試せば試すほど色々な機能があって、予定より長々と書き連ねている PowerShot S100 のファーストインプレッション。時には S90 からあった機能なのに忘れていたものもあって、S100 を学習しながら記事を書いてます(^_^;)
■ 期待通りにデキる奴! PowerShot S100 ファーストインプレ《1》
■ 万能多機能だけど、まだまだ改良の余地あり PowerShot S100 ファーストインプレ《2》
前回書いた GPS やバッテリー、HDR 機能のように不満不安な点もあって 100点満点とは言えませんが、コンパクトデジカメとしては高いレベルでまとまっているカメラなのは間違いありません。
昨今の高級コンパクトデジカメは、どちらかと言えばマニアックに尖った要素をもって付加価値を高めているモデルもありますが、それに比べると S100 は(値段は高めでも)大衆機。撮影対象もユーザー対象も全方位的。
サイズも画質も各種機能も…と欲張ったカメラであり、撮影素子を自社素子に変えたことも含めて、
に感じます。
ただ、更なる機能てんこ盛りは使い勝手に影響を与えることも多く、また良くも悪くもキヤノンらしいということは、しっかり手を抜いている妥協をしている点もちゃんとあるわけです。
そのあたりも含めて、今回はボディ周りや操作性など使い勝手について記しておきたいと思います。
コンパクトな割には画質が良いだけでなく、撮影自由度の高さが評価されている PowerShot S シリーズですが、S100 でも地味に?改善されている点が光ります。
という内容で、大々的に謳われている新機能、機能強化より嬉しいくらいの機能強化。
と言えるでしょう。もう一つのコンパクトな愛機である GXR と比べても撮影自由度で劣るところがなくなってきました(被写体によっては元々 PowerShot の方が有利なものもありましたし)。
とにかく夕景を撮ることの多い私としては、露出補正の範囲が広がるのは素直に大歓迎。2段あれば概ねカバーできるものの、残り5%くらいはもう1段あれば…でしたからね。
そして、NDフィルター内蔵、最速シャッター速度向上、最高感度引き上げ、(AF が追従する)連写速度が倍以上になったというのは、
です。「これだけの内容がこのサイズに収まっていいのか?」という感じ。
動体撮りで高速シャッターを切る場合には、最速シャッター速度や最高感度の向上は(たとえ上限値を使わなくても)重要な指標になりますし、昼間の流し撮りには ND フィルターが必要なことも多いので、本当に嬉しいところ。
連写速度に至っては、コンパクトデジカメで AF 連動の連写速度でここまでやってくれるとは…ですね。その他の部分も含め、機能面ではミラーレス機と比べても遜色ないものになっていて、コンパクトではできないから…ということがかなり少なくなりました。
いずれにせよ、細かな撮影機能の改善は素晴らしくて PowerShot S100 は
になりました。
そして機能面ではもう
という感じですね。デジタル水準器があれば、機能面では 100点近かったんですけどねぇ。
2ヶ月先行した PowerShot S100 の海外発表があった時、S100 の写真を見て思ったのは
「中身はともかく、このボディデザインだけは劣化だろ…」
ということであり、それは私にかぎらず共通認識だったように思いますし、また S100 が手元に来た今でもその思いは変わりません。
これが1万円台のカメラならデザインも質感も仕方ないと思えるでしょうが、仮にも5万円前後で売るカメラ。質感・デザインで勝負する趣味機ではなく実用志向のカメラとはいえ、
と思わせるようでは、さすがにどうかと思います。間違いなくこのデザインと質感は PowerShot S100 最大の欠点でしょう。
もっとも、従来の PowerShot S90/S95 のデザインが全て良かったわけではなく、
でしたから、上記写真のように後付グリップを装着していました。この後付グリップがあったからこそ、S90 を長く愛用できた面もあります。
それゆえ、グリップを改良しようとしたことは高く評価したいと思うのですが、如何せん「この安物チックな質感と簡易グリップのデザインは…」という思いが先行してしまいます。
通常グリップのようにボディからの突起部を作りたくなかったのだと思いますし、後述するようにグリップは悪くなく、開発者の苦労は感じられるデザインではあるのですが、なにせ見た目が…
ただ、慣れとは恐ろしいもので
のもまた事実(^_^;)
何というか、今は
という相反した気持ちがゴッチャ混ぜになっています。

