ようやく発表。長かった。マイクロフォーサーズ規格が発表され、同時に DMC-G1 も発表され、それを見て「せっかくミラーレスでコンパクトにできるはずなのに、なんで一眼ライクにデカくする必要があったんだよ…ダメ過ぎ」と DMC-G1 をケチョンケチョンに言ったのが、去年9月。

それから9ヶ月。発表時に貶した DMC-G1 だったが、発売後しばらくして実写画像を見たら「え?意外と良いじゃん!」と思って衝動買いして、今や愛機となっている。過去のレビュー記事で色々文句も書いてるけど、DMC-G1 は良いカメラだと思っているからこその不満(某PC への不満とは根本的に違う :-)

そして、9ヶ月後のオリンパス E-P1。当初待望していた“コンパクトデジカメ”ライクなスタイルのマイクロフォーサーズ機。これを待っていたはず。なんだけど、正直な印象はと言えば…

まぁ、こんなもんかな…


という感じ。驚くようなところは皆無。例えば、サイズ・重量を DMC-G1 と比較すると

 高さ奥行重量
DMC-G1124.0 mm83.6 mm45.2 mm385 g
E-P1120.5 mm
(-3.5mm)
70.0 mm
(-13.6mm)
35.0 mm
(-9.8mm)
335 g
(-50g)


となる。幅はほとんど同じ。EVF およびフラッシュが内蔵されていないことでペンタ部がないために、高さはそれなりに低くなっているが、厚みに関しては(上記数字上は)液晶部が稼働するか否かでの差+αでしかない。

もっとも、上記の DMC-G1 の数値はグリップや EVF ファインダー部が加味されていない(突起部扱い)ので、見た目は E-P1 の方がずっとコンパクトに見えるし、実際突起部がない分だけ、収納時の収まりはいいはず。

もっとも、レンズを付けると、たとえパンケーキレンズでも 22mm あるわけで、DMC-G1 のグリップ分くらいは飛び出るので、実際には 13.6mm 分の高さと、DMC-G1 の EVF 突起部を含めた 20mm 強程度の奥行きが縮まる程度になるだろう。高さはともかく、奥行きはパンケーキ以外ではレンズによる飛び出しが大きいので、幅が同程度である限り、そうコンパクトにならないように思える。



また、重量に関しては 50g しか違わない。400g 弱からの 50g だから、それなりに差はあるけれど、サイズも多少小さくなっていることを考えると、軽い感じはしないように思える。DMC-G1 ボディも、サイズの割には重さを感じる(キットレンズは極めて軽いけど)。

とはいえ、これは予測の範囲内。手ぶれ補正を内蔵しているのだから、そう軽くなることはないだろうと思っていたし、サイズも同じ(まぁもう一回り小さければ、なかなかやるなぁ〜だったけど)。

機能的に、フォーサーズ中級機の E-30、最新鋭機の E-620 のほとんどの機能を詰め込んできたのはなかなかだけど、ここで出し惜しみできるような状況でないから、むしろキヤノンみたいに出し惜しみしていたら驚いていた。また、RAW できるするカメラで xD に固執していたら、それこそ究極のアホ扱いだったろうしね。



そう見ていくと、ホント予想の範囲内で、驚きもなく、かといって大きな落胆もないスペック。デザインも格好いいとは全く思わないが(PEN 云々はどうでもいい)、かといって終わってるとも思わない(クラカメがお洒落だと思ってデザインしてそうなのは嫌だけど)。

ただ、おおっ!?と思ったことはある。DPReview (Digital Photography Review) の E-P1 実写画像を見る限り、

大嫌いだった糞眠いオリンパスの絵作りが改良されてる


ことは良かった。ホント、あの信者が素材性が高いとか言ってるグーグー眠ってる画質はどうにも好きになれず、E-P1 に対する心配の一つだったが、SDHC 採用ともに、ようやく真っ当な方向に考えを改めたようで、喜ばしい限り。

そう考えていくと

いつもオリンパスの新製品に興味もっても肩すかし食らうのに
今回は意外と肩すかしがないんじゃね?


