3回に分けて書いてきた Kindle Paperwhite を使ってみた感想ですが、今回は

いま Kindle Paperwhite を使う上で一番悩む/困る問題


について触れておきたいと思います。

前回前々回の記事では「Kindle Paperwhite の欠点は多々あるけれど、フロントライトによる圧倒的な読みやすさの差で、もう SONY Reader を使うのは辛い」と書いてきました。

Kindle Paperwhite を1週間使ってみて【前編】〜色々イマイチだがフロントライトの威力は絶大
Kindle Paperwhite を1週間使ってみて【中編】〜多くの点で SONY Reader の方が良いのだけど…

ただ、前回の最後でも触れましたが、

ストアあっての電子書籍専用端末


であり、「うちで売ってる本だけを読め」志向が強い Kindle 端末では特にそうです。

ところが、始まったばかりということもあって Kindle ストアは他の電子書籍ストアと比べてまだ見劣りする現状があります。

それだけなら「今後の充実を待つ」という我慢だけで良いのですが、色々見ていると Amazon 側の都合で配信されない書籍もありますし(後述)、

新刊の配信が他に比べて遅れてるものが多い


のも気になります。

最初の電子書籍ストアが Kindle ストアならば「電子書籍ストアって、こんなものか」で済むかもしれませんが、他を使っているとどうしても不満は出てきます。

それゆえに、Kindle Paperwhite を使っていて今一番悩ましいのは

買いたい本が紀伊国屋 BookWeb や reader Store にあるけど
今更もう SONY Reader で読みたくないし、かといって Kindle ストアにはないし…


というジレンマ。超ジレンマ。

ホントにそういうのが多すぎるんですよ。この1週間。いや、Kindle Paperwhite を注文して Kindle ストアがオープンしてからですので、1ヶ月。困ったちゃんです。

そんな Kindle ストアに対するイマイチさ加減について、幾つかの事例を以下に。


まず、Kindle ストアで配信している書籍の充実度が低い点については単なる書籍点数を調べるのは既にあちこちで行われているので、

新刊配本の充実度が低い、遅い


点について、例を挙げてみたいと思います。

(ここでの“新刊”とは紙書籍における本当の意味での新刊ではなく、新たに電子書籍化された本という意味での、電子書籍の新刊も含みます。念のため)

各電子書籍ストアにユーザー登録すると、毎週新刊情報のダイレクトメールが送られてくるのが一般的です(拒否することも可能)。だいたい毎週金曜日になると、電子書籍ストア以外も含めた宣伝メールがやたら送られてきてウンザリするわけですが、それでも自分が使う電子書籍ストアの DM には目を通しています。

以下は、私がよく利用している紀伊國屋BookWeb の先週末送られてきたダイレクトメール冒頭です。

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(クリックで拡大)


メール冒頭の「今週の注目タイトル」というコーナーは一番目立つところで、後半の長々とした新刊情報は読まなくても、ここだけは軽く目を通す人も多い場所です。リアル書店で言えば、本屋イチオシのコーナー設置的扱いと言えるでしょう。

先週末の BookWeb 今週の注目タイトルは、一般書籍6冊、コミック4冊、ラノベ1冊という構成でしたが、それが Kindle ストアでどれだけ配信されているかを調べると…

一般書籍 4/6冊
コミック 2/4冊
ラノベ  1/1冊

他のストアが注目するようなタイトルなら Kindle ストアも全部配信しろよ…と思わないこともないのですが、これだけなら“打率”としては悪くありません。

また、BookWeb と同系列ですが reader Store のダイレクトメールでトップに持ってきた一般書籍2冊、コミック3冊は全て Kindle ストアで配信されていましたし、それだけ見るとそう悪くないのですが…

次に紀伊國屋BookWeb の先週末のダイレクトメールで「新刊案内」として、新規配信分からピックアップして掲載されていた書籍が Kindle ストアで配信されているかどうかを見てみました。

先ほどの「今週の注目タイトル」が本屋イチオシのコーナー設置だとすれば、週に難百冊かの新規配信からピックアップした「新刊案内」は平積み扱いとでも言えるでしょうか。

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(クリックで拡大)


面倒くさいので(^_^;) 一般書籍だけに限らせてもらいましたが、単純に掲載されている書籍から Kindle ストアでも配信されているものを調べると

18/71冊

となりました。

電子全集が出た三浦綾子の分が5冊あったり、岩波文庫が全滅ですが青空文庫分で配信されてるものが数多くあったりで、数字そのままを鵜呑みするわけにはいきませんが、まぁだいたい毎週、紀伊國屋BookWeb から配信される書籍で同じくらいに Kindle ストアに出まわるのは半分以下という印象です。

同じ系列ですが、reader Store での新刊おすすめ本コーナーも見てみます。

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(クリックで拡大)