ちなみに、あまり触れられることはないと思いますが、シャッターボタンが鏡面仕上げになったのは良かったと思います。レリーズの感触も S90 よりは良くなってる気がします(S90 のレリーズがヘタってるせいかもしれませんが)。
また、従来同様、三脚穴が光軸上にあるというのもポイントです。

こういう基本的なところを妥協しているメーカー、モデルも多い中、地味な点を意外としっかり押さえているのがキヤノンだったりします。いくらボディデザインが〜質感が〜と言っても、こういった点は評価したいものです。
ボディデザインが一新されたせいか、今回の PowerShot S100 では従来のブラックに加えてシルバーが用意されました。私自身、ブラックにするか、シルバーにするか、かなり迷いました。
個人的に、最近はブラックボディに飽いていて、マイクロフォーサーズ機 DMC-GF2 や iPhone 4S をホワイトにしてますし、S100 も当初は迷いつつもシルバーに傾いていました。
ところが、発売前にキヤノン・ショールームで実機を見たところ、シルバーの質感が想像していたのと違って白紙に。キヤノンのシルバーといえば IXY らしい感じを想像していたのですが…
結局、
にしてブラックモデルにしました。ブラックの方が無難ということもあります。
まぁ無難すぎてシルバーにしておいても良かったかなぁ…とは思いますし、
と今でも思っています。
まぁ「次機種でボディデザインや質感が改善されたら買い換えやな」とは思ってますが、キヤノンのことですから大きくデザインを変えてくるのは、また次の次くらいのような…
ボディのデザインや質感については文句つけまくっていますが、
と思います。
画角が広角・望遠側両方に広がってズーム倍率が上がり
それでいて画質を落とさず
連写も IS も何もかも機能強化して
さらには GPS も内蔵し
バッテリーも大きくなった。
これだけのことをやって 3mm 近くも薄くなった。文句の言いようがありません。
というか、どこに妥協が隠されているの?隠してんじゃないの?と疑心暗鬼になるくらいです(それがボディ質感・デザインなのかもしれませんが…)。
ユーザーなら PowerShot S90 → S95 で 1.4mm 薄くなった時にも「お、薄くなった、いいねぇ」と感じ取れる差でしたが、その S95 から更に 2.8mm 薄くなったのは大きな差を感じざるを得ません。
特に私の場合は S90 からの移行ですから 4.2mmm の差。
わけです。

(左:PowerShot S100、右:PowerShot S90)

(上:PowerShot S100、下:PowerShot S90)
薄くなった代わりに若干高さが増えていますが、そこは全く気にならないですね。手で握ることもあって、やはり薄さを感じるのが圧倒的です。
まさに PowerShot S シリーズの真骨頂がここにあると言ってもいいでしょう。
実際、数日使っていて
「お、ここにもスルッと入るんだ」
「ここに入れても出っ張った感じがなくなったなぁ」
と思うことが多くて、た薄さの違いを実感しています。大げさでなく 4mm の差はデカい!です。
以前の記事で紹介した MacCase Premium Leather Flight Jacket for MacBookを愛用しているので、これの蓋部分の薄いポケットにもスルッと入って外からの見た目もおかしくならないのは良いですね。ホント、このサイズは◎。
さて、ボディデザインや質感を微妙にしてまでグリップ感の改善に努めた PowerShot S100 ですが、実際その効果はどうかといえば、
と感じます。
個々人で感じ方は違うでしょうし、まだ十分とは思いませんし、PowerShot S90/S95 が悪すぎたので何をやっても改善になるわけですが、それでも“S90/S95 に比べれば劇的に良くなった”と思います。

