iPad の国内発売が始まり、昨日の午後、私の手元にも iPad Camera Connection Kit(以下、カメラ接続キット)がやってきました。これでようやく、自分の手でデジタルカメラからの読み込みを色々試すことができるようになりました。
と同時に iPad 発表以来、気になっていた
「iPad はカメラ接続キットを使うことで(デジタル一眼使いレベルの)フォトストレージ代わりに使えるか?」
という問題に、自分の手で決着をつけることができます。早速、昨日色々試しながら twitter にも流していましたが、そこで書ききれなかった部分や後ほど色々と追加で試したことも含めて、まとめておきたいと思います。
最初に結論を書いてしまうと、まだ実戦投入していないゆえの暫定的結論ではあるものの
というのが、昨日試した限りの結論です。
ただし、iPad をフォトストレージ代わりとして使う場合には幾つかの注意事項もありますし(後述)、何よりも容量的に最大 64GB、実際には iPad として使う部分もあるので、実際には最大 50〜55GB くらいで足り得るなら、ということになります。
また、転送速度や容量などで結構条件がつきますから(詳しくは後述)、「短時間での転送が必要だ」とか「1日何十GB もバックアップする必要がある」という人には不向きです。iPad より高くても素直に、エプソン P-7000 を買うべきでしょう。
逆に、その容量で足る旅程・撮影分量、転送速度が遅い場合があることを許容できるならば、SSD という機械部分のないメリットと、iPad の素晴らしい IPS 液晶画面での撮影画像表示も含めて、普通のフォトストレージを持って出るよりもずっと良いとさえ言えるかもしれません(色域とかは不明ですが)。
また、iPad 用の写真共有サイトアプリは少ないものの、iPhone 用アプリは問題なく使えるものが多数ですので、撮影した写真を iPad に取り込み、JPEG 画像はアプリを使って Flickr などのサイトへアップロードするといったことも、お手の物です。
といった iPad ならではの付加価値は別にして、今回は(デジタル一眼ユーザーとして)iPad をフォトストレージ代わりに使う、という点に絞って、自分が試した結果を以下に記しておきます。
このブログでも海外の発売前の記事を鵜呑みにして誤ったことを書いたり、国内有名ブログサイトのレビュー記事なら大丈夫だと思っていたら、今日午後に到着したカメラ接続キットで試すと、結局はそれも違っていたり…本当に申し訳なく思うと同時に、自分で試さないと意味が無いと痛感しました。
なので、ひとまず自身で確認したことを以下に記しておきます。
これらの条件で試して得た結果は、以下の通り。
ということで、
という結論に。全くごく普通の、真っ当な仕様でした(色々試した中で注意点はありますが、それについては後述)。
ただ、iPad の
ということは留意しておく必要があります。構図チェックやある程度のピンぼけチェックには使えますが、等倍表示で厳密なジャスピンのチェックとかには使えません。
リサイズされた画像は、JPEG または RAW + JPEG 画像を読み込んだ場合には長辺 2048pixels となりますが、RAW ファイルのみの読み込みの場合は 2000pixels 前後で機種によって異なるようです。なお、iPhone 3GS から取り込んだものはオリジナルファイルで表示されます。
また、フォトストレージ代わりとして使う場合には、幾つか注意すべきことがありますので、以下に記しておきます。
ちなみに、取り込み時の「カメラ接続キットのカメラコネクタに USB ケーブルでデジタルカメラを繋いだら、どうなるか?」という点については試していませんし、試す気もありませんので、その手の情報が欲しい方は他をあたって下さい。
個人的な見解としては、デジタルカメラにケーブルで直接接続するのは一見良いように見えつつも、最近はカメラに付属する専用の接続ケーブルが必要なことが多く、それなら SDHC カードリーダーを使った方が手軽で速いと思っています。
特に iPad では、メモリーカードを刺せば自動的にサムネイル画像一覧が表示されて、全部ないし選択画像のみの取り込みが手軽にできるうえ、取り込みが終わったらサクっとメモリーカードを外せば終了ですから、この上なく簡単。
また、デジタルカメラとの接続ではいくつかの機種との相性問題も報告されているくらいですから、その点でもメモリーカード経由の方が安心です。
更に言えば、画像取り込み中にメモリーカードを取り外すようなことさえしなければ、後は抜き差し自由で、処理も自動。iPad に小さなアダプターを挿す微細な手間だけで、あとはメモリーカードを挿せば、自動的に取り込み画面が出て、タッチで取り込み写真を選択するか、何もせず全読み込み。終わったらメモリーカードを抜けばいいだけ。
と言えるくらいの簡便さですからね。その点ではフォトストレージ並みです。
