【2010/12/14 追記】不満点列挙に抜け落ちていた内容があったため、再度追記しました。

この1ヶ月、かなりの数の GXR 関連記事を書いてきたし、その内容からしても不満不平を多々言いつつも、それなりに気に入ってるのは判ると思う。特に評価できるのは、やはり

  • APS-C サイズ素子採用の A12 ユニット2つの画質の良さ(サイズを考えると特に)

  • 単焦点ユニットは APS-C サイズの素子を採用するが、ズームユニットではコンパクトデジカメ用素子を採用して、ズームユニットでもシステムサイズがコンパクトなまま、というコンセプト

  • ボディ質感、グリップ感の良さ


の3点。

A12 ユニットの画質の良さは、単にこのサイズで APS-C サイズの撮影素子を採用したというだけでなく、レンズも含めて画質が高いことだ。マイクロフォーサーズ機や NEX では経験できなかった画質の良さが、ここにある(勿論、マイクロフォーサーズにも 7-14F4 や 20F1.7 というレンズはあるけどね)。

撮影素子も含めたユニット交換式というコンセプトは諸手を挙げて賞賛はできないが、実際に使ってみれば(現状は)ギリギリ理にかなっている。ズームユニットでは画質を犠牲にしてでもコンパクトデジカメ用素子を使ってコンパクトなサイズに抑えるメリットは強く感じている。

GXR と同カテゴリーに位置づけられるであろう、コンパクト以上、一眼未満に属する多くのミラーレス機が、単焦点レンズの時にはポケッタブルサイズにも関わらず、標準ズームを付けた瞬間、ミニ一眼となって随分大きくなってしまうことを考えれば、優劣は別に、こういうコンセプトは評価できるし、気に入っている。

ボディの質感、グリップの良さについては過去の記事でも絶賛したが、GXR の大きな特長であり、P10 / S10 ユニットでコンパクトデジカメもどきとして使う場合に最大のメリットと思っている。また、サイズの大きさ、重さは弱点でもあるが、時には利点でもある。私のように、一般的なコンパクトデジカメでは物足りない、と思って買うなら悪くない。

これら以外、例えば良く言われる「リコーのカメラは設定が柔軟で…」とか「操作性が良くて…」という点は賛同しかねることも多い。その点においてリコーが劣ってるとは露にも思わないが、3年前ならいざ知らず、今は他社も追いついてきて、そのあたりの優位性はもう過去のものと思う。

GXR_BlogSample20101207A
(GXR + A12 28mm F2.5)


というわけで、この先はここ1ヶ月使ってきた不平不満、欠点を列挙してみる。GXR に対する批判を見たくない人、リコーに対する批判を見たくない人、個人的な感じ方であるということが判らない人は、ここで別のページに飛んでもらいたい。

勿論、人によっては「そんな不満は GXR 買う時点でおかしいんじゃないの?」とか「GXR はそんなカメラじゃないから」とか、そう言いたくなる点もあると思う。

しかし、それも判った上で、やはり「求めるべきものは求める」「おかしいものはおかしい」と考えることは多いし、まず無駄に対象を狭く定義している、しようとしていることに疑義を唱えたいとも思う。それがコンセプトなら、コンセプト自体がおかしい、と。自分で可能性を狭めて、どうするのだ?とも。

ということで、私なりに1ヶ月半使ってきた上での不満点、足りないと思われる点を列挙していく。


  • ゆっくりした動きの被写体すら追えない静止体専用 AF

     廉価な一般コンパクトデジカメの CX シリーズには、曲りなりともコンティニュアス AF が搭載されていて、CX4 では一応でも被写体追尾も入っているのだから、GXR に搭載できないはずはない(被写体追尾は無理でも、最低限コンティニュアス AF は)。
     リコーに迅速な動体追従を求めたりしないし、高度・高精度の被写体追尾を求めはしない。そんな技術力がないのは現在過去の製品を見ていれば判る。しかし、搭載されているのとされていないのでは大きな違いがある。下位モデルに搭載されているにも関わらず、GXR に搭載されない理由が判らない。
     GXR で飛行機やスポーツ撮りをするわけではないが、よちよち歩きの年老いたカマキリすら AF で追えないのは悲しい。被写界深度で工夫するだけでは制約は多すぎる。