正直なところ、使っていての安心感・ホールド感は
と感じていますので、標準状態の S90/S95 に比べればグリップは雲泥の差です。
と思えます。まぁ S90/S95 用の後付グリップを作ったところの S100 用グリップが今度はダサダサで諦めざるを得ない、というのもありますが(>_<)
■ リチャードフラニエック、キヤノン「PowerShot S100」専用カスタムグリップ
ともあれ、このグリップ感の改善の要因は
これらのことが全て合わさって改善されたのでしょう。満足はできなくとも
と想像できるデザインです。
一見すると安易なグリップデザインに見えますが、使ってみると開発者の苦労が伺える妥協点を感じます。突起デザインのグリップを付けないけど、その中で何とかしたい、という思いは伝わってきます。
実際に使っていると S100 は S90/S95 と大差ない重さのはずなのに
であり、それは良いボディバランス・グリップに依るところなのでしょう。見た目は悪いですが、実際に使ってから評価したいグリップですね。
「だからと言って、この価格のコンパクトデジカメにこの質感・デザインはないぞ」
という思いもありますが、グリップに関しては
だと使い始めて実感しています。
PowerShot S90 登場時に大きく評価されたのが、レンズの周りにあるコントローラーリング。ここに自分の好きな機能を割り当てることができ、素早く調整可能なことが S90 の高評価に繋がったことは周知の通り。
■ 期待通りにデキる奴! PowerShot S100 ファーストインプレ《1》
■ 万能多機能だけど、まだまだ改良の余地あり PowerShot S100 ファーストインプレ《2》
前回書いた GPS やバッテリー、HDR 機能のように不満不安な点もあって 100点満点とは言えませんが、コンパクトデジカメとしては高いレベルでまとまっているカメラなのは間違いありません。
昨今の高級コンパクトデジカメは、どちらかと言えばマニアックに尖った要素をもって付加価値を高めているモデルもありますが、それに比べると S100 は(値段は高めでも)大衆機。撮影対象もユーザー対象も全方位的。
サイズも画質も各種機能も…と欲張ったカメラであり、撮影素子を自社素子に変えたことも含めて、
実にキヤノンらしいデジタルカメラ
に感じます。
ただ、更なる機能てんこ盛りは使い勝手に影響を与えることも多く、また良くも悪くもキヤノンらしいということは、しっかり
そのあたりも含めて、今回はボディ周りや操作性など使い勝手について記しておきたいと思います。
【撮影機能の強化】
コンパクトな割には画質が良いだけでなく、撮影自由度の高さが評価されている PowerShot S シリーズですが、S100 でも地味に?改善されている点が光ります。
- 露出補正範囲が±2段から±3段に広がった
- 3段分の ND フィルターが内蔵され、ON/OFF できるようになった
- 最速シャッター速度が 1/1600秒→ 1/2000秒に高速化
- 通常の連写速度が 0.9コマ/秒 → 2.3コマ/秒 と劇的に高速化
(S95 でも AF 追尾しない制限付き連写なら 1.9コマ/秒だったが、連写時の AF 制限もなくった) - 高感度画質向上に伴って、最高感度が ISO 3200 → 6400 に引き上げられた
という内容で、大々的に謳われている新機能、機能強化より嬉しいくらいの機能強化。
こだわり撮影派な人にも納得の撮影機能強化