ただ、手間暇の簡単さはクリアーできても、私が求めたいのはコンパクトデジカメで数十枚 JPEG 写真を撮って保存するレベルではなく、「2000万画素前後のデジタル一眼の RAW + JPEG 画像を、数GB〜十数GBレベル容量の CF カードで読み込むのに実用的か?」という話です。
そのレベルで、きちんとフォトストレージに成り得るかを判断したかったのですが、さすがに国内の Mac 系レビュー記事では、そこまでパワフルに使ってのレビューではなかったので、拙いレベルですが、自分でやってみた次第。
そして、そのような大容量を読み込ませる場合には、単に読み込むことができたというだけでなく、
というのも重要になるわけです。昔のフォトストレージのように数GB の CF を読み込ませたら1時間以上もかかって涙目、では実用になりません。
ということで、幾つかの条件において
A:メモリーカードから iPad に読み込むのにかかった時間
B:iPad から iPhoto で Mac に読み込むのにかかった時間
を計測してみました。
少々厄介な事実も含めて長くなりますので、「続きを読む」の先に書きます。
テストは、SDHC カードの読み込みにはカメラ接続キット付属の SDカードリーダーを使用、CF カードの読み込みはカメラ接続キット付属のカメラコネクタから USBケーブルを経由して、手元で余っていたマルチカードリーダー・ライター BUFFALO MCR-A30H/U2 というものを使用しました。
iPad と接続して取り込んだパソコンは iMac 24インチ 2007 late で、Core2Duo 2.4GHz という、もはやちょい古なパソコンと言えるでしょう。1200万画素クラスの RAW データーまでなら十分ストレスなく使える速度だと思っていますが(2000万画素クラスの RAW は、さすがに重い…)。
(1)PowerShot S90 + Sandisk Extremem III 4GB SDHC
RAW + JPEG 画像 84ショット・168ファイル
合計 1.15GB
SDHC→iPad:2分20秒
iPad→iPhoto:5分37秒
(2)EOS 7D + Sandisk Extreme III 8GB CF
RAW + JPEG 画像 159ショット・318ファイル
動画 1ショット・2ファイル
合計 5.55GB(うち動画 795MB)
CF→iPad:9分51秒
iPad→iPhoto:18分1秒
(3)EOS 7D + Sandisk Extreme IV 8GB CF
JPEG 画像 160ショット・160ファイル
合計 1.25GB
SDHC→iPad:5分48秒
iPad→iPhoto:4分21秒
(4)DMC-G1 + Sandisk Extreme III 30MB/sec Edition SDHC
RAW + JPEG 画像 26ショット・52ファイル
合計 456MB
SDHC→iPad:54秒
iPad→iPhoto:2分30秒
本当は 16GB CF に満載したデーターを読み込ませて…としたかったのですが、なにせ今現在持っているモデルは、試しに買った容量 16GB モデル、おまけにアプリが予想以上に食っていて(iPad は iPhone 以上にアプリ容量を食います)、動画や音楽を消しても 7GB 程度しか空きが確保できなかったので、上記のようなショボいテストになってしまいました。
ともあれ、幾つかの条件で試したところ、JPEG のみの(3)を除くと
と言えるかと思います。SDHC も CF も Sandisk Extreme III クラスなので、使用メモリーカードによる多少の速度差はあるかもしれません。
ちなみにフォトストレージの定番、エプソンの P-7000 は公称 CFカードで 1GB あたり約55秒ということですから、その半分弱と言ったところです。遅くてデジタル一眼ユーザーには使いものにならない程度ではありませんが、お世辞にも速くはありません。
もっとも、P-7000は単なるフォトストレージなのに今でも7万円弱(Amazon 価格)という値段で、iPad Wi-Fi 64GB より高いですから、その点を考えると…ですね。P-7000 はニッチ商品ですし HDD ながら 160GB と容量に余裕がありますから、直接比較するものでもありませんが(容量が必要なら P-7000 一択です)。
そしてまた、iPad の読み込み速度については極めて注意すべき点があります。
先のテストを見ると、(3)の JPEG のみの場合だけ、メモリーカードから iPad への転送速度がかなり低い値となっています。3回ほど計測し直しても同じでしたので、別の幾つかの条件でテストした結果、
となることが判りました。
勿論、容量あたりの撮影枚数は RAW + JPEG より JPEG の方が遥かに多いですから、枚数あたりの速度は異なりますが、同じデーター量を読み込む場合は、撮影時の保存ファイル形式により上記が成り立ちます。
