以前の記事で「GoodReader を使ってファイルをダウンロード保存したり、クラウドへアップロードする方法」という記事を書きました。その記事で

“GoodReader はファイルビューワーとして優秀だけじゃなく、各種クラウド、サーバー対応の多機能ファイル操作ツールとして、ファイル操作に制約の多い iOS の不便さをカバーする役割もある”

として、多機能な GoodReader の僅かな例ですが、

・Safari でダウンロードしたファイルをクラウドサービスへアップロードする
・zip 圧縮ファイルをダウンロードして解凍する

といったものを紹介しました。

そして、その記事の中で「クラウドとのファイル同期の機能もある」と、ひと言触れましたが、私自身 GoodReader で一番利用している機能が、この同期機能です。

ネットワーク先のフォルダと iPhone/iPad のファイル同期機能


が GoodReader には備わっています。iPhone/iPad 側は GoodReader のアプリ内のフォルダとの同期機能になりますが、これは iOS の制約なので仕方ありません。

ネットワーク先のフォルダというのは、Dropbox や Google Drive、SkyDrive といった各種クラウドサービスでも OK ですし、会社や自宅のサーバーや LAN内の NAS、共有設定してあるパソコン上のフォルダとの同期も可能です。

私の場合、単にクラウドや NAS とのフォルダ・ファイル同期というよりは、

クラウドサービスを通して、パソコンと iPhone/iPad のフォルダ・ファイル同期


を行っていて、これがかなり便利でずっと愛用していますので、簡単に紹介しておきます。


通常、GoodReader へファイルをコピーする方法としては

  1. iTunes のファイル共有機能を利用する

  2. GoodReader の WebDAV サーバー機能を有効にして、パソコンから GoodReader へ接続する

  3. パソコンでファイル共有機能を有効にして、GoodReader からサーバー接続機能でパソコンに接続する


という方法があります。

一番手っ取り早そうに見えるのは iTunes のアプリ画面を通してファイルをコピーすることですが、その場合は「フォルダのコピーができない」「フォルダの中へファイルをコピーできない」という欠点があります。また、ファイルコピー1つで、いちいち糞重い iTunes を起動するのも微妙です。

また、GoodReader 初期の頃からの方法として、GoodReader のWebDAV サーバーにしてパソコンから接続する機能もあります。しかし、GoodReaderを起動してサーバー機能を有効にし、パソコンから WebDAV で接続して…という手間がかかりまりますので、ファイルコピーのためだけに毎回やるのはいささか面倒です。

それとは逆に、パソコン側でファイル共有を有効にしていれば、GoodReader からパソコンへ SMB/AFP で接続してファイルコピーしてくることも可能です。ただ、iPhone/iPadでフォルダ移動してファイルを取ってくるのはパソコンでやるのに比べて若干手間ですし、パソコン側でファイル共有を許可していなければ使えません。

ところが、GoodReader でフォルダ同期する方法を使えば、

  1. iPhone/iPad/iPod touch と共有したいファイルをパソコンから同期対象となるフォルダに入れる

  2. 同期を取りたい時に GoodReader で Sync ボタンをタップする


これだけでパソコンなどとファイル共有・同期ができます。

特にクラウドサービスと連携すれば、出かける前にパソコンから同期したいファイル・フォルダをクラウドサービスの特定フォルダに入れておき、後から出先で iPhone / iPad で同期して受け取ることも可能です。

また、同期したファイルは GoodReader 内に保存されますから、オフライン時にも使用できます。Wi-Fi版 iPad や iPod touch では出かける前に同期しておくと便利に使えると思います。

そんな Good Reader のフォルダ同期機能の設定と実例を以下に載せておきます。同期先は前述の通り、自宅や会社の LAN上にあるパソコンや NAS、ファイルサーバーともできますが、ここでは私が普段使ってる例としてクラウドサービス(Dropbox)との同期を示します。



まず、パソコンで Dropbox 上に GoodReader 同期用のフォルダを作っておきます。もちろん、新たに作るのではなく、既存のフォルダを iPhone/iPad の GoodReader と同期することもできます。

