XZ-2 との激戦に頑張って下さい。ってか、GXR はフェードアウトなんでしょうか、リコーさん。

【CES】ハイエンドコンパクト「MX-1」を発表したペンタックスリコー
ペンタックス、クラシックなデザインの1/1.7型センサーコンパクト「MX-1」を海外発表

ついでに、こんなのも。防水コンパクトは今年必ず買う予定なので、新機種を出してもらって安くなった旧モデルを買いたいですね。防水デジカメで画質を問おうとは思わないので旧モデルで十分(たぶん)。

【CES】防水高級モデル「TG-2 iHS」などを発表したオリンパス

そういえば、ポラロイドが Android OS 搭載のレンズ交換式カメラを出して「おおおっ!?」となったけれど、結局展示品はコンセプトモデルで、「展示品は1インチセンサーを搭載しているけれど、将来的にはマイクロフォーサーズを採用したい」というレベルの製品だったようで。

レンズも含めて見た目が Nikon 1 とそっくりだったのも、コンセプトモデルとしてガワはそっくり…というオチだったのかな。

【CES】Polaroid、世界初のAndroid OS搭載レンズ交換式デジカメ


で、最後に今回の CES 2013 で唯一「これは絶対買ってみよう」と本気で思っているのが「PowerShot N」。

【CES】キヤノン、ユニークな操作性のWi-Fi搭載機「PowerShot N」など
何とも不思議なマシカクカメラ 「PowerShot N」をCESで発見

単なるデザインを真四角にしただけではなく、コンパクトカメラにおける操作性の革新という点でも

実際に自分で使ってみて判断したい


と思えるカメラ。

これだけ手ブレ補正その他の技術が発達した今、レンズ交換式カメラはともかくコンパクトデジカメは真に両手持ちから開放されても良いはずだし、片手が不自由な人にも問題なく使えるカメラがあっても良いはず。

ニコンの超小型コンパクトデジカメ「COOLPIX S1」が安くなってきて、ちょっと買ってみようかな…と思っていましたが、S1 はあくまで単なる小さくしたカメラ、PowerShot N はコンセプトが全然違うだけに「使ってみたい度」「試してみたい度」はずっと上。

タブレットの「enchantMOON」ほどの革新性は感じないものの、踏み出す一歩を感じる。ま、人間ってのは意外と保守的な生き物なので、コンセプトを試しただけで終わってしまう可能性も高いが、だからこそ自分で試してみたい。

ま、できれば撮像素子もスクエアだったら遊び心として満点だった気がするし、液晶モニターのバリアングル方向がもっと柔軟なら…なんて思わなくもないけれど、主たるコンセプトとしてはそういった部分とは違う気がするしね。



チラシの裏がなんだかんだで長くなってしまいましたが、地味だけど注目するものはあった感じですかね。「PowerShot N」はホント早く売って欲しいなぁ…

本田雅一のモバイル通信リターンズ 第021号[2013年1月10日発行] (MAGon) [Kindle版]
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(こちらは本田雅一氏による CES レポート第一弾のメルマガ)