9月半ばに Kindle 3 実機を見せられて、なんとなくポチってしまい、Kindle 3 が手元に到着してから1ヶ月が経った。という感じでブログの草稿を書いていたのだが、GXR 絡みの記事やケータイ絡みの記事ばかりで、すっかり後回しになり、さらに時間が経ってしまった。

到着直後のファースト・インプレッション記事を書いてから1ヶ月半。ブログは勿論、Twitter でも大して触れてなかったので、「買ったものの結局放置プレイなの?」と思われても仕方ないのだが、実際は

時々は使ってる


という状況。その“時々”ってのは、1週間に1〜2回といったところで、決して多くはない。たまに寝る前の読書端末として、もしくはたまにゆっくりする時に、何となく紙の書籍の代わりに読むデバイス。

まぁ、それも仕方が無いところ。現状、日本国内向けの Kindle ストアがないため、Kindle 用の電子書籍を買うことはできないわけで、使える用途は極度に限られている。

隙間的デバイスの iPad より遥かに隙間用途の Kindle 3


にならざるを得ないから、そう多く使う機会がないのは止むを得ない。理由は後述。

「必要がなかったものでは?」と言われればそのとおりだが、それは最初から判っていたこと。

大して使う場面が(当面は)ないと判っていた上で
電子インクの良し悪し、6インチ端末のサイズ感を確かめたくて買った


のだから、現状に不満はない。いや、本音で。むしろ2万円弱の分だけは十分楽しんでいる


後述するように、どう言っても使えるシーンは限られているのだけど、本当にテスト機として買った IS01 よりは使ってるし、使う気になる。私自身が基本的に、本が、活字が好きだしね。

Kindle2Blog20101116A
旅のお供に Kindle…は薄くて軽くて良いのだけど
結局、いま読みたい文庫本を1〜2冊持って行くので
実際にこんなシーンは、あまりないのが実情。


実際に使ってみて思うのは、

“電子文庫本端末”としては
国内向け Kindle ストアがないことを除けば完璧


と言える。

“電子書籍”端末として考えると、カラフルな雑誌などが入ってくるから、そういった点は電子インクより液晶ディスプレイの iPad のような端末に分があるだろうが、小説などの文章を読むデバイスとしてはベストに近いなぁと思う。

なにせ、実際に使っていると、電子インクは良いなぁと実感することは多い。仕事や趣味で液晶ディスプレイを見つめまくってるから、電子インクの画面はホッとするし、実際に目への負担の違いを実感するし、何と言っても

Kindle 3 のサイズ、薄さ、軽さは魅力的


である。特に、薄さ軽さ。

このサイズ感は、モバイル用タブレット端末の理想的サイズ・重量のように思うくらいだ。ま、キーボードは不要で、タッチパネルの方が良いけどね。

とはいえ、Kindle の用途は電子書籍端末だから(それ一点の用途だから)

国内向け Kindle ストアがないことを除けば完璧だけど
国内向け Kindle ストアがないことが致命的


でもある。これも予め判っていて、それでも敢えて買ってみたわけだが、使ってみると痛切に感じることでもある。

そして Kindle 3 +自炊書籍が今ひとつ向かない、ちょっと足りないということを実感して、さらに「Kindle ストアがあればねぇ…」と思うことになった。

amazon Kindle 2/3 専用液晶保護シート『Perfect Shield for amazon Kindle 2/3』(反射を抑えたタイプ)
Perfect Shield for amazon Kindle 2/3

(iPad と違い保護ガラスがないので、低反射の画面保護シートだけは一応貼った)


国内向け Kindle ストアは存在していない以上、Kindle 3 で読める日本語のコンテンツは

  1. 自炊した書籍を PDF, mobi 形式にしたもの

  2. 青空キンドル を使って Kindle 最適化した青空文庫収録小説

  3. ウェブ上のテキストなどを変換サービス、ツールを使って取り込んだもの


の3つくらいになる。

2番目の青空キンドルを利用した書籍は快適に読めるものの、青空文庫収録の小説という限定がある。もちろん、それらだけでも読み切れない量の小説があるが、それだけではつまらないのも事実。

