先日の記事のとおり、先週サービスインとなった日本通信の従量制サービス「b-mobile Fair」を Galaxy Tab で使い始めた。当該記事でも書いたように、私は Galaxy Tab を日々持ち出して使うことはなく、たまに持ち出してのモバイル利用だからピッタリのサービスだ。

さて、b-mobile といえば(U300 系は速度制限があるものの)サービスの縛りが殆どない。もちろんテザリング −スマートフォンやタブレットをモバイルルーター化して、他のパソコンや無線 LAN 機器をネット接続させる機能− も利用可能である。

Galaxy Tab 本来のドコモ SIM を使ってドコモのサービスを使っている限り、spモードでは明確にテザリングは禁止されているし、mopera を使ってもテザリングに関しては不明で今後のドコモの判断次第、というのが現状である。

それに比べると、b-mobile Fair では明確にテザリング可能と記されており、安心して、大手を振ってテザリングできる。

よくあるご質問 | b-mobile Fair

テザリング時の通信速度も「b-mobile Talking SIM プラチナ」のような 300Kbps 制限はなく、フルスピードが出ているようだ(実測してみても、そうだった)。

bmobile_Fair8
(テザリング可能にした Galaxy Tab を通して PC で速度計測した例)


というわけで、

せっかくテザリング可能と明記されてる b-mobile にしたのだから
Galaxy Tab をモバイルルーターとして使えるようにしよう


と相成った。

ただし、Galaxy Tab は2月のファームウェア・アップデートで簡単にはテザリングできなくなったので、システムライブラリの改造が必要になる。アップデート前までは、アプリ1つ入れるだけでテザリング可能になっていたのだが、今はそうはいかない。


そして、このシステムライブラリの改造は

難易度は高くはないが、ミスれば Galaxy tab 死亡


という変更なので、技術的なハードルは程々でも、精神的なハードルは少々高い

ドコモ SIM で使ってる限りは滅多に 3G 回線を使うことはないと判っていたので、Galaxy Tab のテザリングはどうでも良かったし、敢えてリスクを犯すつもりはなかったが(そしてテザリング封じのアップデートにも躊躇なかった)、b-mobile SIM に入れ替えたらリンクを冒す価値はあるかな…と。

もちろん、動かなくなって文鎮化しても保証は当然効かないから、そういうリスクを回避して



こんな安いモバイルルーターを手に入れて無難に使おうかと思ったが、そうなると Galaxy Tab のために b-mobile Fair を手に入れたのに何だかおかしな話になるし(出費が出費を呼びことはよくあるが :-)、何よりも普段 WiMAX を使っているわけので

たまにしか使わないモノに金かけちゃ意味ない


し、これ以上荷物が増えるのも本末転倒、ということで、リスク承知で Galaxy Tab をテザリング可能化することにした。

まぁ、ぶっちゃけ Galaxy Tab がなくなると非常に困る、仕事その他に支障が出る、というわけでもないので、最悪文鎮化しても泣けば済むか…という感じだったので決断できた(+明日からの旅にあったら便利・安心かな?と)。



ということで、サクっと Galaxy Tab をテザリング可能、モバイルルーターとして使えるようにしたわけだが、手順は大きく分けて2つ。もちろん、この作業は保証外だから、やる人各自の自己責任であり、私も何ら保証するものではない。

  1. Galaxy Tab の root 権限取得

  2. システムライブラリ(framework-res.apk)の改造と差し替え


1つ目の root 権限取得というのは、Android 機において「何でもできるようにする」改変である。iPhone など iOS デバイスに比べると自由さが強調される Android ではあるが、何でもかんでもできるわけではない。システム関連は通常保護されて、弄ることはできない。