  • 絞り値によるシャッター速度の制限

     公称スペックには出てこない、撮影状況によっては厳しいこの制限。フォーカルプレーンシャッターではなくレンズシャッターを採用しているため、というやむを得ない理由はあるとしても、欠点は欠点。開放付近では 1/1000秒まで落ち込むのは、廉価コンパクトデジカメと大差ない。日中屋外で開放付近を使いたいとなれば ND フィルター必須になってしまう制約。
     コンパクトデジカメでも上位クラスなら 1/2000秒であったり、ND フィルター内蔵である(P10 ユニットに内蔵されているような自由度のない NDフィルターではなく)。機構の違いがあるとはいえ、比較されるであろうマイクロフォーサーズや NEX と比べても、残念なところの一つ。
     ちなみに A12 系ユニットでの最速シャッター速度は F7.1 以上で 1/3200s(スペック通り)、F5〜6.3 で 1/2500s、F4/4.5 で1/2000s、F3.2/3.5 で 1/1620s、F2.8 で 1/1230s、F2.5 で 1/1000s のようだ(個人的な実測値)。

  • P10 の Sモード では ISO Auto 限定かつ ISO 3200 まで問答無用で上がる

     過去に何度か書いている GXR における最低最悪仕様の一つ。P10 ユニットはコンパクトデジカメ用素子搭載のユニットであるから、以前の高感度画質検証記事でも書いたように ISO 3200 の写真なんて使いものにならない(どれだけ我慢しても 1600 だ)。
     購入当初のファームウェアでは ISO 200 までしか上がらず、それはそれで使い物にならなかったが、ファームウェア・アップデートしたら今度は ISO 3200。極端もいいところである。それこそ「どういう判断だ?」である。思わず、馬鹿しかいないの?と思ってしまうくらいに。
     P10 ユニットは絞りが2段階であり、併用する ND フィルターも限定的にしか使用できない仕様ゆえ、シャッター速度優先AE で絞り側をコントロールするわけにはいかず、ISO 感度でコントロールせざるをえないのは(それすらも疑問な製品仕様であるが)百歩譲るとしても、ISO 感度上限をユーザーに指定させることくらいできるはずだ。
     最初に GXR + P10 キットを買って、この糞仕様を知った時には GXR を買ったことを少々後悔したくらいだ。この仕様一つだけで後悔したのではなく、こういう馬鹿な仕様を許すことには耐えられないからである。
     元々リコーのデジカメはシャッター速度優先AE を軽視しているのか、上手く制御できないのか、その方向が弱いのは判っているし、だからこそ買っても合わずに手放してきた歴史があるわけだが、まさかこういう落とし穴が現代にもあったとは…だった。

  • 絞りプレビューがない

     作画を重視していることをウリにしているカメラであるのに、驚きの絞りプレビューなし。一眼レフではあるのが当たり前なのは勿論、マイクロフォーサーズでも普通に付いているのに…
     頻繁に使う機能ではないし、慣れていれば体感で、そうでなくても一発撮って確認はできるけれど、マクロなどの時には撮る前に手軽に確認できる魅力は大きいし、GXR のコンセプトを考えれば、何故無いのか?入れなかったのか?不思議である。
     【12/14 追記】GXR の場合、「液晶画面で見たものと撮れるものが違う」のは露出だけでなく、そのこと自体は色々な考え方があるので良し悪しではないけれど、露出以外も含めた“撮影プレビュー”機能はあって損はないし、むしろ GXR のコンセプトに沿うように思える。【追記終わり】

  • カラーブラケットの対象は白黒系のみ+ RAW 撮影時不可制限

     “カラー”ブラケットという名称なのに、ブラケットできるのは「カラー」と「白黒」(と「白黒(TE)」)の組み合わせのみとは是如何に。などと皮肉を言うほどのことではないだろうが、最初に使う時にこの制限を知って拍子抜けしたのは事実。
     「スタンダード」「ビビッド」「ナチュラル」のブラケットとか、「スタンダード」と「オリジナル設定1」のブラケットとか、そういうのができて初めて“カラーブラケット”と呼べるものだ、と思わざるを得ない。できないのか、敢えて白黒相手にしかさせないのか、それは判らないが、リコーらしいと思うと同時に、イマイチだと思う。
     また、連写時に使用不可は判るが、RAW 撮影時にはカラーブラケットができないのも少々残念。メモリ退避しながらの、ゆっくり処理でもいいから制約をなるべく少なくする方向でやって欲しいところだ。

  • 画像設定で白黒・白黒(TE) では調整可能なのに、カラー系の設定では調整できない

     画質設定で白黒および白黒(TE) では、それぞれの項目でコントラストやシャープネスの調整が可能なのにも関わらず、スタンダード、ビビッド、ナチュラルなどのカラー系の設定では調整が不可である。そんな制約を付ける意味が判らない。
     もちろん、オリジナル設定1・2では彩度、コントラスト、シャープネスなどを調整して自分の設定を行うことは可能だが、2種類しかないのだし、例えば「スタンダードではシャープネスがきついから1段階落としたい」程度のことですら、オリジナル設定を選ばなければならないのは、白黒系の設定で調整が可能な以上、おかしいと言わざるをえない。
     白黒系の設定に力が入っているのはリコーらしいと思うし、実際リコーのカメラは白黒で撮りたくなる雰囲気を持っているものの、それは他をおざなりにしても良いということではないだろう。コンセプトとかそんな物ではなく、単なる片手落ちとしか言えない。