3番目のウェブ上のテキストを取り込んだもの、例えば Instapaper に「あとで読む」としたウェブページを Kindle 用に変換し、簡易書籍化したものなどを読むのも悪くない。出かける前に処理しておいて Kindle に入れておく。昔だったらベストな方法だっただろう(Palm 時代には、よくやった)。

ただ、今は iPhone など anytime online なデバイスがある。それを考えると、事前に処理して Kindle に取り込んで…というのは、今の時代に合ってるとは言い難いし、敢えてそれをやる理由も少ない(機内で読むとかなら別だが)。

となると、やはり「自炊電子書籍の閲覧」を目的にしてしまうわけだが、

Kindle 3 は自炊物を快適に読むには少々厳しい


というのが使ってみての正直な印象。

読めなくはないが、

PC / iPad 前提ファイルの表示には解像度が不足気味


なので、正直快適に長く読めるというものではない。さらに

電子インクゆえに階調が少ないから、余計に解像度の不足が辛い


のである。

普通に Kindle 用に作られた書籍、テキストデーターなら問題ないのだが、自炊で作ったファイルだったり PC / iPad を前提に作られた PDF ファイルだと、なかなか厳しい。とりあえず、ルビが読めないことが多い。

ルビが読めないだけなら別に良いのだけど、ルビが読めないと言うことは、それだけ本文文字も潰れ気味ということなので、快適に文章を読むと言うものではない。

たとえば、自炊ではないが書籍サンプルの PDF、「iPhone×iPad クリエイティブ仕事術」という書籍のサンプル用 PDF を Kindle 3 で表示させてみると

kindle3-sample-normalPDF
(画像クリックで 600x800pixels 等倍画像表示)


という感じである。

液晶ディスプレイで読むと Kindle 3 本体で読むより、よく見えるからちょっとそのまま等倍で見ると、そう悪くもないかもしれないが、実際には「読めなくはない。が、これを何百頁も読みたいとは思わない」である。そういった文字品質になる。

ただ、これはあくまで既存の PDF の例。文庫本を自炊した PDF 例では

kindle3-NovelOokami-pdf-normal
(画像クリックで 600x800pixels 等倍画像表示)


こんな感じ。これもまた、読めなくはないけれど、300頁以上も読みたいとは思わない文字品質である。仕事の文書で読まきゃならないなら読むが、あまり読む気にはならないし、この品質のものを余暇でひたすら読みたいとは思わない。普通に文庫本を読む。

上記例で挙げた書籍は、文庫本でもひときわ文字が大きく、ページあたりの文字数も少なければ、改行その他も多い、そんなお子様様向けライトノベルの例だから、一般の文庫本小説ならもっと読み難くなる。

これは自炊した PDF ファイルをほぼそのまま表示して Kindle 3 に最適化処理は全くしていない。PDF から JPEG に変換して、ChainLP で 余白を精一杯削るなどの Kindle 3 用に処理したもので

kindle3-NovelOokami-jpegZip-bold2
(画像クリックで 600x800pixels 等倍画像表示)


こんな感じだ。さっきよりはマシだが、実際に読んでみると、やはり快適とは言いがたい。液晶ディスプレイではなく電子インクの Kindle 上だと見え方も違うしね。

なんと言うか、ひと言で言うと

コピー機でコピーされたような文字品質


なのである。読めるけど、長くは読みたくない。小説を読みたいとは思わない、そういう表示になってしまう。

おかげで、積ん読本を自炊処理して Kindle 3 で暇つぶしに読めるかと思ったが、ちょっと無理だった。試しに BOOK OFF で買ってきたラノベでテストしてみてもこの程度なので、もっと文字の小さい一般文庫本は読むに耐えないのは明らかで、当面諦めた。



