【7/19 追記】本製品 TK710 の大きな特長の一つである「純正 Smart Cover と同じ作りの“カバータイプ”ゆえに、Smart Cover 対応の iPad 背面ケースが使える」という重要な点を書き忘れていましたので、その点について記事最後に追記しました。

また、MS Surface 用純正キーボード付きカバーとの厚み比較でもミスがありましたので、その点も修正しました(物理キータイプの Surface キーボードカバーとは厚みに大差ありません)。【追記終わり】

先月末に発売されたロジクールの新しい iPad用カバー兼用キーボード「Ultrathin Keyboard Cover」TK710。前モデルの TK700 や中華製バッタもん(でも良くできてる)の iPad用キーボードカバーを使ってきた身としては、春に米国で発売されてから個人輸入しようかどうしようか迷っていたのですが、2ヶ月遅れで日本で発売されることになり、早速発売日に購入しました。



先月末の購入直後にファーストインプレッションだけでも記事にしようかと思ったのですが、キーボードという製品ですから、ある程度使い込まなければ何とも言えないことも多いため、少し使い込んでからにしよう…と思っていたら、3週間近く経ってしまいました(^_^;)

ということで、少し遅れた感想となりますが、この3週間の間、旅に持ち出すのも含めてかなり使いました。今月のブログ記事は文章の大半を iPad (2012) + TK710 で書いています。もちろん、本記事の文章も iPad + TK710 で書いています。

TK710_27
4A 4ポート出力AC-USB 充電器の記事は長崎空港で1時間半待たされてる間に書きました :-)


従来から iPad用キーボードケースを愛用してきて本ブログでも何度か取り上げてきました。

iPad2 用 Bluetooth キーボードケース「ロジクール TK700」と同種格安品を改めて比較

今まで本製品の前モデル(というか併売中)TK700 を愛用してきたものの、重く厚いという不満が解消されていそうな製品なので、予約購入せずにはいられませんでした。

ただ、本モデルは iPad用キーボードとしては結構高かったこともあり(Amazon で1万円弱)、

半端な出来なら文句言い倒そうと思ってたが
実際に使い始めてみると納得して愛用中


だったりします。

過去使ってきた iPad用キーボードケース(本製品はキーボードカバーですが)の中では一番使い心地が良く、車内でもどこでも使うのが楽なので、出先でプログラミング作業をしないなら、もうノートパソコンでなく iPad + TK710 が良いわ、と思ってるくらい気に入っています。

ただ、今回の新製品 TK710 は薄く軽くなっただけでなく、造りも前モデルまでとは大きく変わりました。商品名が従来の「Keyboard Case」から「Ultrathin Keyboard Cover」に変わったとおり、

iPad を覆う(背面だけが露出する)ケース的な形状から
純正スマートカバーと同じカバータイプに変更された


ところが大きな差異です。

TK710_11
(キーボード TK710 を iPad 2012 にカバーしたところ)


ちょうど先月、Microsoftの Windows 8 タブレット Surface が発表されて、大きな特長の一つとしてキーボード付きの薄いカバーがありましたが、

噂の MS Surface のキーボード付きカバーを一足早く使ってる感覚?


そんな感じにさせられる iPad用キーボードですね。もちろん、Surface のキーボード付きカバーと比べるとTK710 は若干厚めですが、コンセプトは同じです。

ちなみに Surface のキーボード付きカバーは、タッチ式キーボードのカバーが厚み 3mm、浅い物理キーのあるタイプが厚み 5mm で、この TK710 は公称値は 10mm 弱ですが、キーボード面の実測値は 6mm 少々ですので、Surface の物理キータイプのキーボードカバーより若干厚いくらいです。

ともあれ、このケースタイプ→カバータイプの変更は必ずしも良いことばかりではなく、ケースタイプと違って iPad本体は剥き出しになった分、

iPad の保護性能は落ちる


のは否めないところです。というか、純正スマートカバー同様、本製品で保護されるのは液晶面だけです。私は薄さ軽さ優先で気に入っていますが、人によって評価の分かれるところでしょう。