ここではサンプルとして「sync_for_GoodReader」というフォルダを作って、これを GoodReader と同期する設定を行ってみます。

GoodReader_Sync01


このサンプル同期用に作ったフォルダの中身として、これもサンプルとして以下のようなファイルを入れておきます。

GoodReader_Sync02


ここまでは今回のテストのための準備で、ここからが本番。GoodReader の設定になります。

以下は主に iPhone版で説明していますが、iPad版でも手順は同じです。iPad版はメニューが全て右側サイドメニューにあるので画面移動がないので、より判りやすくなっています(あとで触れます)。

なお、GoodReader からクラウドサービス(ここでは Dropbox)へ接続する設定は既に行ってあるものとします。GoodReader からクラウドサービスの中へ接続してファイル操作できるようにする設定については、以下の過去記事を参照して下さい。

GoodReader を使ってファイルをダウンロード保存したり、クラウドへアップロードする方法

以上の準備ができていれば、まず GoodReader for iPhone で、以下のような最上位の階層まで戻ります。同期を行ったり、同期の設定を行うには、ここの「Web Downloads」 を選択し、次に「Connect to Servers」を選びます。

GoodReader_Sync04

GoodReader_Sync03

GoodReader_Sync05


「Connect to Servers」の画面では上記のように、既にクラウドサービスや NAS、ファイルサーバーなどに接続設定してあるものが一番上に並んでいるはずです。

並んでいなければ、一番上にスクロールして「Connect to Server (tap to connect)」と書いてある細い行をタップすれば、接続設定した一覧がプルダウンされます。

ここでは Dropbox 上のフォルダと同期するので「Dropbox」をタップします。

Dropbox 以外のクラウドサービスや LAN内のパソコン、NAS、ファイルサーバーとフォルダ同期したい時には、そのサービスやサーバーとの接続設定を行っておき、以下同じように設定します。

GoodReader_Sync06


「Connect to Servers」の画面で Dropbox をタップすると接続されて、上記のように自分の Dropbox 内のファイル・フォルダが一覧として表示されます。

ここで先ほど今回のサンプル同期例として作った「sync_for_GoodReader」フォルダを見つけてタップします(実際には自分が同期したいフォルダをタップします)。

同期したいフォルダをタップすると、以下のように背景色が薄緑にマークされます。

GoodReader_Sync07


そして、下にある3つのボタンから一番左、画面左下の「Sync」ボタンをタップします。これが同期設定ボタンです。

「Sync」ボタンをタップすると以下のような同期に関する説明のダイアログが表示されます。

GoodReader_Sync08


超意訳すると

選択したフォルダを自動的にダウンロードして同期用のフォルダとして設定するよ。「Web Download」セクションの「Sync」ボタンをタップしたらこのフォルダを同期するよ。サーバー上(クラウド上)のこのフォルダをどこにダウンロード、同期するかを指定してくれ


とあります。

もちろん、ここでは「Proceed」ボタンしかありませんので、それをタップして次に進みます。

GoodReader_Sync09


すると GoodReader のローカルフォルダの内容が表示されます。GoodReader の中、My Documents 以下のどこに同期するフォルダをダウンロードするかを指定してくれ、ということです。

ここでは Downloads フォルダの中に同期したフォルダを入れることにします。ので、「Downloads」をタップして Downloads フォルダへ移動します。

GoodReader_Sync10


同期するフォルダを GoodReader 内にダウンロードする場所を決めたら画面右下の「Download here & Synchronize」ボタンをタップします。

すると、以下のような同期設定画面が出てきます。

GoodReader_Sync11


全部英語で「うぅ、ややこしそう…」となる人もいると思いますが、そう難しくありませんし、ここだけで終わりですので頑張って下さい。

基本的に設定・確認するところは、以下の3つだけです。

GoodReader_Sync18


"Download only" sync

文字通りダウンロード限定。同期先(サーバー側クラウド側)のファイルは一切触りません(誤って削除などもされません)。サーバー側・クラウド側に置いてある最新ファイルを常に iPhone/iPad に置くだけの時に使います。

Delete local fires

"Download only" sync がオフで双方向同期の設定の時、同期先(サーバー側クラウド側)で削除されたファイルが iPhone/iPad(ローカル)側にある時に、その iPhone/iPad側のファイルを消すかどうかを設定します。
オンの場合は、サーバー側クラウド側で削除されたファイルは iPhone/iPad 側からも削除します。オフならサーバー側クラウド側でファイルが削除されても iPhone/iPad側では削除されません。