その「通常は弄れない部分を弄ることができるようにする」のが、通称「root 化」と呼ばれる作業で、これについては以下のページの手順で行うことができる。

Galaxy Tab バージョンアップ後のroot化方法詳細

Galaxy Tab の root 化については Windows で動く専用のツール(SuperOneClick)で、ほぼ自動的に可能であるので、何も難しくはない。上記のページを見て、やり方が判る人なら誰でもできるレベル。失敗のリスクも小さい(が、もちろん自己責任で、文鎮化する覚悟は必要)。

ただし、root 化することへのリスクより、root 化したことのリスクはある。保証外というだけでなく、

自由と引き換えにセキュリティ的に弱い部分のある Android 機が
root 化することで(更なる自由とともに)セキュリティ的弱点も増す


ということは、気に留めておく必要がある。何でもかんでもやりたい放題になったということは、一回侵入されたら、やられる範囲も広がるということだ。

ただ今回の場合、Galaxy Tab をテザリング可能にする時には root 権限が必要だが、改造後は root 検眼が要らないので unroot 化しても問題ないので、セキュリティ他を気にする場合には root 化するツール(SuperOneClick)で root 化を外して通常状態に戻せる(unroot 化)。



Galaxy Tab の root 化は極めて簡単な話ではあるが、第2段階のシステムライブラリ(framework-res.apk)の改造と差し替えについては、若干ハードルは高い。改造という点からすると大して難易度は高くなく、以下のページの手順に沿ってやればいいのだが、先の root 化のような自動というわけではない。

GALAXY S インフラストラクチャテザリング|kendyのブログ

上記のページは Galaxy S の場合であるが、手順は Galaxy Tab の場合でも全く一緒。この手順通りにやれば、動くはず。だが、ネットでも改造に失敗した人はたまに見かけるので、何度も書くが、リスクと天秤にかけてやれる人のみ、である。

少なくとも、

上記のページの説明を読んで、判らない、難しい…
と感じた人は止めておくべき作業


だろう。素直にモバイルルーターを買った方が良いと思う。

ちなみに上記ページでは、framework-res.apk の書き換え部分が画面キャプチャになっているが、書き換える内容(俗に“謎の文字列”と呼ばれる :-)は、以下のページにテキストで掲載されているので、コピペするのも良いだろう。もちろん、コピペしてからの確認は忘れずに。

[電話] SC-01CファームSC01COMJL3覚書 : 8796.jp管理日誌

これらの手順は慣れていれば、30分もかからない。サクッとできる話であるが、ミスれば Galaxy Tab が起動しなくなるわけで、さすがに

システムライブラリを入れ替えてからの再起動は、ちょい緊張した(^^;)


のは事実。使えなくなったら何のために b-mobile Fair を購入したのか判らなくなるしね…

ちなみに、先の framework-res.apk の書き換えを説明しているページでは有料アプリの Root Explorer を利用しているが、有料アプリをわざわざ買わなくても対応できる方法もあります(必要な人はググッてみれば出てきます)。

ただ、私は面倒なので 340円払って Root Explorer を購入して、それで作業しました。モバイルルーターを買うことを思えば安いもんだ…とか思いつつ(^^;)

bmobile_Fair9
(bCharge のウィジットを置いて、使用可能残量は常に確認)


というわけで、Galaxy Tab を root 化 → システムライブラリ(framework-res.apk)の改造と差し替え、を行い、その後 Mobile AP Shortcut アプリを導入して、Galaxy Tab をテザリング可能に、モバイルルーターとして使用可能にしました。

Mobile AP Shortcut - Android マーケット

このアプリの導入は通常のアプリと同じ手順で、先のシステムライブラリ(framework-res.apk)の差し替えが終わっていれば、2月のファームウェア・アップデート前と同じく、これを導入するだけでテザリングが可能となります。

bmobile_Fair10
(Mobile AP を ON にする際の注意ダイアログ)


まずは「Mobile AP 設定」で、ESSID と WPA2-PSK のキーを設定しておきます。WPA2-PSK 以外にオープン設定も可能ですが(“開く”と訳されてるのは有りがち…)、敢えてみんな繋いで状態にする必要がなければ WPA2-PSK で使うべきなのは言うまでもありません。

