先日の記事「クラウドサービスを利用して Kindle へ ePub ファイルを自動変換して送り込む方法」では、メルマガその他の epub ファイルを Dropbox や Google Drive, box.net といったクラウドへファイルを入れるだけで、ファイル変換→Kindleへ送信という手順を自動化しました。

「ブラウザでファイルをダウンロードして、クラウドサービスへアップロードする」という手順は、パソコンならば簡単な話ですし、スマートフォン/タブレットでも Android ならばパソコン同様の手順が問題なくできます。

反面、iPhone/iPad などの iOS デバイスではセキュリティ上の制限を設けているゆえに、パソコンや Android のようにブラウザで自由にファイルをダウンロードして、またアップロードして…といったことができません。

ブラウザやアプリがアップロードできるファイルにも制限があり、例えば Dropbox アプリも iOS 版では写真しかアップロードできません(写真しかアップロードできないアプリは Safari を含めて大多数です)。

しかし iOS アプリは必ず写真しかアップロード出来ないわけではなく、「アプリ自身内に保存したファイルは写真以外でもアップロードできる」というポイントもあります。それを上手く利用しているアプリの一つが、大定番アプリの一つ「GoodReader」。

GoodReader for iPhone (AppStore URL)
GoodReader for iPad (AppStore URL)

GoodReader は一般に PDF をはじめとする様々な形式に対応したファイルビューワーとして有名ですが、

各種クラウドサービスや FTP/SFTP、WebDAV、MacやWindowsサーバー
さらにはメールサーバーやファイル同期にも対応している汎用ファイル操作アプリ


でもあります。iOS では制限されている様々なファイルのやりとりが GoodReader を通して可能です(zip 圧縮解凍も可能)。

そんな色々できる GoodReader ですがファイルビューワーとして有名になりすぎたばかりか、それ以外でも非常に有効活用できることを知らない人も多く、先日の記事中でも「iOSデバイスは GoodReader などのアプリを使えば可能です」と書いたことに友人から質問されたりもしましたので、

GoodReader を使ってダウンロードしたファイルを保存し、クラウドへアップロードする方法


を「クラウドサービスを利用して Kindle へ ePub ファイルを自動変換して送り込む方法」の内容を題材として、以下に例示しておきたいと思います(おまけで少し+α)。



先日の記事「クラウドサービスを利用して Kindle へ ePub ファイルを自動変換して送り込む方法」では、メルマガの ePub ファイルをダウンロードし、それをクラウドサービスにアップロードすることで自動的に Kindle 形式に変換して Kindle 端末・アプリへ送り込む方法を示しました。

その内容については当該記事を参照していただくこととして、ここでは

  1. メルマガの ePub ファイルを iPhone の Safari でダウンロードして GoodReader に保存する

  2. GoodReader でクラウドサービスを使えるようにする

  3. GoodReader 内に保存したファイルを使えるようにしたクラウドサービスへアップロードする


という手順を示します。

iOS_ePub2Cloud01


このメルマガを題材にとります。メルマガの ePub ファイル取得方法は発行元毎に多少異なります。が、ログイン方法などが違うだけで基本的な流れは同じです。


(1)メルマガの ePub ファイルを iPhone の Safari でダウンロードして GoodReader に保存する


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上記のように ePub ファイル取得に必要なのが会員ログインではなく、メルマガ毎号のたびにパスワードが異なって、ePub 取得に必要な情報がメールに書かれている場合はそれらも控えておく必要があります。

殆どのメルマガでは ePub ファイル取得用の URL がメールに書かれているので、その ePub ファイル取得 URL をタップして Safari ブラウザを開きます。

そうでない場合は Safari でメルマガ発行元にログインして、ePub ファイルがダウンロードできるページへ行きます。


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Safari で ePub ファイル取得用 URL を開くと、この場合はメールに書かれていたユーザー名、パスワードでログインを行う必要があります。

他のメルマガ発行元では、通常のログイン画面ページが表示されて、ログインした先のページに ePub ダウンロード用のボタンがあったりするなど様々です。


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ここではベーシック認証が成功するとファイルのダウンロードが始まり、ePub ファイルのダウンロードが終わると上記のような画面になります。

他のメルマガ発行元で行う場合も、iPhone/iPad の Safari で ePub ファイルのダウンロードが終わると上記のような画面になります。

ここで、左上の「次の方法で開く」ボタンをタップします。


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すると、どのアプリで開くのか選択するダイアログが出てきますので、GoodReader のアイコンをタップします。

なお、iOS 5 では上記画面のようなアプリアイコンによる選択ではなく、アプリ名による選択となります。


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Safari のアプリ選択画面で GoodReader を選択タップすると GoodReader アプリが開いて、いまダウンロードしたファイルが「My Documents」フォルダ内に保存されています。


(2)GoodReader でクラウドサービスを使えるようにする


前項でダウンロードしたファイルを GoodReader からクラウドサービスへアップロードするわけですが、そのアップロード先クラウドサービスを GoodReader で使えるようにします。既に GoodReader でクラウドサービスを使えるようにしている場合は、このステップは飛ばして下さい。

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左上のボタンで GoodReader の一番トップ画面まで戻ると「Web Download」という項目があるので、これをタップします。


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「New Download」という項目に「Connect to Servers」「Browse the Web」「Enter URL」の3項目がありますが、ここでは「Connect to Servers」を選びます。

なお、下の方に「Remote Sync」という項目があって既に私自身の設定が入っていますが、これが GoodReader の便利機能の一つである同期機能です。これでクラウドサービスとの連携がかなり便利になりますが、これはまた気が向けば別記事で紹介します。


