先月、新型 iMac / MacBook 発表とともに値下げされた MacBook Air を購入して1ヶ月近くが経つので、適当に雑感でも何か買おうと思うのだが、正直大して書くことが思いつかない。

というか、MacBook Air 自体は今回値下げだけであったから6月発売の前モデルと同じで、今さら私が書くようなことがない。更に言えば、筐体は初代モデルからほとんど変わってなく、使い勝手も変わってない。よって、使う人が感じる良い点、不満点も何ら変わらないから、それもまた今さらである。

が、敢えて1ヶ月使ってきた感想を書いてみると…

(1)普通に使える Mac(当然だけど)

さほど速い CPU を積んでいる訳ではないが、Atom ネットブックはもちろん、今秋から数多くリリースされている軽量安価な CLUV 系ノートPC より高速な CPU であることと、ストレージが SSD ということが合わさって、今のところ使っていてストレスを感じることは皆無。

日常的に 2.4GHz Core2Duo + HDD な MacBook Pro や iMac を使っているが、それらと同時に使っていても「軽量サブノートだからここは我慢だよなぁ」ということが、予想していたより少なかった。

ブラウジング、メール、オフィスソフトといった一般的な作業はもちろん、デジタル一眼レフの写真セレクト作業や 1,000〜1,200万画素クラスの RAW 現像でも大量に処理させることがなければ、さほどストレスなく利用可能。ただ、EOS 7D のような 1,800万画素クラスの RAW は少々厳しい(これは C2D 2.4GHz の iMac でも同じ)。

おそらくメモリ 2GB という点に注意して、そこに収まる範疇の作業を意識していれば快適に使える印象。逆に言えば、メモリ 2GB 固定という、そろそろギリギリのスペック故、VMware Fusion や Parallels を常用するのには向かない。

(2)軽さはそこそこ、薄さは満足。でもその弊害も…

軽さに関して、持った印象は(底面積に比べて)非常に軽く感じるけれど、他の荷物と一緒に入れて持って出ると“大して軽くないサブノート”という本当のところが明らかになる。

VAIO type P のように、他の荷物と一緒に持って出た時に“この PC の重さは無視できるんではないか?”というくらいの、劇的な軽さはない。それに薄さも、すぐに慣れてしまう。

とはいえ、性能やキーボードに制約のないノートパソコンの軽さとしては満足できるものであるし、底面積はある程度あっても(A4 書類レベルであるなら)薄い方が断然持って出やすいので、十分納得できるレベル。

MacBook Air Side View


薄さについて言えば、前面側も背面側も薄さがあまり変わらないということ。前面部は非常に薄くても背面側はガッツリ厚い、そんなスペックとしての薄さを謳うためのパソコンは、収納時にその見かけ倒し加減が明らかになるが、Air はそのようなことがなくて(多少背面部は厚くなるが)使い勝手が収まりがいい。

剛性感はそれなりにあるものの、薄い分だけ液晶部がぐらつき易いのは否めない。きちんと机に置いて使っていれば良いが、電車の中で膝の上、なんて時は、重量も剛性も厚みもずっとあった MacBook Pro のような安定感はない。

でも、これは薄さ・軽さと引き換えの話であるし、また MacBook Air だけの問題ではないのでやむを得ない。割り切るしかない。

(3)USB ポートの使いづらさは想像以上

USB ポートが1つという(MacBook Air 最大の欠点)のは判っていたし、周りに Air ユーザーは多いからその不満も十分聞いていた。しかし、

USB ポートの奥さ加減は使い勝手悪すぎ…


というのは使い始めて実感した。ポートが1つでも良いが、もうちょっと手前に、USB ポートへケーブルなどを抜き差しし易い位置にあって欲しかった。

でもこのポート部の奥ばった加減は、ポートに蓋をするのも含めて「あらゆる見た目のスマートさ優先、デザイン優先」なわけで、Apple だから仕方ないかなと諦めるしかないし、ここまで徹底してくれれば怒り心頭というところまでいかない。

Apple だから許すとか Mac だから甘いとかではなく、中途半端にされると不満が爆発するだけになるけど、MacBook Air のように徹底されると、許せなくても諦めざるをえない。

そのあたり良きにしろ、悪きにしろ、Apple ってのは Mac にしても iPhone にしても徹底して自らのポリシーを貫いて統一感があるので、「不満はあるけど、そこは自分が合わすしかないよな…」って思わせるところがある。

もちろん、それが許容できない人は Apple 製品が全く肌に合わないだろうし、たとえ使ってもストレスが溜まってしまうだけになるから、買うのも使うのも不幸だ。

(4)Apple USB Ethernet アダプタが付属していた

別売りだったのに、いつから付属されるようになっていたのだろう?パッケージの中に入っていて驚いた。有り難いことはあり難いのだが、うち MacBook Air で使える USB Gigabit Ethernet アダプタも含めて、USB LAN アダプタが5個もあるんだよね…orz