  • Fn ボタンで JPEG→RAW 切替を割り当てた場合、電源オフで前設定を忘れる

     GXR において、この手の問題はちょくちょくあるのだが、最近は細々とメモって文句を言う気もなくなってきたけれど、これはその一例として挙げておきたい。
     「通常は画質サイズで JPEG 撮影にしておき、Fn ボタンで RAW 撮影にする」というパターンが基本なのだが(ペンタックスのデジタル一眼が最初だと思うが、この切り替えは便利で EOS 7D でも愛用している)、Fn ボタンで RAW + JPEG にしておいて電源をオフにして、次に電源をオンにすると JPEG のみ撮影に戻っている。
     これが「全て Fn ボタンで設定したものは電源オフで元に戻る」のならば許せるのだが、
     
    電源オンオフで設定を覚えている場合と覚えてない場合がある

    から、ややこしいのである。例えば、AF→スナップだと電源再投入でもスナップのままである。
     この手の統一感のなさは GXR 全体について言える。こういうのは決して使い勝手が良いカメラとは言えない。

  • Fn ボタンにカラー→白黒TEを割り当てて、電源オフ・オンすると白黒 TE モードに固定されている

     前の項目の続きである。「通常はカラー撮影にしておき、Fn ボタンで白黒(TE) モードに切り替える」というパターンが基本なのだが(これも便利だ)、ここで白黒(TE) モードに切り替えたまま電源 OFF して、次に電源を入れると画像設定自体が白黒(TE) モードになっていて、Fn ボタンでカラーに戻せないという有様。
     
    いったい全体、お前は電源オンオフでどういう挙動になっとんねん!

    という感じだ。ちなみに、AF→スナップだと、電源再投入でスナップになっているが、Fn ボタン再押しで AF に戻る。これは一番納得できる挙動だ。
     どっからどう見てもバグだと思うんだが、これだけ直されてないところを見ると仕様なのか?とも思う。私が購入後数日で気づいた程度の挙動であり、発売から1年も経って誰も気づいてない、指摘されてなんてことはあるまいし…

  • ADJ. モードで AF/AE ターゲット有効にすると、他の ADJ. メニューが使用不可

     前回バージョンアップでの変更だが、バージョンアップ・マニュアルに記載されていないので、バグなのか仕様なのか迷うところである。もっとも、こんな誰でもすぐ判るバグがリリース前に判らないとは思えないので(判らなかったら大問題だ)、仕様として考えるが、微妙である。
     意図するところは判るし、慣れれば決して使いにくいものではないが、微妙に思うところは3点。
     まずは、AF/AE ターゲット機能を OFF にしない限り、他の ADJ. メニューが使用不可というのは、何のための ADJ. メニューなの?と思えてしまうこと。
     次に、頻繁に使うであろう、元々頻繁に使うために用意されている UI を簡単に大きく変更し、変更後の仕様に固定化してしまうこと。および、その姿勢。せめて ADJ. ISO ダイレクト変更機能のように、オンオフを設けるべきだろう。
     最後に変更点を明記していないこと。個人的にはこういうところも含めて、GXR は多機能・カスタマイズの柔軟性を追い求めるのは良いけれど、判りやすさとの両立からは遠ざかるばかりになっていると思う。

  • RAW 画像の使いでが良くない

     これはあくまで個人的な印象に過ぎないが、他社と比べて RAW ファイルの RAW たる良さに乏しいように感じる。GXR の撮って出し JPEG のチューニングは概ね満足するものだが、ここ一発の時は RAW から…と思うのだが、どうも他社と比べるとレタッチの労多くして得るものが少ない。
     これは単純に現像ソフト ACR (Adobe Camera RAW) 側の問題かもしれないが、それにしてもニコンやキヤノン、パナソニックの RAW ファイルと比べると、RAW をレタッチしている際の素材性というか、許容さに欠ける印象がある。
     結果、私の中では GXR の RAW ファイルはあまり当てにできんなぁ…という結論になっていて、GXR において残念に感じることの一つだったりする。
     ただ、GXR の位置づけを考えれば RAW メインということもないし、撮って出し JPEG の満足度は高いので、大きな不満点にはなっていない。それが救い。
     【12/9 追記】DMで ACR の RAW 対応が各ユニットに最適化されていないからでは?という指摘をDMでいただきました。確かに私が利用している Photoshop は CS4 のため、ACR は Ver.5.6 であり、GXR には公式対応しているものの、ユニット毎対応は一覧に入っていません(最新版 ACR では 28mm まで公式対応)。
     そのあたりについては、いずれ検証してみたいと思いますが、それだけのためにバージョンアップを今すぐ行う気は起きないので(来年のある時点で更新すると思いますが Adobe税以外にプラグインのバージョンアップ料金も必要なので)、後日の問題とさせてもらいます。
     ぶっちゃけ、そういう問題があるからこそ、DNG には賛同できかねるのですけどね。最適化が必要なら DNG に大して意味はないように感じるわけです(違う意見は十分承知してますが)【追記終わり】