アプリ上の「Mobile AP」とある行のチェックを ON にすれば上記のアラートが出てきて OK でテザリング開始となり、Galaxy Tab がモバイル 3G ルーター化します。

なお、Mobile AP アプリではテザリング開始とともに、画面下部に ESSID と WPA-PSK2 のキーが出てきます。なんつーか、非常にオープンなアプリですね…(^^;)

bmobile_Fair11


「Mobile AP」でテザリングを使う場合に気づいた点として、2つ。

まずは、「Mobile AP」でテザリングを有効化する際に Wi-Fi が ON になっていると、Mobile AP アプリが「Wi-Fi をオフにしますか?」と聞いてきて処理してくれるのですが、Galaxy Tab のうちの環境では百発百中でアプリがフリーズして落ちます。

ゆえに、「Mobile AP」でテザリングをオンにする前に Wi-Fi は切っておいた方が良いようです。

もう1つは、当たり前のことですが、先日の記事で紹介した、無駄なパケットを飛ばさないための超便利アプリ

自動機内モード

とは相性が悪いです。このアプリはスクリーンがオフになったら 3G 通信を切ってくれる(機内モードにしてくれる)アプリですから、テザリングで使っている際にスクリーンがオフになったらパケットが飛ばなくなってしまいます。

ということで、Mobile AP を使う前には、自動機内モードアプリを停止させておきましょう。

ちょっとした手間はかかりますが、

b-mobile Fair を契約して使うくらいなので
Galaxy Tab の持ち出しもテザリングも、たまにしか使わない


のが前提ですから、これくらいのことは良しとしています。



というわけで、モバイル 3G ちょい使いの人のための b-mobile Fair 契約に続いて、

たまにドコモエリアでモバイルルーターを使いたい


という超限定的な用途のための Galaxy Tab テザリング可能化でした。

先にも書きましたが、私自身は通常モバイル通信は WiMAX を使っています。ハッキリ言って、3G 通信の上り数百Kbps とかダルいので、もはや WiMAX は手放せません。

出先で作業していて、「さて、区切りがついたし Dropbox に作業ファイルを放りこんで出よう…」と思っても、3G 通信だと、ファイルのアップロードに待たされることもしばしばでしたが、WiMAX だとその時間はかなり短縮されます。なんというか、HDD が SSD になった感覚。

なので、普段使いのメインモバイル回線はあくまで WiMAX なわけですが、やはり難点はエリア。ビル内もそうですし、地方は e-mobile すら羨ましくなるくらいの限定的サポートです。

先週仕事の区切りがほぼついたので、色々迷った挙句に急遽明日から旅行へ出るのですが(こんな時に旅行へ出かけるのも気が引ける…でもまた1年後になるのは…)、その行き先エリアは

WiMAX 何それ?美味しいの?な日本の最僻地の一つなので
心強いのはドコモ


なわけでして、そういったところへ行く際の、たまの僻地モバイル通信には、やっぱりドコモ回線が欲しいと思っていたので、b-mobile Fair はちょうど良かったわけです。それもあっての Galaxy Tab テザリング可能化でした。

そんなわけで、

日常的には WiMAX
たまの僻地には b-mobile Fair


でデーター通信できるのは、なかなか良い体制と自己満足しています。

本日スタートの新データー通信プラン「b-mobile Fair」を試してみた
【b-mobile Fair 追記】 bCharge アプリ更新で b-mobile Fair 対応に

【docomo純正商品】GALAXY Tab SC-01CUSB接続ケーブルSC01
【docomo純正商品】GALAXY Tab SC-01CUSB接続ケーブルSC01

気がついたら5種類くらいケーブルがある私が一つ言えることは
純正が一番使い勝手が良いです(Tab 側のコネクタの刺しやすさが違う)