先週は毎日、午後から空を見ていた。夏らしい、高い雲が湧くのを待っていた。連日 35℃を越える暑さは写真を撮る気もなくすくらいだったが、夏らしい写真の1枚や2枚、撮っておこうと思って、そのタイミングを探していた。

D70 で一眼レフ入門をしてから3年。その前のコンパクトデジカメ時代から、私が撮った写真には極端に夏の写真が少ない。ほとんどが秋冬だ。夏が嫌い。秋が大好き、冬も好き、そんな自分らしいと言えばそうなのだが、夏には夏にしか撮れないものもある。そんな当たり前のことに、最近ようやく気づき始めた。

そして毎日、西の空を見ていたのだが、思うような雲は出てくれない。夏ならではの高くそびえる入道雲が出てこない。今年は梅雨明けしてからまだ、未明以外に雷も聞いてないような…

思い描くような雲は出ないものの、ファームウェア・アップデートされた 1D Mark3 を早くちゃんと使ってみたかったし、一昨日は少しマシな雲が湧いていたので出かけることにした。が、その雲はほとんど発達せず、北の丹波山地の方へ流れてしまった。

仕方ないので入道雲狙いは諦めて、前から「あの辺りで一度撮ってみよう」と目星をつけていた場所へ行ってみた。

B767 flying over the pylons of power line.

※今回の写真は全て EOS 1D MarkIII + EF70-200mm F2.8L IS USM

車を止める場所がない可能性は大きかったので、糞暑い中をわざわざ駅から 20分以上歩いたのだが、実際にレンズを向けてみると、縦横無尽に張られている送電線に邪魔されまくり。引きつけると送電線の中の飛行機になってしまう。周囲はプチ工業地域なので仕方ないのだが、ここまで送電線が多いとは思わなかった。失敗。

伊丹空港の周辺なんて、あらゆる場所が検討され尽くされてるはずで、道理でこのあたりからの写真を見たことがないと思った。しかし、やっぱり自分の足で色々な場所は探したい。千里川を始めとするメジャーポイントは良いけど、それをなぞるだけでは何も面白くない。それに自分的には

飛行機そのものより、飛行機を含めた風景を撮りたい


と思う。風景と言っても一般的な自然との絡みだけではなく、伊丹ならやはり都市風景や生活風景との絡みを撮りたいと思う昨今。そのために色々と考えたり、イメージすることはあるのだが、なかなか写真に結びつかない。

ANA's B767-300 approaching over town


目的の場所は思いどおりに撮れなかったが、伊丹への着陸機がやってくる南東の空を見ると、奈良県の方で発達していた積乱雲が対流圏界面まで達して、成層圏との境界で水平に大きく広がっていた。雲自体は非常に遠くにあるのだが、なかなか見事な風景になりつつあった。

出かける時からその方角で積乱雲が発達していたのは知っていたが、あまりに遠くだったために雲の形状が見えることもなく、そのために被写体候補にはしていなかった。が、もはや絶好の被写体になりつつあった。

いつもの千里川へ向かいながら、途中で何箇所かで(着陸機と絡めて)撮影を試みるも今イチすぎ。結局、千里川まで戻ってきて、やっぱりここで撮影。

Huge cumulonimbus and the airplanes to RJOO


見事に広がった積乱雲。ここまで大きく広がったのを見たのは久しぶり。まるで「スタートレック」のエンタープライズの先頭部分みたいな形状だ。

18時半くらいから始まる着陸機ラッシュタイムに間に合ったので、次々と着陸機がやってくる。

Approaching against the background of cumulonimbus


しかし、ここでも撮影場所の選択をミスしてしまっていた。出かける前から夕暮れの瞬間と着陸を絡めて撮ろうと思っていたために、千里川の両岸のうち、いつもの空港側を選択してしまった。が、この雲を撮るなら反対側にすべきだった。

空港側から撮ると反対側の岸のフェンスが邪魔になって、アングルもレンズも制約されてしまう。こんな被写体があるのだから、日没も両方撮りたいなんて欲張らなきゃ良かった…私の悪い癖だ。これを直さなきゃ、まともな写真が撮れないよなぁ。

とにかく、対岸側で広角で狙うべきということは撮影し始めてすぐに気がついたのだが、3分おきに着陸機が降りてくるので、対岸へ回る余裕もない。渡る橋はすぐ近くだが、グルッと回って撮影準備をし直したら1機ないし2機のロスは避けられない。Runaway 32L に連続して着陸することは、1日でも限られたタイミングだけだから、チャンスは逃したくない。

それに、暑さゆえ荷物を最小限にすべく 5D は置いてきてしまった。風が強い中、1D3 だけでレンズ交換しまくりつつ撮影するのも辛い。なので、そのままの場所で、できる限りの撮影を試みることに。

ANA's B767-300 and the cumulonimbus dyed in red


陽が落ちてきて雲は赤く染まり、下の雲の色が取れた後は、上の雲が輝く…

ANA's B767-300 with the orange and gray clouds


出かける時に思い描いていた雲ではないけれど、夏らしい?雲と合わせて撮れたので、まずまず収穫はあったことにする。もっとも、こんなんだったら最初から千里川に来ておけば良かったし、やっぱり広角と望遠の2台体制で来るべきだったし、千里川は対岸に行くべきだった。対岸で脚立に乗って撮影していた人、大正解だよ…

すっかり暗くなってからは、着陸機の真下で縦流しの練習をして(縦流しはまだまだヒット率が話にならないレベル)、7時半近くになって着陸機ラッシュが終わると引き上げることにした。

収穫もあったが、それ以上に反省事項が多い、いつもの撮影だった…

ANA's B777-200 on the runaway in twilight