と言えるでしょう。もう一つのコンパクトな愛機である GXR と比べても撮影自由度で劣るところがなくなってきました(被写体によっては元々 PowerShot の方が有利なものもありましたし)。
とにかく夕景を撮ることの多い私としては、露出補正の範囲が広がるのは素直に大歓迎。2段あれば概ねカバーできるものの、残り5%くらいはもう1段あれば…でしたからね。
そして、NDフィルター内蔵、最速シャッター速度向上、最高感度引き上げ、(AF が追従する)連写速度が倍以上になったというのは、
どんなカメラでも動体を撮ってしまう私には、最高の機能改善内容!
です。「これだけの内容がこのサイズに収まっていいのか?」という感じ。
動体撮りで高速シャッターを切る場合には、最速シャッター速度や最高感度の向上は(たとえ上限値を使わなくても)重要な指標になりますし、昼間の流し撮りには ND フィルターが必要なことも多いので、本当に嬉しいところ。
連写速度に至っては、コンパクトデジカメで AF 連動の連写速度でここまでやってくれるとは…ですね。その他の部分も含め、機能面ではミラーレス機と比べても遜色ないものになっていて、コンパクトではできないから…ということがかなり少なくなりました。
いずれにせよ、細かな撮影機能の改善は素晴らしくて PowerShot S100 は
私にとって不満の殆どない、隙のないカメラ
になりました。
そして機能面ではもう
あと足りないのはデジタル水準器だけ
という感じですね。デジタル水準器があれば、機能面では 100点近かったんですけどねぇ。
【ボディ・デザイン】
2ヶ月先行した PowerShot S100 の海外発表があった時、S100 の写真を見て思ったのは
「中身はともかく、このボディデザインだけは劣化だろ…」
ということであり、それは私にかぎらず共通認識だったように思いますし、また S100 が手元に来た今でもその思いは変わりません。
これが1万円台のカメラならデザインも質感も仕方ないと思えるでしょうが、仮にも5万円前後で売るカメラ。質感・デザインで勝負する趣味機ではなく実用志向のカメラとはいえ、
1万円台の IXY の方がデザインも質感もあるよなぁ
と思わせるようでは、さすがにどうかと思います。間違いなくこのデザインと質感は PowerShot S100 最大の欠点でしょう。
もっとも、従来の PowerShot S90/S95 のデザインが全て良かったわけではなく、
S90/S95 のツルツルすっきりデザインは見た目にいいけど、グリップ的に最悪
でしたから、上記写真のように後付グリップを装着していました。この後付グリップがあったからこそ、S90 を長く愛用できた面もあります。
それゆえ、グリップを改良しようとしたことは高く評価したいと思うのですが、如何せん「この安物チックな質感と簡易グリップのデザインは…」という思いが先行してしまいます。
通常グリップのようにボディからの突起部を作りたくなかったのだと思いますし、後述するようにグリップは悪くなく、開発者の苦労は感じられるデザインではあるのですが、なにせ見た目が…
ただ、慣れとは恐ろしいもので
数日使っていると、S90/S95 と比較しなきゃ気にならなくなってきた
のもまた事実(^_^;)
何というか、今は
「使い始めれば、言うほど悪くないよね」
「5万前後もするカメラなのだからデザインも質感ももう少し考えてよ…」
という相反した気持ちがゴッチャ混ぜになっています。

