昼間に掲載した「フルサイズ・コンパクトデジカメ RX1 にα99、Eマウントなのにフルサイズな NEX-VG900… ソニー本気のフルサイズ祭り」という今日のソニー新製品の雑感記事にも書きましたが、やはり注目は CyberShot RX1。

20万を超える価格設定もあって賛否両論のようですが、インパクトはあります。少なくとも、商品カテゴリーが固まりつつある最近の国内メーカーのデジタルカメラ製品において、一石を投じるカメラであることは間違いないでしょう。

DSC-RX1_Release1


ところでこの CyberShot RX1。コンパクトデジカメ然としたスタイルなわけですが(それを批判する人もいますけど…)、フルサイズセンサーを搭載しているゆえに RX100 のようなコンパクトデジカメサイズ・重量というわけにはいきません。

上記製品写真を見て判るように、フルサイズ対応のレンズは大きすぎて沈胴しきらないので、ボディからかなり出っ張ってしまいます。どことなく、シグマの DP Merrill シリーズに近い?という雰囲気です。

CyberShot RX1 の発売は 11月16日ということなので、しばらく実物を手にとって比べるというわけにはいかなさそうですので、例によって数値上で既存製品と比較してみました。

(本日発表の新製品は明日からソニーショールーム、ソニーストアで展示されますが、手にとって触れるのはα99、NEX-VG900 のみで、RX1 は当分触れることができないようです by ソニーからのメール)



【1】各社ハイエンド・コンパクトデジカメとのサイズ・重量比較


CyberShot RX1 は例を見ない“フルサイズセンサー内蔵のレンズ一体型デジタルカメラ”ですが、立ち位置的には“高級コンパクトデジカメ”の一製品とも言えます。高級コンパクトデジカメというには高級すぎる値段ですけど…

ともあれ、

「RX100 や NEX で驚くような凝縮感を見せたソニーが、フルサイズセンサーを積むことで大型化せざるを得ないレンズその他の機構をどれくらいのサイズに押し込めたのか?」

もしくは

「高性能を小型化するのが最も得意なソニーですら、フルサイズセンサーを積むことでどれだけ大きくならざるを得なかったのか?」

を、他社ハイエンド・コンパクトデジカメとのサイズ・重量比較で少しでも感じ取ってもらえれば、と思います(表示順序は重量が軽い順)。

 サイズ (mm)重量 (*1)撮影素子レンズ (*2)
COOLPIX P310103.0×58.3×32.0194g1/2.3" 1605万24-100mm F1.8-4.9
PowerShot S10098.9×59.8×26.7198g1/1.7" 1210万24-120mm F2.0-5.9
DSC-RX100101.6×58.1×35.9mm240g1.0" 2020万24-100mm F1.8-4.9
XZ-1110.6×64.8×42.3mm275g1/1.63" 1000万28-112mm F1.8-2.5
DMC-LX7110.5×67.1×45.6mm298g1/1.7" 1010万24-90mm F1.4-2.3
DP1 Merrill121.5×66.7×64.3mm340gAPS-C 4600万(*3)45mm F2.8
DP2 Merrill121.5×66.7×59.2mm355gAPS-C 4600万(*3)28mm F2.8
X100126.5×74.4×53.9mm445gAPS-C 1230万35mm F2
DSC-RX1113.3✕65.4✕69.6mm482gFull 2430万35mm F2
PowerShot G1 X116.7×80.5×64.7mm534g1.5" 1430万28-112mm F2.8-5.8

(*1) 重量はバッテリー、SDカード込み CIPA 準拠の重さです。
(*2) DSC-RX1 以外のレンズ焦点距離は 35mm判換算に統一しています。
(*3) FOVEONセンサーは3層分の画素数なので出力画素数は記載の3分の1です。


これを見る限り、やはり「レンズの大型化で分厚さと重さは、かなりのものだなぁ…」と思わざるを得ません。同じ 35mm F2 レンズで APS-C センサーの富士フィルム X100 と比べると、ボディ部のサイズはひと回り小さくまとめているのに、レンズの出っ張りはかなり大きくなっています。

DP Merrill もそうですが、センサーサイズを大きくするとレンズはある程度のサイズが必要ですから、レンズの厚みと重さだけは仕方ないでしょう。

とはいえ、ボディ部は APS-C センサーの X100 よりコンパクトというだけでなく、縦横サイズは XZ-1、DMC-LX7 といった大きめハイエンドコンパクトと大差ありません