と思ったり。今までコンパクトな一眼を出してきて、その度に買いたいと思ってきたものの、発表された製品内容を見ると萎え、実写画像を見ると完全スルー決定なのに、今回はそうでもないような…

と思いつつも、そこはそれ、KYなことには定評のあるオリンパス。やっぱり強気すぎる価格設定。今回も過去の失敗に懲りずに強気の値段設定。標準ズームキットで10万、パンケーキレンズセットで11万、ダブルレンズセットで13万…でもまぁ、これは予測の範囲内。オリンパスなら、このくらいは付けてくるだろうと。でも

日本だけ、ぼったくり初物価格かよ!(-_-#)


おぃおぃ、ボディ単体が U.S. で $749 なのに日本で9万円、レンズキットは $799 に対して10万円、パンケーキレンズセットは $899 が11万円。オリンパスって日本のメーカーだよな?なんで、北米の方が安いねん。どう考えても日本のユーザーの足下見て舐めた価格設定してるとしか思えない…



だいたい、ボディ9万、パンケーキレンズ5万、専用ビューファインダーが2万弱なのに、それらがセットで11万とか、どういう価格設定?レンズセットの値段が割安なのは普通だけど、それにしても凄まじすぎるだろ…

ボディ7万円台、レンズキット8万、パンケーキレンズセットが9万なら判るけど、予約キャンペーンでフォーサーズレンズ用のアダプタをプレゼントとかするくらいなら、最初から安くしろよ…

そんな価格については、高い安いを別にして納得できかねるものがあるわけですが、それは別として、ひとまず個人的な印象をまとめてみると、まず良いと思った点は…

  • ボディ内手ぶれ補正をちゃんと入れてきたこと(おかげで大してコンパクトにならなかったけれど)

  • フォーサーズ中級機の E-30、最新機 E-630 の機能をほぼ全て入れてきたこと(アートフィルターとかは個人的に興味ないけれど)

  • 2軸デジタル水準器を搭載してきたこと(これは嬉しい)

  • ようやく xD カードを捨てて SDHC に対応したこと(当然ですな。xD だったら問題外)

  • 縦型で使い勝手がどうなるのか不安だが、少ないスペースに設定用のダイアルを一応搭載してきたこと

  • 良いデザインとは全く思わないが、かといってダサ過ぎるとも思わない、まぁオリンパスにしてはまずまずじゃないの?なデザイン(ホワイトは安っぽいけど)

  • dpreview にアップされている実写画像を見る限り、今までのオリンパスと違う解像感のある画質

  • おまけにフォーサーズ系にしては、そこそこ頑張ったと思わせる高感度画質(ISO6400 が使えるのでフラッシュなしでも…とか言ってるのは、どう考えても言い過ぎだが)

  • 曲がりなりともパンケーキレンズを出してきたこと(沈胴式の標準ズームは何とも言い難いが)

  • 全てのフォーサーズレンズで AF の効くマウントアダプターを出してきたのは良いこと(だけど、自社のマウントアダプターを出すまで、出し惜しみしていたわけだな…)


といったところで、逆に不満点は、

  • 日本のユーザーの足下を見た、ぼったくり&レンズ単体、ボディ単体がやたら高い価格設定。マジふざけすぎ。

  • つーか、ビューファインダー要らないし、予約キャンペーンとか要らないから、パンケーキレンズセットをもっと安くしろよ…

  • 今イチ DMC-G1 からのサイズダウンがない。ペンタ部の飛び出しがなくなった以外は、実用上大差ない程度になりそう

  • EVF を内蔵できなかったのは仕方ないとしても、それで背面液晶が可動式でもない…のは更に仕方ないにしても、それで今時23万画素の液晶って…最悪。いくらマウントアダプター経由で付けたレンズも手ぶれ補正が効くと言っても、この液晶だけで MF とか厳しすぎ

  • 発表会でより高速化した…とか言ってた AF だが、dpreview に依れば、E-620 並み。って、それじゃあ DMC-G1/GH1 どころか、コンパクトデジカメより遅い AF じゃん…orz

  • 来春までに小型広角ズームと小型高倍率ズームを出すとか言ってるけど、またパンケーキレンズは1個出して終わりか?どう考えてもズームよりパンケーキレンズが似合うカメラだろ…ホント、オリンパスはズームばっかり好きな会社だねぇ