コミックはコミックで、こちらも微妙である。元々電子インクで表現できる階調が少ないので、絵的なものを表示するのは向いてない。それでもコミックなら

kindle3-comicH2-Jpeg-zip2
(画像クリックで 600x800pixels 等倍画像表示)


くらいにはなる。自炊処理をきちんとして、その後 Kindle 3 用に処理してみた例。

相変わらずルビは読めないが、漫画だし、これくらいならそこそこ読む気になる。「もうちょっと何とかならんかなぁ…」「もう少しスッキリ読みたいな〜」とは思うけれど、

コミックの場合、読めれば良い程度なら何とかなる(かも)


というのが、私の感想だ。

それでも、元が変色しかかった古いコミックだったり、取り込む時のコントラストをミスったりしていると、コミックでも Kindle 3 で読むのは厳しい。取り込み状態が良いものを Kindle 3 用に最適化して、とりあえず読める程度と言うのが実情だ。

だからコミックに関しても、Kindle 3 で自炊物を読むことには、あまり評価できない。それでも Kindle 3 で自炊したコミックを読んでるけどね…



ちなみに、先に提示した3つの Kindle で読める日本語コンテンツの、自炊以外の場合の表示を載せておくと…

kindle3-sample-aozora-normal
青空キンドルで変換した青空文庫書籍(文字サイズ通常)

kindle3-sample-aozora-large
青空キンドルで変換した青空文庫書籍(文字サイズ大)

kindle3-sample-NetText-garan
ウェブサイトの文章を Kindle に変換したもの
(いずれも画像クリックで 600x800pixels 等倍画像表示)


という感じで、こちらは読むのに何の支障もない。

Kindle は現状縦書きに対応していないが、青空キンドル を使ったものは縦書きの PDF、それも Kindle に最適化された PDF にしてくれるので、完璧ではないものの、かなり読みやすく

青空キンドルで変換した青空文庫書籍なら十分、小説を読む気になる


品質であるし、このレベルで色々な書籍、読みたい書籍が読めるなら、Kindle 3 の軽さ薄さを考えると、本好きにはどれほど天国になるだろう。と思うのだが、世の中そうは問屋が卸さない。

ウェブ上のテキストなどを変換サービス、ツールを使って取り込んだものも、読むには何ら問題ない。こちらは Kindle 3 本来のテキスト表示であるから、文字サイズは自由に変えられるし、調整はいくらでも効く。Kindle 本体が現状は横書きしか対応していないから、このまま小説を読むのには違和感があるが…

Kindle2Blog20101116B
色々と読みたい本が入れて持ち歩ければ
こういうシーンも現実になるのだが…


ということで、自炊物を Kindle 3 で読むのは、なかなか難しい。もちろん、私の Kindle 3 最適化の追い込みが足りないのかもしれない。が、多くの時間を費やさなければ読めないのなら、それはそれで、やはり向かないものとなる。

自炊物の読書に関しては思惑違いであったが、元々 Kindle に求められている能力とは違うので、こればかりはやむを得ない。まだまだ進化が始まったばかりのデバイスであるから、少し我慢すれば…と思っている。

先日発表されたカラー電子ペーパー「Triton」採用のデバイスであれば、自炊物の見え方も随分違うだろう。サイズのことを無視すれば iPad と同じ 9.7 インチ画面の Kindle DX なら、結構快適に読めるのでは?と思ったりする。

それでも私が Kindle 3 を評価するのは

Kindle 3 は、軽い、薄い、安い


であるからだ。持ち歩くにも寝モバにもちょうどいい適度なサイズで、軽く薄い。

・鞄の隙間に入れていける薄さ
・片手で持てる大きさ
・鞄に追加で入れても全く気にならない重さ

電子書籍端末には、これが重要。まさに文庫本や新書版感覚。これぞモバイル用の電子書籍端末のあるべき姿、サイズ感だと思う。

と同時に、電子書籍端末は、電子書籍端末だからこそ、安いということも重要だ。なにせ、端末それ自身は容器でしかないのだから。

Kindle 3 の1万5千円(Wi-FI版) 〜2万円(3G版)という価格は十分説得力があると思っている。理想は1万円以下だが、現状はこの程度の価格なら入れ物として悪くない価格だ。