ちなみに、あまり触れられることはないと思いますが、シャッターボタンが鏡面仕上げになったのは良かったと思います。レリーズの感触も S90 よりは良くなってる気がします(S90 のレリーズがヘタってるせいかもしれませんが)。
また、従来同様、三脚穴が光軸上にあるというのもポイントです。

こういう基本的なところを妥協しているメーカー、モデルも多い中、地味な点を意外としっかり押さえているのがキヤノンだったりします。いくらボディデザインが〜質感が〜と言っても、こういった点は評価したいものです。
【ボディ・カラー】
ボディデザインが一新されたせいか、今回の PowerShot S100 では従来のブラックに加えてシルバーが用意されました。私自身、ブラックにするか、シルバーにするか、かなり迷いました。
個人的に、最近はブラックボディに飽いていて、マイクロフォーサーズ機 DMC-GF2 や iPhone 4S をホワイトにしてますし、S100 も当初は迷いつつもシルバーに傾いていました。
ところが、発売前にキヤノン・ショールームで実機を見たところ、シルバーの質感が想像していたのと違って白紙に。キヤノンのシルバーといえば IXY らしい感じを想像していたのですが…
結局、
どっちでも良くなって、Amazon で購入決定時の安い方
にしてブラックモデルにしました。ブラックの方が無難ということもあります。
まぁ無難すぎてシルバーにしておいても良かったかなぁ…とは思いますし、
シルバーが IXY みたいな質感なら、シルバー一択だったのに…
と今でも思っています。
まぁ「次機種でボディデザインや質感が改善されたら買い換えやな」とは思ってますが、キヤノンのことですから大きくデザインを変えてくるのは、また次の次くらいのような…
【ボディ・サイズ】
ボディのデザインや質感については文句つけまくっていますが、
サイズについては文句なし!賞賛したい!
と思います。
幅 | 高さ | 厚み | 本体質量 | |
---|---|---|---|---|
S90 | 100.0 | 58.4 | 30.9 | 175g |
S95 | 99.8 | 58.4 | 29.5 | 170g |
S100 | 98.9 | 59.8 | 26.7 | 173g |
画角が広角・望遠側両方に広がってズーム倍率が上がり
それでいて画質を落とさず
連写も IS も何もかも機能強化して
さらには GPS も内蔵し
バッテリーも大きくなった。
これだけのことをやって 3mm 近くも薄くなった。文句の言いようがありません。
本気で開発陣に感服
というか、どこに妥協が隠されているの?隠してんじゃないの?と疑心暗鬼になるくらいです(それがボディ質感・デザインなのかもしれませんが…)。
ユーザーなら PowerShot S90 → S95 で 1.4mm 薄くなった時にも「お、薄くなった、いいねぇ」と感じ取れる差でしたが、その S95 から更に 2.8mm 薄くなったのは大きな差を感じざるを得ません。
特に私の場合は S90 からの移行ですから 4.2mmm の差。
既存ユーザーだからこそ、持った感じで劇的に違うと感じる
わけです。

(左:PowerShot S100、右:PowerShot S90)

(上:PowerShot S100、下:PowerShot S90)
薄くなった代わりに若干高さが増えていますが、そこは全く気にならないですね。手で握ることもあって、やはり薄さを感じるのが圧倒的です。
これだけの機能・画質・使い勝手で、このサイズ!
まさに PowerShot S シリーズの真骨頂がここにあると言ってもいいでしょう。
実際、数日使っていて
「お、ここにもスルッと入るんだ」
「ここに入れても出っ張った感じがなくなったなぁ」
と思うことが多くて、た薄さの違いを実感しています。大げさでなく 4mm の差はデカい!です。
以前の記事で紹介した MacCase Premium Leather Flight Jacket for MacBookを愛用しているので、これの蓋部分の薄いポケットにもスルッと入って外からの見た目もおかしくならないのは良いですね。ホント、このサイズは◎。
【グリップ】
さて、ボディデザインや質感を微妙にしてまでグリップ感の改善に努めた PowerShot S100 ですが、実際その効果はどうかといえば、
グリップ感は S90/S95 から圧倒的に改善された
と感じます。
個々人で感じ方は違うでしょうし、まだ十分とは思いませんし、PowerShot S90/S95 が悪すぎたので何をやっても改善になるわけですが、それでも“S90/S95 に比べれば劇的に良くなった”と思います。