  • 撮影モードによっては独自ファイル

     独自 MP ファイルって何よ、と。色々と事情はあるのだろうけれど、MP ファイルの書き出し機能が再生モードに入ってるのだから、自動的に JPEG ファイル書き出す機能も付け加えてほしいね。
     リコーの訳わからん独自ファイルのためだけに、アプリケーションを追加インストールなんてしたくない。そんな独自ファイル形式が必要になるなら、むしろ

    RAW ファイルも DNG にせず独自 RAW で
    十二分に画質を引き出すソフトを用意すれば良かったのでは?

    とすら思うわけで。次元の違うことは承知だが、なんとなくチグハグさを感じるんだよね。
     ちなみに個人的には Adobe などが主張する DNG の意義については、全否定ではないものの肯定する理由は皆無で、独自 RAW 形式で問題なし、その方がむしろ好ましいと思っているくらいです。

  • A12 ユニットの近接は素晴らしい描写だが、遠景は普通

     サイズ感を考えると GXR の画質は A12 系の2ユニットはもちろん、P10 ユニットですら十分納得している。それは過去の記事を読んでもらえれば判ると思う。それゆえ画質について、特に A12 系のユニットについて文句をつけるつもりは全くない(28mm F2.5 は斜光線でフレアが出やすいとか気づく点はあるけど)。
     とはいえ、この記事では心のなかを包み隠さず書いているので、正直に言うと A12 系ユニットは近接〜中距離では目を見張る描写が多々あるのだけど、遠景描写に関しては平凡だと感じることが多い。
     無論、遠景がダメだというわけではなく APS-C としては普通レベルだと思うが、近接〜十数mあたりまでが素晴らしいので、それに比べて落差を感じるということである。遠景ではいささか繊細さが失われる嫌いがあると感じるので、そのあたりは設定を変えたりすべきなのかもしれない。

  • グリッドガイド表示時に撮影情報が表示されない

     最低限の撮影情報(F値、シャッター速度、ISO 感度など)は表示できても良いと思うし、表示されないと不便にも思うのだが、何故こういう仕様なのだろうか?疑問だ。使いづらい。
     似たような仕様は GXR だけではなく、過去に経験したので驚きはしないけれど、それこそ表示の ON/OFF が選べても問題はないだろう。デジタル水平器があるからグリッドガイド表示なんてオマケ程度なのか。それでも改善して欲しい。できれば、デジタル水準器+グリッドガイド+最低限の情報表示、なんてのがあるとベストだ。

  • P10 ユニットはレンズバリア方式にすべきだった

     テレコンやワイコン装着を前提にしていた S10 はともかく、フィルタ枠が切ってあるわけでもない P10 ユニットは完全に高倍率コンパクトデジカメとしてのユニットである。そんな、お手軽利用が前提のユニットなのにレンズキャップ方式なんて、商品設計として間違ってるとしか思えない。
     どこかのインタビューで小型化軽量化を優先したと書いてあったが、どちらを優先すべきかを間違っているように思う。リコーならではの別売り自動開閉式キャップ LC-2 を買わせる戦略だったとしか思えない。
     レンズキャップにしておけばユニット単体の方はコストダウンできるし、多くのユーザーが不便さに耐えかねて、〇〇丸儲け的な別売りの LC-2 を買う。一粒で二度美味しい。そうとしか考えられない。そうでなきゃ、最低でも P10 ユニット付属レンズキャップを LC-2 にするものだろう。
     自動開閉式キャップも GX の頃は苦肉の策だけどアイデアものだなぁ…と思っていたが、いい加減改良もせずに古いアイデアの使い回しをしているのは、どうかと思う。ハッキリ言えば、進歩がない。
     P10 に付けていると比較的緩いので、意図せず外れることもある。次もまた同じ姑息な手段を取らず、そろそろ正攻法でレンズバリアを付けてもらいたいと思う。

  • P10 ユニットのズーム位置が電源オフ時に記憶されない

     これまた、P10 ユニットにおける超不思議仕様の一つ。最近、電源オフ時にズーム位置を記憶させられるコンパクトデジカメも珍しくない。いや、できない方が少数派になりつつあるんじゃないかと思う。
     少なくとも GXR ではマイセッティングの項目でズーム位置を覚えさせることができるのだから、できない理由がないはず。それをしない不思議。やれるのに、しない。
     ついでに、P10 ユニットのズームに関して、もう一つ言っておくと、通常ズーム時にズームボタン上下を押しっぱなしにするとそのままズームが連続されるが、ステップズームではいちいちボタンを離して押さないと、次の段階へズームしてくれない。有り得ない。
     ステップズームの場合は、ズームボタン一発押しなら次の段階へ、長押し判定でどんどんステップしていってもらいたい。

  • ズームボタンに露出補正を割り当てるカスタマイズがあっても良いのでは?

