昨秋話題沸騰の中、欲しいけど買わない/買えない…と言っていた新型 MacBook Air ですが、正月早々不本意ながら購入しました。いや、ホントに不本意です。旧13インチに買い替えを決断させるほど大きな不満があった訳でもないし、何よりも金欠時期にこの出費は痛かった…

新型 Air を購入した理由は以前の記事で触れたように、旧型 13インチ MacBook Air が12月30に突然死亡したため。数時間前まで動いていたのに、電源入れたらピーピーというアラート音のみ。メモリ死亡のアラートパターン。

この手の故障はロジックボード交換=5万円前後コース。金欠なのに修理代が痛すぎる!と思うと同時に

修理代に5万出すなら、ちょうどいい機会だし
新型 Air の一番安いヤツ(8万円台)を買った方が良くね?


という悪魔のささやきが(笑)。ここで言う「良くね?」は「面白くないか?」という意味なのですが…(^^;)

金欠ということもあって、一時期のように MacBook Pro と VAIO P を状況に応じて使い分けて凌ごうと思ったのですが、数日試してみて無理と判りました。以前は 15" Pro を普通に持ち運びしていたのですが、今や「MacBook Pro は無駄に重たいだけだわ…」としか思えなかったり。歳を食いました(^^;)

加えて「もはやモバイル PC で HDD はないわ〜」というのもあります。手持ちの MacBook Pro は4年前のものですが、性能的には Core2Duo 2.4GHz ですから性能的には十分現役(新旧 Air より速い)。画面解像度も 1440x900 pixels ですので不満はないのですが、なんか「もう Pro を持って歩く時代じゃないよね」な感じでした。

ともあれ、年も改まってすぐに新型 MacBook Air の最廉価モデルを購入しました。Amazon で¥84,760(購入した2011/1/4および2011/1/20現在)。



ぶっちゃけ、仕事に使うものですから買うなら絶対 13インチモデルでメモリ 4GB の BTOと思っていたし、今でも思っていますが、買ったのは 11インチの店頭最廉価モデル。

なぜ最廉価モデルを買ったか?というのは、

「急な出費で金欠だった」
「修理代+αの感覚で買えるのは最廉価モデルのみ」

ということもありましたが、とにかく

8万円台の最廉価モデルで、どこまで使えるか?
という興味に勝てなかった(^_^;)


というのがあります。モバイル大好きな人なら判ると思いますが、「こんな小さな PC で…」とか「低スペックだけど、こんな安い PC で…」とか。試したくなるんですよね。

ただ、最廉価モデルを買うのにあたって最後まで逡巡した要因といえば、

最廉価モデルでは SSD 容量が 64GB しかない


ということ。CPU 速度より何より SSD 容量による割り切りが必要です。

MacBook Air に限らず、SSD をメインドライブで使う場合、空き容量ギリギリで運用すると極端に動作速度が落ちる場合があるので空き容量に注意は必要ですし、Air も初期状態で空き容量が 10GB 近く食っていますから、メインマシン的に利用すると思うと、割とあっという間に減っていきます。

過去に 128GB SSD を使ってきた経験からしても、iTunes に音楽ぶち込みまくって iPhoto をデスクトップ機と同様な状態にしていると 128GB ですらメインマシン的に使うのは難しい or ギリギリというのを実感していたので、いわんや 64GB では…なところ。



このあたりは使いようでもありますが、個人的には64GB SSD で割り切るからこそ、メモリは 2GB で問題ないと考えて購入しました(このあたりは別途、新 MacBook Air 11インチの全体的な雑感記事で触れる予定です)。

いずれにせよ、

ぶっちゃけ、中途半端にスペックアップするより
一番安いモデルがお買い得だろ


な感じであり、使ってみたかったので、最廉価モデルを買ってみました :-D

「64GB だと、どういう割り切りが必要か?」とか
「11インチと 13インチではどちらが良いか?」とか
「MacBook Air をファーストモデルとして使えるか?」