正直なところ、使っていての安心感・ホールド感は
後付グリップ付き S90 >>>>> S100 >>(超えられない壁)>>標準状態の S90/S95
と感じていますので、標準状態の S90/S95 に比べればグリップは雲泥の差です。
満足とは言えないが、とりあえず後付グリップはなくても良いかも…
と思えます。まぁ S90/S95 用の後付グリップを作ったところの S100 用グリップが今度はダサダサで諦めざるを得ない、というのもありますが(>_<)
■ リチャードフラニエック、キヤノン「PowerShot S100」専用カスタムグリップ
ともあれ、このグリップ感の改善の要因は
- ボディ表面をスルピカからザラッとした質感に変更して滑りにくくなった
- 取って付けた程度でも、ある程度効果がある前面小グリップ
- ボディサイズが薄くなったこと
これらのことが全て合わさって改善されたのでしょう。満足はできなくとも
開発陣はかなり試行錯誤したんだろうなぁ…
と想像できるデザインです。
一見すると安易なグリップデザインに見えますが、使ってみると開発者の苦労が伺える妥協点を感じます。突起デザインのグリップを付けないけど、その中で何とかしたい、という思いは伝わってきます。
実際に使っていると S100 は S90/S95 と大差ない重さのはずなのに
従来モデルより軽く感じる筐体デザイン・グリップ
であり、それは良いボディバランス・グリップに依るところなのでしょう。見た目は悪いですが、実際に使ってから評価したいグリップですね。
「だからと言って、この価格のコンパクトデジカメにこの質感・デザインはないぞ」
という思いもありますが、グリップに関しては
限られた中で、よく頑張ったグリップ
だと使い始めて実感しています。
【操作性・使い勝手(良い面)】
PowerShot S90 登場時に大きく評価されたのが、レンズの周りにあるコントローラーリング。ここに自分の好きな機能を割り当てることができ、素早く調整可能なことが S90 の高評価に繋がったことは周知の通り。
- レンズの根元で操作するコントローラーリング
- パラメーター調整用の背面コントローラーホイール
- 上面のモードダイアル
- モードダイアルに(ユーザー設定が一発で呼び出せる)Cモードが用意されている
といったこともあって、
こんなにコンパクトなのに、どことなく一眼っぽい操作性
が実現されているのが PowerShot S シリーズ。それは S100 でも変わっていません。
操作性という点では、S90 の時点で既にある程度完成していたということもあって
グリップや撮影機能を除けば、S100 で操作性の改善は特にない
と言って良いと思いますが、逆に言えば「良い意味で従来通りの操作性を引き継いでいる」ということでもあります。

ISO 設定で RING FUNC 一発で ISO AUTO に戻れる、といった便利さは至るところにある
(S95 では DISP ボタンだったのが変更。S90 にはなかった機能)

(MF 時の画面。フォーカスポイントの拡大機能などもON/OFF可能で用意されている)

(撮影直後のポストビューも秒数設定可能で画面種類も選べる。ピントチェックはお気に入り)
私自身(後述する不満を除けば)概ね満足して使っていますし、Cモードのことも含めて、特に EOS DIGITAL を使っている人には最も違和感なく、不満を感じることなく使えるコンパクトデジカメだと思います。
また、他の一眼レフ(not ミラーレス)ユーザーでも
「コンパクトデジカメでも、できるだけ一眼ライクにコントローラブルでいたい」
という人には文句なく勧められるカメラだと思っています。
【操作性・使い勝手(不満点)】
PowerShot S100 の操作性が良いことに異議はなく、概ね満足して使っているものの、不満がないわけではないので、そのあたりを何点か記しておきます。
(1)電源を切る時に撮影中のズーム位置を記憶する機能に不備がある
個人的にこれはバグと差し支えないの範疇(仕様なら仕様上のミス)だと思うのですが、
「電源を切る時に撮影していた焦点距離を覚えておき、電源再投入時には自動的にその焦点距離に戻してくれる機能が、再生モードにしてから切ると焦点距離を覚えてくれない」
というもの。つまり、
50mm で撮影して電源をオフ
→ 再び電源オンにした場合には 50mm へ自動的に再設定
50mm で撮影して再生モードで写真を見てから電源をオフ
→ 再び電源をオンにしても初期状態の 24mm のまま
というもの。
これは、仕様といわれれば仕様なのかもしれませんが、だとすれば仕様上の問題と思います。ファームウェア・アップデートで改善できるレベルなので、何とか改善して欲しいと思います。
個人的に、レンズにズームリングのないコンパクトデジカメでは「ステップズーム」と「ズーム位置記憶」は必需品であり、後者に機能的不備があるのは使いづらいですね。
(2)FUNC MENU に設定項目を入れすぎて使い辛くなっている
PowerShot ユーザーならご存知 FUNC MENU というのは、通常の機能設定メニューとは別にある撮影時専用のサブメニュー。
撮影時によく利用する機能だけがすぐ呼び出し設定できるようになっていて、FUNC MENU は PowerShot の操作性を良くしている理由の一つでした。が、もはや“すぐに呼び出して設定”ができるとは言い難いものになっています。
FUNC MENU は撮影時に素早く設定変更するのが便利なメニューだったのに
設定項目数を入れすぎて面倒さが増してしまっている
設定項目数を入れすぎて面倒さが増してしまっている
と思います(ちなみに S100 で変更されたのではなく S90 → S95 での変更点ですが)。
S90 の FUNC MENU は基本的に1画面に収まっていました。設定項目は8項目。それくらいなら見通しも良いし、設定項目選択の手間も大したことがありませんでした。
しかし、S100 の FUNC MENU は2画面分、14項目。設定変更したい項目を選ぶのもいささか手間になりました。素早く、とはいきません。


