E-P1 を速攻予約して発売日購入した理由の一つ…いや大半が、発売日直後の週末から北海道へ旅行することが決まっていたから。そして今回の旅は、友達の北海道案内?みたいな感じになるのは判っていたので、本気で写真を撮ることもできないだろうということで、DMC-G1, E-P1 のようなマイクロフォーサーズが似合う旅。

そんなわけで、発売前からある程度実機を触って慣れておいて、発売日にも少しテスト撮影して、それなりに把握したはずなんですが、帰ってデーターを取り込んでみると(悪名高き?)階調モードを標準に変更指定おいたはずが、途中からオートに変わっていて、大半をオートで撮ってしまったことに気づいて凹んだりなんてこともありました。

が、とりあえず E-P1 を実戦投入した感想は、

  • 撮って出し JPEG 画質は、かなり良い。所詮フォーサーズ素子の範疇での話だけど、G1 よりは良い感じだし、購入前のイメージからするとだいぶ良い。階調モードのデフォルト設定であるオートで撮った場合の暗部は終わってるけど、全体としては実戦投入すると好印象。

  • ハイライトは G1 より確実に粘る印象。

  • 高感度は購入前にネットでサンプルを見ていたのと同じく G1 より1段上という感じ(だが、階調モードを標準に変更しないと逆効果)

  • 夏の太陽直射日光下でも、背面液晶は見やすかった。MF アシストでのピント合わせはどうかと思うが、構図確認くらいは余裕。

  • AF はコンパクトデジカメ並みに遅いが、コンパクトデジカメなのだから実用範囲内。

  • AF の精度は、きちんと AF が自分の意図したところにフォーカスしてくれるなら、かなり精度は高い。

  • ただし、AF ターゲットが11エリアに区切られていて、エリアサイズも固定。よって、条件によっては完全に「良きに計らえ」状態になるのだが、ピントを合わせたい対象物が小さい時は、エリア内の他の被写体にピントが合うことが少なくない。コントラスト式AF なのだから、もっと自由度が高くても良いはずなのに、古い習慣に囚われてる気がした。

  • かといって、手持ちで背面液晶による MF アシストは厳しいし、三脚に据えて MF アシストをする場合でも、DMC-G1 のような可動液晶に慣れてると、三脚の高さによっては結構使いづらくて、正直微妙。

  • AF 後の MF 微調整は S-AF + MF として独立した AF モードがあるのは良いとしても、MF ダイアルに触れたことに対する反応が敏感すぎるような気がした。

  • 水準器内蔵はやっぱり便利。しかし水準器表示の際に撮影情報(F値やシャッター速度)が出ないのは不便すぎる。

  • というか、撮影時の背面液晶に表示される情報は、モードに依って細かな点でコロコロと変わって不便。

  • 変則的でも2ダイアルなのは便利。だが、DMC-G1 のプッシュ式1ダイアルと比べて使いやすいか?と言われると、同程度 or 多少上かな?程度。

  • 撮影後に次の撮影が可能になるまでは、ちょっとタイムラグがある。1コマ撮影して露出を少し変えてもう1コマ、というのが、シャッター→ダイアルをクリッと動かす→シャッターで、連続して行えるはずなのだが、タイムラグが入って微妙な待たされ感がある。

  • 決して鈍重なカメラではないが、AF のことも含めて、全体として軽快にスナップする、という感覚には少し足りない(そうあるべきカメラのはずな気がするのだが…)。

  • 鈍重なのはオリンパスマスター2。Silkypix を使っているような人には十分悪くない速度なんだろうが、ACR や DPP 使いな俺には遅すぎてイライラする。

  • スーパーコンパネは、やっぱり便利。

  • しかし何故かスーパーコンパネにブラケット撮影の設定がなく、ブラケット撮影の設定はメニューのかなり奥にしかない。おまけにそのメニュー項目はデフォルト設定では出てこない。絶対に他の方法があると思ったが、ないと知った時にはオリンパスは頭がおかしいと思った。

  • DMC-G1 のように、ボタン類の割り付けに理不尽なところはない。

  • グリップに関しては、ちょっと使った程度だと全然問題なくて持ちやすい、と思っていたのだが、実際に色々なシーンで撮ってからだと、正直あまり良くないかな…という気がした。自分的には、片手だけで楽に持っていても安心できる感覚じゃないんだよね…

  • 発売前に、糞味噌に言われていた 17mm F2.8 パンケーキレンズだが、私自身も発売前に実写した画像を持ち帰って覚悟していたものの、覚悟していたほど悪くない感じ。もちろん、良いレンズとはとても言えないけれど、コンパクトデジカメ感覚のお気軽スナップには良い感じ。

  • 外ツマミのキャップは使いにくい。パンケーキレンズは 37mm だから内ツマミのキャップが見つからない。DP1 の 46mm でも通常は見当たらなかったけど、ツァイスから内ツマミのキャップが出ているというので、千円出して買った。キャップ1つに千円出しても良いから 37mm の内ツマミ式キャップが欲しい。

  • そんな E-P1 + 17mm パンケーキレンズを付けていたら、その件で2度ほど話しかけられ、最低4度はガン見された(美瑛・富良野の有名観光地、撮影地にも行っていたから、あらゆるメーカーの一眼レフを持った様々な人とはすれ違ったしね…)

  • まぁ確かに DMC-G1 にはない質感はある。でも、デザインも含め、基本的に爺ホイホイだと思った。ヨドの売り場を見ていても、それは良く判る。


といったところでしょうか。使ってみて、良い点も悪い点も色々あります。そして、評価は極めて難しい。

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有名すぎる観光地ですな…(E-P1 + LUMIX G. VARIO 7-14mm F4.0)