     むかし GR Digital であったと記憶しているのだけど…何故ないのだろう?A12 系ユニットでの利用はもちろん、S10 / P10 でも方向キー上下と入れ替える形で、ズームを方向キー、露出補正をズームボタンにできても良いと思う。
     これだけたくさんのカスタマイズ項目があるにも関わらず、これだけ何故できないのだろうか?と逆に思ってしまう。ズームよりも露出補正の方が遥かによく使うと思うのに、基準がよく判らない。

  • 今時コンパクトデジカメのバッテリー充電器にメガネケーブルは止めて

     小さな充電器ならともかく、バッテリーサイズと比べれば、よくある並サイズの充電器。それに長々としたメガネケーブルを付けられてもねぇ。一番安いモノを調達してきた感が全開。2万円台のカメラなら仕方ないと思うけど、これはどういうコンセプト、クラスのカメラか、リコーが一番判っているはず。
     メガネケーブル自体は自分でコンセント直結や短いケーブルに置き換えられるとはいえ、コンパクトデジカメより一クラス上とか、そういった括りで売ってるなら、もう少し細かい部分まで考える必要がある。プラグ折り畳み式のコンセント直結方式な充電器くらい同梱すべきでは?
     同じことはパッケージングにも言えることで、これは GXR より GR Digital により必要なことだけれども、買ってきて箱を開いた時に「おぉ」と思わせるパッケージングがあるべきではないのかな。ほんのちょっとの工夫で、違う印象を与えられるはずだ。

  • ふざけたストラップホール

     ボディサイズやら剛性の問題やら、事情はあるのでしょう。それは判った上で言います。糞穴と。とにかく使えない。かといって、コンパクトデジカメ用のストラップは A12 50mm F2.5 MACRO を考えた場合に、重量的に不安すぎて使う気になれない。
     何とかできなかったものか?せめて、傷がつかないような専用の三角環を付けるとか。純正のショボいストラップを付けざるを得なくて、購入当初は GXR 購入の盛り上がった気分の何割かは、それで相殺された。一眼を初めて買って以降、メーカー名の入った付属ストラップを付けたままなんて初めて。格好悪い。
     ハンドストラップにしたいけれど、こう適当なものが使えなくて本当に困ります。この点だけは考えるとムカッときて窓から投げたくならないとも限らないので、最近は諦めて考えないようにしました。はぁ…

  • 広角〜標準域以外で撮りたい人には先の見えない将来

     年間たった2ユニットしか出さない/出せないのに、来年は他社マウントユニットに、APS-C 広角〜標準ズームユニットとか。えーと、中望遠は?望遠は?
     50mm、28mm と来たら、次は 85mm とか、そこらへんじゃないの?ね?違うの?
     APS-C サイズの撮影素子を搭載してもコンパクトなのが売り、ズームユニットはコンパクトデジカメ素子だけどコンパクトなまま、なのが GXR の良さなのに、APS-C ズームユニットなんて、マイクロフォーサーズや NEX と同じことやって意味あるの?
     中望遠以降のユニットは作れないの?広角専門なの?
     望遠系のユニットは広角〜標準ほどコンパクトにできないかもしれないが、それでも一眼レフと比べて小さなユニットとして出して画質が同等以上なら十分価値がある。それを分かって欲しい。
     28mm F2.5 と 50mm F2.5 MACRO の間くらいのサイズで 85mm F2.5 とか、50mm MACRO より少し大きくて良いから 135mm F3.5 とか作って欲しいね…(F値は多少妥協してもサイズ優先)

  • 【12/8 追記】マニュアル露出で感度 Auto が使えない

     Mモードで撮影する場合、ISO 感度 Auto / Auto-Hi が使用不可能であり、Auto / Auto-Hi 洗濯時には、P10 ユニットでは ISO 100、A12 ユニットでは ISO 200 に固定される。ま、今でもそういうデジカメは少なくない。コンパクトやミラーレス機では。
     しかし、今どき、絞りとシャッター速度を固定して感度自動で光量をコントロールするやり方は、当たり前と言っていい。というか、デジタル時代においては