例えば、DMC-G1 + Sandisk Extreme III 30MB/sec Edition SDHC で、JPEG のみ、RAW のみ、RAW + JPEG で各 20枚、同じものを撮影したデーターを iPad に読み込んだ場合、
JPEG のみ(73.7MB):27秒(約164MB/分)
RAW のみ(260.7MB):44秒(約356MB/分)
RAW + JPEG(337.3MB):42秒(約482MB/分)
という結果となりました。PowerShot S90 の画像でも、同じような傾向が得られています。
これはどういうことかと言うと、単純にメモリーカードから iPad へデーターを読み込むだけでなく、
ということです。
実際に、あるツールを使って iPad の中をソフトウェア的に見てみると、取り込んだ写真データーは /DCIM/xxxIMPRT(xxx は3桁の数字)ディレクトリ内に保管されていますが、写真アプリに表示されるデーターは /PhotoData 以下のディレクトリに別に用意されています。
また、写真アプリで使われる管理用データベースファイルの中身を覗いてみても、そのことが判ります(ツールを使って iPad 内部を見たり操作した場合、最悪 iPad を初期化する必要がある可能性も出てくるので、自己責任ときちんとした理解がなければ避けて下さい)。
つまり、
「写真枚数が多くなればなるほど、写真アプリで表示するための画像生成に時間が取られるので、単位容量あたりの転送効率が落ちる」
ということになります。
例えば 16GB CF を使っていて、RAW + JPEG で撮影した場合は 16GB CF を iPad へ読み込むのにおよそ30〜40分程度でしょう。それが JPEG だと3分の1の効率に落ちるようですから、JPEG のみで撮った 16GB CF を iPad に読み込ませる場合は1時間半以上と推測されます。
※ ここで示している数値は、DMC-G1 の画像ファイルを元にした参考値です。撮影機種によって数値は大きく異なる場合があります。
いずれにせよ、iPad をフォトストレージ代わりとして考えた場合、
ということです。
大まかな参考値を以下に記しておくと
となります。くれぐれも、上記数値は参考値であり、撮影したカメラの画素数、ファイルサイズによって大きく変動することをご了解下さい。
個人的にも、これは結構な差があるなぁ…という感はあって、RAW + JPEG で撮った 16GB CF を読み込ませるのに 30〜40分かかっても(どうせ読み込ませるのは宿とか移動中だから)問題ないと思えるものの、JPEG only で撮った 16GB CF を読み込ませたら1時間半以上はかかりすぎだよなぁ…とは思います。被写体によって使い分けてますし。
さらに、最初の計測時間でも判るように
ということです。
こちらも iPhoto でのデーター処理のオーバーヘッド時間がありますからね。最初の例で言えば、1GB あたり3分半〜5分半となります(パソコンのスペックその他で変わりますので、あくまで参考値)。
単純なフォトストレージと違って、iPad の中のデーターを直接弄って抜いて消して…というのができないので(できなくはないが、普通はやらない方が賢明)、どうしても無駄な処理が加味されて、転送に余計な時間がかかってしまいます。
数GB 程度で使っている分なら我慢も問題ないレベルでしょうが、フォトストレージ代わりとして数十GB を iPad へ、パソコンへ読み込ませるのに、この所要時間は微妙なところでもあります。少なくとも最近のフォトストレージ、
と言い切れる速度ではあります。反面、昔のフォトストレージの遅さで我慢してきた人なら耐えられるかもしれません。
ただ、幸いなことに
ということはあります。転送作業しているとバッテリーの減りが速いなんてことも感じなかったので、きっと 50〜55GB のデーターを転送しきっても、まだ余裕はあるでしょう。
ということで、改めて iPad をデジタル一眼のフォトストレージ代わりとして使う場合のポイントをまとめてみます。
といったところでしょうか。とにかくポイントは、
です。
必要容量の問題は、自身の撮影スタイルに依存する話です。私自身、64GB モデルで空き容量をその時だけ 50GB くらい確保しておけば、普通の旅行にいくなら(最近は一眼レフで観光記念写真をあまり撮らなくなったので)1週間でも十分足りるかな?と思います。
反面、何泊かしての飛行機撮りに行くなら1日で大量に撮るために、iPad のフォトストレージ代わりは厳しいかな?と考えています。VAIO P や MacBook Air に外部 100GB SSD や 160GB HDD を別途フォトストレージ代わりとして持っていくことになるでしょう。フォトストレージなら何度か挙げている P-7000 あたりが必須になります。
