Mac の iCal と Google Calendar を同期させるソフトウェアは、昨年 SpanningSync が登場して私もβの頃から1年ほど使ってきたけれど、少し前に再インストール大会になった際、改めて調べてみたら gSync というソフトも登場していた。SpanningSync は安定しているし概ね満足しているのだが、gSync は gSync で良さがありそうだったので試してみた。

Spanning Sync - Sync iCal and Google Calendar
Macness, attaining a higher state of Mac OSX usefullness (gSync)

ということで、適当に手元に書き散らしていたものを、個人的な感想を含めてまとめてみるテスト。まずは、簡単な比較。

  • どちらも一定時間毎に自動的に同期してくれる設定がある。

  • どちらも過去のカレンダーデーターの同期日数制限はある。

  • どちらも複数台の Mac とのデーター同期も想定している。

  • どちらも Google Apps for your domain にも対応している。

  • SpanningSync は自社サーバーを通して Google Calendar と同期するが、gSync は Google Calendar と直接データーのやり取りをする。

  • SpanningSync は iCal と Google Calendar 双方の複数カレンダーに対応していて関連付けができるが、gSync はできない。

  • 反面、gSync は複数の Google アカウントの Calendar と直接同期できるが、SpanningSync は1つの Google アカウントの Calendar としか同期できない。

  • どちらも有料。SpanningSync は永久ライセンス $65、1年間ライセンスが $25 だが、gSync は2台までの利用なら1回ぽっきり $20(将来バージョンアップが有償になることがあるのかどうかは不明)。


といったところ。同じ目的のソフトだが、同期を取る方法からライセンス形態まで全然違う。そのため、使う人の利用形態によって、どっちが良いかは大きく分かれると思う。

まずは、gSync が SpanningSync に比べて勝っていると感じた点。

  • 自社サーバーを通して Google Calendar と同期する SpanningSync は、自分の Google アカウントのパスワードを SpanningSync に保存するというセキュリティ的な難点を抱えるが、その点、自分の Mac 本体と Google Calendar の間を直接やりとりして同期する gSync は随分安心できる。

  • 直接同期する分、同期速度は SpanningSync より gSync の方が速いように感じた(試した限りだが)。

  • 直接同期するので、SpanningSync のサーバーの不調などで同期できないということがない(Google 側に問題があれば双方とも不可能だが、リスクは下がる)。

  • SpanningSync は1つの Google アカウントの Google Calendar としか同期できないが、gSync は複数の Google アカウントを登録して、それら全ての Google Calendar と直接同期が可能(SpanningSync は複数アカウントの Google Calendar と同期したいなら、Google Calendar の共有機能を使ってくれと書かれている)。

  • MacOS X 標準の Sync Service ベースに構築されているので、iSync などとの親和性が高い(のかもしれない)。その有利点は私には感じられなかったけれど…

  • SpanningSync は永久ライセンス $65、1年間ライセンスが $25 とそれなりにするが、gSync は $20 で利用可能とリーズナブル(ただしクライアントは2台まで)。


といったところは gSync に魅力を感じる。反面、SpanningSync が優秀だと感じたところは、

  • gSync はアラーム設定の同期は全くされないが、SpanningSync は iCal → Google Calendar 方向のみアラーム設定の同期(コピー)をしてくれる。

  • SpanningSync はソフトウェアのメニュー、環境設定は日本語化されている(ドキュメント類は英語のみ)。

  • SpanningSync は大量の追加、削除がある場合に事前警告が出てくれる(カレンダーデーターがおかしくなった場合には有用)。

  • Google アカウント毎のレジストなので、クライアント台数は制限されない(たぶん)

  • 将来的に Mac のアドレス帳と Gmail のアドレス帳の同期も機能追加するらしい。

  • 問題発生時のレポート機能があるなど、サポートは SpanningSync の方が良さげ。


といった点が挙げられる。

gSync はそれなりに試した程度なので断言はできないのだが、大量のデーターを同期する場合は時間がかかっても SpanningSync の方が安定していると感じられた。もっとも、これは過去1年ほとんど問題なく使い続けてこられてきたという安心感から来ることかもしれない。同期途中でスリープしたり、ネットワークを切っても、同期データーに支障が出たことはなかった。

複数 Google アカウントへの対応は、SpanningSync では Google Calendar 側の共有機能を使わざるを得ず、gSync の直接複数アカウント同期にも魅力は感じるが、実際には Google Calendar 側の共有機能を使った方が同期時間が短くて済むなどの利点も多いので、どっちもどっちかな?と思っている。

でも、正直 SpanningSync のサーバーを介さなくても良い、ということは大きな魅力。ただ、数日試した限りは同期精度はまだ SpanningSync の方が安定していると思えることが多く、一方方向でもアラーム機能の同期を行ってくれることもあって、今回は gSync に乗り換えるまでには至らなかった。

ただ、今年3月の SpanningSync 正式サービス開始時にはずっと Mac メインで行くかどうかも判らない状況だったため、永久ライセンス ($65) ではなく年間ライセンス($25)を選んだこともあって、来年の更新時には再検討する余地があるとは思ってる。まぁきっと1周年までには、年間ライセンスユーザーを引き止めるためにも、魅力ある機能追加をしてくれると思ってるが。

ともあれ、これから利用する人なら定番だった SpanningSync ではなく、gSync も十分検討する余地があると思うし、gSync の方が良い人も多いはず。ただ、gSync はネットで検索してみる限り、利用者がなかなか見当たらないようで…

ちなみに Google Calendar → iCal 方向だけの同期なら、Google Calendar の共有機能を使って、iCal 用の共有 URL で Google Calendar のデーターを iCal に反映させることはできる。iCal で入れたデーターは Google Calendar に反映されないが、基本は Google Calendar という人なら無償でサクッとできて便利。私の場合は iCal 側がベースだから無理だけど。

そして、もう一つ。まだ試していないのだが、カレンダーデーターの同期を取る機能としては最強サービスじゃないかと思われるのが、Plaxo。

Plaxo

元々カレンダーウェブサービスだが、同期できる対象が素晴らしく広い。カレンダーデーターだけでなくアドレス帳も含めて、Mac の iCal に Windows の Outlook, Outlook Express や Thundarbird、ウェブサービス系は Google だけでなく Yahoo! や MSN もと

Win も Mac もウェブサービスも何でも来い!のパーフェクト対応


これらで全てカレンダーやアドレス帳が同期できるのは素晴らしい(元々はアドレス帳サービスだったようだ)。そして一応レベルだが、日本語対応もなされている。さらに(今のところは)無料!というのだから、非のつけどころがない。

ちょっと話がウマすぎるんじゃないか?


と思うくらいだが、使っている人の話を見ている限りは、ウマすぎる話が実現されているようだ。特に Win, Mac 両用な人間には、これしかない!という感じ。

ま、今はβで将来的には有料になるのかもしれないが、現在のオプション有料サービスでも年間 $49 だから、たとえ有料化されてもそう高くはないだろう。高くても SpanningSync の $25 程度じゃないかと思ったりする。

早速試したいところだが、gSync を試した時と違って、既にどのマシンも“データーが壊れたら泣ける”体制に入ってしまったので、迂闊に Plaxo を試せないでいる。近いうちにテスト機の Windows の環境を追加する時に、この Plaxo を試してみようかと思っているし、問題ないなら有力選択肢になるかもしれない。最近流行の SNS 志向なのか、カジュアル向けっぽい点だけが気になるが…