といった点については、記事を改めて書く予定ですが、今回はまず

旧13インチ MacBook Air ユーザーが
新 Air 11インチモデルを使ってみた率直な感想


新モデルに慣れきる前に書き記しておきたいと思います。

NewMacBookAir11Compare1
上から、11インチ新MacBook Air、13インチ旧MacBook Air、15インチMacBook Pro




旧 MacBook Air から新 MacBook Air 11インチ最廉価モデルへの移行にあたっては、以下のような小さくない CPU周り のスペックダウンがありました。

CPU: Core2Duo 2.13GHz → Core2Duo 1.4GHz
2nd Cache: 6MB → 3MB
FSB: 1033MHz → 800MHz

SSD 容量とともに、この(結構な)スペックダウンが気がかりだったのですが、購入直後から半月間、気づいた点を箇条書きにしてきたメモを再構成して

・旧13インチ MacBook Air と比べた「サイズ・重量・デザインの差」
・旧13インチ MacBook Air と比べた「実用上・体感上の処理速度差」
・旧13インチ MacBook Air と比べた「使い勝手の差」

という内容で分けて、以下に列挙します。

◯ サイズ・重量・外観など

  • ぶっちゃけ、11インチと 13インチの重量差は「あると言えばある、大差ないと言えばない」。状況によってそれなりに差があると感じたり、大差なく思ったり、である。

  • 旧 Air(13インチ 1.36kg)と新 Air (11インチ 1.06kg)を両手に持って比べれば、当然 11インチ新Air の方が軽いし、その差は十分感じられる。

  • 新 Air(11インチ)だけ持つと、サイズの割には重量感があるので、特に軽くは感じない。少なくとも VAIO P や VAIO X のような、持った瞬間に「軽い!」という感じはない。

  • 鞄に MacBook Air を入れて手に持ったり、肩にかけると、13インチ旧 Air と11インチ新 Air の差は感じる。ただ、大きな差か?と言われると微妙。その時の体調で小さな差とも大きな差とも感じるし、他の荷物量にも左右される。そんなレベル。

  • もちろん、スーツケースに入れて引くときに判るような重量差はない。

  • しばらく 11インチ新 Air を持ち続けて慣れると、13インチは以前より少し重さを感じる。が、多分これくらいはすぐ慣れるレベルにも思う。

  • サイズ(底面積)の差は確実にあるが、A4 書類が入るような鞄に入れる時には、11インチだからサイズ的に有利と感じる点は皆無

  • 旧 Air(13インチ)、11インチ新 Air ともに薄いので、サイズの問題より薄さが際立っているので、両者ともバックへの収まりは良い(個人的にノートPCの収まりは、サイズより薄さ重要!と経験上思っている)。

  • はっきり言って13インチだと入らないが、11インチだと入る。そんなシーンは意外と少ないように思う(特に男性のビジネスユースの場合)。

  • デザインは、旧 MacBook Air の圧勝。使い勝手は新 Air の圧勝だけど、側面を含む全体のエレガントさには大きな差がある。

  • 手に持った際に、旧 Air は背面側面の曲面処理が手に優しくて、見た目だけじゃなく差を感じる。旧 Air に比べれば、デザイン的にも新 Air は随分普通のノートPC だと感じる。

  • 特に新 Air ではキーボード奥の背面部分が黒いのはダサいと思う。ここだけでも旧来通りにして欲しかった。新 Air で一番安物感を感じさせる部分。

  • とはいえ、新 Air も8万円台のノート PC と思えない質感・剛性感があるし、デザインも秀でていると思える。ノートPC では、出先で使っていて恥ずかしくないデザインは重要。