また、転送速度が許容できるかどうかも同じです。撮影会の合間、休憩時間に少しでもデーターをストレージに逃がして、その CF や SDHC カードを次に使いたい!というような要望なら、iPad のフォトストレージ代わりは全く不向きでしょう。
逆に1日分の CF / SDHC カードは持っている。移動中や宿でバックアップできれば良いや、程度なら多少時間がかかっても問題ないでしょうから、十分使えるかと思います。どれだけのデーターを転送するかにも依りますしね。iPad からパソコンへの転送も、数時間かかっても放置して待っとけば良いだけと思えるなら無問題です。
ただ、
ということがあるので、その点で「待てるか?」ということはありますけどね。風呂に入ってる間か、食事してる間か、寝てる間か…
いずれにせよ、iPad がフォトストレージ代わりになり得るかは、自身の撮影スタイル、考え方次第です。でも言えることは、
であることは間違いありません。なにより、
の前には、判っていてもなかなか抗いがたい魅力があるかもしれません。
ちなみに、先行して試しに1ヶ月前から 16GB を手にしている私も、今回のテストの結果を踏まえて、64GB モデルの購入を前向きに考えています。というか、元々フォトストレージ代わりとして実用になるなら、16GB は欲しがってる家族のものにして、自分用には 64GB を買う予定だったので…
まぁ、転送速度がいささか遅いという点については、VAIO P +外部 SSD/HDD でフォトストレージ代わりにする時もかなり遅いですから、私は耐えられるかな?と思ってます。たぶん…
と同時に iPad 発表以来、気になっていた
「iPad はカメラ接続キットを使うことで(デジタル一眼使いレベルの)フォトストレージ代わりに使えるか?」
という問題に、自分の手で決着をつけることができます。早速、昨日色々試しながら twitter にも流していましたが、そこで書ききれなかった部分や後ほど色々と追加で試したことも含めて、まとめておきたいと思います。
最初に結論を書いてしまうと、まだ実戦投入していないゆえの暫定的結論ではあるものの
ヘビーに使う人でなければ、フォトストレージ代用品として使える
というのが、昨日試した限りの結論です。
ただし、iPad をフォトストレージ代わりとして使う場合には幾つかの注意事項もありますし(後述)、何よりも容量的に最大 64GB、実際には iPad として使う部分もあるので、実際には最大 50〜55GB くらいで足り得るなら、ということになります。
また、転送速度や容量などで結構条件がつきますから(詳しくは後述)、「短時間での転送が必要だ」とか「1日何十GB もバックアップする必要がある」という人には不向きです。iPad より高くても素直に、エプソン P-7000 を買うべきでしょう。
逆に、その容量で足る旅程・撮影分量、転送速度が遅い場合があることを許容できるならば、SSD という機械部分のないメリットと、iPad の素晴らしい IPS 液晶画面での撮影画像表示も含めて、普通のフォトストレージを持って出るよりもずっと良いとさえ言えるかもしれません(色域とかは不明ですが)。
また、iPad 用の写真共有サイトアプリは少ないものの、iPhone 用アプリは問題なく使えるものが多数ですので、撮影した写真を iPad に取り込み、JPEG 画像はアプリを使って Flickr などのサイトへアップロードするといったことも、お手の物です。
といった iPad ならではの付加価値は別にして、今回は(デジタル一眼ユーザーとして)iPad をフォトストレージ代わりに使う、という点に絞って、自分が試した結果を以下に記しておきます。
このブログでも海外の発売前の記事を鵜呑みにして誤ったことを書いたり、国内有名ブログサイトのレビュー記事なら大丈夫だと思っていたら、今日午後に到着したカメラ接続キットで試すと、結局はそれも違っていたり…本当に申し訳なく思うと同時に、自分で試さないと意味が無いと痛感しました。
なので、ひとまず自身で確認したことを以下に記しておきます。
- カメラ接続キットの SDカードリーダーに「キヤノン PowerShot S90」「パナソニック DMC-G1」で撮影した SDHC カードを挿した場合
- カメラ接続キットのカメラコネクタに USB ケーブルでマルチカードリーダーを接続して「キヤノン EOS 7D」で撮影した CF カードを挿した場合
- カメラ接続キットのカメラコネクタに USB ケーブルで iPhone 3GS を接続した場合
- iPad を Mac に接続して、上記で iPad 取り込んだファイルを iPhoto を使用して iPad から Mac に取り込んだ場合
これらの条件で試して得た結果は、以下の通り。
- JPEG のみの撮影画像の場合は、そのまま読み込まれる。リサイズされるようなことはない。
- RAW で撮影している場合も、そのまま読み込まれる。
- RAW + JPEG で撮影している場合には、RAW 画像も JPEG 画像も取り込まれる。どちらかのみということはない。