     
    光量コントロールで、絞りとシャッター速度とISO感度が対等にある

    ということがあると思っている。
     絞りによる被写界深度と、シャッター速度による被写体の動き・ブレ加減を同時にコントロールしたい。そういう場面において感度はカメラ任せにする。それは絞り優先AE やシャッター速度優先AE と同じくらい自然なことだ。
     既にデジタル一眼レフでは、近年これが不可能な機種の方が少ない。絞りに制限のある P10 ユニットでは難しいとしても、そうでないユニットでは是非とも実現してもらいたい。

  • 【12/8 追記】A12 系ユニットのレンズキャップ・フード

     P10 のレンズバリアおよび自動開閉式レンズキャップ LC-2 の件を書きながら忘れていたのだが、A12 系のレンズキャップにもいささか不満がある。
     A12 50mm F2.5 MACRO では外つまみ式のレンズキャップだったのが 28mm F2.5 では扱いやすい内つまみ式になったのは評価しているが、A12 28mm F2.5 ユニットではユニット側の構造・形状上のせいか、レンズキャップが結構外れやすいように思う。
     また、28mm 用のフードは、いただけない。広角レンズにフードの効果はさほど求めてないが、斜光線でフレアが出やすいレンズと感じてる割には「別売りの」「専用フード」の割に全く効果がなく、逆挿しできないから嵩張るだけ。見た目もダサいし、添付されてるならともかく、別売りを買っただけ損だった。
     あと自分のせいであるが、50mm MACRO のフードが差し込み式だとは1週間気づかなかった。と思ったら、何ヶ月も気づかなかった人が何人もいたようだった。メーカーとしてユーザーにそのことを知らせる、何らかの改善の余地はあると思う。
     加えて言うなら、50mm MACRO でも内つまみ式キャップを使いたいので、レンズキャップはオプションとして売って欲しい。部品取り寄せをヨドバシカメラで頼もうとして、その時リコーの販促員の人が対応してメーカーに聞いてくれることになったのだが、かれこれ3週間音沙汰が無い X-)

  • 【12/14 追記】点光源に対する AF のダメさ加減

     神戸ルミナリエでスナップ撮る時まで忘れてましたが、函館で使った時に痛感していた「点光源に対する AF のピンぼけ具合」は何とかして欲しいものです。
     これに関しては、昔 GR Digital や R シリーズを使っていた時にもあったと記憶していますが、未だに全く変わってないというのは酷い話です。今時、廉価なコンパクトデジカメでも、ここまで酷い AF はないのでは?と思います。
     少なくともキヤノン、パナ、富士フィルム、ソニーといったあたりの、ここ数年のコンパクトデジカメでは体験したことのない、点光源に対する AF の合わなさです。たまに外すならともかく、合う方が圧倒的に少ない。
     特にイルミネーションに対しては A12 系ユニットとは言え、F6.3 や F7.1 まで絞ってもピンぼけの連発。なんで?と思うくらい。根本的にアルゴリズムに欠陥があるのでは?と思わせる外しようです。
     どんなコンセプトのカメラであろうと、イルミネーションや点光源照明に対して気軽に撮らせてくれるくらいのカメラであって欲しいね。これは本当に何とかして欲しい。

  • 【12/14 追記】AWB はもう少し頑張って欲しい&WB 手動指定は…

     AWB に関しては大きな不満というわけではないのだけれども、幾つかの条件、例えば曇天下の夕暮れで色温度が下がる時間帯には極度に色温度を上げる方向に補正されすぎたりと、時々「なんちゅう、色合いになってるんだ?」と思うことがある。
     その場合にマルチパターン AUTO でもオートでも変わらない。というか、この2つで顕著な差が出てることを経験したことがまだない。少なくとも、通常マルチパターン AUTO にしていて、おかしいと思った際に切り替えても良くなったことはない。
     「だったらホワイトバランスは自分で指定しろよ!」という意見はあるだろうし、ごもっとも。ならば、色温度を直接ケルビン指定させて、と言いたい。詳細設定で16段階指定では微調整もできないし、中途半端でしかない。
     このあたりは一眼レフやマイクロフォーサーズなどではできることでもあり、GXR のコンセプトからすれば、むしろ出来ないことのほうがおかしいと思う。
     加えて、手動設定(ホワイト取り込み)をする際に、被写体を画面全体ではなく、中央スポットにして欲しい。28mm とか広角レンズを付けてる時には使い辛い時がある。