当初の想定でもあった、「DMC-G1 のサブ機」としての役割は果たすことができたと思いますし、決定的に使いにくいとも思わなかったです。

ただし、写真を撮る上で E-P1 と DMC-G1 のどちらが撮りやすいカメラかと言えば、それはもう圧倒的に DMC-G1 です。これは贔屓目でもなんでもなく、E-P1 の方が使いやすいという人がいたら、どこか歪んでませんか?というくらいに差がある。

E-P1 と DMC-G1 は同じ土俵で比較するものではない、E-P1 はレンズが交換できるコンパクトデジカメである、そう言い聞かせて使い始めたのですが、やっぱりそれは建前かな、というのが、正直なところ。

とはいえ、E-P1 には E-P1 の良さ(コンパクトなところとか)はあるので、実用上ではマイクロフォーサーズで2台持ちするのに、G1 + GH1 みたいな組み合わせの方が良くても、G1 + E-P1 は悪くないなぁ、とは思ってます。

ま、G1 とのペアでは E-P1 の方が遥かに高くても、確実に E-P1 がサブになっちゃうのは何だかなーですし、とても人には勧められませんが。

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まぁ、これも有名すぎますな (E-P1 + M.Zuiko 17mm F2.8)


ぶっちゃけて言うと、DMC-G1 と E-P1 を両方使っていると、“どっちがカメラメーカーか判らなくなる”くらい、カメラとしての使い勝手は DMC-G1 が良いんですよね。これはもう DMC-G1 と E-P1 の比較というより、メーカーの姿勢の問題かもしれない。

例えば、E-P1 は購入直後から頭をかしげることが多いんですよね。例えば、

  • デフォルト設定で、何故か手ぶれ補正が OFF になっている。

  • 「こんなにコンパクトでも2ダイアルです」とご自慢の2ダイアルなんだけど、デフォルト設定ではマニュアルモードを除くと、メインダイアルもサブダイアルも同じ機能に割り付けられている。普通、サブダイアルは露出補正じゃね?(自分で設定し直せば済むことだけど、なんかちぐはぐ)

  • マニュアルでは「階調設定を通常は標準に設定して下さい」と書いてあるのに(p.72)、デフォルト設定ではオート。

  • その階調設定オートでは暗部補正がされるが、ユーザーによる強弱が一切選べなくて完全お任せ。D60 と変わらないということは初心者廉価機なのか?

  • メニュー項目のうち、カスタム機能がデフォルトでは表示されないのも不思議。カスタム機能メニューでは非常に多くの設定ができるが、デフォルトで表示しない意味が判らない。やっぱり本当に初心者向けのカメラだと思っているのか?信じられないけど。

  • ド派手に出る色収差。RAW で撮れば付属のオリンパスマスター2で処理できるかと思ったらできねー。なんてこったい!(早く ACR が対応してくれないと…)

  • ライブコントロールではメニューを開かなくても色々と設定変更ができるし、スーパーコンパネでは更に多くの設定表示・変更ができるようになっているのに、ブラケット撮影の変更ができないのはどういうこと?前述したようにブラケット撮影の変更はメニューの奥の方、それもデフォルト設定では表示されないカスタム機能メニューの奥にある…ブラケット撮影はあまりするなよ、ということか?

  • ISO100 と 200 に画質差があるのに&階調設定標準でも、iSO オートの下限が 200 以上しか選べず、100 が選べないのは納得いかない。


とか、なんか使い始めの頃も、北海道で撮っていても、なんかこう色々と微妙なところで不可思議なことを感じましたね。

このカメラのコンセプトはなんなのかな…と思うんでよね。PEN 50周年記念とか言ってるなら、それこそ爺ホイホイでマニア向けですわな。値段からしてそう。初心者向けな値付けでもないし、売り方でもない。なのに、デフォルト設定も含めて、なんかそれにフィットしてない面がある。なんかチグハグ感を感じる。

もちろん E-P1 は、画質面だと(パンケーキの描写を含めて)思ったより良かったですし、今までオリンパスの描写が大嫌いだった私は、そのあたりは随分見直しました。

けれど、本来長年のカメラメーカーであるはずのオリンパスだから、と思って期待していた使い勝手が随分期待から遠く、そして不思議なことが多く、慣れでは納得できないであろうこともありました。

なんかこう、意外にも、写真を撮る道具を作るのはパナソニックの方が上なんだな…と。

E-P1 の良いところも色々とあるけれど、E-P1 で 201枚、DMC-G1 で 556枚という撮影枚数の差が、自分にとっても使い勝手の差だったのは間違いない。

手持ちでサクサクと撮る時のレスポンスの良さ、三脚に据えてじっくり撮る時のピントの合わせやすさ。どちらかは勝っていて欲しかった。

レンズ交換できるコンパクトデジカメであり、パナのレンズが使える DMC-G1 のサブ機としては悪くないと思ったけれど、ただそれだけでしかないのかな…という気もしたわけで。

DMC-G1 は質感もなければ、グリップもペンタ部もあるデジタル一眼ライクなスタイルで、デザイン的に新味もないけどカメラとしての資質は高い実用品とするならば、E-P1 は信者のための愛玩品なのかもしれません。むろん、愛玩品だからといって実用にならないわけではありませんが…

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早朝のファーム富田にて (E-P1 + LUMIX G. VARIO 7-14mm F4.0)


【7/10 追記】写真を fotolife ベースに変更したので、写真クリック先のページの「オリジナルファイルを表示」からオリジナル画像を表示することができます。もっとも、表示したところであまり意味のない写真ばかりですが…