- iPhone 3GS はカメラロール(iPhone 3GS で撮影もしくはアプリから書き出した写真・動画)からのみ取り込むことができる(取り込み後の削除も可能)。もちろん、iPad を経由して iPhone の画像を iPhoto に取り込むことも問題なし。
- 動画ファイルも iPad で再生できるできないに関わらず、問題なく取り込まれる(iPhone で撮った動画以外では再生できる方が稀だと思うが)。再生不可の動画の場合には下の写真のようなサムネイルアイコンのファイルとなり、再生はできないが取り込まれたことは確認できる。動画ファイルも問題なく、iPhoto へ取り込まれる。
ということで、
撮影した画像・動画ファイルの iPad への取り込みと
iPad に取り込んだファイルの Mac (iPhoto) への取り込みとも問題なし
iPad に取り込んだファイルの Mac (iPhoto) への取り込みとも問題なし
という結論に。全くごく普通の、真っ当な仕様でした(色々試した中で注意点はありますが、それについては後述)。
ただ、iPad の
写真アプリで閲覧できる画像は、縮小された JPEG 画像で
取り込んだオリジナルの JPEG 画像ではない
取り込んだオリジナルの JPEG 画像ではない
ということは留意しておく必要があります。構図チェックやある程度のピンぼけチェックには使えますが、等倍表示で厳密なジャスピンのチェックとかには使えません。
リサイズされた画像は、JPEG または RAW + JPEG 画像を読み込んだ場合には長辺 2048pixels となりますが、RAW ファイルのみの読み込みの場合は 2000pixels 前後で機種によって異なるようです。なお、iPhone 3GS から取り込んだものはオリジナルファイルで表示されます。
また、フォトストレージ代わりとして使う場合には、幾つか注意すべきことがありますので、以下に記しておきます。
- 20MBを超える RAW 画像など負荷がかかる高画素ファイルの場合、読み込み途中で落ちることがあるので、フォトストレージ代わりで大量読み込みするような場合は、一度 iPad 再起動させてから読み込む作業を行うのが安全。
- iPad に読み込まれた画像は、iTunes 同期時にパソコンにバックアップされるため、大量に読み込みを行った場合には、その後の同期に数十分〜数時間かかる場合があります。よって、読み込みを行った後は、iTuens で同期する前に iPhoto で写真データーを吸い出して、吸い出し後に iPad 側の写真を削除しておくことをお勧めします。
- iPadで自動ロックをかけている場合、iPad から iPhotoへ写真を読み込み途中でもロックが掛かってしまいます。読み込み途中で iPadが自動ロックしてしまうと、途中で読み込みが中断されるだけでなく、その後 USB ケーブルを抜かないと読み込み中止もうまく働かない状態に陥ります。ゆえに、大量転送時には自動ロックを解除推奨です。
- iPhoto では iPad 認識まで少し時間がかかる場合がありますので、すぐに認識しなくても待つようにすべし。でも、他に iPhone, touch などのデバイスが繋がってると認識しない時があるので、その時は USB ケーブルを繋ぎ直す。
- カメラコネクタから USB カードリーダーを使う場合、カードリーダーによっては以下の写真のようなメッセージが出て使えない物がある(古いリーダーに多い)。実戦で使用する前に必ず手持ち機材の動作テストを行う必要があります。
ちなみに、取り込み時の「カメラ接続キットのカメラコネクタに USB ケーブルでデジタルカメラを繋いだら、どうなるか?」という点については試していませんし、試す気もありませんので、その手の情報が欲しい方は他をあたって下さい。
個人的な見解としては、デジタルカメラにケーブルで直接接続するのは一見良いように見えつつも、最近はカメラに付属する専用の接続ケーブルが必要なことが多く、それなら SDHC カードリーダーを使った方が手軽で速いと思っています。
特に iPad では、メモリーカードを刺せば自動的にサムネイル画像一覧が表示されて、全部ないし選択画像のみの取り込みが手軽にできるうえ、取り込みが終わったらサクっとメモリーカードを外せば終了ですから、この上なく簡単。
また、デジタルカメラとの接続ではいくつかの機種との相性問題も報告されているくらいですから、その点でもメモリーカード経由の方が安心です。
更に言えば、画像取り込み中にメモリーカードを取り外すようなことさえしなければ、後は抜き差し自由で、処理も自動。iPad に小さなアダプターを挿す微細な手間だけで、あとはメモリーカードを挿せば、自動的に取り込み画面が出て、タッチで取り込み写真を選択するか、何もせず全読み込み。終わったらメモリーカードを抜けばいいだけ。
パソコンに取り込むより遥かに簡単!