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「Connect to Servers」を選ぶと、ズラッと GoodReader で接続できるクラウドサービス、接続できるサーバー形式が表示されます。

上記画面は一部であり、これ以外に SFTP Server、AFP Server(Mac や NAS への接続に利用)、SMB Server(Windows や NAS などへの接続に利用)、Popular Mail Servers(Gmail, iCloud mail, Yahoo, Hotmail, AOL)、Mail Server(IMAP, POP3)が選択できます。

ここで自分が利用したいクラウドサービスを選択します。メジャーなクラウドサービスは揃っていますし(一般的に使われるものでないのは pogoplug cloud くらい?)、自宅のパソコンや NAS への接続も可能です。

ここでは先日の記事に習って box.net の例を以下に示しますが、Dropbox でも Google Drive でも Sky Drive でもログイン方法が多少違うだけで、やり方は変わりません。


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前画面で「box.net」を選択すると、box へのユーザー名とパスワードを登録する画面になりますので、それを入力します。

Readable Title は単なる名称なので、自分で判るものを適当に入れておけば良いかと思います(複数の ID で同じサービスを利用する場合には、それを区別する形で名付けるようにする)。


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登録処理が終わると「Connect to Servers」画面の一番上に、サーバー接続やクラウド接続を登録した一覧が表示されます。

上記の画面例では box 以外に Dropbox、Microsoft SkyDrive の2つのクラウドサービスと、Wi-Fi メモリカードリーダー「AirStash」への接続が登録されています(AirStash は WebDAV サーバー接続)。


(3)GoodReader 内に保存したファイルを使えるようにしたクラウドサービスへアップロードする


クラウドサービスへの接続準備ができましたので、(1)でダウンロードした ePub ファイルをクラウドへアップロードします。

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GoodReader の「Web Downloads」→「Connect to Servers」画面の一番最初に出てくる接続登録済みリストから、アップロード先のクラウドないしサーバーを選択します。

ここでは先の例に習って「Box」をタップします。


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設定した時のユーザー名とパスワードが間違っていなければ、自分の box.net の中のファイル・フォルダ一覧が表示されます。

先日の記事「クラウドサービスを利用して Kindle へ ePub ファイルを自動変換して送り込む方法」では to_Kindle フォルダ内に ePub ファイルをアップロードすることで自動処理される設定を行いましたので、「to_Kindle」フォルダをタップします。


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to_Kindle フォルダに入ったら、画面中央下にある「Upload」ボタンをタップします。


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「Upload」ボタンをタップすると、上のようにアップロードファイルを選択する画面になりますので、アップロードしたいファイルないしフォルダをタップします。フォルダへ移動したい時には、フォルダ右の矢印をタップすれば、そのフォルダ内へ移動します。


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アップロードしたいファイル/フォルダを選択したら(複数可)、右下の「Upload ◯ item」というボタンをタップします。このボタンをタップすると、ファイルのアップロードが始まります。


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アップロード中。アップロード進行具合を示すプログレスバーをタップすると、アップロード処理が中断されます。

プログレスバーが消えるとアップロードは終了。これで「GoodReader を使ってダウンロードしたファイルをクラウドへアップロードする」一連の手順は終わりです。


なお、GoodReader に慣れている人が上記の方法を読むと「わざわざ Safari で開かずとも GoodReader 内蔵のブラウザを使えばいいのに」と思う人もいるかもしれませんが、ダウンロード先サイトによってはアプリ内蔵ブラウザでファイルをダウンロードしようとすると

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こういったエラーが出ることもありますので、ファイルダウンロードを行う場合はアプリ内ブラウザより Safari やダウンローダーアプリを利用したほうが良いでしょう。



また、今回の例では「ダウンロードしたファイルを再度クラウドへアップロードする」という手順を行いましたが、もっとよく行われる

指定された URL にある圧縮ファイルをダウンロードして解凍する


というようなことも GoodReader で簡単にできます。


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ファイルの URL が判っているならば、GoodReader の「Web Downloads」画面の「Enter URL」をタップします。ファイルのダウンロード先に辿り着くまで手順が必要ならば Safari を使って、前述(1)のような方法を使います。


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「Enter URL」をタップすると、ダウンロード先ファイルの URL 入力ダイアログが出てくるので、手入力するなり、コピー&ペーストするなりして入れて OK をタップします。


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あとはダウンロード中のダイアログが出て、ダウンロードが終われば「Web Downloads」画面の「Recent Downloads」の項目に今ダウンロードしたファイルの名前が出てきます。

ここではテストの zip圧縮ファイル test1.zip をダウンロードしてみました。


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GoodReader のトップ画面に戻ってから「My Documents」→「Downloads」と進むと、そこに先ほどダウンロードしたファイル(ここでは test1.zip)があります。

この zip圧縮ファイルを解凍する場合は、右上の「Action」ボタンをタップした後、上記画面のように解凍したい圧縮ファイルを選択してから、「unzip」ボタンをタップします。


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解凍が終わると、圧縮ファイルの名前をフォルダ名にした(test1)フォルダができあがっています。このフォルダの中に入ると…


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zip 圧縮ファイルを解凍した中身が入っています。

GoodReader にはこれとは逆に、複数のファイルをまとめて zip 圧縮する機能もあります。

ファイルをダウンロードしたりアップロードしたり、圧縮解凍したり、といったことは、パソコンや Android ならば朝飯前の話ですが、強い制約のある iOS デバイスでも GoodReader を使うことで少しは柔軟性を取り戻せるかと思います。

ここで示したのは GoodReader の持つ機能のごく一部ですが、iOS デバイスの制限事項を少しでもカバーできる存在ですので、単なるファイルビューワーから進んだ利用を覚えておくのも悪くないでしょう。