(5)唯一 Snow Leopard にアップグレードした&したくなった

Snow Leopard 発売後の製品であるが、プリインストール OS は相変わらず MacOS X 10.5 Leopard のまま。もちろん、Snow Leopard の DVD は付属してきました。

ただ、他の Mac が全て Leopard のままで年内は Snow Leopard に移行する予定もない(仕事絡みでも同じ。理由がない)ので、Leopard プリインストールは有り難かった。酸いも甘いも知った Leopard で使えるのは助かる。

と思っていたはずが、1週間もしないうちに Snow Leopard にアップグレードしてしまった。理由は、OS をアップグレードすることで

貴重なディスクスペースは 10GB 近く空くし
(少しだけど)体感で判るほど動作速度が向上する


のならば、これはもうアップグレードしたくなる衝動を抑える方が無理と言うもの。

128GB という決して広くないストレージエリアで 10GB 近くも空き容量が増えるのは嬉しすぎるし、さほど速くない CPU だけに僅かだが体験でキビキビ感がアップする動作速度の向上も有り難い。

もっとも Leopard から Snow Leopard に変えることで開発環境絡みは大きく変化し、自作ソフトその他自分で make しなければならないものに関しては手間がかかったけれど、仕事面での Snow Leopard 移行時の調査もできたから良しとした。

ちなみに Apple のことだから、OS インストールやアップグレードでは純正の外付けスーパードライブを要求するかと思ったが(その場合は友達に貸してもらおうと思った)、手持ちの以前ネットブック用に買った安物ドライブでも問題なかった。

私が Snow Leopard アップグレードで使用したのは



という製品。ただ、これはもうディスコンになっていて、後継機は



という製品になってる。見た目も含めてほとんど変わってない感じだし、値段も同じ5千円台。ただ、私の使ったドライブと同じように使えるかは不明。

MacBook Air at the cafe in Itami Airport 4F


いずれにせよ、この MacBook Air を1ヶ月近く使ってきて思うのは、

普通の Mac として使えるし、見た目のスマートは随一だけど
普通のノートパソコンの利便性はない


ということだ。後者については言うまでもなく、「USB ポートが1つ、それも扱いにくい位置にポートがある」という点である。そして、それがまたデザインの良さを醸し出しているのだけど(デザインがいくら良くても、拡張ポートがずらずら並んでいたら台無しなのも事実)、これを許容できるハードルは低くない。

じゃあ、お前はどうなんだ?と言われると

MacOS X 環境が使える軽量サブノートが必要だから買った


わけで、だから

細かい不満はあっても、買った理由に十分適うパソコン


という結論になる。まぁ少しM体質を要求するパソコンではあるが…(笑)

制限のあるサブノートで何でもかんでもやらせようという愚かな思考ルーチンは持ち合わせてないし、幸い今まで使ってきた MacBook Pro や iMac など使い分けができる環境にいるので、「気軽に持ち出せる MacOS X 環境」というピンポイントな要求にさえ応えてくれれば何も問題はない。

少なくともネットブックとは違い、仕事をこなすマシンであるから、これ以上小さい必要もない。基本プライベート利用の VAIO type P などとは違う。サブ環境でもストレスなく仕事をこなすには、他の仕事環境と違いすぎないことも大切だ。

ともあれ1ヶ月近く使ってきて、MacBook Pro のように余裕や安心感はないけれど、一通りはこなせる・任せられる程度のものはあると感じた。そしてこれからは、出張その他お出かけの際に MacBook Pro の代わりにこの Air を安心して持ち出せる。

サブノートだけでなく、2〜2.5kg クラスの高性能ノート PC を持ち歩くことは昔から少なくなかったので、MacBook Pro を持ち出すことに躊躇いはなかったけれど、さすがに寄る年波には勝てず、最近は 2.5kg が重すぎると感じてきた。特に重さを全く感じさせない VAIO type P を使い始めてから、そうだった。それゆえ

VAIO type P 購入&愛用が MacBook Air 購入の引き金になった


と言える。ま、周囲の Mac ユーザーは半分くらい Air ユーザーになってるくらいだから、私はむしろ今までよく我慢したというべきかもしれない。

あとまぁ、MacBook Air に限らず Mac のノート PC 系全部に言えることだけど

MagSafe コネクタじゃないノートPC は、ちょっと不安


なんだよね。私みたいな粗忽者にとって MagSafe の安心感は結構大きい。

MagSafe のおかげでサードパーティーから安い AC アダプタは出てこないし、純正 AC アダプタは Air 用でも Pro 用でも1万円するけれど、AC ケーブルを引っ掛けた経験がある人間としては、MagSafe はキラースペックの一つだ。それに純正 AC アダプタは、サードパーティー製がなくても納得できるサイズ&使い勝手だしね。