これぞ、誰にもできるデジカメ画像保存
これぞ、誰にもできるデジカメ画像保存
と言えるくらいの簡便さですからね。その点ではフォトストレージ並みです。
ただ、手間暇の簡単さはクリアーできても、私が求めたいのはコンパクトデジカメで数十枚 JPEG 写真を撮って保存するレベルではなく、「2000万画素前後のデジタル一眼の RAW + JPEG 画像を、数GB〜十数GBレベル容量の CF カードで読み込むのに実用的か?」という話です。
そのレベルで、きちんとフォトストレージに成り得るかを判断したかったのですが、さすがに国内の Mac 系レビュー記事では、そこまでパワフルに使ってのレビューではなかったので、拙いレベルですが、自分でやってみた次第。
そして、そのような大容量を読み込ませる場合には、単に読み込むことができたというだけでなく、
フォトストレージとして実用に足る速度か?
というのも重要になるわけです。昔のフォトストレージのように数GB の CF を読み込ませたら1時間以上もかかって涙目、では実用になりません。
ということで、幾つかの条件において
A:メモリーカードから iPad に読み込むのにかかった時間
B:iPad から iPhoto で Mac に読み込むのにかかった時間
を計測してみました。
少々厄介な事実も含めて長くなりますので、「続きを読む」の先に書きます。
テストは、SDHC カードの読み込みにはカメラ接続キット付属の SDカードリーダーを使用、CF カードの読み込みはカメラ接続キット付属のカメラコネクタから USBケーブルを経由して、手元で余っていたマルチカードリーダー・ライター BUFFALO MCR-A30H/U2 というものを使用しました。
iPad と接続して取り込んだパソコンは iMac 24インチ 2007 late で、Core2Duo 2.4GHz という、もはやちょい古なパソコンと言えるでしょう。1200万画素クラスの RAW データーまでなら十分ストレスなく使える速度だと思っていますが(2000万画素クラスの RAW は、さすがに重い…)。
(1)PowerShot S90 + Sandisk Extremem III 4GB SDHC
RAW + JPEG 画像 84ショット・168ファイル
合計 1.15GB
SDHC→iPad:2分20秒
iPad→iPhoto:5分37秒
(2)EOS 7D + Sandisk Extreme III 8GB CF
RAW + JPEG 画像 159ショット・318ファイル
動画 1ショット・2ファイル
合計 5.55GB(うち動画 795MB)
CF→iPad:9分51秒
iPad→iPhoto:18分1秒
(3)EOS 7D + Sandisk Extreme IV 8GB CF
JPEG 画像 160ショット・160ファイル
合計 1.25GB
SDHC→iPad:5分48秒
iPad→iPhoto:4分21秒
(4)DMC-G1 + Sandisk Extreme III 30MB/sec Edition SDHC
RAW + JPEG 画像 26ショット・52ファイル
合計 456MB
SDHC→iPad:54秒
iPad→iPhoto:2分30秒
本当は 16GB CF に満載したデーターを読み込ませて…としたかったのですが、なにせ今現在持っているモデルは、試しに買った容量 16GB モデル、おまけにアプリが予想以上に食っていて(iPad は iPhone 以上にアプリ容量を食います)、動画や音楽を消しても 7GB 程度しか空きが確保できなかったので、上記のようなショボいテストになってしまいました。
ともあれ、幾つかの条件で試したところ、JPEG のみの(3)を除くと
メモリーカードから iPad への転送速度は
RAW + JPEG では概ね毎分 500MB 前後
RAW + JPEG では概ね毎分 500MB 前後
と言えるかと思います。SDHC も CF も Sandisk Extreme III クラスなので、使用メモリーカードによる多少の速度差はあるかもしれません。
ちなみにフォトストレージの定番、エプソンの P-7000 は公称 CFカードで 1GB あたり約55秒ということですから、その半分弱と言ったところです。遅くてデジタル一眼ユーザーには使いものにならない程度ではありませんが、お世辞にも速くはありません。
もっとも、P-7000は単なるフォトストレージなのに今でも7万円弱(Amazon 価格)という値段で、iPad Wi-Fi 64GB より高いですから、その点を考えると…ですね。P-7000 はニッチ商品ですし HDD ながら 160GB と容量に余裕がありますから、直接比較するものでもありませんが(容量が必要なら P-7000 一択です)。
そしてまた、iPad の読み込み速度については極めて注意すべき点があります。