Delete remote files

"Download only" sync がオフで双方向同期の設定の時、iPhone/iPad(ローカル)側で削除されたファイルが同期先(サーバー側クラウド側)にある時に、そのサーバー側クラウド側のファイルを削除するかどうかを設定します。


あとは「Policy on sync conflicts」というところですが「ask what to do」=コンフリクトがあったらお聞きするよ、に選択しておくのが良いと思います。


これで設定は終わりです。画面右上の「Sync」ボタンをタップすると設定が保存され、即同期処理、初回はクラウド(サーバーやNAS)からのフォルダ一括ダウンロード処理が始まります。

GoodReader_Sync12
(同期中のダウンロード処理)


同期処理が終わって、GoodReader 内の My Documents →Downloads フォルダ内を見てみると

GoodReader_Sync13


というように、Dropbox 上で同期設定したフォルダが作られていて、そのフォルダの中を見ると

GoodReader_Sync14


Dropbox 上と同じファイルがコピーされています。

今回は Dropbox 上のフォルダとの同期設定をしましたが、Dropbox 以外のクラウドサービスのフォルダとの同期も可能ですし、自宅や会社の LAN 上にあるパソコン、NAS、ファイルサーバーとの同期も、同じように設定すれば可能になります。

一度設定すれば2回目からは、最上位画面や「Web Downloads」画面の右上にある「Sync」ボタン一発で同期されます。

GoodReader_Sync21


また、フォルダ同期は1つだけでなく幾つも設定できますし、複数のクラウドサービスやサーバー、NAS とも同期設定が可能です(LAN上のパソコンや NAS との同期設定をすると、モバイル環境ではそのフォルダとの同期はできないのは言うまでもありません)。

「Web Downloads」画面の右上にある「Sync」ボタンをタップすると同期設定全てが一括で順次同期されていきますが、同期設定の一つだけ同期処理したい場合は、「Remote Sync」欄の中にある同期フォルダ名の下の同期ボタンをタップします。

GoodReader_Sync15
(私の場合、Dropbox と MS SkyDrive の計7個のフォルダと同期設定している)

GoodReader_Sync16
(Web Downloads 画面の Syncボタンをタップすると全設定が一括同期される)



なお、GoodReader for iPad ではメニューが全て右側のサイドメニューに集まっているので、画面移動が最低限で見通しは良くて判りやすいですが、iPhone版とやることは同じです。

右側メニューの一番下にある「Connect to Servers」をタップして、そこでサーバー、クラウドへの接続設定を行い、サーバー、クラウドへ接続して、その中のフォルダを選択して「Sync」ボタンをタップして…となります。

GoodReader_Sync17


同期設定が終わると右側のWeb Downloads 内に設定一覧が表示され、一括同期のための「Sync」ボタン、個別同期のためのボタンは iPhone版と同じです。



最後に同期設定を削除するのは、iOS の基本技である「削除したい設定の行を指で左右どちらかにスワイプ」です。

GoodReader_Sync19


スワイプすると「Delete」ボタンが出てきますので、この「Delete」ボタンをタップすると以下のような同期設定の削除確認ダイアログが出ます。

GoodReader_Sync20


ここに書かれているメッセージは

同期設定を削除しても GoodReader ローカル上のファイル・フォルダや、クラウド・サーバー上のファイル・フォルダとも影響はないけれど、削除したらもう同期処理はしない。もう一度同期したければ、設定し直さなければならない。


と書いてあります(たぶん)。

いや、もう同期は必要ないから、ということなら「Delete」ボタンを、やっぱり同期設定の削除は止めたというなら「Don't」ボタンをタップします。



以上長くなりましたが、GoodReader のフォルダ同期機能の拙い説明でした。

iOS はセキュリティを重視してファイルアクセスにかなりの制限がありますが、そのあたりを少しでも補ってくれるのが GoodReader です。

GoodReader でファイルを取ってきたり、同期したりして、そこから「Open In...」機能で他のアプリに渡すことで(少し手間はありますが)色々とファイル操作が可能になると思います。

GoodReader は私もまだまだ使い倒しているとは言えませんが、色々と便利な機能がありますので、iPhone / iPad の不便さを嘆く前に、少し活用してみてはいかがでしょうか。

GoodReader を使ってファイルをダウンロード保存したり、クラウドへアップロードする方法