年末年始のお休みも今日で終わりの方が多く、明日からは日常が再開されるということですが、ネットストアで行われていた年末年始セール・キャンペーンの類いも今日が終わりというところが多いので、チェックし忘れにはご注意いただきたいと思います :)

さて、先日 Kindle Paperwhite を買った友人から「ハリー・ポッターの電子書籍 ePub ファイルを Kindle で読む方法が判らん。calibre というソフトでやっても読めない」というヘルプがありました。

実質的に自社フォーマットしかまともに表示できない Kindle Paperwhite で他形式のファイルを読むようにするには、calibre というソフトを使うのが一般的です。このあたりは以前の記事に詳述しました。

PDF も自炊ファイル(CBZ) も Kindle Paperwhite で読むなら全部変換してから入れるべき話と方法

また、メルマガなどの ePub ファイルをいつでもパソコンなしで、お手軽にどんどん変換して Kindle Paperwhite に送り込みたい時の方法として、以下のような記事も書きました。

クラウドサービスを利用して Kindle へ ePub ファイルを自動変換して送り込む方法

関連記事としては

GoodReader を使ってファイルをダウンロード保存したり、クラウドへアップロードする方法
毎朝届く。後で読む Instapaper に送った記事をまとめて Kindle(や iPhone/Android)へ自動送信する

といった話題もあります。

calibre でも ePub を簡単に Kindle 形式のファイル(mobi, azw3)に変換できますし、ハリー・ポッターの電子書籍は DRM(プロテクト)のない epub なので、calibre ですんなり変換できても良いはずなのですが、実際には上手く変換されません。

私もハリー・ポッターの電子書籍は一冊だけ持っているので、Kindle Paperwhite 購入直後に calibre で変換したのですが、できませんでした。

そして結局、Amazon が提供する変換ソフト KindleGen を使うことで、ハリー・ポッターの電子書籍も Kindle Paperwhite で読めるようになりました。

ので、以下 KindleGen の使い方も含めて、ハリー・ポッターの電子書籍を Kindle Poperwhite で読む方法を簡単に記しておきます。

Mac上での作業手順を示しますが、Windows / Linux でも基本的な部分は同じです。



まず、Amazon 純正 Kindle 形式変換プログラム「KindleGen」は以下のサイトにあります。

Kindle Publishing Programs

Amazon 本国サイト内にあるので英語ページですが、特に難しいことはないでしょう。以下の赤枠で囲った部分に、Windows用、Mac用、Linux用のダウンロードボタンがあります。

KindleGen01


事前に利用規約を読んで同意する必要があり、赤枠の上にある「I agree to terms of use」の欄のボックスにチェックを入れると、ダウンロードボタンが有効化されてダウンロードできるようになります。

ということで、KindleGen をダウンロード&解凍します。

KindleGen02


ここではダウンロードした圧縮ファイルを MacOS X のデスクトップ上に解凍してありますが、どこで作業しようと同じです。

KindleGen のフォルダの中身を見ると(Mac版では)以下のようになっています。

KindleGen03


このフォルダ内に、ハリー・ポッターの電子書籍 ePub ファイルをコピーします。第1巻であれば HP1_Philosophers_Stone_ja-jp.epub というファイルですね(以下の画面例)。

KindleGen04


ここから以下の手順で変換作業を行います。

  1. ターミナルを開く
    (Mac/Linuxの場合。Windowsならコマンドプロンプト)

  2. カレントディレクトリを KindleGen の入っているフォルダへ移動する
    (上記例ならデスクトップ上に KindleGen のフォルダを解凍したので cd ~/Desktop/KindleGen_Mac_i386_v2_7/ のようになる)

  3. ./kindlegen HP1_Philosophers_Stone_ja-jp.epub とタイプしてエンターキー


すると変換作業が始まって、ターミナルに以下のようなログメッセージが表示されます。

KindleGen05


マシンの処理速度にもよりますが、十数秒程度から1〜2分程度で KindleGen による変換処理が終わります。

KindleGen06


変換作業が終わると、KindleGen のフォルダに変換元の epub ファイルの拡張子が mobi に変わったものができているはずです。それが Kindle用のハリー・ポッター電子書籍ファイルです。

KindleGen07
(今回の例だと HP1_Philosophers_Stone_ja-jp.mobi がハリー・ポッター第1巻の Kindle版)


本来なら KindleGen をダウンロードしたページの下の方にある「Kindle Previewer」を使えば、変換したファイルを Kindle 端末で見る時の状況をパソコン上で確認できるはずなのですが、当方の環境ではいつも

KindleGen08


こんな感じでエラーが出るので、Kindle Paperwhite 実機に転送して確認しています。KindleGen で問題なく変換できたものは概ね実機端末で問題ないと思います。



ちなみに、ハリー・ポッターの電子書籍は直販専用サイトでのみ販売されていて、以下から買えます(サイトが重いのとクレジットカード必須です)。

Home - Pottermore Shop

3巻までは1冊900円、4巻以降は1,300円なので、紙書籍ハードカバーの半額ないしそれ以下で、今から読むならかなりお得&嵩張らないので便利かと思います。ハードカバーを読む愉しさはありませんが。

なお、こういった形で

売り物の電子書籍ファイルを自由にコピーしたり他形式に変換可能なのは稀


です。通常、電子書籍ストアで販売されている書籍ファイルには DRM(コピープロテクション)がかけられているので、ファイルをコピーして他のデバイスに持って行っても読むことができません。

例えば、紀伊国屋BookWeb で購入した電子書籍(epub形式)を同じ epub 形式を採用している Kobo touch や Kobo glo に転送しても読むことができません。KindleGen で変換して Kindle 端末で読むことも不可です。

ところが、ハリー・ポッターの電子書籍は作者のポリシーによって DRM がかかっていません。そのため、epub が読める電子書籍デバイスならコピーして取り込めば、どれでも読めます。iPhone でも iPad でも SONY Reader でも kobo でも、ファイルをデバイスに読み込ませるだけです。

また、今回のように KindleGen のようなファイル形式変換ツールを使って他形式に変換して、ePub 非対応のデバイスでハリー・ポッターを読むことも可能になっています。

KindleGen09
(先の手順で変換したハリー・ポッターを Kindle 上で読んでいる例)


現状ハリー・ポッターだけがかなり例外的な事例になっていますが、考えてみれば実におかしな話です。本来、A書店で買おうが、B書店で買おうが、同じ本なのだからどこでも読めるべきです。

A書店で買った本はそこが指定した端末でしか読めない、B書店で買った本はまた別の端末を買わないと読めない、というのは理不尽極まりないと言えます。

そう思いつつ、複数のデバイスを買っている私ですが、こんなことをしているから電子書籍端末がロクに売れないのも当然だと感じます。Kindle などの一部を除けば、好事家だけのニッチ商品だけで消えて行くでしょう。

音楽の世界でも当初は iTunes で買った曲は iPod / iPhone でしか聴けず、mora で買った曲は SONY Walkman でしか聴けず…となっていましたが、今は多くのストアで DRM がなくなって、どこのストアで買った楽曲も、好きな音楽プレイヤーで聴けるようになりました。

音楽以上に旧態依然で古臭い体質の業界でしょうが、次は電子書籍がそうなっていくことを望みたいところです。でなければ、電子書籍を買うことはいつまで経ってもストアから永久レンタルしているのと変わらないのですから。


【初回生産限定】ハリー・ポッター ブルーレイ コンプリート セット (8枚組) [Blu-ray]
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(Blu-ray 8枚セットで6千円台で売られてるとは安くなったもんだ…)