AI Servo のピンボケ問題はあるにせよ、それでも 1D Mark3 は撮っていて気持ちが良いし、視野率 100% の安心感みたいなものもあって、風景撮りなら 5D の方が良いと判っていても、横に 5D があっても、ついつい 1D Mark3 を使ってしまうことが少なくない。1台だけ持ち出す状況では、大きさの問題がない限り、1D Mark3 を選択する。

D70 から D200 の時に買い替えた時に感じた、「あぁ良いカメラって、画質だけじゃなく、撮るのが心地よいんだなぁ」という思いが再び甦って、その心地よさ、撮影時の理由なき安心感に勝てない(理由はあるはずだが、私レベルでは具体的に説明しようがない)。多くの状況で、画質は 5D の方が良いと判っていても 1D3 に誘惑されてしまう。

それに 5D と 1D3 の画質の差と言っても、どれほどの差があるかと言えば、それを実感するシーンはないわけじゃないけれど、当然それは両方を比較して初めて判ることで、APS-C な一眼から 5D に乗り換えた時のようなパッと見で明らかな差を感じるシーンはそう多くない。広角風景撮りは 5D にアドバンテージがあるのはやむを得ないが。

また、画素数で画質を判断することはナンセンスだが、私自身における必要画素数の一つの基準としては“縦横 50%縮小して自分が使うディスプレイの壁紙サイズにできること”というのがある。今は UXGA (1600x1200pixels) だが、近いうちにフルハイビジョンな WXGA (1920x1280pixels) 液晶に移行するのは確実だから、1D3 の 3888x2592pixels というのは縦横 50%縮小して WXGA の壁紙サイズになるギリギリの画素数だから、ひとまず満足できる画素数だったりする。

JAL's MD-81 view from Kamifurano hills
JAL's MD-81@上富良野


だからこそ、AI Servo のピント問題については本当に何とかして欲しいと思う。キヤノンへ再び持って行きたいのは山々だが、どういう状況で発生するか完全に説明できない現状では、持って行ってどうにかなるのか?という気はしている。キヤノン自身が原因を?んでいるのか?とも思う。けれど、このままだと正直不安すぎる。

ぶっちゃけ今は AI Servo で撮影する時には「頼むからちゃんと写っていてくれ…」という神頼みしかない。曇り空なら少しは安心だが、ピーカンな状況ではダメもとになる。ISO 感度上げて絞り込んでも話にならないようなピンボケ方をされると対処しようがないしね…

正直、あの D200 の時と若干似たような思いになりつつある面もある。撮った写真を NC で現像しつつ等倍で見て縞々が写っているのを恐れ、写っていた時の落胆。予約して待って待って買ったのに、不安になりつつの撮影。ある意味同じだ。

とはいえ、もはやマウント変更はしようもないし、移れるメーカーもない。D200 の時みたいに、どうしても納得がいかなかったからといって他メーカーへ移転するわけにもいかない。5D と 1D3、行き着くところまで行ってしまったのだから。

そして、その一点を除けば、ほぼパーフェクトなものを自分に提供してくれるカメラではある。

あ、そうそう、1D3 の「高輝度側階調優先」機能は、状況によるが白飛びに対してかなりの効果がある。夏の雲なんかにはピッタリかもしれない。が、マニュアルに記述されているようにアンダー部ノイズが増えるだけでなく、中間域でもカラーノイズが結構増える。増えると言っても機能をオフして撮った場合と比較しての話だし、DPP で目立つだけで他ではそうでもないかと(カメラ内現像 JPEG とか)。

それでもやっぱり、使うのは最小限に留めた方が良いと思える。便利機能的に多用していたが、あとから DPP で現像した JPEG を見ると明らかに中間域からアンダー部にかけてのノイズは増えている。少なくとも私自身は今後は気をつけて、慎重に使うつもりだ。まぁ、反省事項の一つですな。