  • 個人的な好みで申し訳ないが、PEN とかどうでもいいし、なんかそれにこだわってるのは、ちょっとキモい

  • ダブルレンズセットのシルバーで、標準ズームがシルバーじゃなく黒がセットになってる不思議


まぁ、そんな感じっすかね。オリにしては“これは完全スルー”にはならなかったけれど、不満も多いですが…

納得はしてないが、とりあえず予約は入れた


ええ、入れましたよ。ヨドバシ某店で最初の予約者だったらしいですよ。予約したのはパンケーキレンズのセット。

無駄に初値が高いと思ったので待とうと思ったけれど
発売日が7月3日だから予約した


わけで。まぁ色々とありましてね。買ったらすぐに使える場面があるかなー、と。発売が1週後だったら、しばらく待って評判を見て、少し値が落ちてから買ったと思うんですがね。正直高いですよ。ビューファインダーなんて使わないのは DP1 の時に思い知ってるし。



それでも、

レンズ内手ぶれ補正のないパンケーキレンズや超広角ズームで
手ぶれ補正が使えるから DMC-G1 と使い分けはできるかもなぁ…


という期待はあります。半分くらいは危惧ですけど。

ちなみに、全部入りのダブルレンズセットと迷いましたが、標準ズームレンズが2本あっても仕方ないですし、オリンパスの標準ズームレンズは

  • 収納時にパナの標準ズームより 2cm ほど短くなる(3分の2の長さ)のは凄く魅力的だが、使い始める時と収納時にいちいちロックスイッチを動かさないといけないので、きっと面倒で嫌になる

  • フィルター径 40.5mm だと、また新しいフィルターを買わなきゃならないし、だいたい 40.5mm とか今時ビデオカメラ用ばかりだろうから、その点でも面倒

  • フードを使う場合はねじ込み式を別途買うことになるし、車窓機窓を取る時に使うラバーフードで 40.5mm 径はあったかなぁ?

  • ダブルレンズセットのシルバーは、ボディーもパンケーキレンズもシルバーなのに、標準ズームだけブラックになってしまう


ということで、標準ズームはスルーすることにしました。

レンズ構成を見ると、意外と奢った構成になってるので、描写が素晴らしいという評判があったなら、後日また単体で買うことを考えるかもしれませんが、今のところはなさそう(実写画像を見てもパナのレンズと比べて格段に良さげな感じはないし)。



にしても、とりあえず何度も書きますが、

予約したけど、納得して買うわけじゃない


です。たぶん特に何か起こらなければ 95% は発売日に購入すると思いますが、どう考えても速攻飛びつくのは、オリンパスのためにも良くない気がするんですよね。海外の値段を見ても、こんな値段で買うのはアホすぎる。

EVF なしで、ショボくて可動式でもない背面液晶見て、糞トロい AF で撮るわけで、

やっぱ使えねー!となる可能性も高いと覚悟して買う


つもりです。これが1台目ならともかく、DMC-G1 という現在最もデキのよい EVF と高速コントラスト式 AF と可動液晶を持つ素晴らしいカメラが、そう変わらないサイズと重量であるわけで、それを半年以上使ってきたわけですから、当然それとガチンコ比較になります。

DMC-G1 から半年以上経って出てきた E-P1 が、そのガチンコ対決に勝てるほどの良さ、魅力があるのか?それともガックリして、やっぱりオリンパスは…になるのか?

期待半分、不安半分。いや、期待3分の1、心配3分の2、ですね。正直、ボディに関しては、あまり期待してません。っていうか、

今まで発表日に速攻予約して期待したカメラは外してきた


という経緯がありますからね。D200 と 1D MarkIII のことを思えば、E-P1 にも期待はしないでおこうと思います(笑)。というか、正直なところ

ダメだったら速攻ボディだけ売っても、
ボディ単体との価格差を思えば、大して損しないだろ


と思ってたりします。だから予約購入に踏み切ったという面もあるわけですが(ホント)。

さて、あと半月。どうなりますやら。ホント、どういったものになるやら…

オリンパス、同社初のマイクロフォーサーズ機「E-P1」
オリンパス、広角パンケーキレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」
オリンパス、標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」
50年の時を経て:“デジタルPen” 「オリンパス・ペン E-P1」登場
オリンパス、「E-P1」予約購入者にマウントアダプターをプレゼント
オリンパス、「E-P1」の発表会を開催
E-P1 オリンパス公式サイト


【追記】オリンパスプラザで E-P1 実機を見て使ってみて、だいぶ印象が変わりました。特にコンパクトさは、数字で比較した以上の差を感じました。このあたりについては、以下の記事に記載しました。

E-P1を速攻予約したので、実機も速攻触りに行ってみた(前編)
E-P1を速攻予約したので、実機も速攻触りに行ってみた(後編)