MacBookAir at Cafe 2


さて、MacBook Air を購入してから「わざわざ Air 用に買ったアイテム」というのはほとんどないのだが、いくつかは Air 用に購入したものがある

○ USB 延長ケーブル

前述の通り MacBook Air の USB ポートは1つだけ&蓋に隠されているだけでなく、非常に奥まった位置にある。そのため、コネクタ直結型の USB 製品の多くが、直結のままでは使えない or 使いづらい。ので、短い延長ケーブルが必要になる。



この 5cm という超短い延長ケーブルと



こういった巻き取り式の延長ケーブルを使い分けてます。普段持ち歩きの小さな周辺機器入りポーチ(12cm×10cm の百均ポーチ)には emobile, Willcom の通信端末や接続ケーブル、iPhone用モバイルバッテリー、SDHC 小型カードリーダー、超小型 USB メモリなどともに前者の短いケーブルが入ってます。後者は出張・旅行用ポーチに入れてます。

この2つがあれば十分満足なのですが、こういう小物はついつい物欲が出るもので、



こんな形状の 10cm ケーブルなんかも便利かなぁ…と思いながら(無駄遣いと判っていながら)amazon のカートに入っていたりします。500円以下だとダメ元で買っちゃうんですよねぇ(笑)


○ 小型 USB HUB

USB ハブは色々買ってきたから、使わなくなった USB ハブは押し入れに何個も余っているのだけど、それらは全てデスクトップ用と言えるサイズ(給電タイプじゃない USB ハブなんて買ったこともないし)。

ノートパソコンと一緒に持ち出すための小型 USB ハブなんてのは買ったことがなかったし、必要もなかった。USB ポートは3ポートあれば理想だが2ポートでも困ることはないので、過去のノートパソコンでモバイル用 USB HUB が必要になったことなんてなかった(USB 1ポートでも CF スロットがあったりしたしね)。

というわけで、なんだかなぁ〜と思いながら



を購入。サイズ&収納性重視。まだ使ったことはないけど。使うことあるのかなぁ?(笑)


Speck SeeThru Hard Shell for MacBook Air

MacBook Pro ではずっと装着していた Speck の SeeThru Hard Shell。MacBook Pro 用に購入した当時は国内で取り扱ってるところもなく、Speck のサイトから直接購入したのだが、今は国内あちこちのショップで取り扱ってる。

speck MacBook 13
上記写真は MacBook 13" 用。Air 用も基本的には同じ。


とはいえ、せっかく薄さが大きな価値である MacBook Air に Hard Shell を取り付けて厚くしては本末転倒。ということで購入する気はなかったが、近いうちに MacBook Air を持ち出す可能性があるところでは取り扱いをいつも丁寧にしていられない可能性があるので、そこで使う時には装着しようと思って購入した。

普段は装着していないのだけれど、試しに装着しているとやっぱり安心感はある。MacBook Pro で長らく使っていたこともあるが、これを付けてると(閉じている)MacBook Air/Pro の上にちょいと物を置くのも気を使わなくても済むし、実際 MacBook Pro にはコレをずっと付けてきたおかげで、3年経っても新品同様?だ。

MacBook Air Side with SeeThru Hard Shell


MacBook Pro では長らく赤を装着してきたので Air では Smoke を購入。したけれど、やっぱり Cranberry が欲しいなぁ…なんて思っていたり。Air 用にはあまり良い色がないんだよね。

売れてないせいか本家では $49.95 → $14.95 の discount をしているが、日本だと Fedex の送料が $20 くらいかかるのが難点。

ちなみに購入後、普段は液晶側だけ付けているパターンが多いですね。両方付けると厚みが増してしまって何だかなーな感じになるのと、あまり Mac っていうのを主張したくないので目立つ液晶側だけでもカバーがあるとちょっと違うかな、と。

いずれにせよ、ある状況においてカバーがあった方が良いと思ったので購入したので、普段は外していることが多くても、私的には何の問題もないわけですが、とりあえず粗相の多い人にはお勧めではあります。

Speck | SeeThru Hard Shell for MacBook Air



というわけで、購入後1ヶ月近く使ってきた MacBook Air。今から買っても感動も糞もないし、

私にとっては、ただの実用品


だけど、

実用品として十分使えそう


というのが、今の率直な結論である。

でもまぁ、メモリ 4GB 搭載になるのを待ちきれなかったからメモリ 4GB モデルが出たら買い替える可能性はあるな…ついでに USB ポートが2つになってたり、液晶解像度が一回り増えたりしていたら特に買い替え衝動が抑えられないだろう(反面、このまま fade out の危険性も…)。