  • 【12/14 追記】MF 撮影時画面拡大の表示の粗さ

     「お、これは良いな」と機能追加リストを見て、そして試して「使えねー」と思った人は、私だけではあるまい。一回やって「駄目だ、こりゃ」と思ったので、不満点として書くのをすっかり忘れていた。
     せっかく MF 時に MENU ボタン長押し一発で画面中央部が拡大されてピント合わせがしやすくなると思ったら…撮像画像を拡大ではなく、液晶画面に表示されてるものを拡大とは。有りえねー。
     この機能がダメだというよりは、こんな機能を(この状態で)付けることに GO サインを出したこと自体が疑問だ。

  • 【12/14 追記】スポット AF のエリア設定がメニューの奥すぎる
     この機能が追加されたのは非常に喜ばしいことだが、ADJ. メニューや Fn ボタン切り替えで設定可能にしてもよろしいのではないでしょうか?
     結構使いたいのですが、ちょっと指定が奥すぎて、なかなか切り替えられにくい。ご一考いただきたいところです。マイセッティングには最初から入っているのですから…

  • 【12/14 追記】フォーカスブラケットを A12 系ユニットにも

     P10 ユニットでは使えるフォーカスブラケット。むしろ被写界深度の薄い A12 系ユニットに欲しいところなのだが、無理なのだろうか?重いレンズをそんなに速く動かせない?いや、極端に速くない連写でも良いのだが…
     こういうことを言うと、しっかりピント調整して…とか、三脚を据えて云々の話が出てくるけれど、やれば便利なことが、もしできるならやって欲しいと思うね。できて損はないどころか、便利に思う人は少なくないと思うし、特長の一つにもなる。
     もちろん、技術的に無理なら仕方ない。


ひとまずは、こんなものでしょうか。個人的な嗜好をもっと押し出すとするなら

・バリアングル液晶は欲しいね
・Auto-Hi の上限は設定できるなら Auto の上限(200固定)も設定したい

と言ったところもあります(GPS 云々もあるけど、そういったことは別の話として)。

バリアングル液晶については使う人使わない人で分かれますが、個人的には過去の経験から一眼レフや一眼レフ形状のカメラより、コンパクトタイプのカメラの方がバリアングル液晶を欲しいと思うことが多く、実際 GXR を1ヶ月やそこら使った中でも 10回以上そう思うことがありました。

バリアングル液晶がチルトも可能な液晶ビューファインダー VF-2 で代用できるかといえば、全くそのようなことはなく、少なくとも(自分にとって)必要以上に嵩張らせてしまうビューファインダーは論外です。

それに、ポケットに忍ばせている超小型三脚代わりの modopocket を利用したりする時にはチルトする液晶ビューファインダーは役に立たず、やはりバリアングル液晶が欲しくなります。過去に使っているだけに、その良さを一度知ると欲しくなってしまいます。

以前なら「バリアングル液晶を付けるとボディの厚みや重量が…」という話になりましたが、そのあたりは NEX-5 が打ち破ってくれました。ソニーと同じことがリコーにできるとは到底思えませんが、来年にも出るという新ボディでは少し期待したいと思っています。

GXR_BlogSample20101207B
(GXR + P10)


さて、先程の不満点の列挙を見てみると、画質に関してはほとんど不満らしい不満はなく、機能面や操作性の面への不満に集中していることが判ります。

さらに機能面への不満は「これがあったら良いのになぁ…」ではなく、

「え?なんで、これがないの?」という不満


が、ほとんどだと思っています。

コンティニュアス AF などのように「いやいや、GXR はそういうカメラだから」という反論、言い訳もあるでしょうが、一番思うのは

GXR って、コンパクトデジカメより1クラス上ですよね?


ということ。

方向性が違うだの何だの言っても、

普通に用意されている機能くらい、あって然るべきじゃないの?


と思うわけだ。

なんつーか、わざわざ最初から制約を設ける必要性がどこにあるのだろう?と。ましてや、目指すべき方向性と合致するような機能で「なんでないの?」というものもある。

以前どこかの雑誌のインタビューで、GR Digital 3 のファームウェア・バージョンアップで追加されたクロスプロセスが GXR では追加されないことを問われたリコーの人が「コンセプトが違うから」というようなことを言っていたのが印象的だったが、

メーカー側が GXR を必要以上に狭く定義しすぎ


と感じる。一部ユーザーからは“ストイックさ”なんてことも聞くが、格好良く聞こえても単なる言葉のまやかしでしかない。

GXR 最大の欠点と思うのは、使っていて本来このボディやクラス感からできそうなことができない息苦しさを感じることだ。もっと伸び伸びと、制約なしに使いたい。本来、良いカメラとは、そういうカメラだろう。

間違っても、多機能が良いと言ってるわけではない。制約の少なさを求めたいだけだ。

アレはできない、コレはできない。それが無理なことならば仕方あるまい。例えば、F値における最大シャッター速度の問題。それは仕方ないと思う。

でも、CX シリーズなどではできていることをしない。〇〇モードではできることを××モードではさせない。モノクロ撮影に比重をおいてるから、カラーモードではやらない。設定Aを割り当てたら記憶するけど、設定Bでは何故か覚えてくれない。そういうことが多すぎる。