8/17冊

まぁ似たようなものです。

先の紀伊國屋BookWeb の新刊情報掲載分と Kindle ストアの配信の関係を見て判ると思いますが、出版社によって割りと明確に分かれていますし、同じ出版社でもシリーズによって扱いが異なったりします。

ただ、他の電子書籍ストアで配信されているのに Kindle ストアにないものが、ずっと Kindle ストアにないわけではなく、出版社によっては遅れて配信されるものも少なくありません。

元々角川書店の新書やラノベ、コミック配信は自社の電子書籍ストア BookWalaker が最優先で、遅れて他社配信ですし、書籍によっては電子書籍ストア毎に先行配信されているものもあります(Kindle ストアにも独占先行配信はあります)。

Web小説中公のように配信フォーマットが固定されているようなもの、特に日本独自の従来書籍フォーマット XMDF や .book 形式しかないものは配信されませんが、このあたりは仕方ないでしょう。

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反面、Amazon が自社ポリシーを盾に受け付けない場合もあるようで、最近だと講談社ブルーバックスが電子書籍化された時の話が良い例です。

今月、鉄板かつ人気のある講談社ブルーバックスの一部 52冊が電子書籍化され、各電子書籍ストアで販売・配信になっています。しかし、配信書店をみると、ほぼ Kindle ストアのみ配信されていない状況。

ちょうど Kindle 発表から間のない頃でしたから「なぜ Kindle ストアだけ配信されてないの?」とプチ話題になりました。すると講談社側から説明されたのは

「今回のブルーバックス電子版は、ドットブック形式とEPUB形式のそれぞれフィックスフォーマットで配信しているが、kindleはテキスト物のフィックスフォーマットは配信しない方針のため」

とのこと。

お問い合わせがとくに多かったため、ブルーバックス電子書籍第一弾がkindleから配信されない点について、この場を借りてご説明します。

今回のブルーバックス電子版は、ドットブック形式とEPUB形式のそれぞれフィックスフォーマットで配信しております。現在、電子書店でご購入できるのはこの2種類のうちのいずれかです。

kindleは、EPUB形式のフィックスフォーマットに対応してはいるのですが、「テキスト物のフィックスフォーマット」は配信しない方針をとっています。したがいまして、今回ブルーバックスの電子版についてはkindleからの配信ができませんでした。

ブルーバックスとしては、作った以上はできるだけ多くの書店で配信していただきたいので、今後も課題として取り組んでまいります。

(4) ブルーバックス電子書籍第1弾52点(2012年11月16日配信開始) kindleからの配信がないことについて

確かにリフローができないフィックスフォーマットだと新書にもかかわらず、スマートフォンや電子書籍専用端末では読むのが厳しくなるでしょう。しかし、タブレットなら読めますし、何もそこまで配信に制限をしなくても…と思ってしまいます。

新書というのは、分量や内容的に電子書籍でサラッと読むのに相応しいカテゴリーの一つだと思うのですが、Kindle ストアでは新刊配信が他社に比べて遅れ気味だったり、一部出版社は新書がなかなか Kindle ストアには出てなかったり、で色々あるのかなーと思ってしまいます。



そんなわけで、他社ストアを使っている身としては

どんな事情があろうと Kindle ストアは現状イマイチ


と言わざるを得ず、

「読みたい本が Kindle ストアにはないけど、紀伊國屋BookWeb にはある」
「BookWeb では2〜3週間前に配信開始されたのに、待っていても Kindle ストアでなかなか配信されない」
「でも SONY Reader では読む気にならず、Kindle Paperwhite で読みたい…」

という状況が続いており、

端末とストアのねじれ現象


ともいうべき状況で、ホント悩ましいです。

現状では、電子書籍端末で読むなら Kindle Paperwhite で読みたいけれど、ストアの方は今ひとつ、という状況。

特に紙書籍自体の新刊については、紙の方で発売されてから電子書籍化されるのにタイムラグがある場合が多いのに、電子書籍配信開始から更にタイムラグがあると、読みたいと思っていた本だと、なかなか厳しいものがあります。

それだけに「前編」でも書いたように

ソニーが軽量安価なフロントライト付き Reader を出せば、一番良いよなぁ


と、つくづく思います。

まぁ会社自体に電子書籍専用端末なんていうニッチ市場まで手が回る余裕があるのかどうか分かりませんし、既に周回遅れのメーカーではあるのですが、まぁ来年に期待で…す…か…ねぇ。

とりあえずは、

Kindle ストアが充実し、新刊配信も素早くできるようになるのが先か。
フロントライト付き SONY Reader がリーズナブルな新機種として出るのが先か。

それまでは、ストアと端末の“ねじれ”に悩ましい日々が続きそうです。

もう1つ書きたいことがありましたが、長くなりましたので、後日また別の記事で。

Kindle Paperwhite

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(店頭その他で売られてる中ではバッファローのケースが薄く軽いらしいが…)