先日、Nexus 7 にないメモリーカードスロット代替策として紹介した Wi-Fiカードリーダー「AirStash」。



Nexus 7 だけでなく、同じくメモリーカードスロットのない iPhone でも便利に使えますし、microSDHC ではなくフルサイズ SDHC カードが Wi-Fi 経由で読み書きできるので、どんなスマートフォン、タブレットでも出先でのデジカメ画像の読み込みに便利に使えます。

Nexus 7 にないメモリーカードスロットの代替策【2】Wi-Fi ストレージ/メモリーカードリーダー

そして昨晩、AirStash 用の iOS アプリ「AirStash+」が Ver.2.0 へアップデートするとともに、AirStash のファームウェアもアップデートされ、大幅に機能追加され、便利かつ安全になりました。

改善・機能追加された点はリリースノートによれば、以下のとおり。

Many improvements and new features including:
• Support for iOS 6.0
• Support for the new 4" screen on the iPhone 5 and new iPod Touch
• Display thumbnails for photos, movies, album art in the file list
• Support for WPA2 password protection
• Background audio playback with support for remote control events
• Import of compatible video files to the Camera Roll
• Added a thumbnail import picker to select specific photos or videos to import.
• The import picker handles RAW + JPEG as a single file.
• Added a way to copy the WebDAV URL to paste into other apps


かいつまんで書くと

  • iOS 6, iPhone 5 / iPod touch の 4インチ画面に対応

  • 写真や動画のサムネイルを表示できるようになった
    (ファイル一覧表示だけでなく、転送する時のファイル選択画面でも)

  • Wi-Fi の暗号化が従来は WEP しかなく安全性に問題があったが、WPA2 が使えるようになったので安心できるように

  • AirStash の SDカードから音楽を再生する時のバックグラウンド再生に対応するようになった
    (スリープボタンを押しても、他のアプリへ移動しても再生が継続されるようになった)

  • RAW + JPEG 両方のファイルが存在している時に、それらを1つのファイルとして扱って選択できるようになった

  • ブラウザから AirStash にアクセスするための URL をコピーできるボタンを追加した


といったアップデートになっています。

また、リリースノートはありませんが大きな変更点として「長らく機能追加予定のままだった SideLink 機能の追加」もあります(ただしβ版扱い)。これで自宅など別途無線LAN がある環境で AirStash 使う場合に無線LAN を切り替える必要がなくなりました

今まで欠点として指摘されてきた部分の多くが改善された


ので、これで更にお薦めという感じです。

(記事執筆時点では Android 用アプリはアップデートされていないため、iOS アプリで行なっています。AirStash 本体アップデート後も従来の機能は Android からでも利用可能ですが、新機能は殆ど利用できません)

ということで、追加された機能について、特にポイントとなる

・無線LAN の暗号化が WPA2 に対応
・写真や動画のサムネイル表示対応
・長らく機能追加予定のままだった SideLink 機能の追加

の3点について簡単に紹介しておきます。


AirStash 本体のファームウェアのアップデートは、通常 AirStash を使うとおりに AirStash の無線LAN に接続し、アップデートした AirStash+ アプリを開いて接続すれば、自動的にアップデートの案内が出るので、指示に従えば終わります。

AirStash_iPhone02
(AirStash 時に自動的にダイアログが出るので OK をタップ)

AirStash_iPhone03
(転送中にアプリは終了しないこと。十数秒から長くても数分)

AirStash_iPhone04
(ややこしいが、メッセージを表示させたまま、指示のとおりに。1分程度)

AirStash_iPhone05
(このメッセージの通りにしたらアプリも一度終了して起動し直した方が良い)



AirStash 本体のファームウェア・アップデートが終わってから、アプリの設定(iPhone では画面下の右から2番目のアイコン、iPad では画面右上のアイコン)から「製品情報」を見てみると

AirStash_Ver2_01


なっていて、アプリも AirStash 本体も 2.0 へアップデートされていることが判ります。

そして、写真が入っているフォルダを見てみると…

AirStash_Ver2_02


サムネイルが表示されるようになりました\(^o^)/ これで閲覧したい、転送したいファイルの選択も楽になります。

今までも ESファイルマネージャー (Android) のようなファイラーアプリでアクセスすればサムネイル表示は可能でしたが、誰もが使うであろう純正アプリで実現されたのは遅まきながら良かったですし、便利になります。



また、設定画面(iPhone では画面下の右から2番目のアイコン、iPad では画面右上のアイコン)を見るとアップデートで幾つかの項目が追加・変更されています。

AirStash_Ver2_03
(ここから諸事情により iPad版の画面になりますが iPhone でも内容は同じです)


「SideLink」の項目が従来はグレーで選択できなかったのが「SideLink Beta」として使えるようになっており、また「Copy AirStash URL」のボタンが追加されています。

この「Copy AirStash URL」のボタンをタップすると、ブラウザなどで AirStash にアクセスすることができ、URL さえ判っていればアプリが入ってないデバイスからも AirStash にアクセスできるのが便利なところです。

AirStash_Ver2_04
(iPad のブラウザから AirStash にアクセスしたところ)

AirStash_Ver2_05
(iPhone のブラウザから AirStash にアクセスしたところ)

AirStash_Ver2_06
(Android の Chrome ブラウザから AirStash にアクセスしたところ)


また、WebDAV に対応しているファイルマネージャーアプリを使えば、ファイル操作も楽にできます(iOS の場合は制限が色々とありますが、Android ならローカルファイルと同じ感覚です。Wi-Fi ゆえに転送時間はかかりますけど)。

AirStash_Ver2_07
(GoodReader for iPhone から AirStash 内の SDカードを閲覧中)

AirStash_Ver2_08
(Android の ESファイルマネージャから AirStash 内の SDカードを閲覧中)




そして、何はともあれ、

AirStash 本体をアップデートしたら
Wi-Fi (DirectLink) の暗号化を WPA2 に変更!