「できるはずのことをさせない」カメラ
「やれるはずのことをやらない」メーカー


私は GXR を使い始めて、GXR とリコーにはそういうイメージを持ってしまった。R シリーズや GR Digital を使っていた時とは、少々印象が変わってしまった。

そういった得も言われぬ制約を感じるからこそ、

せっかく良いカメラなのに惜しいよなぁ…


と思うことが多く、そして人に勧められないのである。

なんというか、

リコーに比べたら、キヤノンの出し惜しみなんて浅かったわ!(笑)


と本気で思ってる。キヤノンは割とデカいところで出し惜しみすることがあるが、リコーはちまちまと制約がある。それにゆえ、GXR は決して使い良いカメラとは言えないと本気で思ってる。

GXR_BlogSample20101207C
(GXR + P10)


先にも挙げたような

「〇〇モードではできることを××モードではできない」
「設定Aを割り当てたら記憶するけど、設定Bでは何故か覚えてくれない。」

こういった条件付き制約が多いカメラは機能面でどうのこうのというだけでなく、操作性にも影響する。

GXR はユニットによって、できることの差異があるのだから
それ以外の部分はできるだけ条件付き制約をなくすべき


にも関わらず、むしろ増やしている。それでは到底使いやすくならない。

例えば「MF のフォーカス操作が、単焦点とズームユニットで異なる」こと。

もちろん、A12 系単焦点ユニットにはフォーカスリングがあり、S10 / P10 ズームユニットにはない。その違いはある。しかし、ズームユニット用の「マクロボタン+アップダウンダイアル」でのズーム操作を A12 系ユニットで禁止する理由はあるだろうか?

フォーカスリングのある A12 系ユニットでは、殆どの人が殆どの場合フォーカスリングでフォーカス操作をするだろう。しかし、「マクロボタン+アップダウンダイアル」を残して何の害があるだろうか? GXR + P10 キットを買って長く使っていた人なら、その操作に慣れている場合もあるだろう。

A12 系のユニットで「マクロボタン+アップダウンダイアル」は使いにくかったとしても、できるだけ残して、操作としての共通を図るべき。それがユーザーインターフェースのあるべき姿だと私は思う。

私はリコーの考え方の偏り、機能や操作性を必要以上に複雑にしてしまっている点が、こういったところに表れていると思う。

機能も操作も条件付き制約は、できるだけ排除すべき


というユーザーインターフェース原則が GXR では忘れられているか、軽視されすぎている。

GXR には色々なボタンやレバーがあって、数多くのカスタマイズできる。それは高く評価できることだが、それが全てではない。

むしろ数多くのカスタマイズが可能だからこそ、ユニットごとの機能的差異があるからこそ、条件付き制約は最小限に抑えるべきだ。それが操作性の良さ、使い勝手の良さに繋がる。

まだ慣れきってない部分と思うから、先の不満点には書かなかったが、GXR のウリの一つである多機能な「マイセッティング」も、今のところ安心して使える存在になっていない。

同じような機能はメインマウントの EOS Digital にもあり、そちらはすぐに慣れて信頼して使えているが、GXR に関しては「え?これは覚えてくれてなかったっけ?」というような体験が何回かあり、すぐにはモノにできていない。

カスタマイズ項目が多いものの、その中に制約条件があるだけに、マイセッティングも正直慣れきるのに時間がもう少し必要のようだ。

GXR_BlogSample20101207D
(GXR + A12 50mm F2.5 MACRO)


ということで、長々と GXR の不満点を書いてきた。この1ヶ月少々で感じたことの全部ではないが、多くを書き連ねた。

長くリコー機を使っている人や、GXR を使いこなしている人からすれば色々思うことはあるだろうが、これが GXR やリコーに対する今の私の率直な不満である。

少なくとも私が以前 GR Digital の時に感じた使い勝手の良さは GXR には存在しないと感じている。それが単に機能の違いからくるものではないことは、説明したとおりだ(不明瞭な日本語ゆえ、判ってもらえるかどうかは知らないが)。

GXR は多機能、多カスタマイズではあると思うが、使い勝手がさほど良いとは思えないし、機能面の無為な制約も多く感じる。

願わくば、それらをファームウェア・アップデートで可能なかぎりなくして

GXR を、もっと自由なカメラにさせて欲しい


と思う。ストイックさ、なんて要らない。

もし、質実剛健さやストイックさが必要なら、撮影者が自らに求めることであって、カメラやメーカーが行うことではあるまい。そう思う。