i-コントラスト、ISO 感度、ホワイトバランス、マイカラー、ブラケット、連写、タイマー、フォーカスフレーム、測光、NDフィルター、写真縦横比、RAW/JPEG 切替、画像サイズ、動画モード…
確かに撮影時に設定変更したい設定ですが、さすがに撮影用サブメニューとしては多すぎに感じます。
FUNC MENU に設定項目増やしたい
→ちょっと増やすくらいなら2画面分にして色々入れてよう
S95 でそういう流れだったのかもしれませんが、写真縦横比や画像サイズなどはショートカット的な FUNC MENU になくても良いと思いますし、RAW/JPEG 切替は以前の画像サイズと統合した設定でも良かったように思います。判りやすさは現状ですが…
もちろん、私がよく使うような設定が FUNC MENU からなくなると私自身がまたブーたれることになりますので、
撮影設定は全部メインメニューで設定できるようにして
FUNC MENU はメニュー項目をユーザーが任意の機能を選べるように
FUNC MENU はメニュー項目をユーザーが任意の機能を選べるように
して欲しいと思います。現状マイメニュー機能でできているのですから、FUNC MENU にできないわけがないですから。
それに今はメインメニューと FUNC MENU で設定変更できる項目が異なりますが、設定変更は基本的にメインメニューでも全部できるようにして欲しいですしね。今のままでは、マイメニューがマイメニューになりません。
メインメニューを現在3タブから4タブにして、増えた1タブ分に現在の FUNC MENU に相当する設定項目を並べても悪く無いと思いますし、FUNC MENU はそこからユーザーが必要な機能を抽出できるようにしてくれれば、と思います。
そうなれば FUNC MENU とマイメニューとダブりますが、そうなればマイメニューは要らない気もします。
いずれにせよ、FUNC MENU の整理整頓、カスタマイズ化は次機種以降でぜひ検討して欲しいと思っています。
(3)動画ボタンを別機能に割り当てさせて欲しい
S100 の動画機能は優秀ですし、昨今のキヤノンの方針からいっても動画撮影ボタンを新設したことは悪くないと思いますが、
動画撮影を殆どしない人には、貴重なボタンが1つ無駄に消費されてる
ことになります。もったいない。
特に S90/S95 → S100 においては、上面にあった RING FUNC ボタンが背面に移動されました。このことが巷で高く評価されているようですが、RING FUNC ボタンが背面に移動してきたものの、背面の(コントローラホイール周囲の)ボタンは4つのまま。
つまり
ハードウェア・ボタンが1つ減ったのに、動画にボタンが占有されている
のは、写真だけを撮ってる身にはボタンが勿体ない話だし、たまに間違えて押しちゃうのも避けたいんですよね。
操作性の良さを標榜し、カスタマイズ機能も少なくない S100 だけに、この「動画撮影ボタンをカスタマイズ可能にする」ことだけは何とかして欲しいところです。
☆
ちなみに、これら以外の不満で「S90/S95 から無闇にボタン配置変えすぎじゃないか?間違えるよ…」と思っていて、そのことは今でも思っているのですが、
ボタン配置変更は慣れたら不満じゃなくなるしなぁ…
と思えたので、一応撤回。