先のテストを見ると、(3)の JPEG のみの場合だけ、メモリーカードから iPad への転送速度がかなり低い値となっています。3回ほど計測し直しても同じでしたので、別の幾つかの条件でテストした結果、
メモリーカード→ iPad への転送速度は、同一容量で比較すると
RAW + JPEG > RAW のみ >> JPEG のみ
RAW + JPEG > RAW のみ >> JPEG のみ
となることが判りました。
勿論、容量あたりの撮影枚数は RAW + JPEG より JPEG の方が遥かに多いですから、枚数あたりの速度は異なりますが、同じデーター量を読み込む場合は、撮影時の保存ファイル形式により上記が成り立ちます。
例えば、DMC-G1 + Sandisk Extreme III 30MB/sec Edition SDHC で、JPEG のみ、RAW のみ、RAW + JPEG で各 20枚、同じものを撮影したデーターを iPad に読み込んだ場合、
JPEG のみ(73.7MB):27秒(約164MB/分)
RAW のみ(260.7MB):44秒(約356MB/分)
RAW + JPEG(337.3MB):42秒(約482MB/分)
という結果となりました。PowerShot S90 の画像でも、同じような傾向が得られています。
これはどういうことかと言うと、単純にメモリーカードから iPad へデーターを読み込むだけでなく、
写真アプリで表示するための画像やサムネイル画像を生成する
オーバーヘッド時間がかなりある
オーバーヘッド時間がかなりある
ということです。
実際に、あるツールを使って iPad の中をソフトウェア的に見てみると、取り込んだ写真データーは /DCIM/xxxIMPRT(xxx は3桁の数字)ディレクトリ内に保管されていますが、写真アプリに表示されるデーターは /PhotoData 以下のディレクトリに別に用意されています。
また、写真アプリで使われる管理用データベースファイルの中身を覗いてみても、そのことが判ります(ツールを使って iPad 内部を見たり操作した場合、最悪 iPad を初期化する必要がある可能性も出てくるので、自己責任ときちんとした理解がなければ避けて下さい)。
つまり、
「写真枚数が多くなればなるほど、写真アプリで表示するための画像生成に時間が取られるので、単位容量あたりの転送効率が落ちる」
ということになります。
例えば 16GB CF を使っていて、RAW + JPEG で撮影した場合は 16GB CF を iPad へ読み込むのにおよそ30〜40分程度でしょう。それが JPEG だと3分の1の効率に落ちるようですから、JPEG のみで撮った 16GB CF を iPad に読み込ませる場合は1時間半以上と推測されます。
※ ここで示している数値は、DMC-G1 の画像ファイルを元にした参考値です。撮影機種によって数値は大きく異なる場合があります。
いずれにせよ、iPad をフォトストレージ代わりとして考えた場合、
読み込み速度があまり速くないだけでなく
条件によっては更に遅くなる
条件によっては更に遅くなる
ということです。
大まかな参考値を以下に記しておくと
1GB あたりの iPad 読み込み時間
(1200万画素 DMC-G1 撮影画像の場合・参考値)
RAW + JPEG: 2分強
RAW のみ: 3分弱
JPEG のみ: 6分以上
となります。くれぐれも、上記数値は参考値であり、撮影したカメラの画素数、ファイルサイズによって大きく変動することをご了解下さい。
個人的にも、これは結構な差があるなぁ…という感はあって、RAW + JPEG で撮った 16GB CF を読み込ませるのに 30〜40分かかっても(どうせ読み込ませるのは宿とか移動中だから)問題ないと思えるものの、JPEG only で撮った 16GB CF を読み込ませたら1時間半以上はかかりすぎだよなぁ…とは思います。被写体によって使い分けてますし。
さらに、最初の計測時間でも判るように
iPad から iPhoto への吸い出し時間も相当にかかる
ということです。
こちらも iPhoto でのデーター処理のオーバーヘッド時間がありますからね。最初の例で言えば、1GB あたり3分半〜5分半となります(パソコンのスペックその他で変わりますので、あくまで参考値)。
単純なフォトストレージと違って、iPad の中のデーターを直接弄って抜いて消して…というのができないので(できなくはないが、普通はやらない方が賢明)、どうしても無駄な処理が加味されて、転送に余計な時間がかかってしまいます。
数GB 程度で使っている分なら我慢も問題ないレベルでしょうが、フォトストレージ代わりとして数十GB を iPad へ、パソコンへ読み込ませるのに、この所要時間は微妙なところでもあります。少なくとも最近のフォトストレージ、