だいたい、ただの電子書籍端末が5万も6万もしたら、どれだけの人が買うだろうか?ごく一部の好き者アーリーアダプターだけだろう。5万6万もするなら iPad のような多機能デバイスに流れるだろうし、そもそも、それですら買う人が限られる。

国内から出る電子書籍端末がどのような方向で、どのような価格で売り出されるのかは未だに判らないが、多機能に走り、多くを求め、その結果として端末も高くなるようでは、最初から自滅することになるだろう。

電子書籍に特化したデバイスだからこそ、そう多くを望まず軽く薄くでき、そして1万円台という比較的廉価に設定できて、ある程度手軽に手を出せる。そんな Kindle 3 は電子書籍端末としては素晴らしいバランスに成り立ってる、と思う。

ただ唯一、

国内向け Kindle ストアがないことだけが全て


である。これがオープンして多くの書籍を、よくあるコミックじゃなく小説、エッセイその他の文章ものがあれば、これほど本好きにとって幸せになれる端末はないのに…と思う。

使うたびに、それだけが辛い。期待はしていないが、希望は失ってない。Amazon MP3 ストアもオープンしたのだしね!

Kindle2Blog20101116C
Kindle 3 用ケースは上記写真のような百均で買った耐衝撃低反発ケースを使用中だが…


そんなわけで、Kindle 3 は愛用中とまでは言わないが、時々使用している。というか、

軽く薄いので、使わないけど持ち出す機会は多い


という妙なデバイスだったりする。何回も書いているけれど、軽くて薄いので、+1しても苦にならないのだ。

だから、MacBook Air を持って出る時に+1していくことも多い。電車や飛行機に長時間乗る時や、旅や出張で泊まりのある時には、ついつい+1して持っていく。

ほとんどの場合、iPhone だけで時間が潰れて、ゆっくり Kindle 3 で読書ということもないのだが、いつでもそれが可能であること、可能にすることに負担が最低限であることは素晴らしい。

持って出て、たとえ使わなくても後悔しないデバイス


というのは、貴重だ。この点はモバイルPC や iPad にはない良さでもある。

それにバッテリーも異常に長持ちだから、持って出る時に1週間くらいまでなら全くバッテリー充電のことを考えなくてもいい。micro USB から充電できるが、それでも充電のことを考えなくても良いのは、持ち出すのに敷居が下がる。

使わなくても後悔しない重さ、サイズ、バッテリー駆動時間だから+1していける。

そのせいか、頻繁に利用しているわけでもないが、そこそこ使ってる感がある。不思議なデバイスだ。元を完全に取ったとまでは言わないが、このままちょこちょこ使っているだけで十分元は取れるように思う。いや、既に取ったのかもしれない。

ただ、困るのは、今後電子書籍端末が次々と出てくるだろうが、ハードウェアは Kindle 3 の軽さ、薄さ、安さを基準に判断してしまうことだ。シャープ GARAPAGOS はともかく、Sony Reader の国内発売には期待しているんだけどね…

【追記】 Experimental にあるオマケ機能である音楽再生機能や写真表示機能はもちろん、docomo 3G ネットワークが無料で使えてブラウジングできる機能は、最初にテストで遊んで以降、全く使ってません。

ブラウジングはある程度のことはできるのは判ってますが、さすがに常用するようなものでもないし、iPhone ユーザーなら使う必要は、ほぼないですからね…

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(使わない割には持ち出す機会が多いので、ジャストサイズのケースも買おうかな…と悩み中)