レンズはやむを得ないが、ボディ部は小さくしてきたなぁ


という点で、ソニーらしさ、そして NEX に通じるものがあるように感じます。

まぁ、あのゴツい PowerShot G1 X がコンパクトデジカメを名乗ってるくらいなのですから、十分アリだと思えますけどね(笑)


【2】各社ミラーレス機+単焦点レンズとのサイズ・重量比較



(ライカ M9 は別格として)ミラーレス機でもまだ存在しないフルサイズセンサー内蔵のレンズ一体型デジタルカメラですから、価格も含めて CyberShot RX1 が比較されうるのはその方向ないし、フルサイズ一眼レフでしょう。

ミラーレス機とはカメラの方向性が全く異なりますが、「CyberShot RX1 はどれくらいのサイズ感なのか?」という意味では、良い比較対象だと思うので、既存のミラーレス機とのサイズ・重量比較を以下にしてみます。

 サイズ(幅×高さ×奥行)重量 (*1)
Nikon1 J2 + 10mm (*3)106.0×61.0×51.8mm354g
E-PM1 + 17mm109.5×63.7×56.0mm336g
GXR + A12 28mm (*4)113.9×70.2×55.6mm410g
EOS M + EF-M 22mm108.6×66.5×56.0mm403g
E-P3 + 17mm122.0×69.1×56.3mm440g
DMC-GF5 + 14mm107.7×66.6×57.3mm322g
E-PL3 + 17mm109.5×63.7×59.3mm384g
DMC-GX1 + 14mm116.3×67.8×59.9mm373g
NEX-5N + 16mm (*2)110.8×62.0×60.7mm336g
NEX-F3 + 16mm117.3×66.6×63.8mm381g
NEX-7 + 16mm119.9×66.9×65.1mm417g
Nikon1 V1 + 10mm (*3)113.0×76.0×65.5mm460g
DSC-RX1113.3✕65.4✕69.6mm482g
GXR + A12 50mm (*4)113.9×70.2×77.1mm489g
NEX-7 + SIGMA 30mm119.9×66.9×81.2mm480g
X-Pro1 + XF 18mm139.5×81.8×83.1mm566g
X-Pro1 + XF 35mm139.5×81.8×97.4mm637g

(*1) DP1/DP2 Merrill のみ本体重量、それ以外はバッテリー、SDカード込み CIPA 準拠の重量です。
(*2) 高さはレンズがボディからはみ出るため、それに合わせています。
(*3) 公式仕様のボディサイズに小数点以下の記載が無いので、暫定的に小数点1桁目をゼロにしています。


こちらは、厚みが薄い順で並べてみました。NEX-5R, NEX-6, X-E1 は海外発表のみで国内発表がありませんので、既存国内発売製品のみで比較しています。オリンパス E-P シリーズは来週にも新製品発表があるようですが、とりあえず現行製品で。

また、あまり焦点距離のことは考えず、換算 35mm 付近に揃えることもしないで、なるべく薄い単焦点レンズとの比較になっていますが、おおよその比較はできるのではないかと思います。

個人的に使ってきた機種との感覚からすると

GXR + A12 50mm ユニットより、レンズの出っ張りと高さが少し控えめなくらいか…


という感覚が掴めました。もしくは、NEX-7 + SIGMA 30mm F2.8 EX DN よりレンズの出っ張りが 1cm 短いくらい。重さも両者と変わらない感じですしね。

そう思うと、ちょっとコンパクトデジカメ感覚とは言えず、ミラーレス機感覚でのボディサイズ・重量になりますが、それでも

このサイズでフルサイズセンサーは凄えなぁ…


と思ってしまいます。

さすがに、レンズ一体型カメラに 25万は手も足も出ませんが(それ以前に優先度合いの高い欲しい物がいくらでもあるので)、将来モデルチェンジを2回くらい繰り返して適価になれば欲しいなぁ…と思いますね。

フルサイズ・コンパクトデジカメ RX1 にα99、Eマウントなのにフルサイズな NEX-VG900… ソニー本気のフルサイズ祭り


ソニー 失われた20年 内側から見た無能と希望 [単行本(ソフトカバー)]
ソニー 失われた20年 内側から見た無能と希望

(この最新のソニー本はなかなか面白かったですけど、今は変わり始めてると…)