ただし、ケースからカバータイプになったことで、後述するように純正スマートカバー対応の背面ケースが利用可能ですので、

背面ケースを装着すれば従来のケースタイプより安心して使える


ということは大きな利点です。

ただ、iPad用キーボードとしてはクソ高く、前モデルの倍近い実売価格(1万円弱)なのは正直言って微妙、なかなか勧めづらいのも事実。単に iPad用キーボードケースで良いなら、コストパフォーマンス的に中華製品の方がお買い得なのは間違いありません(造りはチャチですけど)。

というわけで、かなり前置きが長くなりましたが、今回(前編)はこの新しい「Ultrathin Keyboard Cover」 TK710 を3週間使ってきた忌憚ない感想を、写真を交えて述べてみたいと思います。


まずはパッケージと外観を。

TK710_02
(中華製品と違って、取り出しやすさも含めたマトモなパッケージ)

TK710_03
(本体以外に簡易マニュアル、保証規約、保証書と充電用 microUSB ケーブルが付属)

TK710_04
(キーボード・レイアウトは大きく変更され、従来より一段減った。詳しくは後述)

TK710_05
(キーボード面はキートップ以外が光沢仕様になっている。見栄えは良いけど…)

TK710_06
(ストローク感触は前モデルと少し違うが悪くない。浅めだが普通にタイプできる)

TK710_07
(右側面にペアリングボタン、電源スイッチ、充電用 microUSB コネクタ)

TK710_08
(背面は従来と同じく iPad 背面と同じシルバー。TK700の弁当箱よりはマシ?)

TK710_09
(キーボード奥側の側面には純正スマートカバー同様のマグネットバーがある)

TK710_12
(純正スマートカバーと同じ感覚で iPadに蓋をするキーボード)

TK710_13
(キートップより端部分が微妙に盛り上がっているので、キーが液晶に当たらない構造)


こんな感じで、まさしく「キーボードカバー」な製品です。その分、薄く軽くなっているのですが、タイプ感は前モデル TK700 より薄いにも関わらず良い感じで、全体的な質感もかなり良く、

高くなったのも仕方ないかなぁ…


と思わせる製品ではあります。値段は日本だけが高いのではなく、本国でも $100 前後の値付けですから仕方ありません(個人輸入しようと見ていたが、向こうも大して実売価格が下がらなかった)。

また、純正カバー同様のマグネットによるピタッと貼りつきなカバーであるだけでなく、当然ながら

第三世代 iPad でもカバー開閉によるスリープ対応


となっています。前モデル TK700 は iPad 2 前提だったので、第三世代 iPad では使えても自動スリープには非対応でした。

ただ、カバー時の磁力の強さは純正スマートカバーより弱く感じますし、純正カバーと違ってキーボードカバーですからカバー側が重いので、

カバー時の iPad本体とキーボードカバーの接着感は弱め


ですので、持ち歩く時は iPad本体とキーボードカバーの両方を掴んでおく必要があります。

純正スマートカバーでは持ち歩き時に本体からカバーが開いてしまっても磁力で外れることはありませんが、本製品では揺れで外れてしまうことがあるので、その点は留意しておいた方が良いかもしれません。

ちなみに私は iPad 持ち運び時には

iBUFFALO クリーニングケース トレシーZR iPad専用 ベージュ
iBUFFALO クリーニングケース トレシーZR iPad専用 ベージュ

(せっかく良い商品だと思ったのに廃番??)


この袋に入れて持ち運ぶことが多いです(純正カバーを付けた時もキーボードケースを付けた時も)。薄手で嵩張らないだけでなく、袋自体がクリーニングクロスになっているので、液晶その他を拭くのに使えても一石二鳥です。



さて、話は戻して、この「Ultrathin Keyboard Cover」TK710 は従来と違って“キーボードカバー”という製品になっていますが、もう一つ新しいギミックがあって、

使用時に iPad本体を差し込むスリット部分がマグネットで吸着する


構造になっています。使い始めた時に思わず「これはイイ!」と膝を打つギミックでした。

TK710_19
(このスリット部に横向きで iPad を差し込むと磁力吸着する)


iPad の側面にあるカバー用マグネットを使うので、iPad を横に差し込んだ時だけしか磁力吸着しませんが、カバー時だけじゃなく iPad を立て掛けてノートパソコン的に使う時にもしっかり吸着させるのは素晴らしいです。電車内で使う時など、揺れても安心して使えます。