  • サイズの違いからか、剛性感は旧 Air(13インチ)より新 Air(11インチ)の方があるように感じる。特に液晶側に剛性間の差を感じる。



◯ 動作速度

  • 判っていたことだが、本当に CPU スペックに比して、やけに早い。CPU 速度が 1.5倍速く、2次キャッシュや FSB も速い旧 Air と比べても通常作業は遜色ないか、キビキビとしている場面もあるくらい。

  • 通常利用では旧 Air と体感速度に変わりない。旧 Air と比べて小気味よいと感じる場面と、もたつく場面の両方がある。が、正直1週間も使っていれば、一部を除き(後述)慣れるレベル。

  • 圧縮解凍時には CPU の遅さを感じる(当然といえば当然)。

  • ネットブックや通常の CULV CPU搭載機で感じるソフトウェア・インストール時の遅さは感じない。圧縮解凍は遅くとも、SSDが速いためか。

  • 一番 CPU の遅さを実感するのが、日本語入力で高速打鍵していると、状況によって変換が追従してこない時があること。連続して日本語変換している時に CPU 負荷が 30% 前後になることがあるが、利用アプリや状況によって 50% を超えることもあるので、このあたりは CULV な低スペック CPU を実感する。

  • 日本語変換でもたつくシーンは状況によるが、重いアプリケーションで文章入力、エディタでも長文テキストの途中に日本語文を挿入するというような状況では、レスポンスが悪くて少々イライラすることもある。

  • 英文だけのタイピング(コーディングなど)では、全くもたつきなどは感じず快適。

  • UNIX 由来のソフトウェアの make などの処理も、旧 Air と比べて大きな差はない(PHP や PostgreSQL などの大物も含めて)。

  • Xcode + iPhone SDK や Titanium を使うにあたっても、旧 Air と比べて重たくなったと感じる場面は今のところない。

  • 動画再生は GPU 支援があるせいか、Full HD 再生でも CPU 負荷は 30% 前後なので無問題。日本語変換時の重さと大差ないし、実際それよりも快適。

  • Wi-Fi 利用時の電波の掴みは多少良くなってるように感じる。旧 Air が良くなかっただけとも言えるが…

  • 旧 Air と比べると、起動の速さは驚く。ポーンと起動音が鳴って少し目を離した隙にログイン画面という速さは、再起動を躊躇わずできる。

  • ログイン後の各種ユーザー設定が終わって、CPU負荷やディスクアクセスが落ち着くまでの速さも旧 Air に比べて、すこぶる速い。SSD の速度が存分に生かされてる場面と感じる。

  • 事実上ハイバネーション状態であるスリープからの復帰も一瞬で、スリープ状態でのバッテリー減少も旧 Air とは比較にならないくらい差がある(新 Air では半日スリープで使わなくてもバッテリーの減りを気にしなくていい)。



◯ 使い勝手

  • 画面解像度が 13インチ 1280x800 pixels から 11インチ 1366x768 pixels と更にワイド画面化になったが、使用感には大差ない。横幅が広がっても縦が狭くなったので個人的なメリットはないが、慣れで吸収できる範囲。

  • 同程度解像度で 13インチ→ 11インチということで、全体的に表示が縮小されたが、この程度では不都合は感じない。歳を食ったが、まだこれくらいは十分大丈夫(笑)。VAIO P や Libretto のような表示が細かすぎて困ることはなし。

  • 正直なところ、キーボードは旧 Air の方が打鍵感もサイズ的にも良好だが、慣れられるレベルかな…と思っている。サイズとの妥協がなし得る範囲。

  • 最上段の ESC キーおよびファンクションキーの細さより、最下段が微妙に狭いのが一番気になる。パッと見は何も感じないのだが、テンポよくタイピングしていると、そこでミスタイプが発生することが多い気がする。

  • 同じく最下段右のカーソルキー周りが微妙に狭苦しく、13インチの旧 Air に慣れていると使い辛く感じることも(↑キーを押し間違えること多し)。慣れと言えば慣れなのだろうけれど…