P-5000/6000/7000 を使ってる人は、そのままで
と言い切れる速度ではあります。反面、昔のフォトストレージの遅さで我慢してきた人なら耐えられるかもしれません。
ただ、幸いなことに
いくら読み込み速度が遅くても、iPad のバッテリーは余裕あり
ということはあります。転送作業しているとバッテリーの減りが速いなんてことも感じなかったので、きっと 50〜55GB のデーターを転送しきっても、まだ余裕はあるでしょう。
ということで、改めて iPad をデジタル一眼のフォトストレージ代わりとして使う場合のポイントをまとめてみます。
- JPEG画像、RAW画像、RAW + JPEG画像、動画のいずれもメモリーカードから iPad へ問題なく読み込まれる。
- iPad へ読み込まれた画像ファイルは、Mac の iPhoto 上にも問題なく読み込まれる。
- 転送速度は最新のフォトストレージに比べても、最速条件で半分程度(参考値として 1GB あたり2分強)。条件次第ではさらに遅くなる。
- メモリーカードから iPad に読み込まれる際に、1枚毎に表示用リサイズ画像が生成されるため、容量あたりの枚数が多くなる JPEG のみ撮影だと、RAW + JPEG 撮影に比べて3倍以上読み込み速度が遅くなる場合がある。
- iPad から iPhoto への読み込みもかなりの時間がかかる(パソコンのスペックにもよるが、メモリーカードから iPad 以上に時間がかかってもおかしくない)。
- 転送速度は遅いが、64GB モデルの大半をフォトストレージ容量として使って読み込んでもバッテリーは十分もつ。
- iPad の写真アプリで表示される画像は、取り込んだオリジナルファイルではなくリサイズされているため、等倍チェックには使えない。
- 等倍チェックには使えないが、長辺 2000pixels 程度のリサイズ画像で良ければ、そのままチェックや人に見せるのに何ら問題ない綺麗な液晶画面(色域とかは不明)。
- 普通のフォトストレージに比べれば、大きいし重い。
- フォトストレージ以外の機能は…ありすぎて書ききれないくらいある(当然)。
といったところでしょうか。とにかくポイントは、
容量と転送速度が許容できるかどうか?
です。
必要容量の問題は、自身の撮影スタイルに依存する話です。私自身、64GB モデルで空き容量をその時だけ 50GB くらい確保しておけば、普通の旅行にいくなら(最近は一眼レフで観光記念写真をあまり撮らなくなったので)1週間でも十分足りるかな?と思います。
反面、何泊かしての飛行機撮りに行くなら1日で大量に撮るために、iPad のフォトストレージ代わりは厳しいかな?と考えています。VAIO P や MacBook Air に外部 100GB SSD や 160GB HDD を別途フォトストレージ代わりとして持っていくことになるでしょう。フォトストレージなら何度か挙げている P-7000 あたりが必須になります。
また、転送速度が許容できるかどうかも同じです。撮影会の合間、休憩時間に少しでもデーターをストレージに逃がして、その CF や SDHC カードを次に使いたい!というような要望なら、iPad のフォトストレージ代わりは全く不向きでしょう。
逆に1日分の CF / SDHC カードは持っている。移動中や宿でバックアップできれば良いや、程度なら多少時間がかかっても問題ないでしょうから、十分使えるかと思います。どれだけのデーターを転送するかにも依りますしね。iPad からパソコンへの転送も、数時間かかっても放置して待っとけば良いだけと思えるなら無問題です。
ただ、
メモリーカードから iPad に転送してる間は、当然 iPad を使えない
ということがあるので、その点で「待てるか?」ということはありますけどね。風呂に入ってる間か、食事してる間か、寝てる間か…
いずれにせよ、iPad がフォトストレージ代わりになり得るかは、自身の撮影スタイル、考え方次第です。でも言えることは、
条件はつくものの、フォトストレージ代わりを一考できるデバイス
であることは間違いありません。なにより、
単体フォトストレージより安い値段で
これだけ魅力あるデバイスが買える事実
これだけ魅力あるデバイスが買える事実
の前には、判っていてもなかなか抗いがたい魅力があるかもしれません。
ちなみに、先行して試しに1ヶ月前から 16GB を手にしている私も、今回のテストの結果を踏まえて、64GB モデルの購入を前向きに考えています。というか、元々フォトストレージ代わりとして実用になるなら、16GB は欲しがってる家族のものにして、自分用には 64GB を買う予定だったので…
まぁ、転送速度がいささか遅いという点については、VAIO P +外部 SSD/HDD でフォトストレージ代わりにする時もかなり遅いですから、私は耐えられるかな?と思ってます。たぶん…