加えて、“キーボードケース”から“キーボードカバー”となって

iPad とキーボードの脱着が極めて簡単迅速にできるようになった


ので、ちょっとした車内その他でも、より使いやすくなりました。ほんのちょっとの、些細なことですが、片手でサクッと脱着できるようになったのは便利になりました。

TK710_33
(今まで以上にサクッと出して使い、しまうことが可能になった)


充電方法は前モデルと同じ microUSB。充電用のケーブルも付属しています。バッテリーの保ちは前モデル TK700 以上に良い気がします。ちょっとやそっとでは減らない感じなので、充電はたまにする程度で使えるかと(公称1日2時間使用で6ヶ月利用可能)。

先ほどの写真でも示したように、充電用の microUSB コネクタ、Bluetooth ペアリングボタン、電源スイッチが全て右側面奥側に集まっています。前モデル TK700 では電源スイッチがキーボード面にありましたが、側面に移ったのは便利な改善です。

電源スイッチがキーボード面にあると、iPad をキーボードカバー(ケース)でしまってしまうと電源スイッチがオフできませんが、側面にあると iPad にキーボードを蓋してからでも電源スイッチを使えます。意外とキーボードの電源を切り忘れてしまうんですよね。

ちなみに最初に使う時にペアリングボタンを長押しして iPad と Bluetooth ペアリングさせるのは他の機器同様、特に何も難しくはないです。



“キーボードカバー”となったことで(背面ケースを付けない単体では)iPad の保護性能が殆どなくなったことを別にすると、

TK710 の最も大きな欠点、改悪された点はキーボードレイアウト


でしょう。

キーボードが6段構造から5段に減ってファンクションキーの列がなくなり、左下の Fn ボタンとの同時押しになりました。ファンクションキーにあったカット&ペーストボタンなどを多用している人には改悪と言っても良いでしょう。

ファンクションはたまにしか使わないから Fnキー併用でも問題ないという人なら問題ないでしょうが、Fn キー新設に伴って、左下にあった言語切り替えキー(地球キー)はなくなって Fn + 2 になってしまいました。従来モデルから買い替えたいと思う人の中には、これがネックになる人もいるかもしれません。

私は言語切り替えを Cmd + Space で行っていますし、カット&ペーストなども Cmd + X/C/V なので問題ないのですが、

最上段の数字列のキーが半分サイズ (-_-#)


というのは、正直いただけません。本製品最大の欠点と言っても良いでしょう。

TK710_20CompareTK700a
(上:本製品 TK710、下:前モデル TK700)


TK700と比べてキーストロークが浅くなったり(2mm→1.2mm)、ファンクションキーが独立じゃなくなったり、というところは我慢できるのですが、数字列のキー高さが他の半分サイズというのは、さすがにこれはちょっと…です。

特に数字キーそのものだけでなく、

数字キー列の一番右にある delete(バックスペース)が押しにくい


のは結構辛いですね。TK710 ばかり使っていれば多少慣れますが、当然他のパソコンのキーボードを使ってから TK710 を使うとミスタイプしがちです。

正直なところ、これ以外は特に不満がないくらい良い出来の製品であり、キーボードについても数字キー列以外は十分なサイズのキーで 17mm ピッチは確保されているので、

「iPad を立てかけるスリットをもう少し奥側にしてでも、数字キーを通常サイズにできなかったのかなぁ…」

という感じです。まさに、画竜点睛を欠く一点と言えます。残念。

TK710_17
(横置き時の横から見たところ)

TK710_18
(軽量化されたが iPad 縦置きも問題ない)


ただ、キーボードレイアウトに無理をしても iPad を立て掛けた際の重心に気を配ったせいか、

横置きはもちろん、縦置きでも問題なく使える設計


になっています。一部中華製品のように iPadを立て置きして使おうとするとキーボード手前側が浮くなんてことはありません

これは前モデル TK700 よりは軽量化されたものの中華製品ほど軽くしなかっただけでなく、前述のように重心に気を配った設計だと思われます。このあたりは、さすが本家製品という気がします。

ノートパソコンと違ってディスプレイ縦置きで使えるのは iPad+キーボードの特権ですし、ワープロやテキスト作業では縦置きが便利な時も多いですからね(電車内などでは安定度重視で横置きに限りますが、ホテルやカフェでは縦置きは十分有りです)。