(左:PowerShot S90、右:PowerShot S100)
動画撮影ボタン新設、位置が評判悪かった RING FUNC ボタンを背面へ移行という措置のなかで、S90/S95 から
ショートカットボタン → RING FUNC ボタン
再生ボタン → 動画撮影ボタン
と変更するのは妥当だし、再生ボタンは絶対必要だから
DISP ボタン → 再生ボタン
も妥当。
MENU ボタンは絶対必要かつ同場所である必要があるので、DISP ボタンを上下左右ボタンのいずれかに割り当てるとして、撮影タイマーの下ボタンに割り当てて、削除機能は独立ボタンである RING FUNC ボタンと兼用したのが PowerShot S100。
冷静に見ていけば悪くはない、と思います。思いますが、
体が覚えている削除ボタンや再生ボタンをよく間違えるんだよ…orz
撮影写真を再生しようとして動画撮影ボタン、削除しようとして DISP(下)ボタン。数日のうちに何十回やったことか(´Д`) 慣れの問題ということは判っていますが、微妙に違うのは全然違うのより間違いを誘発させてくれますからね…
個人的には
DISP ボタンの再割当先は下ボタンじゃなく右ボタンにして欲しかった
と思います。そうすれば、削除ボタンはそのままでしたから。
ま、何を言っても始まらないので、とにかく慣れるしかありません…
【パッケージング】
最後にパッケージングのことを軽く。といっても、
質素簡素な実用機らしいパッケージ
なので、特に何も言うことはないですけどね。一応、写真を撮ったので何となく紹介。

(外箱)

(外箱を開けたところ。上に付属 CD やマニュアル類)

(CD やマニュアル類の下に、本体や付属品類)
写真を見ても判るように、実に質素。PowerShot S100 を“高級”コンパクトデジカメとして分類されることも多いですが、パッケージングに関しては1万円台のカメラと何ら変わりません。
が、「内容を考えればコストダウンがここに来ても仕方ないか…」とは思うので気になりません。
ってか、メーカーが「高級コンパクトデジカメ」と自称しているのに、同じようなパッケージというカメラも多いですからね。実用機じゃなく趣味機を作っているメーカーは、もうちょっとパッケージングも考えたほうが良いと思います。
ちなみに、PowerShot S90/S95 で付属していたステレオAVケーブルは別売りとなりました。ケーブル類で付いているのは USB のみ。ですが、HDMI が基本になってるのにアナログケーブルは不要でしょうね。
個人的には、最新版のキヤノン付属 CD が入手できたので地味に便利、です。キヤノン付属ソフトでは Digital Photo Professional しか使っていませんが愛用していますので、OS 再インストール時などでアップデーターを適宜かけるのが面倒なんですよね…
というわけで、長々と3回に分けて書いてきた PowerShot S100 ファーストインプレッションですが、ひとまずここで区切らせてもらいます。
既に“期待通り、一部は期待以上”と書いたとおり
使い始めて数日にして十分満足
しています。元を取った気分と言っては言いすぎですが、間違いなく元が取れるだろうな、と思わせる“道具”です。
GPS や一部シーンモードのように取り入れたものの今後ブラッシュアップすべき機能はありますが、こと機能面においては
あと足りない機能はデジタル水準器と Wi-Fi くらいじゃね?
というくらい網羅していますし、
満足とは言わないが、コンパクトとしては上出来な画質
ですからね。特に高感度画質は驚きでした。
まだ、動画関係や「ハイスピード連写 HQ」など幾つもの機能に触れていませんし、それらについても言及したいことはあるのですが(ハイスピード連写 HQ でシャッター速度を自分で決めさせて欲しいとか…)、また稿を改めてにしたいと思います。
■ 期待通りにデキる奴! PowerShot S100 ファーストインプレ《1》
■ 万能多機能だけど、まだまだ改良の余地あり PowerShot S100 ファーストインプレ《2》
予定では明日、定点観測画像の写真や適当比較サンプルを載せた記事を掲載予定です。
P.S. キヤノンにしては珍しく発売当初に提供されていなかった PowerShot S100 の PDF マニュアルがダウンロードできるようになっています。
■ キヤノン:製品マニュアル|コンパクトデジタルカメラ 【IXY DIGITAL / PowerShot】
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