  • 11インチの新 Air の使い勝手で、一番使いづらいと感じているのはタッチパッドの小ささ。正直少し小さすぎて、Mac ならではのジェスチャー操作をはじめ、やや使いづらい。最初からこのサイズなら慣れるかもしれないが、13インチ以上の十分なサイズ感を知っているため、少々厳しく感じる。特に縦サイズの狭さが気になる。

  • おなじくパームレスト部分も(特に縦が)狭いので、13インチの旧 Air に比べると使いづらい。新旧の差というよりも、13インチと11インチの余裕の差が使い勝手の差に感じる。タイピング状態で、手をきちんとパームレストに置ける広さがある 13インチの方が心地良いし、疲れない

  • ちょっとタッチパッドの感度が悪いように感じる。個体差なのか、チューニングがイマイチなのか、パッドの狭さに由来して使い方が悪いのか、理由は判らないが、タップの反応がやや鈍かったり、それを補おうとして強く操作して誤操作したりがある。慣れの問題かもしれないが。

  • 13インチと比べて11インチは筐体が小さい分、剛性感があるのか、タイピング時などでディスプレイの揺れが少なくて、その分は快適である。旧Air は意外とディスプレイ部分が揺れやすかった。

  • 側面両側に USB 端子があるのは、やっぱり使い勝手が良い。

  • 側面に USB 端子が剥き出しになっているのは、デザイン的には良くないが(ありきたりのノートパソコンだ)、使いやすいのは間違いない。というか、旧 Air の USB 端子が異常に使いにくかっただけだが…

  • 11インチ Air にも SD カードスロットは欲しかった。

  • Mag Safe コネクタも側面にあるので刺しやすくなった。反面、ちょっとしたことで取れやすくもなった気がする(そのことは善し悪し両面ある)。

  • スピーカーは旧 Air のモノラルからステレオになって、そこそこレベルの音にはなった(音に期待するほどではないけれど)



ざっと、以上がこの半月、正月に MacBoook Air を買って使い始めてから気づいた点をメモしてきた内容です。あくまで私自身の感想なので人それぞれ感じ方は違うと思いますが、13インチ旧 Air から 11インチ新 Air に移行した一個人の比較雑感として受け止めてもらえれば、と思います。

NewMacBookAir11Compare2
上から、11インチ新MacBook Air、13インチ旧MacBook Air、15インチMacBook Pro


端的に言えば、

高速タイピング時の日本語変換を除けば
通常使用では CPU が高速だった旧 Air に劣る部分はない


ですが、サイズ的に13インチの方が余裕ある分だけ旧 MacBook Air の時の方が使い勝手が良かった、と感じる部分はあります。

ただ、それはデザインの差を除けば

不満がある部分は新旧 Air の差異ではなく
13インチと 11インチの差異に起因することが殆ど


でした。もちろん、11インチにもメリットはありますし、11インチだからダメということはないのですが、

旧 Air を使ってきた身としては
やっぱり新型も 13インチの方が使い勝手が良いだろうな


と思わせるに十分なところはあります。

11インチと 13インチは単に画面サイズの差だけでなく、画面解像度も違うし、CPU 速度も違うし、FSB も違うし…と差がありますからね。個人的には、それら以上にタッチパッドの大きさやパームレストの余裕に使い勝手の差を感じました。

ということで、旧 MacBook Air ユーザーの私が、急遽新 MacBook Air 11インチ最廉価モデルを買って使ってみての比較雑感を記してみました。もう少し使ってから、64GB SSD の最廉価モデルについて(旧 Air との比較とは別に)感想を書いてみたいと思っています。

Apple MacBook Air 1.86GHz Core 2 Duo/13.3/2G/128G/802.11n/BT/Mini DisplayPort MC503J/A
11万円台前半で買える MacBook Air 13インチは、ホントお買い得

(11インチと性能差が結構あるのに、SSD 同容量で価格差が1万円しかない)