そういうこともあって、前モデルより 65g 軽くなったとはいえ、劇的に軽くなった製品ではありません。どうしても軽さだけ追求するなら中華コピー製品を当たった方が良いでしょう。

TK710_10


また、厚みに関してもキーボードカバー自体は薄くなりましたが(13.45mm→9.96mm)、ケースタイプの時と違って iPad 本体の厚みを丸々プラスする形になりますので、厚みもやはりそこそこあります。

このキーボードカバーを装着すると、

概ね iPad 2台分の厚みになる


わけで、純正スマートカバーのようなスマートさというわけにはいきません。キーボード付きカバーゆえ厚みもそれなりにあります。

また、サイズ的には 11インチ MacBook Air よりも一回り以上小さいのですが、厚みという点では11インチ MacBook Air とも変わらないレベルです。数字的には第三世代 iPad + TK710 の厚みの実測が 15mm 前後、11インチ MacBook Air の最厚部が公称値 17mm です。

前モデルより薄く軽くなったとはいえ、極端に薄く軽くなったわけではないので、そのあたりは十分判った上で購入された方が良いかと思います。

TK710_28
(11" MacBook Air 最厚部と iPad 2012 + TK710 の比較)


ただ、TK700 が高い外枠があって角張った感じのキーボードケースだったため、

TK700 と比べると数字以上に薄く軽くなった感じ


はあります。

また、

TK700 でタイピング時に邪魔だった外枠がないのは快適


なので、タイピング時のストレスは随分減りました。

キーボードレイアウトについては少々問題のある TK710 ですが、使っていて一番心地よいですし、持ち歩きの感覚は中華製コピー製品の軽量薄型キーボードを使っている時と変わらないですね。

そのあたりも含めて、前モデル TK700 や中華製品との比較は次回記事で詳しく述べたいと思います。

【7/19 追記】最初に述べた通り、本製品の名称は従来の「Keyboard Case」から「Keyboard Cover」に変更され、純正 Smart Cover 同様のマグネットを利用したカバータイプ(自動スリープ ON/OFF 対応)になっています。

「キーボード付きカバー」ですから純正スマートカバーに比べると随分と厚いわけですが、iPad 本体との装着部はスマートカバーと大きな差はありません。ということで、もしかして?と思ってためしてみると

純正スマートカバー対応の iPad 背面ケースが装着可能


でした。

TK710_34withCase
(TK710 を装着しつつ BELKIN の背面ケースを付けている状態)

TK710_35
(側面マグネットバー部分も純正スマートカバー用のケースなら無問題)

TK710_38
(マグネットバー以外の部分も特に干渉もなく使えています)


従来の「キーボードケース」では iPad 背面ケースを使うことができませんでしたので、どうしても iPad 背面の保護は諦めるか、海外などで売っている背面用保護シールを使うしかありませんでした。しかし、新しい iPad 用「キーボードカバー」TK710 では背面ケースが使えるので

従来のキーボードケースにあった背面剥き出しによる心配が解消


したのは本当に大きいです。これだけでも買い換える価値はあったと思っています。

ただし、注意すべきはどんな背面ケースでも TK710 と同時利用できるわけではなく

TK710 と併用できる背面ケースは純正スマートカバー対応の製品


が最低限の条件です。また、

厚い背面ケースはスリットにはまらず、立て掛けられない


こともあり、純正スマートカバー対応の背面ケースの全てが利用できるとは限りませんので、必ず事前に装着できるかどうかを確かめてから購入されることをオススメします。

なお、当方が装着を確認した背面ケースは



上記4製品は試して入るようでした。とはいえ、当方は何も保証できませんので、くれぐれも自身で試されてから購入して下さい。

また、使える背面ケースでも

背面ケースを付けるとスリットに立て掛ける時に
不安定になる、磁力吸着しない場合がある


ことに注意が必要です。

そういった注意点はあるものの、キーボードカバー TK710 は背面ケースを装着できるということで、前モデル TK700 や中華製類似製品を使っている人にも魅力ある製品ではないかと思います。

購入当初はともかく、最近はごく当たり前のように背面ケースをつけていたので、すっかりこの点を書くのを忘れておりました…【追記終わり】

続編記事→ 類似製品と比較してみる・キーボード付きの iPad カバー「Ultrathin Keyboard Cover」TK710【中編】

Ultrathin Keyboard Cover(公式ページ)