ですね。

WEP は今や簡単に解読できちゃう、気分程度の暗号化です。重要な情報はやりとりしないとしても、WPA2 にしておくに越したことはありません。

メーカー側も、アップデートしてから設定画面から「DirectLink」の項目を初めて選ぶと

AirStash_Ver2_09


というアラートダイアログを出すくらいです。メッセージの内容は

「改善されたセキュリティのために WPA2 を使うことを推奨します。WEP オプションは将来のアップデートで削除するつもりです」


と書いてあります。それくらい WEP は非推奨、WPA2 が推奨されていますので、面倒でもすぐに変更しておきましょう(今まで製品が出てから長い間、WEP だけだったのが糞なわけですけど)。

AirStash_Ver2_10
(上記のアラートダイアログで OK をタップすると従来通りの Wi-Fi 設定画面
だが、セキュリティの項目の右端に WPA2 が追加されている)

AirStash_Ver2_11
(WPA2 をタップして暗号化パスワードを入力する)

AirStash_Ver2_12
(入力が終わって保存ボタンをタップすると以後の指示メッセージが表示)


AirStash の Wi-Fi 設定を変えたわけですから、変更に使った iPhone ないし iPad も含めて AirStash に接続する機器の AirStash に対する Wi-Fi 設定(パスワード)は変更し直す必要があります。

複数のデバイスを使っている人だと、この再設定が面倒ですからやりたくないところですが、さすがに WEP のままはよろしくないので、WPA2 への変更はやっておくべきでしょう。



そして、もう1つ。今回のアップデートで実装された大物、予定のまま放置されていた「SideLink」がβ版ながら追加されました。

リリースノートに載っていませんが、設定画面の「DirectLink」の下にある「SideLink Beta」という項目がタップできるようになっています(従来はグレーアウトでタップ不可だった)。

この「SideLink Beta」をタップすると、以下のような画面になります。

AirStash_Ver2_13


ここでヘルプをタップすると SideLink に関する簡単な説明が表示されます。

AirStash_Ver2_14


どういうものかと簡単に言えば

SideLink は AirStash を既存の Wi-Fi に接続させて
いつも使ってる Wi-Fi のままで AirStash が利用できる


というものです。

例えば、自宅の Wi-Fi に繋がっている時に AirStash にアクセスしようと思った場合には、自宅の Wi-Fi から AirStash が発する Wi-Fi に切り替えてから出ないと AirStash が使えませんでしたが、SideLink を設定しておけば、自宅の LAN 上のどのマシン、デバイスからもアクセスが可能になります。

AirStash_Ver2_15
(有線LAN のみを使っているパソコンからも自宅 Wi-Fi経由で AirStash にアクセス可能)


また、出先でもモバイルルーターを使っているような場合には、従来のように

モバイルルーターと AirStash の Wi-Fi を切り替える必要がなくなる


わけです(SideLink やモバイルルーターの設定をきちんと行う必要があります)。従来から AirStash を使ってきた人には判ると思いますが、出先での利用でも便利になります。

全てではありませんが、

AirStash の Wi-Fi に切り替える必要がかなり減る


ので、便利になります。

ただし、まだこの機能はβ版なので若干不安定だったり、SideLink 使用時は Android からアクセスできなかったりしますので、そのあたりはご注意下さい(特に Android 利用時は SideLink を切っておく方が良いです)。

また、

Wi-Fi の設定によっては SideLink が使えません


セキュリティを高めるために、Wi-Fi に繋がっている機器同士の通信を許可していない場合は SideLink が利用できません(ルーターにプライバシーセパレータとか、そういった名前で設定があるはずです)。

SideLink をきちんと設定しても利用できない場合は 無線LAN ルーターの設定を見直してみて下さい

また、公衆無線 LAN サービスでは SideLink は利用できない設定が多いですし、SideLink が利用可能な公衆無線LANサービスもありますが、その Wi-Fi スポットはむしろ設定が危険なので使わない方が良いと思います。

AirStash_Ver2_16
(Enable SideLink のスイッチをオンにして、しばらくすると
現在使えるネットワークが表示されるので、使う Wi-Fi をタップ)

AirStash_Ver2_17
(Wi-Fi のパスワードを入れて保存する)

AirStash_Ver2_18
(保存したら iPhone/iPad の Wi-Fi をいつも使ってる Wi-Fi へ戻す)


いつも使っている Wi-Fi に戻してから AirStash アプリを起動すると、いつもの Wi-Fi 経由で AirStash にアクセスできることが判ると思います(ダメな場合は AirStash の電源を入れなおしてからしばらくして再挑戦)。

なお、SideLink の設定は DirectLink で繋いでおく必要があるので、設定を修正する時、別のネットワークへの SideLink 設定を追加する時は、いったん AirStash の Wi-Fi に繋ぎ直してから設定を行います。

当然ながら DirectLink と SideLink は併用できるので

自宅では SideLink 設定の自宅 Wi-Fi 経由でアクセス
出先では DirectLink で直接アクセスが設定変更なしで利用可能


です。

SideLink はまだβ版ですが、Android にも対応して正式版になれば、AirStash を使う時の一手間減って便利になるかもしれません。

というか、今回のアップデートでは

色々な制限、不便がかなり取っ払われた


ので、AirStash がかなり使いやすくなりました。

というか、早く Android版 Ver.2 が来て欲しいですね…